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「PAの線が目に入ればゴールの位置はだいたい頭の中で描ける」。大黒将志の言葉に浮き出るゴール職人の矜持とすごみ
7月29日のJ2第25節・町田戦を2-0で快勝し、今季初の連勝を果たした京都。その立役者は、後半途中からのおよそ20分間のプレーながらゴール職人ぶりを遺憾なく発揮し、チームの全得点を叩き込んだ大黒将志だった。遠征から京都に戻り、町田戦を振り返った大黒の言葉には、ストライカーの矜持が散りばめられていた。
町田戦の1点目は、相手GKのパンチングによるクリアボールをハ・ソンミンがミドルシュートで狙い、DFに当たって大きくはずんだところを頭でねじ込んだもの。この場面、大黒はGKのパンチングからヘディングシュートを放つまで、ゴールの位置を一度も確認していない。それでも、シュートは正確に枠の右スミをとらえていた。
このことについて大黒は、「ペナルティーエリアの線だったり、ゴールエリアの線だったりが目に入れば、間接視野で『ゴールがどこにある』というのはだいたい頭の中で描ける。わざとゴールを見ないで打つシュート練習とか、いろいろなことをしてきているからね」と事もなげに振り返る。
2点目は、スリッピーな芝でバウンドし伸びてきたクロスボールをジャンピングボレーで合わせた難易度の高い一撃だった。「(岩崎)悠人が良いボールを上げてくれた。彼に感謝している」と岩崎のアシストを称えながらも、「なかなか難しいシュートだったけど、それを集中して決めるのが自分の仕事」と大黒。美しいゴラッソにも、「自分の仕事をしただけ」と言い切る。
今季の大黒はベンチスタートが多く、町田戦の前まではわずかに1ゴールと不本意なシーズンを送ってきた。それでも、「今季はピッチにいる時間が短いけど、何分出ると何点取れるというのはだいたい同じ」と、自身の得点能力に一切の衰えを感じていない様子。シーズンの佳境を前に、相手DFにとってこのうえなく厄介なストライカーが、目覚めのときを迎えたようだ。
文・写真:川瀬太補(エルゴラッソ京都担当)
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「バラエティーを観るくらいなら…」金沢・垣田裕暉が語ったユニークな意識改革とは
鹿島から金沢に期限付き移籍中のFW垣田裕暉が、前節・松本戦(0●4)で今季初となるリーグ戦先発出場を果たした。
これまで途中出場で試合に出場してきた垣田は、「試合には結構出してもらっているので、そこまで硬くならず、意識することもなかった。途中出場でゲームに入っていくのは難しい。頭から出るとやりやすいので、やっぱりスタメンは良いなと思った」と話したものの、「まだまだの部分が多いと感じた。自分はもっとやれると分かっている」と、自らのパフォーマンスを振り返る。
そして、「準備がまだ甘い。誰も見ていないとき、自分の時間の午後や夜にどういう生活をできるかというところがまだまだ甘い」と語り、「24時間、常にサッカーのことを考えてやっていく準備」の必要性を説いた。「例えば、バラエティー番組を1個観るくらいなら、サッカーの試合を観て勉強する。『こういうフェイントをするのか!』と海外の選手を観て、練習でやってみてフェイントを1個覚える」など、私生活から見直してレベルアップを図る。
文:野中拓也(エルゴラッソ金沢担当)