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マラドーナ氏の訃報に触れた町田のランコ・ポポヴィッチ監督、「彼ほど愛される選手はこの先、出てこない」
世界中のサッカーファンが悲しみに暮れたディエゴ・マラドーナ氏の訃報について、町田のランコ・ポポヴィッチ監督も沈痛な面持ちでその心境を語った。
「昨日も彼の映像をたくさん見ました。今こうして話していても、喪失感にさいなまれて涙が出てきます。マラドーナはサッカーを通じて、喜びも悲しみも人生のすべてを見せてくれた唯一の選手だったと言っていいでしょう。サッカーはもともと貧しい人でも取り組めるスポーツでしたし、そういった人たちの憧れであり、象徴でもありました。その後、多くのスーパースターが生まれましたが、彼らはマーケティングの影響を大きく受けている選手です。マラドーナはサッカーそのものと言っていいでしょう。マラドーナほど、世界中のサポーターに愛される選手はこの先、出てこないと思います」
ポポヴィッチ監督には忘れられない光景がある。1982年、レッドスター・ベオグラードが通称・マラカナスタジアムでマラドーナ擁するFCバルセロナと対戦したUEFAカップウィナーズカップでのこと。10万人近くの観衆が集まった試合でレッドスターはマラドーナに2ゴールを許し、2-4で敗れたが、レッドスターのサポーターがマラドーナの活躍をスタンディングオベーションで称えたという。レッドスターのサポーターが相手選手に敬意を示すことは他に例がなかったため、ポポヴィッチ監督はそうした光景に驚いた。
「彼と同じ時代に生きられたことは幸運でした」と感謝するポポヴィッチ監督は、マラドーナが活躍していた時代背景を踏まえると、よりその偉大さが浮き彫りになると話す。
「サッカーがまだ暴力的だった時代、いまの選手のように、レフェリーの笛に守られていない時代に、身を削ってでもあれだけ華麗なプレーを見せてくれました。また彼から学べることがあるとしたら、サッカーを仕事とは思っていないということ。サッカーを心から楽しみ、彼の人生そのものがサッカーであるということを見せてくれました。われわれの選手たちも、サッカーを単純に仕事と捉えてほしくはないです」
現在町田で主力を務める20代前半の選手にとっては、マラドーナのことがピンとこない世代かもしれない。それでも、マラドーナから学べることはあると、ポポヴィッチ監督は強調していた。
文・写真:郡司聡(エル・ゴラッソ町田担当)
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