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  • [短期集中連載]ツエーゲン金沢はなぜ攻めるのか <第3回:挑戦はクリエイター集団とともに>

    [短期集中連載]ツエーゲン金沢はなぜ攻めるのか <第3回:挑戦はクリエイター集団とともに>

     『挑戦を、この街の伝統に。』という理念とともにスタートを切った今季の金沢。パラパラナイトというハチャメチャなイベントで話題をさらった裏で着々と準備していたのが、黒と金を基調にしたサマーユニフォーム、コンセプトユニフォーム、コンセプトエンブレムの作成だった。単なる夏季限定ユニフォームにとどまらなかったこの企画にこめられた意図を聞いていくと、金沢というクラブがさまざまな企画を実現できる背景が見えてきた。

     

    (第1回はこちら。第2回はこちら

     

    “コンセプト〇〇”誕生秘話

     

     金沢は8月のホームゲーム3試合で黒を基調としたユニフォームを着用している(ユニフォームはこちら)。それだけでなく、クラブは“コンセプトエンブレム”と称する洗練されたデザインのエンブレムを作成し、これを使った“コンセプトユニフォーム”を発表。しれっと発表されたことで、知らいないほうが恥ずかしいのかと思わせる、この“コンセプト〇〇”というワード。その疑問を中山にぶつけてみると、「一般的ではないですね。ウチしかやっていない」との返答。少しホッとして、あらためて“おもしろい”企画を連発してきた今季の金沢が、“かっこいい”路線の企画を打ち出した経緯を聞いた。

    「これまでは予算や売上の心配があってサマーユニフォームには手を出してこなかった。でも、去年、ヤサガラスユニフォームというのを受注生産で販売したら結構反響があった。それで、今季はサマーユニフォームを作ることにした」。重厚さを感じさせる黒をベースに金沢の特産である金箔を彷彿とさせる金色で文字をあしらうことなどを決めた中山だが、いざ動き出そうという段になって「急に不安になってきた」。その結果としてたどり着いたのが普段着としても活用できるようにという思いが込められたコンセプトユニフォームも同時に作成することだった。ただ、既存のエンブレムをそのままでは使用しにくい。なぜならばタウンユース用に小さくすると文字がつぶれてしまい、色数が多いためにコストもかさみ、複雑なので刺繍も難しいためだ。

     そこで求められたのがタウンユース用のオリジナルエンブレム=コンセプトエンブレム。そしてこの大役を任されたのも水橋だった。

     「デザインはコミュニケーションの一種だと思っている。エンブレムに意味を込めたかったし、それをスタッフにも理解してほしいし、スタッフからサポーターに説明できるようにもしたかった」と水橋。エンブレムに込める意味はもちろん新クラブ理念『挑戦を、この街の伝統に。』である。シンプルなデザインながら、クラブのこれからにもつながる思いを込める。難しいミッションだが、インスピレーションはすぐに湧いたという。

     「『挑戦を、この街の伝統に。』という理念は、これまで街として挑戦してきた伝統を、これからも“軌跡”として残していこうということ。それに、サッカーではボールの“軌跡”というものもあるし、“軌跡”を感じられるような意味を込められたらいいなと思って、原案はパッと思い浮かんだ」。ただ、デザインがシンプルなだけに、美しく見えるバランスは難しく、何パターンもバリエーションを作っては試行錯誤を重ねた。また、コンセプトユニフォームにつけるだけではなくTシャツやトートバッグなど、ほかのグッズへの展開、さらにはポスターなどの広告に発展させることも考え、計算したという。

     

    耕して、花が開いて、実がなって

     

     中山は言う。「ウチは世界観、統一感を作ることは、すごく大事にしている。例えばエンブレムを作ってもうまく利用できていない企業もたくさんある。ウチはこれ以外のことも同じだけど、一つ作って終わりではなく、最初からトータルで考えるので、支離滅裂な感じには絶対にならない」。

     この言葉のとおり、金沢の企画は一つひとつは個性的でハチャメチャなものが多いが、個別の企画の中ではデザインも含めた統一感がある。それは予算規模のわりには、クリエイティブなものに投資することをいとわないクラブの姿勢が一つであり、なによりもデザイン、映像、写真、コピー、イラスト、造形等、さまざまなクリエイターがクラブを通してだけでなく、横につながっていることが大きい。クラブとクリエイターの間に代理店を噛ませれば、そこで時間的にも費用的にもコストがかかる。ただ、思いついた企画をどう作っていいか分からない、どんなクリエイターに頼めばいいか分からないとなれば、代理店を通すしかない。

     しかし、中山は水橋を始めとしたクリエイターに紹介を乞うことで、数珠つなぎで「これ!」というクリエイターを開拓していった。「僕が金沢にきての一番の功績はそこ。耕しましたよ、だいぶ」と中山は笑う。決して予算規模の大きくない金沢というクラブが、これだけ話題をさらう企画を実現できるのには、このような背景もあったのだ。

     そんな中山を中心とした金沢は現在、新たな企画を進めており、こちらもかなり振り切ったものになっているそうだ(あくまでも計画段階では)。

     「サポーターさんのツイートに『クラブは[挑戦を、この街の伝統に。]と言えば何でも許されると思っている』というのがあったんだけど、それはある種、間違っていない」。

     中山とツエーゲン金沢、そしてそれをとりまくクリエイター集団の挑戦は、これからも続く。

    文:村田亘(エルゴラッソ金沢担当)


    <告知>

    『エル・ゴラッソ』本紙でも、今回の金沢特集を取り上げます。
    内容は今回の短期集中連載をまとめたものに加え、新たに、中山大輔氏(ツエーゲン金沢事業企画部部長)、西垣強司氏(コピーライター)、水橋一彰氏(グラフィックデザイナー)による座談会を収録!
    8月16日(金)・17(土)発売号に掲載いたしますので、是非お買い求めください。

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