-
極寒のモンゴルでたくましさを増した湘南の石原広教
U-18日本代表としてAFC・U-19選手権予選に出場していた湘南の石原広教、齊藤未月がからチームに合流した。
極寒のモンゴルから暖かい日差しに照らされる馬入に帰ってきた石原は「最高です(笑)」と頬を緩ませた。「(モンゴルでは)太陽が出ているのに10分ぐらい歩いたら耳がめっちゃ痛くなるし、ちょっとヤバかったです(笑)」という言葉からモンゴルの寒さが想像でき、思わず身震いしてしまう。さらに試合のピッチは雪が足首まで積もり、ボールが転がることもままならないこともあったという。
「基本的にボールを持ったら蹴るしかないし、つなげない。プレスに行ったとしても、止まれなくてザーッって滑りながら行くしかない。本当にサッカーではなかったです(苦笑)」
そんな環境の中、U-18日本代表は3連勝を飾り、本戦への切符を手にした。気温は氷点下で体が動かない、雪でボールもつなぐことができない。この難しいコンディションで結果を残せたことは良い経験となったはずだ。
さらに招集メンバーには鳥栖の田川亨介、鹿島の安部裕葵とJ1で活躍する選手もいた。サッカーの話をして互いに刺激を受けたという石原。特に長い時間を過ごした田川とは、共感するものがあったという。「亨介とはずっと一緒にいた。アイツも(プロ)1年目で俺と同じで何もできなかったり、何をしていいか分からないという話をして共感できた。そして、自分が頑張るしかないという話をした」。
“経験と刺激”。その言葉が入り交じるように充実したモンゴル遠征。石原は、この9日間でまた一つ大きくなった。そして19日、BMWスタジアムで行われる町田との今季最終戦に向かっていく。
文:高澤真輝(エルゴラッソ湘南担当)
-
“柏の背番号12”が大一番を前にアクション。監督や選手たちが恩返しを誓う
リーグ戦残り3試合、そして来季のACL出場権獲得に向けて、“柏の背番号12”がアクションを起こした。
雲一つ見当たらないまさに“レイソル日和”だった18日、約50名のサポーターが日立台に集結。“柏熱地帯”と呼ばれるホームゴール裏の1階席と2階席の間にある壁とバックスタンドの入場ゲートをクラブカラーの黄色で塗り上げた。
今回の取り組みが実現した最大の要因は、柏のホームスタジアムである日立柏サッカー場が、市や行政のものではなく自前のスタジアムだからこそ。サポーターの代表者の方も「このスタジアムは誰かのものではなくて、レイソルを愛するすべての人のもの」と笑顔を浮かべながら黄色く染まったスタジアムを見渡した。
このサポーターの熱い行動は下平隆宏監督や選手たちにもしっかり届いている。当日の朝にその行動を知ったという指揮官が「サポーターのみなさんはいろいろなことを考えてくれていて、その都度に本気度が伝わってくる。それは僕ら現場の人間としてはありがたいことだし、何とかその期待に応えたい」と語れば、「レイソルのサポーターはもともと熱いし、その中でもっとチームを良くしようとか、自分たちの雰囲気を盛り上げてくれようとしてくれていることには感謝しないといけない。そこはジュビロ戦でちゃんと恩返しをしたい」(中谷進之介)、「サポーターも勝ちたい気持ちを選手と同じく持ってくれている。選手はその気持ちをピッチで表現できると思うので、後押しやその気持ちを心に刻みながら代表して戦えれば良い」(輪湖直樹)、「ACLに出られる、出られないでは大きな違いがあるし、チームも成長できるチャンス。それを勝ち取れるところに自分たちもいるので、それを逃すわけにはいかない。サポーターも壁を塗ってくれたし、サポーターのサポートや熱い思いに結果で応えないといけない」(大谷秀和)と選手たちは勝利での恩返しを誓った。
次節の磐田戦は、勝てば来季のACL出場に向けて望みがつながる一方で、負ければ可能性がほぼついえる大一番。柏はクラブに関わるすべての人の力を集結させ、勝ち点3をつかみにいく。
文・写真:須賀大輔(エルゴラッソ柏担当)
-
扇原貴宏とのマッチアップを前に。「個人的には楽しみだけど、これはセレッソと横浜FMの試合」と柿谷曜一朗
C大阪にとって、ルヴァンカップ優勝後、最初の公式戦となる今節のJ1第32節・横浜FM戦は、ACL出場権獲得となる3位を争う重要な一戦となる。
試合を2日後に控えた16日の練習後、主将のFW柿谷曜一朗は、「お互い、良い位置にいる中で、とても楽しみな一戦」と今節を語る。
かつて仲間としてともに戦った横浜FMのMF扇原貴宏については、「タカ(扇原)のことだけで言うと、いろいろな気持ちはあるし、個人的には楽しみだけど、これはセレッソと横浜FMの試合なので、そういうことはなしに、しっかり戦いたい」と話した。
「一つ(タイトルを)獲ったから満足ではなく、欲は出てくる。天皇杯の優勝も意識しているし、リーグ戦もACL出場権を取るという目標はハッキリしている」と今季の残り試合を位置づけている柿谷だけに、かつてC大阪で名コンビを組み、公私ともに可愛がっていた後輩との対戦にも感傷に浸ることなく、目の前の一戦に全力を注ぐ。
文:小田尚史(エルゴラッソC大阪担当)
-
コンディションを上げる仙台・石原直樹。大宮との古巣戦で強調する「強い気持ち」
仙台のFW石原直樹が、J1リーグ戦残り3試合の1試合目となる今節・大宮戦に向けてコンディションを上げている。
リーグ戦が中断していたこの3週間、仙台はこれまで継続してきた戦い方を結果に結びつけるため、実戦をイメージしたメニューを中心とした練習に取り組んでいる。「この三週間は、コンディションを上げること、戦術を確認すること、互いに要求し合うこと……いろいろやってきましたが、今までやってきたことをもっと出すための練習をしてきました」と言う石原は、今まで以上にテンポが速くなった攻撃練習でも鋭いプレーを見せ、周囲の選手にアドバイスの声も送り、プレーでチームを引っ張っている。
今節の相手は、石原が09年から11年まで所属していた大宮。しかし、この古巣は仙台戦を前に監督が交代して、戦い方が読みにくい状況でもある。その中でも石原は「どの相手に対しても、やるべきことは続けなければいけないし、どんな相手にも通用させないといけません」と、まずは動じることも相手に合わせることもなく組織力を発揮しようとしている。
「特に(J1)残留争いに巻き込まれているようなチームは、『どの対戦相手にも負けられない』という気持ちを強く持って戦ってきます。強い気持ちは、プレーに影響してきます。僕たちは相手を上回る強い気持ちを持ってしっかり勝利すること、そこが第一です」
経験豊富なベテランは気を引き締めるとともに、自身3年ぶりとなる2ケタ得点まであと『1』に迫るゴール数を伸ばすなどして、チームを勝利に導こうとしている。
文・写真:板垣晴朗(エルゴラッソ仙台担当)
-
16年ぶりとなるJ1残留へ王手の札幌。万全の準備を施すべく静岡へ出発
今週末に行われる第32節の結果次第では、01年以来となるJ1残留が決まる可能性がある。
敵地に乗り込む札幌が清水に勝利すれば自力で残留を決めることができるが、1時間早く試合を開始する広島が敗れてもJ1残留が決まる。08、12年と過去2度のJ1ではともに最下位でJ2降格の憂き目となっているだけに、今季こそは残留を果たしてクラブの当面の最大目標である『J1定着』への足がかりとしたいところだ。
そんな重要な一戦を前に、通常であればアウェイゲーム時は前日に敵地に移動をするところを、今節は2日前の16日に静岡県内へ移動。試合前日の17日も当地で練習を行い、万全の準備で清水戦に挑む。ただし、「残留が決まる可能性があるからというわけではなく、秋口以降はデーゲームでのアウェイ戦となるため、現地到着からキックオフまでしっかり時間を取りたいという考えからです」と、移動や宿泊の手配をする李マネジャー。次節のG大阪戦も同様のスケジュールになる見通しだ。
いずれにせよ万全の準備をすべく、チームは前々日に静岡県内へと移動。16日にチームが出発する際にはクラブ職員もバスを見送った。「良い調整をして試合に挑める」とMF兵藤慎剛。そして兵藤は「故郷にあるJクラブ(長崎)がJ1昇格を決めたことは刺激になる。自分たちも良い結果を出したい」と意気込みを発してバスに乗り込んだ。
16年ぶりのJ1残留に向け、札幌が万全の調整をすべく静岡の地へと向かった。
文・斉藤宏則(エルゴラッソ札幌担当)
-
「『ここで行くぞ』ということを見せたかった」。契約更新の柏木陽介、決意を秘めてACL決勝へ
MF柏木陽介が15日、契約更新について心境を語った。
柏木は今季限りで浦和を退団し、神戸に移籍する可能性も噂されていたが、14日にクラブから契約更新が発表された。柏木は「お互いのチームのためにも早めに決断しないといけなかった」としながらも、このタイミングでの発表について「『ここで行くぞ』ということを見せたかった」と理由を明かした。
柏木にとって神戸はほかならぬ生まれ故郷のクラブであるため、「かなり迷った」ことも事実だった。ただ、契約更新のコメントにも「浦和への愛情が勝った」と記していたが、あらためて「家族とか浦和への…義理とか男気とかが好きな人間やからね」と笑った。
柏木が言う「ここ」とは当然、18日にアル・ヒラルのホーム、サウジアラビアはリヤドのキング・ファハド国際スタジアムで第1戦を迎えるACL決勝のこと。「決めるのはACL前が理想だと思っていた。良い気持ちで戦えたら」。
浦和との契約更新を決め、心は晴れた“浦和の太陽”。「これで優勝できたら最高」。今度は大舞台でチームを晴れさせることに尽力する。
文・写真:菊地正典(エルゴラッソ浦和担当)
-
代表帰りの鳥栖・田川亨介、地元・長崎が成し遂げた快挙に笑顔
FW田川亨介が地元の快挙を喜んだ。
先日までモンゴルで行われていたAFC・U-19選手権2018に参加していた田川。3試合すべてに出場し、そのうち2試合で先発。3得点を挙げる活躍を見せ、来年の10月に開催されるAFC U-19選手権2018の出場権獲得に貢献した。
しかし、田川に振り返りを聞いてみると、一番に口を突いたのはモンゴルの極寒。昼間でも氷点下2ケタを記録する厳しい環境にはさすがの田川も驚いたようで「空気が冷た過ぎて息ができなかった。あんな難しい環境の中で試合することも人生の中でもなかなかないと思うので、良い経験になった」と振り返った。
それでも、積雪の中でも2戦目のU-18代表戦は「楽しかった」そうで、その理由については「雪でボールが走らないから、とりあえず蹴って俺が行くみたいな感じだった(から)」と笑顔で話していた。
また、長崎県出身の田川は地元・長崎のJ1昇格についても喜んでいた。「めっちゃ応援していたんですよ。結構、うれしかったです」と、地元にJ1クラブが誕生したことは大きな喜びだったようだ。田川自身、実家が諫早市にあり、長崎のホームスタジアムであるトランスコスモススタジアム長崎も近い。それだけに喜びもひとしおな様子だった。
「地元にJ1のクラブができたというのがうれしいですね。終わるときは地元で終わりたいと思っているので(笑)」と遠い未来のことについても言及した田川だが、まずは鳥栖でより結果を残していくことに集中する。
文・杉山文宣(エルゴラッソ鳥栖担当)
-
故郷・長野で今季最終戦と“弟分”の決勝。京都の麻田将吾が抱く二つの熱い思い
19日に行われるJ2第42節・松本戦は、今季の京都に残された最後の公式戦。そんな松本のホーム・アルウィンが舞台となるこの一戦を、一際特別視している選手がいる。「シーズンの日程が出たとき、まず『アウェイの松本はどこかな?』って探しましたから」と笑うDF麻田将吾だ。
京都U-18から今季トップ昇格した麻田だが、出身地は松本と同じ長野県の安曇野市。松本戦は、プロになって初めてとなる長野県で行われるゲームだ。故郷に錦を飾りたいという思いは強い。
「長野の人も僕がプロになったことをちゃんと知ってくれていて、祝ってくれる人が多かったです。その人たちにプロになった姿をしっかり見せなきゃいけない。ホームの松本戦はメンバーに入れなかったので、次こそ入らないと。この1週間で自分に何か大きな変化が起こることはないけど、やる気はいつにも増して出ています。何とかメンバーに入りたい」
また偶然ながら、19日にはもう1試合、麻田にとって大事な試合が長野県で予定されている。後輩である京都U-18の選手たちがタイトルを懸けてG大阪ユースと戦うJユースカップ決勝(長野Uスタジアム)だ。
「自分としては、(昨年のJユースカップ準決勝で敗れた)FC東京に一回でも勝ってほしいと思っていたけど、それは(今年の京都U-18が準々決勝で)やってくれました。あとはもう、素直に『優勝してほしい』と思っています」と、松本戦の開始3時間前にキックオフされるU-18の試合の行方も、やはり気になっている様子。
今年の京都U-18はフルコートの3対3などハードなトレーニングで鍛え上げられてきたが、麻田も今季開幕前にその厳しい練習を体験したそう。その経験を振り返り、「とんでもない練習(笑)。あれをやっていれば、結果は出るだろうなと思います」と、後輩たちの戴冠に太鼓判を押している。
文・写真:川瀬太補(エルゴラッソ京都担当)
-
清水の2試合連続無失点を支える好調・GK六反勇治。今節、札幌の強力攻撃陣も封じてみせる
清水は15日、シュート練習など、主に攻撃の確認を行った。しかし、そのシュート練習で目立っていたのはGK六反勇治。クロスからの至近距離のシュートも何度もはじき出すなど、好調ぶりをアピールしていた。
チームは、ここ2試合無失点試合を演じている。その安定してきた守備陣を支えている六反だが、今節は190cmのジェイなど、高い攻撃陣をそろえる厄介な相手との対戦になる。しかし、六反はこう話す。「数年前名古屋と対戦した時には、ケネディ選手がいて、闘莉王選手がいて、増川選手がいて…。そのときには本当に『高いな』と思ったイメージがある。それを考えると、それほどイヤではない」。
昇格1年目で苦労している清水だが、「何年後かに、この(J1)残留争いが良い経験になったと言えるようにしたい」と、これらの経験を糧にするため、早く残留を決めたい。
文・写真:田中芳樹(エルゴラッソ清水担当)