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金沢新加入DFビョン・ジュンボンの心構え。「90分良くても、後半ロスタイムにミスをしたら良いDFではない」
この夏、清水から金沢へ期限付き移籍したDFビョン・ジュンボンは、前々節・徳島戦(0◯4)で加入後初先発を果たして金沢デビューすると、前節・群馬戦(1△1)でも先発に名を連ねた。
「勝てなかったのは残念。でも、試合に出られたことは良かった。いろいろとミスもあったので、内容には満足していない。また切り替えて、ミスしたところを練習して、次の試合に出たい」
前節・群馬戦、ゴール前でカン・スイルにつき切れず、同点弾を許した場面を悔やんだビョン・ジュンボン。「チームは全体的に悪くはなかった。でも、あの失点シーンは僕のマークだった。ディフェンスするポジショニングが悪かったので失点した」
柳下正明監督が「あのときだけ。あとは落ち着いてうまく対応できている」と話したとおり、良い守備を見せた場面も多々ある。しかし、ビョン・ジュンボンは「でも、DFは90分良くても、後半ロスタイムにミスをしたら良いDFではない。最後の最後まで守れるようにしたい」と、DFとしての心構えを口にした。
今節・讃岐戦はJ2残留を占う下位直接対決。「大事な試合になる。もっとしっかり準備をしたい。讃岐も良いチームだし、良い準備をしたほうが勝てる」とビョン・ジュンボン。万全の備えで、大一番に臨む。
文・野中拓也(エルゴラッソ金沢担当)
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山形がこの夏場に長袖、長袖、長袖…だったワケ
オフ明けの23日、練習場に姿を現した選手たちの様子がいつもと違っていた。長袖、長袖、長袖…。GK陣も含め、参加選手全員が長袖を着用していたのだ。練習開始前、上空は雲が多く、そこまで気温は上がっていなかったが、練習中に陽が差し気温が30度近くまで上がっても、誰一人として長袖を脱ぐ選手がいなかった。
今週末、徳島でのアウェイゲームを控える山形が最も懸念しているのが、現地との気温差だ。高温続きの西日本と対照的に、山形はこのところ涼しい気候が多く、暑さに体が慣れないまま試合に臨まなければならない。長袖着用は、その差を少しでも埋めようというチーム全体の試みだった。ほとんどの選手は長袖を2枚、3枚と重ね着していたが、DF山田拓巳は「気温が全然違う。できる限りの準備をしたい」と相当な警戒ぶりだった。
木山隆之監督は「それが、どれぐらい効果があるか。1%なのか2%なのか分からないけど、やれることはやらないといけないと思う」と、すべてやり尽くした上で敵地に乗り込む心づもりでいる。6位とは勝ち点4差の13位。J1昇格プレーオフ進出への土俵際にいる山形にとって、今節の重要性は限りなく大きい。
ただ、徳島には前回対戦の第20節、ホームで1-6と大敗を喫している。先発でそのピッチに立っていたDF高木利弥は「自分たちのやれることを全力でぶつけるだけ。そうすれば結果もついてくると思うので、そこをみんなで信じて戦いたい」と意気込みを示していた。
文・写真:佐藤円(エルゴラッソ山形担当)
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無念さをにじませた町田也真人。楽しみにしていた専修大同期10番対決は実現せず
20日の前節・山形戦で累積警告が4枚となり、26日の今節・岐阜戦は出場停止となった千葉のMF町田也真人。岐阜には専修大同期のMF庄司悦大が所属しているが、楽しみにしていた“大学同期10番対決”が幻に終わり、「数多くある試合の中、(直前のゲームで)イエロー(カード)をもらってしまったのはショック」と肩を落とした。
「学部も一緒で、教員免許も一緒に取っていた。寮も同じだったので結構、一緒にいた親友的な存在」(町田)という庄司には山形戦後すぐに報告し、「『何やっとんねん』みたいな」返信があったという。岐阜戦は大学時代の仲間も観戦を予定しているといい、無念さをにじませた。
6月に行われた岐阜とのアウェイゲームではともに先発し、「Jの舞台でお互い10番で対戦し、とてもうれしかった」と振り返る。残念ながら今節はその再現とはならなかったが、10番を背負う庄司の姿については「(庄司は)結構10番が好きで、僕が大学(4年)でつけていたときも、たぶんつけたかったはず。それぐらい10番が好きな選手。いまはすごく似合っていると思う」と認める。さらに、「庄司にはこれからも頑張ってもらいたい」と続けたが、「ただ、ウチとの試合では頑張ってもらいたくない(笑)」とも。今節の活躍に釘を刺すことも忘れなかった。
今季は千葉と岐阜の両者がJ1昇格プレーオフに進出しない限り、もう対戦はない。
「お互いJ1でプレーすることを目標にしている。それがJ1で実現できれば」
最後は表情を引き締め、一つ上のカテゴリーでの“再会”を誓っていた。
文・大林洋平(エルゴラッソ千葉担当)
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燃える石川直樹。札幌復帰後ホーム初戦の相手は古巣・仙台
7月末に仙台から完全移籍で加入し、6年半ぶりとなる札幌復帰を果たしたDF石川直樹。前節の川崎F戦で復帰後初出場し、チームは1-2で敗北。「勝利に貢献できず悔しい」としたものの、「ある程度、チームにうまくフィットできたと思っている」とも手ごたえを口にした。本職はCBだが、この試合では左ウイングバックとしてプレーし、このサイドからの突破は簡単には許さなかった。その守備スキルはさすがだった。
そして今週末は加入後ホームゲーム初戦を迎えることになるのだが、その相手が奇しくも先月まで在籍していた仙台。「いきなりですね。でも、より一層、モチベーションは上がっています」と古巣封じに意欲的だ。当然、仙台の戦術については熟知しているため「うまくチームメイトと共有していきたい」と、ストロングポイントはしっかりと封じるつもり。先週までは寮生活だったものの、今週は引っ越しもしっかりと済ませ、「まだ部屋は段ボールだらけ」ながらも「もともと住んでいた街なので、違和感はまったくない」と6年半ぶりに帰ってきた街での新生活スタートとともに、ホームデビュー戦で古巣を叩き、チームの連勝もスタートさせたいところだ。
文:斉藤宏則(エルゴラッソ札幌担当)
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2年ぶりに朝鮮民主主義人民共和国代表に選出されたリャン・ヨンギ。出発前の札幌戦に向けて闘志を燃やす
23日、仙台はリャン・ヨンギがAFCアジアカップ2019予選にのぞむ朝鮮民主主義人民共和国代表に選出されたことを発表した。活動期間は8月27日から9月7日で、9月5日のBグループ第3節・レバノン戦に向けたチームに合流する。
リャン・ヨンギは2015年のアジアカップ本大会以来の代表選出について、「うれしいし、普段から『年は関係ない』と言ってはきましたけれども選ばれることはもう少ないかな……とも思っていたところだったので、そこでチャンスをいただけたことがありがたい」と率直な気持ちを口にした。
「Jリーグでプレーしているということで、チームに違うアクセントを加えられれば」と代表戦に向けて意気込むが、「まずは(26日の明治安田J1第24節・)札幌戦に向けてしっかり準備すること」と、いまは目の前の一戦で結果を出すことに集中し、その先につなげようとしている。
なお、その札幌戦は、札幌厚別公園競技場で開催される。仙台にとって同所でのアウェイゲームは07年のJ2第14節(0●1)以来で、リャン・ヨンギはそのときのピッチに立っていた数少ない選手の一人だった。「風が強かったことや、あのときの雰囲気を覚えています。試合の運び方など、集中してやらなければいけないと思わされたところでした」。今度は同所での勝利に貢献しようと、リャン・ヨンギは練習で調子を上げている。
文・写真:板垣晴朗(エルゴラッソ仙台担当)
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“勝利のチーム”からやって来た福岡の新戦力エウレー。 ウェリントンへのアシストは任せた!
21日に大阪着で来日したブラジル人新戦力のDFエウレーが23日、チーム練習に初参加。今節の水戸戦の出場は登録の関係でなさそうだが、「最後の公式戦は(ビトーリアに所属していた)6月末のブラジル全国選手権のコリンチャンス戦。その後も練習は積んでいたのでコンディションに問題はない」と言っており、日本デビューは意外に早いかもしれない。
では、エウレーがどんな選手か、どんな人間かを理解するのに役立つ、囲み取材で口にしたいくつかのコメントを紹介しよう。
「同じチームでプレーしたことがあるジネイ(湘南)を含めて、日本を知る人たちから話を聞いてアビスパ入りを決めた。育成チームのときからプレーしてきたクラブを離れることは寂しかったし、プロになって初めての移籍だけど、今回のアビスパ入りは新しいサッカー人生の始まりと考え、やる気に満ちている」
「FWやアタッカーの経験もあるが、基本ポジションは左SB。足元の技術とスピードに自信があるし、魂のこもったプレーが身上」
「おこがましいけれど、目標とする選手はレアル・マドリーの左SBマルセロ。ワンツーなどのコンビネーションやドリブルなどグラウンダーのプレーと、空中戦に強い選手に合わせるクロスを使い分けながらゴールに絡みたい」
「アビスパの試合はネットを通じて何試合も見た。もちろんウェリントンがどんな選手かは理解しているし、彼の頭に僕のクロスを合わせるイメージはすでにできている」
「この時期の補強がどんな意味を持つかは十分に理解している。謙虚に、誠実に練習に取り組み、ポジションを取りにいきたい。そして、勝利とJ1昇格に向けて力になるべく、全力を出す」
チームの得点源であるウェリントンの良き相棒になりそうなエウレーだが、彼がブラジルで所属していた“ビトーリア”は“勝利”を意味する。“勝利を運ぶ新戦力”に期待大だ。
文・写真:島田徹(エルゴラッソ福岡担当)
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日本のエース復活の狼煙。本田圭佑がメキシコデビュー戦でゴール。「興奮した。言葉にならない」
メキシコリーグ・パチューカに移籍した本田圭佑が23日、ホーム・ベラクルス戦に出場し、デビュー戦でいきなりゴールを決めチームの勝利に貢献した。
本田は先月23日にリーグが開幕して以降も、標高2,400mの環境への順化、さらには右足ふくらはぎの肉離れの影響でここまでの試合は欠場していた。先週からようやくチーム練習に完全合流し、満を持して迎えた今回のデビュー戦。58分にピッチに登場すると、73分に味方のスルーパスに抜け出し、ペナルティーエリア外から左足を一閃。ゴールネットを揺らし、パチューカのホーム・エスタディオイダルゴを埋めたファンを熱狂させた。
登場の準備が整いタッチライン際に立つと、首を長くして待っていたファンたちが沸く。地元パチューカでは約400万ドル(推定)という高額年俸でイタリアからやってきた東洋人に、かねてから大きな注目が集まっていた。と同時に負傷や環境順化という理由はあったが、開幕から3連敗を喫した苦しいチーム状況にあって、なかなかプレーできない時間が続いていた本田に対して、人々の焦燥感も高まっていた。
期待と猜疑心が入り交じった空気。本田は自らのプレーで、一発回答してみせた。
ピッチに入り2分後、いきなり左足を振り抜く。これはDFに当たりCKになったが、そのセットプレーではファーサイドの位置からダイビングヘッドを放ち、さらに相手ゴールを強襲した。
ここ数年、日本代表やミランでプレーしてきた右サイドではなく、本職であるトップ下でプレー。中央を軸に、左右サイドに流れてはパスを引き出し、またバイタルエリアではワンタッチで味方を生かすパスを出した。
そして73分、その時が訪れた。自陣からのカウンターで一度は中央で味方からのパスを受けるとワンタッチではたき、そのまま前方のスペースへ。その動きを味方が見逃すことなくスルーパス。抜け出した本田は迫りくるDFが足を伸ばす前に、ペナルティーエリア外から左足シュート。低い弾道はGKが伸ばした手をすり抜け、サイドネットに決まった。
拳を突き上げ、歓喜する本田。「興奮した。言葉にならない」。オランダ、ロシア、イタリアと歴戦を重ねてきた男も、新天地での名刺代わりの一発に高揚していた。
チームも4-1で勝利、これで3連勝。これまで負傷の影響が心配されていた本田も、明日24日に発表されるロシアW杯アジア最終予選・豪州戦(31日)、サウジアラビア戦(9月5日)の日本代表に向けて、不安を打ち消す活躍となった。
試合後に設けられた会見。本田は冷静に、力強く語った。
「(日本代表の)オーストラリア戦の前にもう1試合、ティファナ戦(現地時間26日)があるのでしっかり勝利したい。そして日本にとって最も大事な最終予選が控えている。でも、危機感はあるので。人よりも危機感は持っているつもり。だからそんなに楽観視していない。いまはオーストラリアのほうが立場は上と見られているので、それを覆して勝利したい」
上々のメキシコデビューを飾った。そして大一番を控える日本代表に向けて、頼もしい結果を示した。日本のエース・本田圭佑が、力強く戻ってきた。
文:西川結城(エルゴラッソ日本代表担当)
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[本日のエルゴラッソ1面]アジア四強を懸けて
[AFCチャンピオンズリーグ]
■川崎F vs 浦和
4強へ。懸けるのはJの、己のプライド[明治安田J2第29節 マッチレポート]
■東京V vs 長崎
3連勝。東京Vの未来を照らすスーパーゴール[インタビュー]
■ジョホールバルから20年。決戦を前にしたハリルジャパンへの伝言
自分たちの手で結果をつかみ取れ
第一回 名波 浩監督(ジュビロ磐田)