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無得点が続く大宮のキーマンは開幕から先発を続ける瀬川祐輔
今季、群馬から大宮に加入した瀬川祐輔が、開幕から先発を続けている。ここまで結果は出ていないが、鋭い仕掛けとゴールに向かう姿勢はポジティブな印象を残す。チームとして無得点が続く現状にあって、打開へのキーマンとなり得る存在だ。
「最後のアイディアや精度、もっと相手の危険なゾーンに走っていくこと、そこにボールを出していくことが必要なのかなと。人数が少なくてもボールの質や動き出しで、可能性が低くても使うことだったり、ちょっと強引さも必要なのかなと思う」
そう語る瀬川にとって、動き出しや仕掛けの部分は「そこを消してしまったら何もなくなってしまう」と言うほどの武器。持ち味をさらに出していけば、自然とチームに足りていない部分を補填できるだろう。
「まず一番大事なのは背後への動き出しだし、チャンスだと思ったら出ていかないといけない。そこがアルディージャの足りない部分でもあると思うので、僕や任くん(江坂)が泥臭くやっていければ」
仲の良い先輩・江坂の名前を出したあと、「もちろん任くん自体が泥臭いわけではないけど(笑)、良い意味で泥臭くですね」とフォローする生真面目さも魅力の一つ。勤勉かつ大胆に、大宮の攻撃に変化を与えたい。
文:片村 光博(エルゴラッソ大宮担当)
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神戸MF松下佳貴、「大先輩」の仙台MFリャン・ヨンギは「目標にしたい選手です」
前節・新潟戦を2-1で勝利し、開幕2連勝を飾った神戸。8日は完全非公開でトレーニングを行い、週末に控えるJ1第3節・仙台戦への準備を進めた。
開幕ゲームの清水戦に左SBで途中出場した松下佳貴は、前節・新潟戦では右サイドハーフで先発出場。本職はボランチながら、昨季は左サイドハーフで先発の座を勝ち取るなど、非凡なセンスが光る足元やガッツのある守備でチームを支えている。
8日の練習後、初の右サイドハーフでの先発出場だった新潟戦を振り返った松下は「右サイドはキャンプのときにちょくちょくやっていた」と話し、抵抗感なくすんなりとゲームに入った様子。守備では危ない場面をいち早くケアするなど右SBの高橋峻希と好連係を披露した。ただ、「(ボール)ロストが多かった。そこは自分の問題だし、精度を上げたいですね」と反省。自身に及第点を与えず、気を引き締めている。
今節対戦する仙台には、「大先輩です」と松下が話す同じ阪南大卒のリャン・ヨンギがいる。昨季のJ1・2nd第15節で対戦し、ピッチ上で対面も果たしているが、「クロスからアシストされた」と悔しそう。「パスもドリブルもできる。あそこでタメが出来るし、かつ、走る。目標にしたい選手です」と、そのプレースタイルに刺激を受けているようだ。
昨季、A契約を達成した自分へのご褒美に「腕時計を買おうかな」と話していたが、「結局、買っていないまま開幕した…」と嘆きの表情も見せていた松下。開幕連勝を遂げるチームに貢献する中、今節は“大先輩”の前で自慢のスキルを惜しみなく発揮し、勝ち点3を目指すことになりそうだ。
文・小野慶太(エル・ゴラッソ神戸担当)
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愛媛を支える田村光平広報は今日も練習場を駆け回る
選手たちが全力で躍動する練習場で今日もスーツ姿の男が慌ただしく駆け回る。今季よりクラブの広報を務める田村光平広報は選手に負けず劣らずの働き者だ。
この小規模クラブの広報担当の仕事はまさに激務。加えて、愛媛の練習場は事務局から距離が離れているため、これまでの担当は練習場になかなか足を運ぶことができなかった。しかし、この新任広報は週2、3回のペースで練習場に姿を見せる。そして、メディアなどへの対応をするだけでなく、ピッチをも注視している。
最も注意深く耳を傾けているのが間瀬秀一監督の言葉だ。元日本代表監督のイビチャ・オシム氏を師とする指揮官の言葉は格言めいた重みを持つ哲学的なものばかり。田村広報はそんな“金言”を聞き逃すまいとしっかり耳を立て、時にはピッチ内にも突撃してこまめにメモを取る。そして、それら指揮官の興味深い言葉の数々はクラブのfacebookページで『間瀬語録』としてアップ。ファン、サポーターに向けて、よりチームのことに興味をもってもらおうと奮闘しているのだ。
ただ、激務の中で練習場に出向くため、「現場に来るぶん、事務局に帰ったあとの事務作業は大変です」と苦笑い。それでも「こうして(練習場に来て)やっていることが仕事として認められるなら絶対に来たほうが良いと思って」とハツラツとした笑顔で答える。
ここにも新生・愛媛の前へ進もうとする力があった。
文・写真:松本隆志(エル・ゴラッソ愛媛担当)
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トレーニングキャンプ中のU-20日本代表。久保建英などのゴールでFC東京に勝利
8日、前日からトレーニングキャンプを行っているU-20日本代表が、FC東京小平グラウンドでFC東京と練習試合を行った。
今回の強化合宿の締めくくりとなる練習試合では、京都の岩崎悠人や川崎Fの板倉滉が先発メンバーに名を連ね、ゲームは立ち上がりから拮抗した展開で推移。それでも16分に広島の森島司が相手のペナルティーエリア内で倒されてPKを獲得。自身でキッカーを務めた森島のシュートは一度は阻まれたものの、はね返りを自ら押し込んで先制点を奪い、U-20日本代表がリードして前半を折り返した。
後半に入るとU-20日本代表はメンバーを総入れ替え。今度はFC東京U-18の久保建英と磐田の小川航基が2トップで出場し、中盤では新潟でJ1デビューを果たした原輝綺、最終ラインでは湘南でJ2デビューを飾った杉岡大暉がピッチに立った。すると、53分に原の鋭いボール奪取から小川→久保とつなぎ、最後は久保が冷静にゴールに流し込み追加点を奪った。
試合をとおしてピンチはあったが、最後まで守備陣が踏ん張り結果は2-0。勝利を手にしたU-20日本代表の内山篤監督は「短い時間ではあったが、継続してやれているフィット感は出せた」と手ごたえを口にし、今回のキャンプを締めくくった。今後は3月下旬に海外遠征を実施。5月の本大会前には強化合宿を行い、5月20日からU-20W杯(韓国)に挑む。
文:林 遼平(エルゴラッソ日本代表担当)
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存在感を発揮する福岡のCB岩下敬輔。 井原監督が高く評価する特徴は…
今季新加入で早くもチームの中軸としての働きと存在感を見せている福岡のCB岩下敬輔。狙い澄ましたインターセプトに、正確なフィード。攻守における積極性、アグレッシブさが売りとの印象があるが、井原正巳監督の抱く印象は少し違うようだ。
「口のほうはとてもアグレッシブ(笑)。もちろん積極的なプレーも良いが、私が評価したいのはクレバーなところ。自分の特徴と味方の特徴をちゃんと把握した上で、どうすべきかをきちんと判断できる。試合の流れを見てプレーを変えられるし、味方を動かし、使うのがとてもうまい選手だと思う」
かつて日本を代表するCBとして光輝いた指揮官からも高く評価される岩下。福岡のJ1昇格の成否を握る選手の一人と言っていい。
文:島田 徹(エルゴラッソ福岡担当)
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公式戦から遠ざかって1年以上。京都の牟田雄祐が故郷・福岡で復活の狼煙を上げるか
左股関節唇損傷の手術を受け、昨季の大半をリハビリに費やした牟田雄祐。名古屋に所属していた15年J1最終節以来、公式戦から1年以上遠ざかっている26歳のCBに、ようやく復帰のチャンスが巡ってきそうだ。京都は前節の試合中に大黒柱の田中マルクス闘莉王が負傷。闘莉王は12日のJ2第3節・福岡戦を回避することが濃厚で、牟田がその代役の最有力候補となっている。
第3節が行われる福岡は、奇しくも牟田が生まれ育った故郷だ。15年までJ1でプレーしていた牟田にとって、福岡での試合はプロになって初の経験となる。「出番があるかないかは監督が決めること」と慎重な口ぶりで話すが、やはり故郷での一戦に懸ける思いは強い。
「生まれてから22歳まで、福岡でサッカーをやって育った。一番身近な場所。自分は特別な能力があるわけではないし、ガムシャラに全力でやる姿を見せるだけ。でもそれを福岡で見せられるのは、人生の中でもなかなかないチャンス。ましてや、(1年以上ぶりの公式戦復帰という)いまの状況で自分のプレーが見せられるのなら、『神様っているのかな』と思える」。
復活の狼煙を上げる、この上ない舞台が整った。そこに牟田は、「普通にサッカーができるようになれたのは、いろいろな人の支えがあったから。その感謝の気持ちをピッチで表現したい」と、大きな感謝を抱いて臨む。
文・写真:川瀬太補(エル・ゴラッソ京都担当)
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盛岡市出身の藤村慶太、3月11日の神戸戦での勝利を誓う
岩手県盛岡市出身の藤村慶太が、3月11日に開催される明治安田J1第3節・神戸戦に向けた意気込みを口にした。
藤村は盛岡商業高出身の6年目。昨季に大きく出番を増やしたMFで、[4-4-2]のフォーメーションでは本職のボランチをはじめ、FWからSBまで多くのポジションをこなしてきた。今季から採用する[3-4-2-1]でも、ここまでボランチのほか、前線から最終ラインまで多くのポジションで準備をしている。
第2節・磐田戦(1○0)では、90+3分からシャドーのポジションで今季公式戦初出場。「勝っている時間で、まずは守備を意識した」ということで、相手後方のパスの出どころを押さえたり、高い位置でボールをキープしたりと手堅い仕事をした。
守備固め以外にもシャドーでの役割については「奥埜(博亮)さんやリャン(・ヨンギ)さんがやっているのを見て、チームとして良い時間というのはシャドーがボールを受けてキープしたりターンしたりしやすいとき」と理解し、このポジションでも準備をしている。
次節は東日本大震災発生から6年が経つ3月11日に試合が行われる。震災発生当時、藤村は高校で練習をしていたところだった。翌12年からプロとして復興支援活動にも関わっているMFは「ホームで必ず勝たなければいけないという思いが、いつもより強い。内容以上に、勝つ姿勢、戦う姿勢を、見せられる試合にしたい」と意気込む。次節の相手である神戸は、彼が14年6月1日にカップ戦でプロ入り後初ゴールを決めた相手でもある。
文・写真:板垣晴朗(エルゴラッソ仙台担当)
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4試合連続で[3-4-2-1]のチームと対戦する金沢。柳下正明監督が湘南を相手に講じる策とは?
金沢は第1節・愛媛戦、第2節・水戸戦、今節・湘南戦、第4節・長崎戦と、4試合続けて[3-4-2-1]を用いるチームと対戦する。
[4-4-2]のマンツーマンディフェンスが柳下正明監督の信条だが、今節・湘南戦は普段と異なるシステムで臨む可能性を示唆した。8日の練習で行われた11対11では[3-4-2-1]を採用。柳下監督は「本当は4枚でうまくスライドして相手に対応したい。でも、いまの力関係を考えるとそれは難しいだろう。次は枚数を合わせるかもしれない」と話した。「J1でも十分にやれるチーム」である湘南との力量差を受け止め、現実的な策を講じる。
新潟や磐田で指揮を執っていたときに何度も湘南と対戦経験があり、「湘南を一番知っているのはオレだと思う」と言う指揮官。「同じ3バックでも、やっぱり湘南の3バックは違う。湘南は攻撃的な3バック。(ディフェンスラインが)5枚にもなるけども、前からボールを奪いに行くというスタイルがある。それが良いというか、好き」。
”湘南スタイル”はアクションサッカーを志向する柳下監督の琴線に触れるようだ。
文:野中拓也(エルゴラッソ金沢担当)
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ホーム開幕戦に並々ならぬ闘志を見せる、札幌新加入のMF兵藤慎剛
11日のJ1第3節・C大阪戦で今季最初のホームゲームを迎える札幌。その中で新加入のMF兵藤慎剛が闘志をみなぎらせている。
「自分にとって初めての移籍。新天地のサポーターに、自分のプレーをしっかり見せるだけでなく、結果を出すことでアピールしていきたい」と意欲的。前節は長年在籍した横浜FMに0-3で完敗し、「絶対に勝ちたい相手だったので、とても悔しい…」と話す一方で、「長年お世話になったチームとの試合を終えて、スッキリしている部分もある。ここから新しい気持ちで札幌のために戦っていきたい」と北国での新たなチャレンジに、並々ならぬモチベーションを維持している。
文・斉藤 宏則(エルゴラッソ札幌担当)
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けがから復帰の柏木陽介がフルメニューを消化。早速軽快な動きを披露
浦和の柏木陽介が8日の練習で全体練習に合流、フルメニューを消化した。柏木は富士ゼロックス・スーパーカップの鹿島戦前日のトレーニングで左太ももの内側を痛め、鹿島戦と続くACL第1節のウェスタン・シドニー戦を欠場。2月25日のJ1第1節・横浜FM戦で復帰したものの、再び同箇所を痛めて離脱していた。
12対12のゲームでありながら、復帰して即レギュラー組のボランチでプレーした柏木。ゲーム終盤はやや疲れた様子だったが、それまではゴール前にダッシュして相手のミスを見逃さずにボールを奪ってゴール。また、ブレイク中にパスのフォームを確認していたかと思えばすぐさま味方に鋭いスルーパスを送るなど、軽快な動きを見せていた。
しかし、ひさびさのプレーについては首を傾げ、実戦復帰についても「4月までは出ないかな? (18日の)G大阪戦かな? 分からないけど」と含みをもたせつつ報道陣を煙に巻いた。フルメニューを消化したということはプレーできる状態までは戻っているのだろうが、甲府戦での復帰はあるか。
文・写真:菊地正典(エル・ゴラッソ浦和担当)
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