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2年半ぶりの代表復帰。GK権田修一が強調する日々の積み重ね
12月に開催されるEAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会に臨む日本代表に、GK権田修一が選出された。権田にとっては実に2年半ぶりの日本代表復帰となった。
「鳥栖でのプレーが評価されて呼んでもらったというのがすべて」
今季加入した鳥栖でのプレーの成果だと強調した権田。だからこそ、日本代表に目を向けるのではなく、残された今季最終戦に集中している。「よくこういうとき『代表に向けてはずみをつけたい』とか『代表選手なので』とか言いますけど、僕はいま鳥栖の代表でしかないので。そこの気持ちをしっかり持っていけるように、まずは鳥栖が勝てるように、全力で明後日の試合をやりたい」と今節・札幌戦への意欲を語っている。
そういった言葉も日々の積み重ねを大事にしているからこそ生まれている。「難しいことですけど、練習から常に勝ちにこだわってやっていたら当然、試合でも勝ちにこだわるようになる。僕は少なくとも2年半前、代表に呼ばれて辞退したところから、そこだけはずっと(持っている)。ホルンのときからいまも変えずにやってきているつもり」という自負が権田にはある。
「W杯まであと半年だから、何か特別、頑張るとかラストチャンスだから頑張るとかじゃなくて、鳥栖で練習しているときのテンションで代表でもやりたい。それができるくらい落ち着いてできれば、良いプレーができると思う。逆に『代表だから頑張らないといけない』と思っていたらたぶん、空回っちゃう」
権田は極めて冷静に自分自身を見ている。
文・杉山文宣(エルゴラッソ鳥栖担当)
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U-20日本代表タイ遠征に招集された京都の麻田将吾。「メンバーの中で一番注目されるようなプレーをしたい」
30日、12月9日からタイで開催される『M-150カップ2017』に参加するU-20日本代表メンバー23名が発表された。この大会は、東京五輪代表監督に就任した森保一監督の初陣となる大会。20年東京五輪のメンバー入りを懸けたサバイバルレースが、いよいよ幕を開ける。
京都からはただ一人、DF麻田将吾が選出された。すでに公式戦の全日程が終了し、若手中心の指名練習に参加している麻田に感想を尋ねると、「今回のメンバーにはU-20W杯に行った人は入っていませんよね。まずは、そのメンバーに入らないと。今回招集されたメンバーの中で一番になれるような、一番注目されるようなプレーをしたいです」と顔を引き締める。
し烈なサバイバルへ向け、心はすでに臨戦態勢。指揮官の特徴もきっちり頭に入れている。
「森保監督は厳しい人だとは思うけど、言葉を選んで、自分のやりたいサッカーをみんなに浸透させるのがうまい人というイメージ。走ること、ハードワークすること、そういう基本的なことがしっかりできる人じゃないと選んでくれないと思っています」
さらに、「左足のキックの精度は見てもらいたいし、ヘディングとかで点が取れることもアピールしたい。(5~6月にU-19日本代表メンバーとして参加した)トゥーロン国際大会のときよりも、頭の部分、戦術的な部分は少し成長できたと思っています。ポジショニングとかは、最近つかめてきた感触がありますから」と続け、タイ遠征で全力のアピールをすることを誓っている。
文・写真:川瀬太補(エルゴラッソ京都担当)
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「まずは鳥栖戦で良い結果を残したい」。U-20日本代表の札幌・菅大輝がJ1最終節に照準
12月9日からタイで開催されるM-150カップに出場するU-20代表に、札幌からMF菅大輝が選出された。
その菅は「久しぶりに代表に入れたので、うれしい」と率直に心境を明かした上で、「どのポジションだろうと、与えられたポジションで力を出し切りたい」と意気込みも語っている。今大会は3年後の東京五輪に向けての、森保一監督の初陣となる。ここからのアピールが重要となるだけに、「ゴールに絡むプレーを見せていきたい」とも続けた。
ただし、「まずは鳥栖戦で良い結果を残したい」と今週末の鳥栖戦(12月2日、札幌ドーム)を見据えている。負傷者が重なった影響もあり、先発出場の可能性も浮上しているとあって「積極的にプレーしたい」と、こちらに向けても前向き。「札幌ドームで得点をしたことがないので、シュートを決めたい」と語気を強めている。
プロ1年目の今季はリーグ戦22試合に出場。2種登録選手の立場だった昨季はJ2で5試合出場にとどまっただけに、ルーキーながらも飛躍したと評せるだろう。しかし本人は、「序盤は継続的に試合に絡めていた時期もあったが、後半戦はなかなかメンバー入りができない時期があった。その意味では悔しさのほうが強い」と今季ここまでを総括。あらためて、最終節で得点し、良いイメージのままタイへと乗り込み、今季のリーグ戦を良い形で締めくくる構えだ。
文:斉藤宏則(エルゴラッソ札幌担当)
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試合当日が28歳の誕生日。山村和也が節目の一戦で願ったこととは?
前節・神戸戦、負傷欠場したMF山口蛍に代わってボランチに入ったのがMF山村和也。今季、ボランチとしての先発は初めてであり、先発自体が久しぶりということもあり、「入りは良くなかった。試合の序盤はソウザに負担をかけた部分はあったと思う」と振り返るが、時間の経過とともに高い位置まで顔を出す回数も増えるなど、持ち味を発揮した。
DF松田陸のクロスからFW杉本健勇の同点ゴールが生まれた場面では、ニアに飛び込み、相手CBニ人を引きつける影のアシスト。その直後には自身も決定的なチャンスを迎えている。「積極的に前に顔を出していくことを意識してやったことが、ああいった結果につながった」との言葉どおり、彼のダイナミックな攻撃参加が相手に脅威を与えた。ソウザとのバランスや試合の流れに応じた攻守の役割分担は、今節の新潟戦でもポイントになりそうだ。
また、山村にとって、試合当日は28歳の誕生日。「(誕生日に試合をすることは)初めてかな? シーズンの最後にこうやって巡ってくることは縁があるなと思う(笑)。しっかり勝って、良い形でリーグ戦を終えることができたらいい」と話す。
自身、二ケタ得点まであと2点に迫っているが、「自分のことより、(杉本)健勇が得点王になってくれたらうれしい」と爽やかな笑みをこぼし、クラブハウスに引き上げた。
文・小田尚史(C大阪担当)
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代表選出の熊本FWアン・ビョンジュン、「注目される舞台でプレーする責任を感じる」
アジアカップ予選に引き続き、E-1の朝鮮民主主義人民共和国代表メンバーに選出された熊本のアン・ビョンジュン。チーム練習の最終日となっている3日まで熊本でトレーニングしたあと、5日から代表チームに合流し、日本代表との一戦(9日@味の素スタジアム)に臨む。
「確か高校生のときにチョン・テセさん(清水)が出た試合を見て、自分も代表への憧れを強くしました。そういう大会に臨む代表に選ばれてうれしく思いますし、注目される舞台でプレーする責任も感じています」と言う。
東京で生まれ育ったアン・ビョンジュンにとっては、今回のゲームが日本で行われるのも大きな意味のあること。家族や友人がたくさんいる日本で代表としてプレーできるのは特別なこと。自分が日本代表戦に出ることができれば、ロアッソ熊本というチーム名も出ると思うし、このクラブのサポーターの思いを背負うことになるので、しっかりプレーしたいと思います」
今回の日本代表には、谷口彰悟、車屋紳太郎(ともに川崎F)、植田直通(鹿島)と、大津高の卒業生3人が同時に選出されており、熊本のサポーターや関係者にとっては注目の一戦になる。
文・写真:井芹貴志(エルゴラッソ熊本担当)
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仙台の椎橋慧也が全体練習に復帰。チーム内競争に身を投じ、将来の年代別代表入りへ意欲を燃やす
仙台のDF椎橋慧也(写真右)が、27日から全体練習に復帰。再び、激化したチーム内の競争に身を投じている。
2年目の椎橋は今季のルヴァンカップでの出場を通じて成長し、J1リーグ戦でも先発の座をつかんだ。J1第27節・C大阪戦ではリーグ戦初得点も決めている。しかし、10月4日のルヴァンカップ準決勝第1戦・川崎F戦で負傷し、左ハムストリングスの肉離れで戦線離脱を余儀なくされた。
椎橋は部分合流を経て、27日からの全体練習に復帰。実戦形式の戦術練習ではボランチの位置に入り、迫力ある守備などで存在感を見せていた。「けがをしたときは、連戦や、それまでより気温が低い中でのケアを怠ってしまっていたと反省しています」と、初めてその箇所を負傷した今回の出来事を、今後のケアを変える契機と捉えたという。
「やっていることへの順応はできたけれど、実際のプレーでは、調子が良かったときに見えていたものが見づらくなっていました」と、復帰後の戦術練習では反省点が先立った。自身の出来に加え、「FW同士の距離とかが良くなっていて、奪いに行こうとしてもうまくいかなかった」と、不在の間にもチームの組織作りが進んでいることを実感した。
まずは、激化したチーム内競争に再び身を投じる。「レベルの上がったチームの中でプレーしたいと、一層感じるようになりました」と、前向きに練習に取り組むとともに、さらに広い世界にも目を向ける。
30日に発表されたU-20日本代表には残念ながら選ばれなかったが、「東京五輪世代ですから、サッカー選手ならば、そこを狙わない選手はいない。やる覚悟はできているし、やり続けるしかないと思っています」と、意欲を燃やしている。
文・写真:板垣晴朗((エルゴラッソ仙台担当)