-
本田圭佑が語る自身のネクストステージ。「(クラブやリーグの)格にはあまりこだわっていない。未開の地みたいなところもすごくいい」
日本代表FW本田圭佑が1日、今後の移籍について初めて言及した。
千葉県内で行われている日本代表・海外組の合宿に、この日から合流した本田。トレーニング前にはヴァイッド・ハリルホジッチ監督とも話し込み、練習が始まるとコーチとともにグラウンド外周を走るなど、初日は軽めの調整となった。
練習後、記者陣の取材に応じた本田。先月末、自身のSNSで今季限りでのミラン(イタリア)の退団を明言していたが、直接メディアの前で移籍について初めて口を開いた。
「試合に出ることだけを優先して移籍したことは過去にはない。刺激的なところに挑戦心を持っているので。刺激というのは、同じルーティンが好きではないということ。環境もそうですけど、未開の地みたいなところもすごくいい。いろいろな考え方、あらゆる好奇心が、一言で言えば刺激に近いですからね」
刺激や好奇心というフレーズを使い、次なるクラブへの思いを語った本田。かつては「クラブやリーグの格が選手個人を成長させる」という考えを持っていたが、いまの考えについて話を続けた。
「ミランでの3年半を経て、ミランに移籍する前と、いま移籍先を選ぼうとする考え方は当然違ってきています。そのあたりは、(クラブやリーグの)格にはあまりこだわっていない。最優先事項ではないですね」
現状では自身が納得できるクラブからはまだオファーがないという。「まずはビッグネームが動いて、僕はその次ぐらいだと思っている。中堅選手が玉突きのように動く」と欧州の移籍サイクルの中での自分の立場を理解している。
一方、先日Jリーグ復帰という国内報道も飛び出していたが、それに関しては本人がピシャリと否定した。
「正直言って、日本という選択肢は考えていないですね。悪く取らないでくださいね。日本には僕がいなくてもいっぱい頑張っている選手がいる。僕には日本ではちょっと窮屈で。海外の2mの男と喧嘩したい日本人もいるんです。そういう刺激を求めていく奴も、日本人の中では何人かはいないといけない。われわれの役割分担は、職種にかかわらずある。そんなふうに考えている」
本田らしい独特の表現で海外挑戦の継続の意義について触れた。その背景に及ぶと、さらに熱く語った。
「10年近く海外にいますけど、サッカーだけではなく、生活をしているといろいろと許せないシーンは何度もあって。その度に、『日本人を舐めるな』ということを伝えてきたし。それが僕は非常に大事だと、人生において一番価値のある戦いやと思っている。特に権力に振り回される系は、僕は許さないので。常識が大嫌い。『普通は』とか言われると、『普通って何や』と一日中考えてしまう」
あくまで海外でのプレーにこだわり続ける。あとは、前述したとおり刺激と好奇心に満ちたクラブと巡り会えるか。
「あまり固くなっていないですし、基本的にはオープンマインドですよ。とりあえず話を聞いてみるぐらいの感じでいます」
話している間は、終始柔らかい表情だった本田。注目のネクストステージを、自然体で選ぼうとしている。
文・西川 結城(エルゴラッソ日本代表担当)
-
U-20W杯から帰ってきた福岡DF冨安健洋。途中敗退で強まった“あの気持ち”
5月31日にダニルソンが去った雁ノ巣練習場に、6月1日は冨安健洋が帰ってきた。
韓国でのU-20W杯を戦い終えて今朝、福岡空港に着いた冨安はそのままクラブハウスに顔を出した。記者に聞かれて答えた井原正巳監督とのやりとりは面白かった。
「とりあえず監督には『サッカー、やりたいです』と伝えました。監督には『その気持ちも分かるが、かなり試合もこなしてきたのだから、とりあえず休め』と言われました。監督からそう言われるだろうとは思っていましたが、とりあえずいまの気持ちは伝えておこうと思って」
監督の“制止”により、わずか20分のランニングといつもより軽めの体幹トレーニング、ストレッチを行うにとどめた“練習のむし”冨安が多くの記者を前に、韓国で強めた自らの気持ちについて語った。
「1試合1試合に成長を感じながらプレーをすることができた。世界を相手にした真剣勝負の結果は途中敗退。その悔しさは晴らしたい。だから『世界へ出たい』という気持ちが韓国に行く前よりもさらに強くなった」
韓国で本人が自覚したという成長と世界進出に向けた強い野心を、福岡の一員としてのプレーからぜひ感じてほしい。とりあえず、「試合に出られる準備はする」と冨安本人が言う今週末のJ2第17節・讃岐戦からチェックをどうぞ。
文・写真:島田 徹(エルゴラッソ福岡担当)
-
山口の三幸秀稔が2カ月ぶりに復帰。筋肉増えてパワフルに
J2第16節・町田戦で、山口の三幸秀稔が復帰した。成績不振からの監督交代、最下位転落と悩ましい現状の山口にとって、明るいニュースだ。
第4節・東京V戦で負傷して約2カ月間離脱していた三幸。その間、体幹を鍛えるトレーニングや走行フォームの修正、筋力トレーニングと先を見据えた体づくりに取り組んだ。負傷前よりも体の厚みが増したように見え、実際に体重は4kgほど増えたという。「筋肉量は増えたけど、体脂肪率は上がらなかった。球際では前よりパワフルになったので、自分にとってプラスになったと思う」と話す。
ひさびさの実戦復帰となった前節は、77分からの途中出場。短い時間ながらも前線へパスを供給したり、ドリブルで持ち上がったりと懸命に流れを変えようとしたが、ゴールを演出することはできなかった。
ついに最下位まで順位を落とした山口だが、「勝ち点を落とさず、連勝すること。この二つをイメージしながら、走って、戦って、パスをつなぎながら前に行くことを意識したい。それをやり遂げられれば結果はついてくるはず。ぶれない信念をもって戦いたい」と巻き返しを誓う。
文・写真:田辺 久豊(エルゴラッソ山口担当)
-
千葉の乾貴哉が見据える“もっと先”。「アシストと得点を取れる選手になる」
J2第16節・愛媛戦で今季初出場ながら、プロ3年目で自身J初得点となる同点ゴールを奪った千葉のDF乾貴哉。「決め切るところで自分が決められたこともうれしいが、良い流れになってゴールラッシュにつながったのが成果」。先制点を許してからの戦い方がチームの課題だっただけに、値千金の一発が今季初の逆転勝ちの呼び水となったことを最大の収穫と捉えた。
それを補完するのが同じピッチに立った大先輩のMF佐藤勇人の言葉。「メンバーに入るのも厳しかった若い選手が、ピッチで結果を残すというのはメンバーに入れなかった選手のモチベーションにもなるし、チームのレベルを上げるきっかけにもなる。苦労した選手が結果を残してくれると、個人的にもうれしい。本当に乾がゴールを取ってくれて良かった」。この最大限の賛辞からも同点弾の価値が推し量れるだろう。
仲の良いプロ2年目のDF岡野洵が第13節・長崎戦から一足早く先発をつかんだことが刺激になったかとの問いに対して、乾は「『うれしいな』という気持ちはあったが、(自分にも)いつかチャンスがくると思っていた。そこでしっかりチャンスをつかめるようにやるだけだったので、意識することはなかった」。一方で同じ寮に住む高卒ルーキーのMF髙橋壱晟を含め、「『3人で出よう』と言っていて、その3人で出られたので自分もうれしかった」と若手3人組がそろい踏みし、すぐに結果が出たことを素直に喜んだ。
ただ、ここが目的地ではない。「リーグ戦はまだまだ長い中、夏場に負けない運動量だったり、自分みたいな若い力が必要。アシストと得点を取れる選手になる」。出場機会を得た充実感と安ど感はそこそこに、次節・岡山戦での先発出場を見据えた。
文:大林洋平(エル・ゴラッソ千葉担当)
-
ルヴァンカップ・グループステージ最終順位決定。そのとき、仙台は
5月31日に、2017JリーグYBCルヴァンカップ・グループステージの全日程が終了。この結果、Aグループでは仙台が1位となり、4年ぶりとなるノックアウトステージ進出を果たした。
仙台は第6節終了時点でグループ首位だったが、最終節は休み。他会場の結果次第では2位となる可能性もあったが、2位のFC東京が清水に敗れたことで首位が確定した。
試合経過を見守るしかなかった31日の19時から21時は、TVで他会場の試合中継を視聴していた選手もネットで結果を追っていた選手も、それぞれ各種通信手段で情報をやりとりしていたとのこと。クラブハウスでは、試合が動くたびにスタッフが大騒ぎだったという。
一夜明けた6月1日、渡邉晋監督はチームに「自分たちが導いたものがあってこそ、果報が届いた」と呼びかけ、多くの選手が関わって勝ち点13を獲得したことの意味を強調した。
第1節・FC東京戦(0●6)に惨敗を喫してスタートした仙台だが、その後は無敗。「FC東京戦のあとに、石川直樹(写真)が『ここからだ!』と何度も呼びかけたような姿勢が大きかった。若手もベテランもやれることをやって、逆境をはね返す力がついた」と、渡邉監督はチームの組織を作るだけでなく結果も出した選手たちを評価した。
グループステージの多くの試合でゲームキャプテンを務め、第6節・札幌戦で決勝点を挙げた石川直は「みんなで出したこの結果は、リーグ戦を戦う上でも自信になる。これからは今まで以上に成長していきたい」と、この先の戦いに向けて前を向いた。
文・写真:板垣晴朗(エル・ゴラッソ仙台担当)
-
“サッカーの楽しさ”を広める伝道師として。京都の選手が各地の小学校を訪問
5月30日、5月31日の両日、毎年恒例となっている『京都サンガF.C.スポーツアカデミースペシャル』が実施された。
これは京都を中心とした地域の小学校の授業に、トップチームの選手と普及部コーチを派遣するイベント。この2日間は京都と滋賀の計15校で実施され、各地で小学生たちと京都の選手がサッカーを通じて触れ合った。
19年度に新スタジアムの完成が予定されている亀岡市の市立保津小学校を訪れ、全校生徒44人と交流したのがMF小屋松知哉。ジャンケンゲームやリフティングのデモンストレーションから始まり、小屋松も参加するミニゲームまで、3、4時間目の時間を使い校庭を駆け回った。
イベントを終えて、「今日はサッカーの楽しさを教える日。この場所で、子どもたちがよりサッカーを知って、もっと好きになってくれれば、スタジアムができる意義も高まる」と、亀岡の子どもたちにサッカーに親しんでもらうことの大切さを強調した小屋松。さらに、「やっぱり、きっかけがないと(スタジアムへ)足を運ばない。これがきっかけで一度試合を観に来てもらって、『また行きたい』と思ってもらうのが一番。親御さんにもそう思ってもらえれば、そこからまた発信して、広げてもらえる」と続ける。
子どもの一人に話を聞いてみると、「サッカーを観に行ったことはないけど、観に行ってみたくなった」と目を輝かせる。Jリーガーから直接サッカーを教わったこの日、“サッカーの楽しさ”は子どもたちの心にしっかりと根を張ったに違いない。
文・写真:川瀬太補(エルゴラッソ京都担当)