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互いをリスペクトする山形の佐藤優平と瀬沼優司
長期離脱を経験した佐藤優平がチームに合流した6月以降、目立っているのが瀬沼優司との仲の良さだ。
「一緒にいる時間が長い」という瀬沼は、「アイツは本当に意識の高い選手だとリスペクトしている。一緒に時間を過ごしていてプラスでしかない」と佐藤をベタ褒め。最近は佐藤の勧めで練習後に必ず牛乳を飲むようになったという。それに対して、佐藤は「アイツ、なんでもパクるから。自分を持ってないんだよ」。突き放したような言葉だが、顔は笑顔だった。
瀬沼が佐藤を相当リスペクトしていることは間違いない。ただし、これはけっして一方通行ではない。「瀬沼から学んだことは?」と佐藤にも聞いてみると、それが分かる。
「常にチームに対してマイナスな発言をしないし、ミスをしても誰かを責めることもない。90分間の試合の中で態度にも示さないし、常にチームメートのことを思ってやっているというのは素晴らしい。ピッチ上でも、熱くなっていてもミスしたチームメートのケアを怠らない。なおかつ自分も献身的にやる。そういう姿勢は素晴らしいと思うし、そういう選手がプレーだけではないところで人の心をつかめるんじゃないかなと思います。だからあれだけ人気があると思うし、そういうことをやっているからああいう難しいシュートも入る。(今季ここまで)アディショナルタイムで3点決めている。最後の決定的な仕事というのは、そういう積み重ねとかいろんな努力がつながって彼の成果に出ていると思います」
こちらもベタ褒めだった。あまりの仲の良さに、「一時短髪だった瀬沼が最近髪を伸ばし始めたのは、もしや長髪の佐藤をまねしているのでは…」と不安がよぎったが、「ちゃうちゃう、ここダサいから伸ばし始めてる」と耳元を指しながら佐藤が即答した。
文:佐藤円(エルゴラッソ山形担当)
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躍動感増す緑の2番。東京Vの安西幸輝、好調の要因を自ら分析
6戦勝ちなしからの2連勝。一時は13位まで下げた順位も、あれよあれよと6位まで浮上した。まれに見る混沌としたJ1昇格レースの中で、東京Vは序盤に記録した5連勝時に近づく機運を示している。その熊本、大分を下した2試合で、左SB、右ウイングを務めたのが安西幸輝だ。チームに数少ないドリブラーとして、縦への突破は切れ味を増している。
18日の練習後、輝く汗をしたたらせながら相変わらずの笑顔で、その要因について安西なりの分析をしてくれた。かねてより、そこまで好調だと思っていなかったという安西。少し考えるそぶりを見せてから、「たぶん…」と話を進めてくれた。
「昨季までは完璧を求めすぎて、一度ミスをしたらその都度落ち込んでいた。今季は自分発信でやろうと、仕掛けるところなどの判断を早くしている。その判断が良くて、メンタルも安定しているのがいいのかもしれない」
受け身の動きではなく、自分から動く意識。そして、「失敗してもいいから仕掛けよう」という心がけが良い方向に導いた。また、責任感についても話が及んだ。
「今季、順位もいいし、行くしかない!と思っているので」。昨季は18位に沈んだ東京V。今季は手の届く場所に戻るべき"J1の光"が見えている。躍動感増す緑の2番、まだ22歳ではあるが、05年から過ごす東京Vの復権に力を尽くす。
文:田中直希(エルゴラッソ東京V担当)
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松本の武井択也。同勝ち点の岡山戦に向けて「今後につながる試合をしたい」
前節・山形戦は2度リードされる苦しい展開となった松本だが、攻撃陣の活躍もあって今季初となる逆転勝利を飾った。チームは8月に入ってから、湘南、名古屋と昇格争いのライバルに2連敗。もしホームゲームも落とすことになれば負のスパイラルに陥りかねない状況だった。そこで反町康治監督は、過密日程ということも考慮して先発選手2名の入れ替えを敢行。村山智彦と武井択也が先発出場し、それぞれ持ち味を披露した。
中盤で攻守のスイッチ役として機能した武井は、連敗中ということもあって「気負うことなく、思い切ってチャレンジ」することを心掛けたという。「サッカーは取り返しのつくスポーツ。失点しても取り返せばいい」とチームを鼓舞。逆転勝ちは、その前向きな姿勢が生んだと言える。
今節の対戦相手は岡山。同じ勝ち点の相手との一戦だけに、ここで『3』を得るか、『1』に留まるか、ゼロで終わるかは最終盤に大きな違いが出てくるはず。注目が集まる中、背番号7は「今後につながる試合をしたい」と敵地での健闘を誓った。
文:多岐太宿(エルゴラッソ松本担当)