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古巣戦をターニングポイントに。松下裕樹の教えを胸に、山形・中村駿が正田スタのピッチに立つ
湘南、福岡と続いたJ2トップ2との2試合で、山形は1勝1敗。その2試合に途中出場し、プレーに特色を出したのは中村駿。今節は初めて対戦相手として正田スタに乗り込み、古巣・群馬とのアウェイ戦に臨む。
前々節・湘南戦ではエッジの効いた攻守の切り換えで高い位置に飛び出し、前節・福岡戦では短時間ながら、2点のリードですでに引いた相手に対し、アンカーからのパスで決定機の起点となった。
「もっともっと自分の中でできるという自信があるので、それをピッチの中で表現できたらいいなと思います」
今回、正田スタでの試合で中村が楽しみにしていたのは、松下裕樹との対戦だった。山形のホームで行われた第18節の前回対戦では、中村は先発したものの、サブスタートの松下は出番なし。ミックスゾーンで近況を話し合うにとどまった。松下はその直後からほとんどの試合で先発出場を続けてきたが、前節・岐阜戦の73分、累積4枚目の警告を受け、今節は出場停止。「僕は(松下の累積警告が)3枚というのを知りながら岐阜戦を観ていたので、『もらうな、もらうな』と思いながら、70分ぐらいにもらっちゃって」。中村の思いは届かなかった。
「いるといないとでは、ピッチの雰囲気も全然違う。いないのはこっちにとっては大きいことじゃないかなと思います」。松下の存在の大きさを認めているからこそ、「個人的にはやりたかったですね」と残念な思いが大きい。その松下から教わったことの一つに、「どんな監督だろうと、試合に出られるのがいい選手だよ」という言葉がある。中村自身も、今季ここまでの出場17試合で先発は7試合。2節前から同じボランチの安西海斗が加入し、ポシジョン争いはさらに厳しさを増している。
「そこで何かが足りなかったからこその補強だと思うので、それを感じ取ってもっとやらなきゃいけない。もう1回スタメンを取り戻せるようにと考えています」
松下の教えを胸に秘め、試練をレベルアップの機会ととらえる中村。この古巣戦をターニングポイントにしなければならない。
文:佐藤円(エルゴラッソ山形担当)
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3戦連発を狙う清水・長谷川悠、かつての相棒、鳥栖・豊田陽平との対決へ
今節、清水は鳥栖と対戦する。相手のエースは、豊田陽平。小林伸二監督が率いていた08年の山形で、豊田は現在清水に属する長谷川悠と2トップを組んでいた。
当時のことを指揮官は「トヨ(豊田)は生かされるほうで、悠は繊細なプレーをして周りを生かすFWだった」と振り返る。その年、長谷川が13得点、豊田が11得点と2人で26得点を挙げて、クラブ初のJ1昇格に貢献した。
ちなみに、その年限りで豊田は京都に移籍をしてしまったが、翌年長谷川は山形に残り、J1で10得点を挙げて2年連続のチーム内得点王となっている。
その2人のFW対決に注目が集まるが、長谷川は現在公式戦2試合連続ゴール中と調子を上げている。09年の山形時代に記録した自己最多の3戦連続ゴールまであと1点。「流れの中であまりシュートを打てていないので、シュートを打てるところに入っていきたい」とゴールへの意欲を見せた。
文・写真:田中芳樹(エルゴラッソ清水担当)
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柏のキム・ボギョン、相性の良い日立台でのお披露目に向けて
今夏柏に加入したキム・ボギョンの、ホームデビューが近づいている。
前節・仙台戦を経験し、チームへのフィットは順調に進んでいる様子。「トレーニングから日に日にコンビネーションは良くなっている実感を得ている」と周囲との連係について明るい表情を浮かべた。仙台戦ではベンチに確認することの多かった守備面に関しても「神戸戦に向けてトレーニングしてきた中で、そのへんもだいぶ解消してきた」と手ごたえを口にする。
今週の練習では全体練習終了後に通訳を交えながら下平隆宏監督と話し込む場面も。「シモさん(下平監督)も、自分が柏に来てからまだ時間が経っていないので気にしてくださっているし、自分自身も気になったことは常に聞くようにしている。あの時はシモさんと細かい部分や自分の考えと監督の考えをすり合わせて、長い時間話していた」。積極的にチームへ溶け込もうとする姿勢を見せる。
指揮官も、キム・ボギョンの人間性や順応性を高く評価している。「日本で長くプレーしていただけあって、言葉がかしこまっていない。(良い意味で)覚えている日本語が友達言葉(笑)。だから親しみやすくて、選手ともそんな感じで話をしていますね。あとは、分からないことは『分からない』と。分かったふりをしないでちゃんと聞いてくる。当たり前のことだと思うけど、その辺は素直に言ってくれるので助かりますね」。
今節・神戸戦に向けて、「攻撃の部分でパスや強引な突破を見せられたら良いと思うし、ゴール前でのプレーで言えばゴールやアシストなど、得点に絡むプレーを見せられれば」と意気込むキム・ボギョン。彼にとって日立台はプロデビュー、そしてプロ初ゴールを決めた思い出の地。その日立台で鮮烈なホームデビューを期待したい。
文:須賀大輔(エルゴラッソ柏担当)
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福岡に移籍した仲川輝人との再会へ。「本当に怖い選手」と中島裕希は警戒
今夏の移籍市場で横浜FMの仲川輝人が福岡へ期限付き移籍を果たしたことで、期せずして、町田の選手たちと昨季まで同クラブに在籍していた仲川が公式戦のピッチ上で再会することになった。5日、町田ホーム開催のJ2第26節・福岡戦は、仲川を迎える試合となる。
「2トップを組んでいたテルと対戦できることが楽しみ」と話すのは、仲川が自身の相棒だった中島裕希。コンビを組んだからこそ痛感するスピードやアジリティーの高さを十分警戒しつつ、「本当に怖い選手だなと思うし、アイツの良さは十分に分かっているので、彼のストロングポイントを出させずに自分たちの良さを出していきたい」と仲川との対戦を心待ちにしている。
またCBの選手としてマッチアップする可能性のあるキム・ソンギは「スピードがあるから背後をケアするけど、ラインがズルズル下がらないようにしたい」と話す。昨季のJ2第41節・松本戦の追加点奪取などシーズン終盤の好調を支えていた“功労者”との再会は、町田サポーターにとっても忘れられない貴重な時間になりそうだ。
文:郡司聡(エルゴラッソ町田担当)
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アキレス腱断裂からの復帰を目指す東京V・澤井直人のいま。ボールを蹴り、グラウンドを駆ける
3日、よみうりランドに隣接する東京Vグラウンド。ピッチを早めて外周を走る澤井直人の姿があった。右足アキレス腱断裂により2月6日に手術を受け、全治約6カ月と診断された緑の背番号14。取り組むリハビリの順調さが見て取れた。
「実は、いま一番再発の危険性がある時期らしいんですけど…。そこはケアしながら。外でのメニューが増えて、ボールも蹴っているので心が明るくなります! みんなが練習をしている姿も見れますし。(復帰に向けて)着々と来ている感じですね」
元来、明るい性格ではあるが、心なしか、以前より表情も晴れやかだ。足の状況を見ながらの調整のために明確ではないが、本人は「焦らず、10月の復帰を目指してやっている」という。
開幕戦より、東京Vのゴール裏には必ず「澤井の分もやってやろう!!」の横断幕がある。「感動しますよね。励みになっています。待っている人がいるからこそ、復帰したいと強く思う」と、本人もそのマクがモチベーションになっていると話した。
チームは現在5戦勝ちなしと振るわないが、「結果が出ていないけど、決して悲観する内容ではないし、良いサッカーはできている」と、ほかの選手と同様の視点で澤井も見ている。ポジティブな流れに持っていきたいところ。
澤井や平本一樹、武田博行、井上潮音といったリハビリ組の復帰は近づいている。現在11位も、まだまだこれから。彼らのパワーも借りて、東京VはJ1復帰への道を歩む。
文・写真:田中直希(エルゴラッソ東京V担当)
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95年組は、“ネオ調子乗り世代”? 浦和・関根、磐田・川辺、柏・中谷らがいる同世代の絆を東京V・高木大輔が語る
Jリーグ各チームで、95年組の奮闘が際立っている。柏の中谷進之介、小池龍太、磐田の川辺駿、浦和の関根貴大、清水の金子翔太、広島の高橋壮也、新潟の小泉慶…。J2では湘南の表原玄太、徳島の杉本太郎、横浜FCの高丘陽平、名古屋の宮原和也、青木亮太、水戸の白井永地、東京Vの安西幸輝、高木大輔、畠中槙之輔、山形の汰木康也、熊本の嶋田慎太郎…。早生まれでは、G大阪・三浦弦太や柏・中村航輔も95年に生を受けている。彼らは今年で22歳の年。各チーム内で存在感を高めるとともに、最近では責任感あるプレーが目立ち、ピッチを熱く駆け回る。
東京Vの第3キャプテンを務め、関根や中谷らとよく食事会を催している高木大輔は、同世代の絆を強調した。「みんな仲良しなんですよね。例えば名古屋から山形までの東地区で12、13人が入っているグループLINEがあったり。よくご飯も行くし、集まってすぐに笑いあえるんです」。仲の良さが自慢なだけでなく、「互いに刺激しあえている、すごくいい仲間」(高木大)だという。彼らに共通するのは、「誰とでもフレンドリーになれる」(高木大)ということ。確かに、明るくオープンマインドで、それに情熱をもったプレーが持ち味な選手が多い。
となると…、槙野智章、柏木陽介、梅崎司(ともに浦和)、森重真人、太田宏介、林彰洋(FC東京)、安田理大(釜山)、ハーフナー・マイク(神戸)、桐畑和繁(柏)、河原和寿(愛媛)、森島康仁(宮崎)らがいた調子乗り世代(87-88年生まれ)と、どこか共通するものも感じてしまう。
いわば、95年組は、“ネオ調子乗り世代”か。後輩もでき、経験を積み重ねてきた彼ら。高木大は「同世代で、一緒に代表でプレーできればいいね、って話してるんですよ」と夢を明かしてくれた。
まさにこれからの95年組。リーグ後半戦に向かう彼らの熱きプレーは、ピッチを賑やかにするだろう。
文:田中直希(エルゴラッソ東京V担当)
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第2子(長男)誕生の松本MFパウリーニョ。「とても厳しい世界なので(苦笑)」と愛息にサッカー選手の道は薦めず
8月1日、松本のパウリーニョに第2子(長男)が誕生したことがクラブを通じて発表された。
「充実した生活を送れている中、息子が生まれたことはうれしい気持ちで一杯です」と、長男の誕生にあらめて喜びを口にするのはパウリーニョ本人。入院先の東京まで駆けつけ、生まれたのは1日の朝3時ごろということもあって「ちょっと大変でした」と苦笑しつつも、「奥さん頑張ったね」と感謝の言葉も述べる。
「彼のためにも良い父親でありたいですし、友達のような存在でありたい。あとは自分で自分の道を見つけられるような人間になってほしい」と誕生したばかりの子供にエールを送りつつ、自身と同じプロサッカー選手の道については「この世界は、とても厳しい世界なので(苦笑)」と積極的には薦めない様子だった。
今週末に行われるJ2第26節の対戦相手は、首位の湘南。パウリーニョにとっては古巣にあたるが、「個人的に特別な思いはありません。あくまでも他チームと同じような状態で、普段と変わることなく自分のプレーを出していくだけ」。新しい家族に勝ち星をプレゼントするためにも、平常心で今節に臨む。
文:多岐太宿(エルゴラッソ松本担当)
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[本日のエルゴラッソ1面]SAITAMA DERBY
[明治安田J1第20節 プレビュー]
■浦和 vs 大宮
監督交代後に迎えるダービーという分水嶺■川崎F vs FC東京
リベンジかダブルか。30回目の熱きクラシコ[クラブユース選手権(U-18)決勝]
■貫禄の連覇。FC東京U-18が17年夏の頂点に立つ