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FC東京U-18の16歳・久保健英と17歳・平川怜がプロ契約。今週中にもトップチームに合流予定
1日、FC東京U-18のFW久保健英(16)とMF平川怜(17)がプロ契約することになった。スペインの強豪・バルセロナ出身の久保と、FC東京の育成環境で成長してきた平川が、現役高校生Jリーガーになる。
15年5月にFC東京U-15むさしに加入した久保は、16年4月には中学3年生でFC東京U-18に飛び級昇格。さらにその年の秋にはFC東京U-23がプレーするJ3の試合に出場し、トップカテゴリーデビュー。今季はJ3で得点も決めており、すでにJ最年少得点記録を保持している。これまでは二種登録でプロのピッチに立ってきたが、今回ついに正式なプロ選手となった。
一方、平川もFC東京U-15むさし、U-18と順調にステップアップ。久保と同じく昨年から二種登録でJ3の試合に出場していた。今季も主戦場はJ3となっており、才能を認められての早期昇格となった。
このタイミングでのトップ昇格、プロ契約となった背景には先月行われたU-17W杯が関係している。この日の会見に登壇した立石敬之GMは「世界大会を終えて、本人たちは反省と収穫を手にした中で、ほかの世界のクラブからも注目されるようになった。学校の問題もあったが、トップチームの練習に参加できるように環境の整理(通信制高校)をした。しっかりプロとして契約して、彼らの状況を整備したいということになった」と話した。
本人たちも、一日も早く高いレベルでのプレーを求めている。
「U-17W杯で世界との差を感じた。このタイミングでプロとしてプレーできることが大事だと感じた」(平川)
「結果としてイングランドに負けた。そのイングランドは力が衰えることなく、優勝までいった。強いチームが勝ったというのが印象。ああいう強いチームの主軸の選手たちはプロでやっている選手が何人もいる。自分も危機感を覚えた」(久保)
高い技術力とパスセンスを誇るMFの平川は「現時点でも技術はJ1でも劣っていない。攻守両面で貢献できることが現代サッカーでは大事になる」と強気な一面を覗かせつつ、プレーイメージを語った。
また、突出したボールコントロールと巧みなシュートを持つ久保は「誰が見ても『ああ、すごい選手だ』とひと目でわかる選手になりたい。いまはフィジカル差があるけど、相手の懐に入るドリブルとかの長所を伸ばすことも大事」と、あらためて幼少期から世界トップレベルを体感した天才は、将来の理想像と自分の武器を強調した。
16歳でプロになる久保は、FW香川真司やFW森本貴幸、FW柿谷曜一朗やFW宇佐美貴史たちと同じ年代での契約となる。先人たちは日本代表として活躍する立場になったが、果たしてこの逸材はどこまで高いレベルまで上り詰めることができるか。
両者は今週中にもトップチームに合流予定で、早ければ11月18日のJ1第31節・鳥栖戦でデビューを果たす。
文・写真:西川結城(エルゴラッソFC東京担当)
(写真)左から平川怜、久保健英 -
オフィシャルアンバサダーには小林祐希。サミー主催のサッカープロジェクトが始動
1日、東京都内で『SAMMY SOCCER PROJECT』の発表会見が行われた。
エンターテインメント企業のサミー株式会社が主催する、小学生低学年から中学年のU-10世代の子どもたちを対象にしたサッカープロジェクトが立ち上がった。オフィシャルアンバサダーとしてオランダ1部・ヘーレンフェーンでプレーする小林祐希が任命され、さらにクリニックコーチとして元日本代表の鈴木啓太氏が、またオフィシャルサポーターにはJリーグ名誉女子マネージャーの足立梨花さんがそれぞれ就任した。
欧州の育成メソッドを軸に、「テクニック」や「戦術」、「フィジカル」といった従来のサッカー指導に加え、ジュニア世代ではあまり触れられてこなかった人間性の成長にも着手するこのプロジェクト。「マネジメント」と「メンタリティー」と選手になるための人間的な土台作りに目を向け、子どもだけでなく保護者や指導者にも具体的な指導を落とし込んでいくという。
会見では小林が映像でメッセージを送り、今後は来年以降に定期的に開かれるクリニックイベントにも参加する予定となっている。また同じくコーチとしてクリニックの現場に立つ予定の鈴木氏も「選手にとって一番大事なのは自分のマネジメントとメンタリティー。僕も技術的にそれほど優れていたわけではないし、体も大きくない。そこで武器だったのはマネジメント、そして負けないメンタリティー。自分自身が通ってきた道が、このプロジェクトにはあります」と語り、プロジェクトの意義を語った。
今後のプロジェクトイベントなどの詳細は、公式サイトsammy-soccer.comで告知されていく。
文・西川結城
(写真)左からJリーグ名誉女子マネージャーの足立梨花さん、サミー株式会社COO里見治紀氏、元日本代表の鈴木啓太氏。オフィシャルアンバサダーには小林祐希が任命されている
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3季ぶり4連勝の千葉。満身創痍の主将・近藤直也がピッチに立ち続ける理由
3シーズンぶりとなる4連勝中の千葉において、満身創痍の主将・近藤直也の奮闘ぶりが敢然と輝きを放っている。
近藤が左足首を負傷したのが9月24日のJ2第34節・長崎戦の前半。ハーフタイムに退き、翌節の京都戦は欠場した。ところが、練習もままならず足首の状態が万全でない中、第36節・岡山戦で先発復帰すると、同点ゴールを決めるなど存在感を示し、そこから連勝街道が始まった。
「練習もしていないし、全然コンディションが上がらない。自分のプレーに対しての不満というのがもちろん出てきている。本当は(プレッシャーに)行けるのにとか、ヘディングで勝てるのにとか、ジャンプのときに足を気にして(ボールが)取れないとか…。細かいところで言えばいろいろある。ただ、ふがいないところはあるが、チームが勝つことが一番だから、ポジティブ(に捉えている)。いまは自分の100%を出せていないけれど、出せる中で全力を尽くしてチームに貢献できればいい」
常日頃から自分を律し、自身に人一倍厳しい近藤だからこそ、パフォーマンスへの満足感はない。不運は重なるもので、前節・大分戦では左ふくらはぎを打撲するなど、まだ痛みが残る。一方で欠場の選択肢は、毛頭ない。バツが悪そうに「自分で言うのもなんだが…」と前置きした上でこう続ける。
「(CBは)毎試合代わるようなポジションではない。そこが代わってしまうと、チーム全体の軸がちょっとブレるというか。もちろん俺よりコンディションの良い選手が入った方が良いパフォーマンスを出せるかもしれないが、全体で見ると、やっぱりコンディションが100%でなくても、いたほうが安心感(が出る)というか。キャプテンで中心選手だから、みんなに与える影響は大きいという意味でもやっぱり出続ける」
代えの利かない存在という自覚と、主将としての責任感。それらに突き動かされ、近藤はピッチに立ち続けている。残りは3試合。J1昇格プレーオフに進めるか否かは、サッカーの神様のみぞ知るところだが、精神状態は良い意味でフラットだ。
「調子が上がってきて可能性がある中、あまり先を見ずに、自分たちのサッカーを出しながら、結果を残せればいい。浮ついた気持ちもダメだし、悲壮感が出て良いプレーできないというのも良くない。バランスの良い気持ちの状態で(試合に)臨む」
泰然自若――。そこにプロ16年目の男の矜持を見た。
文・大林洋平(エルゴラッソ千葉担当)
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思い続け、努力を続け、わずか1カ月でA代表へ。長澤和輝が代表初選出の喜びと決意を語る
11月の欧州遠征に臨む日本代表。そのメンバーに招集されたMF長澤和輝が発表翌日の1日、その喜びを語った。
ACL準決勝第2戦・上海上港戦後にヴァイッド・ハリルホジッチ監督が自身を評価していたことについては伝え聞いていたという長澤だが、一方で「期待して待っていたわけではなかった」。それでも「小さいころからの夢だった」日本代表初招集を受け「正直にうれしい」と笑顔を見せた。
今季、千葉への期限付き移籍からの復帰という形ながら、初めてユニフォームに袖を通した浦和では、力を発揮するには時間を要した。ミハイロ・ペトロヴィッチ前監督の下ではなかなか出場機会を得られず、天皇杯では右ストッパーという本職とはかけ離れたポジションでのプレーを強いられることもあった。
それでも「向こうでは大学でプレーしていることがあり得ないし、最初は言葉も分からなければ通訳もいなかった」状況から出場機会を得るに至ったドイツのケルンでの経験を下に、「練習からアピールするしかない」と思い続けた。腐るどころか、大学時代からコンタクトがあり、帰国する際も真っ先に手を挙げた浦和に対しての恩義を忘れず、「出る、出ないに関係なく貢献しよう」と努力を続けてきた。
そして堀孝史監督就任以降、少しずつ出番を増やしていく。ACL準決勝・上海上港との2試合では、屈強な外国人選手にも当たり負けせず、その実力を攻守にわたっていかんなく発揮。これまで大学生に限られるユニバーシアード代表経験はあるものの、アンダー世代の代表も候補合宿を含めて選出された経験がなかったという長澤が、この1カ月ほどの活躍で一気にA代表まで上り詰めた。
今回はいきなりのヨーロッパ遠征、それもブラジル、ベルギーという強豪との対戦となる。「なかなかうまくいくことではない」と、理解している。それでもハリルホジッチ監督が評価してくれたであろう「守備をしっかり行くことだったり、攻撃でボールを持ち運んだり、点に絡むようなプレーを出していければ」と意気込んでいた。
文・写真:菊地正典(エルゴラッソ浦和担当)
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ボートレーサーを志していた男、島屋八徳。7位で迎える残り3試合へ「まくりが決まれば」
10月30日から6日間にわたり、ボートレース鳴門で『男女W優勝戦 徳島ヴォルティスカップ競走』が開催されている。その話題も含め、今後の展望をFW島屋八徳に聞いた。
島屋は高校卒業後、“大学浪人”ならぬ“ボートレーサー浪人”として1年間、夢を追いかけていた。高校時代にサッカー部を引退後、進路を考える中でボートレーサーの夢に出会う。近所にボートレース場があったことや隣人にプロ選手がいたことも影響したようだ。「1年間バイトをしながら、サウナスーツを着て真夏の炎天下を走って、夜はサウナに行って。とにかく減量しながら試験勉強をしていました」という努力の末、2度目のチャレンジで最終試験まで進むことができた。だが、約40倍と言われる狭き門を合格することはできず、大学進学へ方向転換。その後、JFL、J3、J2とキャリアを積んで現在に至る波乱万丈な人生を送っている。
残り3試合の展望を聞くと、ボートレースの話題も影響して「阿波勝哉のまくりが決まれば」と島屋ならではの答えが返ってきた。サッカーファンには馴染みのない名前かもしれないが、内枠が圧倒的に有利とされるボートレース界で大外スタートにめっぽう強い選手として有名だ。
現在7位の徳島。まくり一発、J1昇格を目指す。
文・柏原敏(エルゴラッソ徳島担当)
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[本日のエルゴラッソ1面]王者は崩れず
[明治安田J1第31節 マッチレポート]
■札幌 vs 鹿島
再起した鹿島。同じ失敗はもう繰り返さない[明治安田J2第39節 マッチレポート]
■名古屋 vs 群馬
強風、悪コンディションでも貫いたパスサッカー[湘南特集]
■向き合い続けた“いま”