EL GOLAZO(エルゴラッソ)FLASH NEWS

2019.5.17(Fri)

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  • [特別掲載]都倉賢が語る、ロティーナ・セレッソのいまと大阪ダービー

    [特別掲載]都倉賢が語る、ロティーナ・セレッソのいまと大阪ダービー

    INTERVIEW
    FW 9 都倉 賢(セレッソ大阪)

     

     今季C大阪に加入し、印象的な活躍を見せていた都倉賢選手。しかし、11日の横浜FM戦で負傷交代。その3日後に、右膝前十字靭帯損傷および右膝外側半月板損傷、全治8カ月という非情の診断結果が発表されました。  

     エル・ゴラッソでは、大阪ダービーに向けた特集として、15日(水)・16日(木)発売号にてインタビューを掲載する予定でしたが、泣く泣く掲載を見送ることに…。

     しかし、“お蔵入り”させるにはあまりにも惜しい! ということで、今回特別にWEBにて無料掲載することに致しました(内容は一部修正しています)。

     都倉選手が語るロティーナ・セレッソのいま、そして自身も楽しみにしていた大阪ダービーに対する印象や思いとは。

    聞き手:小田 尚史/取材日:5月5日(日)

     

    いいスピード感のチーム作り

     

    ――5月5日現在、C大阪はJ1リーグ戦10試合を戦い、3勝2分5敗という結果です。これまでの歩みをどう捉えていますか。

    「もちろん、もっともっと勝点をとりたかったですし、とるに値するゲームもあったと思います。勝つことによって、勢いに乗って成長するという部分もあります。ただ、結果的には多少ゆっくりと思えるこの歩みも、一つひとつじっくりと内容と結果に目を向けるという意味では、いいスピード感だったのかなとも思います。勢いに乗ることも素晴らしいですが、何かを見過ごしてしまうことにもつながります。うまくいかないことで、自分たちをしっかり見つめることができ、丁寧に進めることができます。もちろん、負けるより勝つほうが断然楽しいですし、負けると次の試合までは長く感じますが、結果を真摯に受け止めたこの歩みは、残りのリーグ戦を戦う上で自分たちの武器になるのではないかと感じています。

     僕自身もそうした部分を強みにして、ここまできました。若いころはなかなか結果を出せず、(これまでのキャリアは)遠回りだったかもしれませんが、その道のりの中で丁寧に積み重ねることができたからこそ、いまがあります。チーム作りも同じだと思うので、結果が出ていなかったときも、僕は不安には思っていませんでした。

     とはいえ、結果が必要だということも分かっています。そういった中で、昨日の勝利(第10節・松本戦/2〇0)は新しい発見でした。監督もコンセプトに沿った理想といまやれることの組み合わせの整理が、ある程度できてきたと思います。ここからは、より結果を出しながらチームが成長できるのではないかと、僕自身、手ごたえをつかめた感じもします」

     

    ――結果が出ても出なくても、都倉選手はこれまで一貫してポジティブな発言をしてきました。チームとしても、リーグ戦では控えに回っていた選手たちがルヴァンカップでは勝利を重ねていましたし、リーグ戦で勝てない間も、チームとしての一体感はあったように感じます。

    「そうですね。一体感は常に感じています。スポーツの現場で一番大事なのは、健全な競争です。ルヴァンカップに出た選手たちは、リーグ戦に出られていない悔しさや意地を見せて、チームをいい方向に導いてくれました。ルヴァンカップで価値を示したことで、そこから何人かがリーグ戦にも出場して、松本戦ではチームに勝点3をもたらしました。チームの底上げが進み、その中での新たな競争も生まれています。もちろん、試合に出られない選手はいい気持ちはしないですが、チームとして考えれば、結果を出している選手が試合に出るべきだと思いますし、そうすれば、自ずと試合に勝つ確率も高くなります。リーグ戦での勝ちが少ないときも、チームとして一体感を保って、ルヴァンカップに出場した選手たちが頑張ってくれたことは、シーズン序盤を振り返る上で大きかったと思います」

     

    ミシャとロティーナの違い

     

    ――練習は非公開が多いこともあり、全体の雰囲気はつかみづらいところもありますが、ロッカールームも含め、チームの様子はいかがですか。

    「みんなポジティブですよ。前向きに練習に取り組みながら、監督が求めるものにトライしようという雰囲気はすごくあります。新しい監督がきたことで、一回フラットになった中、みんなでしっかり競争して、かつ新しいことにチャレンジしようというベースはできています。チームとして成長できる土台は整っていると思います」

     

    ――ロティーナ監督とイバンコーチのサッカーについては、あらためてどのように感じていますか。

    「まずは、しっかりとしたポジショニングをとることが求められます。そこから相手の出方を見て対応していくので、前提としての立ち位置をとることから始まります。そこから、いろいろなアイディアがスタートします。より一つひとつのプレーに論理があるな、とも感じます」

     

    ――第7節・札幌戦の前には、「昨季、ペトロヴィッチ監督の下でプレーしたことで成長できたし、サッカーの奥深さを知った」と話していましたが、ロティーナ監督とペトロヴィッチ監督の似たところ、相違点などは、どう感じていますか。

    「守備の引き出しは、ロティーナさんのほうが多いです。ロティーナさんの守備の決め事の細かさは、『こんなところまで見ているんだ』と感じます。共通する部分は、自分たちの立ち位置で優位性を作ること。どう相手の裏をかいていくか。そういった部分は、方法論こそ違いますが、最終的な考え方は似ていると感じます。あとは、ミシャ(ペトロヴィッチ監督)は型にハメますが、ロティーナ監督は、少し自由がある中で、自分たちで判断する余地を残してくれます。選択肢が3つくらい用意されているんです。なので、もう少し時間はかかると思いますが、そのあたりの判断を全員で共有できるようになってくれば、もっともっと連動したサッカーができると思います。ミシャの場合は、一つガチっとハマれば一気に突き抜けますが、逆に対応されると選手個人として判断する選択肢はあまりありません。ロティーナ監督の場合は、ミシャより時間はかかりますが、より選手の選択肢を設けていて、幅は広いと感じています」

     

    ――試合ごとに相手に対応して戦術を決めていくやり方は、選手としては、頭も使って、大変ではないですか。

    「でも、ベースはあるんです。数学で言うところの公式はあって、そこに『相手がこうなら、こちらはこう対応する』というふうに応用していきます。ベースがあって、派生するだけなので、いきなり戦い方を示されて、『えっ?』と思うことはありません。試合前にアイディアを提供されたときに、『やっぱりそうなるよね』と思うこともありますし、ロティーナ監督とイバンコーチのアイディアの引き出しは多いですね」

     

    ――試合を重ねていくごとに、蓄積というか、サンプルが増えていく感じですね。

    「やればやるほど事例が出てきますし、練習でやったことが、試合の中でも『ある程度できるね』というのが見えてきます。負けた試合でもたくさん収穫はあったので、試合をやればやるほど、チームとして成長できると感じています。“準備して、実行して、検証する”というサイクルを繰り返していくことが大事で、成長するにはそれしかないと思っています」

     

    ――システムについても、ここまでは[3-4-2-1]と[4-4-2]を併用していますが、最前線の都倉選手は1トップのときと2トップのときがあります。やるべきプレーや役割も自ずと変わりますか。

    「選手の組み合わせが変われば、多少違いはありますが、僕自身のやるべきプレーはそこまで変わらないと思っています。システムにしても、最初はディフェンスラインが4枚でも、ボランチが下がってSBが上がれば3バックになりますし、(ディフェンスラインが)3枚で始めても、ボランチの一人が下がれば4枚になります。守備のときにどういうコンセプトで守るのか、というところはありますが、特に攻撃に関しては、昔ほどフォーメーションの概念はないのかなと。立ち返る場所としてのフォーメーションはありますが、試合中に変化もしますし、あまりシステムにとらわれることはないと思っています。それこそ昨季、ミシャの下でサッカーをやってから、より、そう思うようになりました」

     

    大阪ダービーこそ生粋のダービー

     

    ――ここからは大阪ダービーについて話を伺っていきます。パナスタでプレーした印象は。

    「最高でした。やっぱりサッカー専用スタジアムはいいですよね。いくつか好きなスタジアムはあるのですが、その中でも雰囲気が素晴らしいスタジアムだなと思いました。鳥栖のスタジアムもそうなのですが、角度が急なところが好きです。サッカーをするためだけに作られた特別な感じがして、スタンドとの距離も近く、歓声がダイレクトで伝わってきます。独特な雰囲気で、包み込むような声援なんですよ。昨季、決めた同点ゴールにしても、ちょうど札幌のサポーターの目の前で決めたのですが、大歓声が体中に伝わってきました」

     

    ――そのパナスタが青黒とピンクに染まるのが大阪ダービーです。C大阪の選手として初めて迎える大阪ダービーですが、率直に、大阪ダービーについての認識はいかがですか。

    「そもそも、大阪ダービーが日本で一番熱いダービーだと思っています。ほかにも国内には“ダービー”や“クラシコ”と名のつく戦いはありますが、大阪ダービーこそ生粋のダービーだと、客観的に見ていても思っていました。スタジアムはいつも熱気にあふれて盛り上がっていますし、サポーターも熱い。大阪府民の気質なのか、激しさも盛り上がる要因なのかなと思っています」

     

    ――過去、大阪ダービーはスコアレスドローが一度もなく、得点シーンの盛り上がりも尋常ではありません。スタジアムの雰囲気が殺伐とすることもありますが、そういった舞台は嫌いではないのでは。

    「それはもう、試合が注目されればされるほど、盛り上がれば盛り上がるほど、選手としてはモチベーションも上がります。試合をするのが楽しみですし、ワクワクしますね」

     

    ――近年の大阪ダービーの歴史を紐解くと、「ガンバの調子が悪い」と言われていても、大阪ダービーになると、牙をむき出しにして向かってきます。

    「セレッソ、最近は大阪ダービーで勝っていないんですよね?」

     

    ――はい。カップ戦では、17年のルヴァンカップ準決勝第2戦で劇的な勝利を収めましたが、リーグ戦になると、12年の第2節以来、勝利がありません。今節は是が非でも勝ちたい試合になりますが、都倉選手にとって初めて臨む大阪ダービーを、どういう試合にしたいですか。

    「間違いなく簡単な試合にはならないですよね。もちろん、監督の掲げているコンセプトの下、準備してきたことを出すことも必要ですが、最後の結果を左右するのは1対1の局面だったり、最後の一歩をどっちがボールに寄せられるかであったり、精神論になってしまうかもしれませんが、やはりそういうことが大事だと思います。海外のダービー、スペインのエル・クラシコやイタリアのミラノダービーを見ても、やはりダービーは特別です。どちらかの順位がガクッと下でも、その試合だけは順位の低いほうが勝ったりするように、理屈ではない何かが試合を左右すると思います。それは傍から見ても、思っていたことです」

     

    ――「海外のダービー」という話も出ましたが、Jリーグにこういう試合があることについては。

    「いいことですよね。東京と大阪という日本における二大都市の一つでこういった試合があるというのは、すごく価値があることだと思います」

     

    ――では最後に、大阪ダービーに向けて、C大阪サポーターへメッセージをお願いします。

    「大阪ダービー未経験の僕が大阪ダービーについて語るのもあれですが、サポーターが最高の雰囲気を作ってくれることは分かっているので、あとは選手がその声援に応えて全力でプレーするだけです。試合当日は最高のボルテージになるでしょうし、僕らも最高の準備をして試合に臨みます」


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