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J2を制した湘南が『ベルせん』を実施。選手たちが“先生”に
(写真提供)湘南ベルマーレ
湘南は2日、選手たちが平塚市内を訪問する、『ベルせん』を実施した。その訪問する6校の中から平塚市立大原小学校には先日手にした“J2優勝シャーレ”が持参され、GK秋元陽太、DF岡﨑亮平、DF杉岡大暉が参加した。湘南ベルマーレの名前の由来などをクイズ形式で説明するコーナーをはじめ、質問コーナーでは、サッカーを問わず、さまざまな質問も。「勉強はできましたか?」という質問には「できましたよ、たぶん(笑)」(秋元)、「5年生までは全部100点を取っていた」(岡﨑)、「結構、できました(笑)」(杉岡)と笑いを誘うなど、大いに盛り上がった。
さらに、子どもたちが食い入るように話を聞いていたのは、背番号29のプロサッカー選手になるまでの“サクセスストーリー”。杉岡は「夢に向かって、泣いて、笑って、頑張ってほしい」と夢を持つ大切さ、あきらめずに頑張ることの大切さを伝えた。そのほかにも3選手は、それぞれ“人生の分岐点”など、子どもたちに熱く語りかけていた。
そして授業も終盤、プレゼントコーナーでは、秋元が『花水ラオシャンのベルマーレコラボTシャツ』、岡﨑が『直筆サイン入りスパイク』、杉岡が『スパイクケース』をそれぞれじゃんけん大会の勝者にプレゼント。即席のサイン会も実施し、子どもたちは満足げな表情を浮かべた。その中で一番の盛り上がりを見せたのは、“J2優勝シャーレとの記念撮影”。あの日の瞬間を体感した子どもたちは目を輝かせて、教室は興奮の渦に巻き込まれた。
「5年生ぐらいだと可愛いですね。子どもたちから元気をもらえた」(秋元)
「単純に楽しかった。本当に可愛いですよね。純粋だし、話を聞いているとき、反応している顔とかも。新鮮で元気をもらえた」(岡﨑)
「自分の話をあんなに静かに聞いてくれるとは思わなかった。かなり緊張しました」(杉岡)
最後まで笑顔で終えた『ベルせん』。子どもたちだけでなく、選手たちにとっても有意義な時間となった。
文・高澤真輝(エルゴラッソ湘南担当)
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福岡のウェリントンが狙う二つの恩返し
J2第38節の千葉ではPKを2本外し、退場処分も受けた福岡のウェリントン。その試合後にはかなりの落ち込みようだったが、今週の練習場では試合後に見せた表情とはうってかわって明るく、そして自信に満ちた表情を見せていた。
井原監督が「思ったほどメンタル的には落ち込んでいなくて、精力的にまた元気にトレーニングに取り組んでいる。残り3試合、自らの悔しさを晴らすため、またチームのために力を発揮してくれると思う」と話したが、メンタル面の回復には、チームメートの温かい接し方と、それ以上にサポーターからの励ましが効いたようだ。
「自分の想像を越える激励のメッセージをいただいた。千葉戦で、これまでのキャリアの中にはなかった経験をして下を向きそうになったときにいただいた後押しは、自分にとってすごく大きかった。この恩はピッチの上でのプレーとして返したい」(ウェリントン)
恩返しと言えば、5日の湘南戦で勝利に貢献するゴールや働きを見せることは、古巣に対する恩返しにもなる。「(千葉戦から)気持ちは切り替えた。次のゲーム(湘南戦)に向けて集中している」と気合いは十分。
そして湘南と言えば、14年の在籍時にここまでの自己最高となる20ゴールを挙げたクラブ。その20ゴールを超えることを今季の個人的な目標に挙げていたウェリントンは現在17ゴールで目標達成にはあと4ゴールが必要。すばり、自信があるかを聞いてみた。
「残り3試合で4ゴール。不可能ではない。目標として挙げた開幕前よりも、いまのほうがその達成に自信を持っている」
静かに語るその眼に炎を見たり。
文・写真:島田徹(エルゴラッソ福岡担当)
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今節・水戸戦は、明治大対決。長崎・髙杉亮太「あの人の指導のおかげで僕は変われた」
今節、水戸とのアウェイ戦に臨む長崎だが、この試合は明治大対決でもある。
長崎にはDF髙杉亮太、DF福田健介、水戸にはGK笠原昴史、MF橋本晃司、FW林陵平といった明大出身者が在籍しており、西ケ谷隆之監督もかつて明大でコーチを務めている。髙杉、福田はそのとき、指導も受けており、福田は「自分にとっては師匠」と言うほど、影響を与えてくれた指導者のようだ。
髙杉も「あの人の指導のおかげで僕は変われた」と当時を振り返る。「それまで指導してくれた人たちと違う考え方というか、だいぶ真逆のような考え方だったけど、それが自分には合っていたのか、プレーの感じや考え方も変わった」と自分になかった新しい見方を与えてくれた存在だからこそ、「本当に感謝しているし、尊敬している」と西ケ谷監督へ感謝の言葉を続けた。
しかし、当時は「めちゃくちゃ走らされた」という思い出もあるそうで「相当、いびられましたね。結果で見返してやろうと思います(笑)」と冗談めかして話した。
また、林、橋本については「僕の代は残留争いだったけど、アイツらは優勝とかしていますからね。後輩におんぶにだっこでした(笑)。ニ人とも1年のときから本当にうまかった」と後輩を立てていた。
記者から「試合前に先輩の威厳で脅しますか?」という質問に対しては「いやいや。それは(福田)健介がやります」と1学年下の福田に役割を託す構え。長崎にとってはJ1昇格に向けた重要な一戦だが、明治大関係者にとっても興味深い一戦になりそうだ。
文・杉山文宣(エルゴラッソ長崎担当)
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3年連続となるJ2残留が確定。金沢の歴史を知る作田裕次が抱く二つの思い
金沢は前節・山口戦に勝利を収め、J2残留を確定させた。DF作田裕次は「一つの区切りはついた」としながらも、複雑な胸中を明かす。
金沢がJ3優勝、J2昇格を決めた14年からチームに在籍する作田。昨季のJ2残留争いを知るのはもちろんのこと、J3から昇格する大変さも知っている。今季も早い段階から残留への危機感を抱いていただけに、「とりあえず良かった」という思いもあるが、それがすべてではない。
「見ている人とかも(シーズンが)始まったころは、中長期的な長い目でやっていくというチームの目標として、残留が今年の目標ではあったけど、もうちょっと期待はしていたと思う。その中でなかなか勝てない時期とかもあって、順位も全然上がらなかった」
そうした中でチームは残留争いを繰り広げ、3年連続となるJ2残留を決めた。
「『よっしゃー』みたいなものもあるけど、『いやいや、そこじゃないでしょ?』という気持ちもある。『残留が決まって良かったね』と何回も言われたけど、果たしてそれがうれしい言葉なのかどうか。将来的なことを考えたときに、ゆくゆくは『残留おめでとう』と言われるより、チームとしてもっと上のレベルでやりたいというのもあると思う」
良いか悪いかで言えば、良いことなのは間違いないが、諸手を挙げて喜ぶことでもないのだろう。ただ、リーグ戦を3試合残した段階でこういう話をできること自体に、J2で過ごす3年間の積み重ねも感じる。
文・野中拓也(エルゴラッソ金沢担当)