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古巣戦を迎える中村駿。「良いライバル」山岸祐也との対戦を楽しみにしつつ、“アレ”は全力で否定
山形は前節・岐阜戦で、0-1のビハインドから追い付いてドローに持ち込んだ。同点ゴールを決めたのは、途中出場のMF中村駿。フリーでペナルティーエリア内に入り込む、自身の特長が表れたプレーだった。その勢いで中村は今節、古巣・群馬と対戦する。
中村は昨季、群馬のボランチとしてリーグ戦34試合に出場したが、今季ボランチでプレーするのは、中村とともに昨年の“大卒トリオ”の一人だったMF山岸祐也。いまでも週に1回は連絡を取り合っているそうだが、今季の群馬は最下位の時期が長く、また中村も5月以降は先発を外れるなど互いに苦しい時期を経験した。そんなときにも「乗り越えれば良いことがあるから、頑張ろう」と話し合っていたと言い、「違うチーム同士ですけど、良いライバルですね」と互いを認め合っている。
「アイツが先に(J2通算)50試合出てしまって、それを追いかけている状態」と試合数でもライバル心を燃やしているが、「アイツは足元の技術も抜群ですし、上背もある。自分が出たらそこでしっかり戦ってイニシアチブを取れたらいいなと思います」と、そのプレーを高く評価しつつ、マッチアップも楽しみにしていた。
ただし、キャプテンマークを巻く姿だけは「似合ってないですよ、絶対。全然似合ってない」と全力で否定していた。
文・佐藤円(エルゴラッソ山形担当)
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オフに母校を訪ねた木本恭生。次節、かつての「憧れのチーム」との一戦で先発か!?
3日間のオフ明け初日となった8日、C大阪のユン・ジョンファン監督は「次節の清水戦から7月末まで(まとまった)休みはない。暑い中でのハードスケジュールになるが、この時期をうまく乗り越えていこう。そのために、肉体的、精神的に、良い準備をしよう」というミーティングから練習をスタートさせた。
清水戦では、ここまでボランチで八面六臂の活躍を見せていたソウザが出場停止。代役候補の一番手となるDF木本恭生は、「監督からはまだ何も言われていないし、週末の練習試合でアピールすることが大事。ボランチでリーグ戦に出ることになれば初めてなので、また違ったプレッシャーもあると思うけど、リーグ戦の雰囲気には慣れてきている。ソウザ選手に攻撃面では敵わないけど、そのぶん、バランスや守備の部分で安定感を出せればいいと思う」と試合をイメージする。
オフの間は、静岡学園高時代の同級生、川崎FのMF長谷川竜也と母校を訪ねた。「監督にも挨拶しました。『こんなので満足するなよ!』と言われたので『もっと頑張らないといけない』と初心に帰ることができました。実家にも帰って、リフレッシュしました」と笑顔を見せた。
また、清水は「小学生のころの憧れのチーム」だったそうで、「試合もよく見に行きました。中学のときには、自転車で1時間くらいかけてスタジアムに行ったこともあります(笑)」という。「もちろん、いまは敵なので、そういう昔の思いは関係なく戦いたい」と意気込みを語った。
文・小田尚史(エルゴラッソC大阪担当)
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フアン・エスナイデル監督がレアル・マドリーを応援していたのは「監督と◯◯」だから
3日(現地時間)にウェールズのカーディフで行われた欧州CL決勝。対峙したスペイン王者・レアル・マドリーとイタリア王者・ユベントスの両クラブに現役時代、在籍経験があるのが千葉のフアン・エスナイデル監督。どちらを応援していたのかとの問いの答えは「レアル」。その理由は「監督とアミーゴ」だからだそう。優勝決定後にメッセージをやり取りしたというジネディーヌ・ジダン監督だけなく、「クラブ内にもたくさん知り合いがいるので、勝ってほしいと思っていた」との思いを明かしてくれた。
さらには試合内容についても言及。まずは95-96シーズンなどのべ3年間在籍した勝者のレアル・マドリーについて、「レアルは偉大な選手がいるので、違いを見せ付けた。レアルに勝つことは本当に難しい。シュートチャンスを与えてはくれるが、相手が攻撃するときは(カウンターで)毎回ダメージを与えられる」と分析。続いて99-00シーズンから2年間所属した敗者のユベントスについて、「もうちょっと攻撃時に主導権を握れると思っていた。最初の15分ぐらいは良かったが、(まるで)攻撃に“重し”が乗っていたようで、全然攻撃に絡めなかった」と見立てた。
レアル・マドリーの優勝はどれぐらいうれしかったのかという質問には「そこまで『わぁ』と喜んだわけではないが・・・」と苦笑い。それでも最後は「僕たち(千葉)が勝ったほうが喜べる(笑)」と古巣の2年連続のビッグイヤーに口も滑らかだった。
文:大林洋平(エル・ゴラッソ千葉担当)
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興梠慎三が明かしたあのPK。駆け引きに勝ち、勝負に負けた
柏のGK中村航輔が一瞬、向かって左に動いた。興梠慎三ははじめから右を狙っていたわけではなく、左に蹴ろうとしてGKを見て右に変えたのでもなかった。「GKを見てから決めた」。
これは4日に行なわれた柏戦、PKの場面。浦和にとって、この柏戦は暫定首位との直接対決で敗れ、勝ち点の未消化分を勝利しても逆転できない7差に離されると同時に、暫定ながら6位に転落する痛い敗戦となった。
その試合の中でペトロヴィッチ監督が「決まっていれば逆転してもおかしくない展開が作れていた」と嘆いたのが49分のPK。キッカーの興梠はゴール右を狙いながらも枠を捉えられず失敗してしまった。
興梠はあのPKを「GKを見て逆を取れたから、もっとコースが甘くても良かった」と振り返った。助走で2度、スピードを緩めながらGKを見て、左に動いたのを確認してから右に蹴ることを決めた。そこまではイメージどおりだった。相手が先に動くことを誘発しただけに「駆け引きには勝った」。ただ、「ギリギリを狙い過ぎた」ために外してしまった。「外したから結果的には負け。自分の技術ミス」だった。
外した直後には腰を折ってうなだれた興梠。「点を決めるチャンスだったので悔しかった」が、もはや気持ちを切り替えている。「次の磐田戦でまたPKがあったら蹴りたい。そして決めたい」。ストライカーとして、浦和のエースとして、この失敗を糧にする。
文・写真:菊地正典(エルゴラッソ浦和担当)
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古巣・水戸戦でも、三島康平は「松本の一員」として全力を尽くす
今週末の11日、10試合負けなしと勢いある水戸とアルウィンで相対する松本。その水戸から昨季途中に松本への移籍を果たしている三島康平が、今節での健闘を誓った。
4年半にわたって水戸でプレーし、昨季途中まで得点源として活躍。他チームからの注目を浴びるのは必然だったが、同カテゴリーのチームにシーズン途中での移籍は話題となった。
三島自身もJ1昇格を目指して松本移籍を決断しただけに、「(今季も対戦することに)複雑な思いはあります。軽々しく『楽しみにしていた』とは言えません」と心中を吐露する。それでも「試合が始まれば、松本の一員として勝利に貢献したい」と自分の仕事に全力を尽くす構えだ。
「選手一人ひとりが一生懸命まじめに頑張るチーム。選手全員に堅い守備からの速攻やハードワークが求められる。西ケ谷さんはサッカーに対して本当に熱い指導者で、所属時にはすごくお世話になりました」。所属していたからこそ、水戸を警戒する言葉には説得力がある。
過去の対戦成績こそ6勝2分の負けなしと松本に圧倒的な分があるが、今節ばかりはそのようなデータも参考にはならないだろう。激戦必至のカードで“水戸サポーターに愛された男”は、松本のためにどのようなプレーを見せるのか――。
文・多岐 太宿(エルゴラッソ松本担当)
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「大好きなクラブ」との一戦を終えて細貝萌が感じたこと
普段なら、ほかの選手と比べても遅めにミックスゾーンに姿を現し、丁寧に取材に応じるMF細貝萌だが、前節・浦和戦後は違った。たくさんの報道陣が集まるミックスゾーンに柏の選手では最初に姿を現すと、親しい関係者と一言二言交わし、足早に通り過ぎて行った。
浦和戦翌日から3日間のオフが明けた8日、その理由を本人に尋ねると「自分の中でしっかりと(気持ちの)整理ができていなかった。そこで中途半端な発言をしてはいけないと思っていたので、そのときはスッと通った」と理由を説明。そして、試合後に浦和サポーターへ挨拶に行ったことに関してこう続けた。
「(浦和は)お世話になったクラブ。もちろんスタッフや選手とは普段から連絡も取るし、会うし、当然挨拶にも行くけど、日本に戻って来ても、サポーターの一人ひとりに『日本に帰ってきました』という挨拶はできないので、(帰ってきて)初めて浦和と対戦するタイミングで、挨拶に行くべきだと自分は思って行った。いろいろな考えがある中でも『柏で頑張れ』と言ってくれる人がいる。ホームページへのメッセージもそうだけど、ポジティブなことを言ってくれる人のために挨拶に行って、良かったと思います」
どこかスッキリとした表情を浮かべながら、「大好きなクラブ」との対戦を振り返った細貝。9月には埼玉スタジアムに乗り込んで対戦することになるが、「そのときに自分がどうなっているかも分からない。プレーできていれば良いですけど、けがをしている可能性もゼロではない。だから、そこに(特別な意識を持って)向かっていくということは自分の中ではないですね。次の試合に向かって毎週ベストを尽くしていく。生きていれば“そのとき”は来ると思うので、そのときにまた考えれば良いかなと思います」と冷静に語った。
文・須賀大輔(エルゴラッソ柏担当)
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山口が新体制でリスタート。マジョール新監督「スタイルは大きく変えない」
山口は5日、新監督にカルロス・アルベルト・マジョール氏が就任することを発表した。フィジカルコーチにはファクンド・ペラルタ氏が就任。現在はJ2最下位に沈んでいるが、新体制を整え、浮上に向けて動き出した。
翌6日からチームに合流したマジョール監督。初練習では選手一人ひとりの名前を呼ぶなどしてコミュニケーションを取り、笑い声が飛び交う場面も見られた。練習を終えた選手たちは「新鮮で楽しい」「集中して取り組めた」と充実した表情で話した。
マジョール監督は前節・横浜FC戦を現地で視察。これまで積み上げてきたショートパスをつなぐサッカーを高く評価し、「(スタイルを)これまでと大きく変えるつもりはない。前線のスピードを上げ、課題となっている守備面も強化していきたい」と話す。
今節はホームに岡山を迎える。練習2日目となった7日には対戦相手の印象を、「ディフェンスが5枚でコンパクトなチーム。カウンターに気を付けたい。勝利できるように、練習から頑張りたい」と語ったマジョール監督。新たな指揮官の手腕に期待が高まる。
文・写真:田辺久豊(エルゴラッソ山口担当)
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軽やかにピッチを駆ける福岡のボランチ山瀬功治。その動力源は“あのころ”の気持ち
福岡のMF山瀬功治の動きが軽やかだ。はねるようにピッチを駆けるようになったのはJ2第8節の長崎戦あたりから。それまでのフル出場は1試合だったが、長崎戦以降、前節の讃岐戦までの出場9試合のうち6試合、89分と88分の“ほぼフル”も合わせると8試合でピッチを走り切っていることになる。
軽快な動きが見られるようになったのは、入念な体のトリートメントに加え、移籍加入してチームのやり方に馴染み、チームメートとの連係が深まってきたことも関係しているだろう。だが、山瀬の話を聞いて思う一番の理由は別にある。
「過去にも経験はあったが、ここまで連続してボランチとしてプレーしたことはなかった。だからいま、毎日が新しい発見でいっぱい。オフェンシブなポジションでのプレーとは必要なスキルはもちろん、動きの質も異なる。細かく挙げればキリがないほど発見の連続だね」
そんな新発見の連続で毎日がとても楽しいのだ、と。「それこそ、サッカーをやり始めて30年近くが経つが、いまは“やり始めたころのような気持ち”でプレーしている」と言うのだ。
ワクワク感が動力源。山瀬の脚を軽快に動かしているのは、“あのころ”の気持ちなのだ。
文・島田 徹(エルゴラッソ福岡担当)
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鹿島の強さの秘密がここにある。鈴木満強化部長の本が発売
8日、クラブ創設から鹿島の歴史をつぶさに見てきた鈴木満常務取締役強化部長の本が発売された。
タイトルは『血を繋げる。勝利の本質を知る、アントラーズの真髄』。Jリーグ開幕以来、国内19冠のタイトルを獲得してきた鹿島。そのほとんどのタイトルは、鈴木満氏が強化部長を務めるようになってから獲得してきたもの。1度目の世代交代を終え、現在2度目の世代交代が着々と進んでいる鹿島の強化方針や、今季もなぜ早い時期に監督交代が行われたのかが、この本によって理解できるはずだ。
【書籍名】血を繋げる。勝利の本質を知る、アントラーズの真髄
【発行】 幻冬舎
【定価】1,300円+税
文:田中滋(エルゴラッソ鹿島担当) -
リカルド・ロドリゲス監督。徳島ヴォルティスのチャントを口笛で吹きながら現われる。
今節・湘南戦へ向けた取材対応に現われた徳島のリカルド・ロドリゲス監督がピーピーと口笛を吹いていた。メロディを聞いてみると、「立ち向かえ、戦士たち〜♪ 俺たちが、望むもの〜♪」と始まる徳島ヴォルティスのチャントだった。ロドリゲス監督はこのチャントが気に入っている様子で、このメロディーが流れているときは「(試合展開も)調子がいい」と笑顔。試合で苦戦していそうなときは、このチャントでバックアップすればロドリゲス監督が妙案を思い付く手助けになるかもしれない。
また、小幡直嗣通訳の情報では「シャワー室から、『ニコラ〜ヴァシリェヴィッチ〜♪』ってよく聞こえてきます」とのこと。ロドリゲス監督も笑顔で認め、ほかにも探ってみると「ヤマサキッ!」「フジワラッ!」と楽しそうに発した。その二つに関してはチャントというよりも名前を呼んでいるだけだと思うのだが、なぜかこの2選手だけが話題に上がった。
そういえば、練習を振り返ってみるとウォーミングアップ中に「ヤマサキッ!」と大きな声で言っているのをたまに見かける。これのことだったのか!? いずれにせよ、なかなかお茶目な一面が垣間見えた囲み取材となった。
文・写真:柏原敏(エルゴラッソ徳島担当)
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