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2022.7.28(Thu)

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  • 古巣の山形にJ通算600試合出場の報告へ。町田の中島裕希、ファイトする38歳の背中を見せる

    古巣の山形にJ通算600試合出場の報告へ。町田の中島裕希、ファイトする38歳の背中を見せる

     30℃を超えていたピッチを、所狭しと駆け回る38歳がいた。執拗に裏抜けを繰り返し、ボールを受ければ最前線で起点となって、味方の攻め上がりを促す。またオフ・ザ・ボールでは、強烈なプレス強度でボールホルダーに襲い掛かった。そんな献身的な働きに周囲が呼応した。

     長崎戦の翌日にあたる7月18日、中島裕希は桐蔭横浜大との練習試合に出場。リーグ戦以外の対外試合は2月のキャンプ以来となる試合で自身のゴールこそなかったが、中島は最終的に3ゴールに絡んだ。炎天下の試合で年齢を感じさせないファイトを披露した30番の背中に、J通算600試合出場男の矜持を見た気がした。

     本人が「運命を感じる」のも無理はない。中島のJ通算600試合出場を祝うセレモニーは、かつて所属した仙台との試合前に実行された。仙台サポーターが陣取るスタンドからも温かい拍手がメモリアル男に注がれた。そして、7月30日。今節は町田に移籍する直前まで在籍していた山形とのアウェイゲームに臨む。今度は山形サポーターにJ通算600試合出場達成を報告する番だ。

    「在籍している期間は山形サポーターの方々の人柄にも触れてきたし、山形は思い入れがあるクラブでもある。600試合出場は山形の方々のおかげでもあるので、感謝の気持ちを込めて、山形とのアウェイゲームを戦い、試合には勝って帰りたい」(中島)

     ただ今季2度の古巣・仙台戦で出場機会がなかったように、今季の中島はそれほどプレータイムが伸びていない。今節の山形戦も出場機会が保証されているわけではない。前節の岩手戦は3-0の状況から88分に途中出場でピッチに立った。交代を待つ間、隣りにいた選手は同じ84年組の深津。チームNo.1とNo.2の在籍期間を誇る2人が、2枚代えで投入される様子は、町田サポーターにとって、胸熱な瞬間だったに違いない。本人は冗談ぽく、「2人の年齢を足したらすごい数字になるし、僕らが入ったことでかなり平均年齢を上げてしまった」と話したが、熱い思いを抱くのは、中島も同じだった。

    「前から在籍している選手が同じタイミングで試合に出ることにサポーターも感じるものはあったと思う。結果的に最後失点をしたことで終わり方は残念だったけど、二人とも町田のために戦う気持ちに変わりはない。ハンジェさんが現役の頃は、僕に代わってハンジェさんが交代でピッチに立った時は感激したし、自然と思いが強くなる。(深津)康太とピッチに立つときも、『いこうぜ』とピッチの外でハイタッチしていた」(中島)

     果たして、山形戦の中島はどんな立場で試合を終えることになるだろうか。現在、J通算出場試合数は602。「いけるところまで伸ばしていきたい」と意欲を燃やす中島は、たとえどんなに短い出場時間でも、「少ないチャンスで結果を残すことを考えながら」(中島)虎視眈々と準備をしている。J1昇格を目指す町田の勝利のために。

    文・写真:郡司聡(エル・ゴラッソ町田担当)