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前線の競争は熾烈。ハーフナー・マイクが神戸初先発となるか!?
神戸のFWハーフナー・マイク(写真左)が調子を上げている。24日の紅白戦では一時、ルーカス・ポドルスキと2トップを組み、サイドからのクロスを積極的に呼び込んだ。「今日は良い形を出せた。試合の中でできるか、できないか」とイメージを合わせたい気持ちを語った。
今夏、神戸に新加入したハーフナーは、ここまで途中出場でJ1・3試合に出場。得点こそないが、第22節・FC東京戦では橋本和のクロスを頭で合わせる決定機を作り出している。クロスを送った橋本は「練習では『ここを狙おう』とか話しているけど、飛び込むのか、待つのかの二択だと思うし、チラッと見たときにファーで待っている感じではなかった」と、その瞬間の状況を説明する。
これにハーフナーは「自分の前のスペースを空けて、飛び込んだほうが勢いがある」とニアにクロスを呼び込んだことを伝え、「相手の守備、ポジショニングがどうかというのもある。あとは味方が(クロスを)どこに出すか」とフィニッシュの形を思い描く。さらに、ポドルスキとの連係については「彼が前を向いて仕事ができるようにしたい」と互いを生かし合うプレーをイメージしている。
ただ、ポジション争いは激しい。この日の紅白戦では、ポドルスキのスルーパスに渡邉千真が反応してゴールする圧巻のプレーを披露。23日の練習では中坂勇哉も前線で起用され、俊敏な動きで好調をアピール。「出場するならボールを触ってリズムを作りたい」と中坂はハイパフォーマンスへの意欲を口にしていた。
吉田孝行監督が指揮を執り2戦目となる今節・磐田戦。さらなるチーム力の向上へ指揮官の怒号も飛び出す練習場は、選手にとって一時も気を抜けない戦場と化している。
文・写真:小野慶太(エルゴラッソ神戸担当)
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「1試合1試合が決戦」。広島との直接対決へ、マテウスが持つ強い自覚
前節・鳥栖戦(0●3)で伊藤彰監督体制における初の完封負けを喫した大宮にとって、攻撃の迫力を取り戻すことは急務。江坂任やマルセロ・トスカーノといった主力の奮起はもちろん、攻撃陣に限らず、チーム全体の連動を高めていきたい。
前節途中出場のマテウスは「後味の悪いゲームになってしまった。そこはもう忘れて、次の広島戦に切り替えなくてはいけない」と話し、あくまでこれまで取り組んできたことの継続に活路を見いだすと強調。「今までやってきた攻撃の形やバリエーションを広島戦で出すことが必要なこと」という信念を持って、広島戦に臨むつもりだ。
鳥栖戦ではビルドアップに詰まる場面が多く、苦しい状況を打開する術も見せることができなかっただけに、個人での打開力に優れるマテウスは“特効薬”にもなり得る。マテウス自身、その役割には自覚を持っている。
「まずは監督が求める役割を、一つだけじゃなくてすべてやらなければいけない。自分は攻撃のサイドの選手なので、しかけること、アシストやゴールを狙うことも必要になってくる。ボールを持ったらしかけてゴールを目指すことをやらないといけないと思います」
マルセロ、カウエという同胞が加入したことで、日々のトレーニングでの充実感は傍目にも伝わってくるほど。「1試合1試合を決戦のつもりで戦わないといけないと思っています」と力強く語った背番号16の躍動に期待したい。
文・片村光博(エルゴラッソ大宮担当)
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渡大生が語るプロの流儀。熱弁に「(あのTV番組の効果音)ポーン♪って聞こえました?(笑)」
「ポーン♪って聞こえました?(笑)」(渡大生)。
勘の良い方はお察しのとおり、NHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』の効果音。渡のインタビューを終えて雑談タイムになり、最後はスガシカオ(kokua)の『Progress』が脳内再生される展開となった。
前節・山口戦(5○0)前に、ふと思ったことがあったそう。「お金を払って見てもらっていますけど、安い金額じゃないっすよ。何千円も払って見に来てくれて、(良い思いができなければ)半分は僕たちのせいなんですよ。勝てなかったり、内容が悪いとか。お金を払ってもらっている以上、何か伝えられることがあると僕は思っているので。勝ち負け以上に。一種のエンターテイメントじゃないですけど、試合を見て何かを…何かを持って帰ってくれたらいいなと思っているので」。
黒ベタに、白抜きの文字で「何か伝えられることがある(ポーン♪)」と浮かんだ。会話の〆ではギターイントロが脳内再生され、「(スタジアムに)来てくださいって言うのは簡単に言えますけど、本当に来てもらうのは難しいですよね。どうやったら来てもらえるのか。僕たちは勝ちを続けて、周りを巻き込んで。“徳島すごいらしいよ”ってなって、実際に来てもらってリピーターになってもらえるのが一番分かりやすいんじゃないですかね。それができる流れが来ていると思います」。
文・写真:柏原敏(エルゴラッソ徳島担当)
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大分のブラジル人MFシキーニョが燃やす闘志。永遠のライバル・アルゼンチンには負けられない
それぞれのスタイルを誇りとするブラジルとアルゼンチンは永遠のライバル。ということで、J2第30節・山口戦に向けて、大分のMFシキーニョがいつも以上に士気を高めている。
「山口の監督はアルゼンチンの人だし、アルゼンチン国籍の選手もいる。W杯のようなつもりで臨む」
だが、シキーニョがポルトガル語で熱く語るそんな思いを、記者たちに日本語訳して伝えてくれるアレハンドロ松村通訳は、日系アルゼンチン人。二人はとても仲良しだが、互いの故国のサッカーの話になると、いつも笑い混じりの小競り合いになる。
松村通訳が「全力でブラジルを応援します」という記者たちの言葉をシキーニョに伝える際に「僕も今回だけはブラジルを応援します」と小声でつけ加えると、ここぞとばかりにシキーニョは「いつもブラジルを応援してよ」。まずはW杯出場、ではなく、山口戦での勝利を目指す。
文・写真:ひぐらしひなつ(エルゴラッソ大分担当)
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4連勝の讃岐。その要因は選手同士の信頼関係
4連勝中の讃岐。その生命線は前線からの守備? だが、馬場賢治の口からは「CBのおかげ」という言葉が聞かれた。
そこに、前線と最終ラインの信頼関係が垣間見えた。というのも、まずはCBの岡村和哉から4連勝の要因として、「CBが守れているというよりは、前線の選手の守備がすごくいい」と2トップの馬場と木島徹也の貢献度を聞いていたから。また、馬場について掘り下げていくと、「守備に行ったあともしっかりゴール前で仕事をしてくれます。あれだけ走ってくれているのを見ると、後ろはボールを取らないといけないし、失点を簡単にしてはいけないという気持ちにさせてくれる」とも口にした。
その言葉を聞いた馬場は「だといいっすね(笑)」と少し照れつつ、「自分がFWに入っているときのやるべきことって、そういうところだと思っているので」と続けた。ただ、馬場が思うに「いまはCBが頑張っている」。特に岡村とアランはCBを本職として育ってきた選手ではないだけに、「大げさな言い方をすれば能力以上の頑張りをしていると思う。ポジションのこともそうだし、こんなにできるんだって」(馬場)。
最終的に「お互いにそう思っているんだと思う」と馬場は言葉にしたが、いまの結果は選手同士の信頼関係の上に成り立っている。今節・金沢戦では木島徹が出場停止だが、代わって選ばれた選手もきっとやってくれるはずだ。
文:柏原敏(エルゴラッソ讃岐担当)
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町田のキム・ソンギが北朝鮮代表に選出。先輩・リ・ハンジェも「ゼルビアの代表としても頑張ってきてほしい」とエール
町田は8月23日、CBキム・ソンギが朝鮮民主主義人民共和国代表メンバーに選出されたことを発表した。約2年ぶりの代表復帰となるキム・ソンギは、27日にチームの活動を離れて事前合宿に参加。1試合のテストマッチを経て、9月5日に平壌でレバノンとのAFCアジアカップ3次予選に臨む。うれしさを隠し切れないキム・ソンギは、次のように代表選出の喜びを話した。
「国を背負って戦えることは誇らしいことですし、やらないといけないという責任感も芽生えています。今回の代表選出は町田での試合映像などを見て代表招集を判断されたと思います。最近は試合に出ていないので、どれだけ状態を戻せるか。10日間の活動しかないので、次につなげられるようにラストチャンスと思って頑張ってきます」
なお、町田の現所属選手がA代表のメンバーに選出されたのはクラブ史上初めてのこと。かつて同国代表のユニフォームを着て、日本代表と2006年ドイツW杯最終予選を戦ったリ・ハンジェは「ソンギにはゼルビアの代表としても頑張ってきてほしい」と後輩にエールを送った。
文:郡司聡(エルゴラッソ町田担当)