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「胸を張ってJ1選手だと言いたい」。杉本竜士、新たな挑戦へ
チームの流れを一気に変えるドリブルで、主に昨季の序盤、大きな貢献をした杉本竜士が、J2の徳島に完全移籍することが決まった。
杉本と言えば昨季のJ2第7節、同点に追いつかれた終了間際に、ペナルティーエリア左角にドリブルで持ち込み、強烈なミドルシュートをゴール右スミに決めたシーンが印象的。まさに“ゴラッソ”と言える得点で、交代したばかりの玉田が喜び過ぎて裸でピッチに入ってしまい、警告を受けるという珍事もあった。
ほかにも地元商店街の女性ファンが選ぶ『イケメンオブザイヤー』に輝くなどファンのハートもガッチリつかんでいた。
杉本は「J1でチャレンジしたい気持ちもあったが、チャンスもなく、出場機会がないということは自分がJ1のレベルに達していないということ。徳島にも素晴らしい選手がいる。新たなチャレンジをして新しい自分と出会い、胸を張ってJ1の選手だと言えるようになりたい」と移籍の理由を語った。
名前が同じ「りゅうじ」で同い歳の和泉竜司は「ちょっと前に聞いていた。寂しいけど、そういう世界だし、新しい場所でまた競争があるのでお互いそこで頑張って、またどこかでやれたら」とエールを送った。
開幕戦が終わったばかりのこの時期の移籍は正直驚きだが、そのドリブルと同様、サッカーに真っすぐな姿勢は杉本の持ち味。徳島でも“ゴラッソ”を決めてJ1の舞台に上がってほしい。
文・写真:斎藤孝一(エルゴラッソ名古屋担当)
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大宮のホームで“春の珍事”。得点者が『8 谷澤 達也』!?
J2第1節・甲府戦(2○1)の8分、大宮は中村太亮の左CKにマテウスが合わせて先制点を挙げた。今季のオープニングゴールに沸く中、場内のモニターには得点者名が表示された…が、なぜか浮かび上がったのは『8 谷澤 達也』の名前。しばらくして修正されたが、謎が残った。
縁があるとすれば、大宮加入後最初の公式戦でアシストを記録した中村にとって、現・相模原の谷澤は千葉時代に「組み合わせとしては100点満点の100点」と認めるホットラインを形成した選手ということ。中村に“珍事件”について聞くと「それ、俺も聞きました」とチェック済みなことを明かした。
「(谷澤は)ああいうキャラなんでね」と中村も思わず笑みをこぼしたように、本人のあずかり知らぬところでも発揮された、谷澤の愛されるキャラクター。まだ寒さの厳しいNACKでの“春の珍事”だった。
文・片村光博(エルゴラッソ大宮担当)
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「本当に楽しいシーズン」にするための第一歩。横浜FCの武田英二郎が約1年ぶりのリーグ戦出場
25日に行われた、松本とのJ2開幕戦。今季湘南から加入した横浜FCの武田英二郎が、子どもを腕に抱えながらピッチに足を踏み入れた。昨季の第5節・千葉戦以来、約1年ぶりのリーグ戦出場に、凛々しい表情を浮かべていた。
「去年やりたかったけど、なかなかチャンスがなかった。家族も喜んでいたし、ああいう雰囲気で子どもと入場できるのは、なかなかないこと。個人的には、すごくうれしかった。あれで自分の集中が切れてしまうんじゃないかという恐怖もちょっとあったけど、意外と大丈夫でしたね(笑)。むしろ子どものために、と思えた。子どもの顔を見ると笑顔になってしまうけど、それを含めて試合に出るのは楽しいと、あらためて感じました」
実は試合前、「出られたら、今まで応援してくれていた家族や友達に自分のプレーを見せたい」と意気込んでいた武田。その言葉どおり、ピッチで躍動する姿がこの日の松本戦にはあった。守備でも安定感を見せ、左サイドを駆け上がっては強烈なシュートを放つ惜しい決定機もあった。得点・アシストこそなかったものの、サポーターの心もすぐにつかんでみせた。
それでも背番号17は“こんなものではない”と自らに言い聞かせる。
「悪いプレーはしていないと思うけど、勝ちたかったし、自分のプレーに納得もしていない。これからどんどんプレーの質を上げていって、チームも勝っていいければ、本当に楽しいシーズンになると思う」
まずは開幕先発をつかみ、いいスタートを切った武田。今節の岐阜戦も、家族、子どもからパワーをもらって全力で戦うだろう。そして「毎日を大切にして頑張る」ことで自らの成長を期している。
文・高澤真輝(エルゴラッソ横浜FC担当)
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京都の望月嶺臣がJ通算50試合出場にリーチも、「自分の数字よりチームが勝てるようにしたい」
望月嶺臣がプロのキャリアにおける最初の節目を迎えようとしている。25日に行われた町田とのJ2開幕戦に先発出場した望月はJ1、J2、J3の通算出場数を49に伸ばし、通算50試合出場まではあと1。3月3日のJ2第2節・福岡戦が節目のゲームとなる可能性が高い。
28日の練習後にその話を振ると、「え? そうなんですか(笑)」と本人はまったく気づいていなかった様子。そして、「全然、意識はしてなかったけど、もっと試合に出られるようにしたい。でも、自分の数字はそんなに気にしていない。それよりチームが勝てるようにしたい」と続ける。
25日のゲームに0-2で敗れた京都は、昨季に続いてホーム・西京極でのシーズン開幕を黒星でスタートさせることになった。ボランチの望月はビルドアップ中心のサッカーにトライする今季のチームのキーマンとなる存在。それだけに、「グラウンド内で自分たちが打開していけるようにならないと。チームがよりいい方向にいくための力になりたい」と、開幕戦で失った勝点を取り戻すことに意識を集中させている。
文・写真:川瀬太補(エルゴラッソ京都担当)
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熊本の北嶋秀朗ヘッドコーチ、あせない得点感覚の高さを発揮
オフ明けの28日午前、熊本の選手たちは体幹強化やペース走などフィジカルメインのメニューのあと、サイドへ展開するクロスからのシュート練習を実施。短い時間ながら、渋谷洋樹監督がゲームをイメージした指示を出し、パススピードや軌道、入り方も意識づけ。タイミングを合わせつつ勢いをもってクロスに入ることが要求される中、難しいボールに合わせて北嶋秀朗コーチがきっちり決めた場面では、選手たちからも歓声が上がった。
トレーニング後、クラブハウスへ引き上げる北嶋コーチに声をかけると、「見た? いま、10番が空いてるでしょう。あれ、俺だから」とニヤリ。
トップチームに“復帰”した藤本主税コーチともども今季は始動から選手と一緒に体を動かす機会が多く、「今年は痩せるから!」と宣言している北嶋コーチ。その得点感覚はまったく鈍っていないようだ。
文・写真:井芹貴志(エルゴラッソ熊本担当)
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[本日のエルゴラッソ1面]2018年のJ2リーグ