最前線の起点を封じれば、相手を無力化できる。背番号17のターゲットマンを封じるために、町田のコーチングスタッフは、“ダブルチーム”での応戦を軸にプランを組んだ。そのメンバーの一人に指名された白崎凌兵が、“ウェリントン封じ”の一翼を担った。
「相手に気持ちよく競り合いをさせないことは考えていましたが、やはり強かったですね(苦笑)。ただ競り勝つことはあまり考えておらず、味方が競りやすい状況を作るとか、CBを1枚担保して、そこで一気に入れ替わることがないように、できることをやろうとしました」
黒田剛監督の言葉を借りれば、「高さもあるし、はね返せる」白崎は、町田では“新感覚”のボランチ。下田北斗や仙頭啓矢、そして柴戸海らと一線を画すタイプのボランチとして、夏の加入以降、コーチングスタッフの信頼をつかんでいる。
本人はシーズン途中加入の難しさを覚えつつも、「そんなことも言っていられない」とチームにアジャストしてきた。また黒田監督はチームが次のステップに進むためのキーマンとして白崎の名を挙げている。「攻守どちらでもプラスの存在となれるように、突き詰めていきたい」と本人も意欲的だ。
もっとも、“黒田ゼルビア”の哲学は、無失点がベース。ゴールを奪うことに傾倒し過ぎた結果、自慢の堅守に綻びが生じるようでは本末転倒だ。今節のホームでの札幌戦に向けたポイントに関しても、“まずは守備”の考え方に基づく言葉を口にした。
「札幌は前に人数を多く掛けてくるので、そこに対するリスク管理や、走られたところをついていくとか、チームとしてのベースの部分を大事にしたいです。また札幌はつなぐチームなので、ボールを持たれる時間も長くなるでしょうから、守る時間帯は守るといった割り切りも重要になってくると思っています」
また“オールコートマンツーマン”のイメージが強い札幌を攻略するためには、「個人が勝つこと、個人の局面で優位に立つこと」を強調している。なお、移籍後初ゴールへの意欲に関しては、「チームが勝つことが最優先」と謙虚だった。
福岡戦に勝利した同日。徳島の地では今夏まで町田に在籍していた髙橋大悟が大分移籍後初ゴールを決めた。白崎と髙橋は清水時代に親交が深く、白崎にとって髙橋は「かわいがっていた」弟分だ。良き仲間の活躍に刺激を受けた白崎は、悲願のJ1制覇に向けて、こう語った。
「こんなチャンスはなかなかないですし、1試合1試合を無駄にせず、目標を叶えたいです」
今節の相手は残留争いの渦中にある札幌。目標達成へ。踏みとどまっている余裕はない。
【ホームゲーム情報】
明治安田J1リーグ第31節
9月21日(土)19:00キックオフ
FC町田ゼルビア vs 北海道コンサドーレ札幌
町田GIONスタジアム