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「死に物狂いでやってくる」。海外挑戦を決めたG大阪の堂安律が語った決意
FCフローニンゲン(オランダ1部)へ期限付き移籍するG大阪の堂安律が23日、山内隆司社長とともに記者会見を行なった。
会見の冒頭、山内社長は「今シーズンはトップの主力としてJ1、ルヴァンカップ、天皇杯での活躍を期待していました。従いまして、堂安律選手を新しいチームに送り出すにあたっては戦力的にも痛いものがある」と堂安の移籍が戦力ダウンになることを認めた上で「われわれクラブとしても大きく悩んだのではありますが、ガンバのアカデミーで育った宝でもありますし、さらに大きくこれを機会に世界に旅立ってほしい」と話した。
堂安も「このタイミングで行くのは申し訳ないと思いますが、そういう状況の中でも後押ししてくれた山内社長やコーチングスタッフには感謝したいと思います」とクラブに感謝。念願だった海外挑戦に向けて「メンタルでも1年間、頑張りが大事だと思うので本当に、1年間死に物狂いでやっていきたいと思っています」と決意を口にした。
移籍の決め手になったのはやはり、5月に行なわれたU-20W杯だ。「想像以上に感じたものがあった。去年から1年間海外に行きたいという気持ちに変わりはなかったですけど、それが倍以上になるぐらい気持ちが増えたのは、あの5月の大会があったおかげかなと思います」
FCフローニンゲンでのプレーを決断した理由については「一番は、自分を戦力として、出場させたいという気持ちが伝わって来た。(オランダリーグは)ステップアップできるリーグなのかなと思ったし、去年話があったときからオランダリーグに対して興味は強く持っていました」と明かした。
文:下薗昌記(エルゴラッソG大阪担当)
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ベテラン・大久保裕樹が指摘する、いまの千葉に足りないモノ
21日の天皇杯2回戦・東京V戦で今季公式戦初先発を果たし、フル出場で1-0の勝利に貢献した千葉のDF大久保裕樹。リーグ15位に沈むチーム状況を鑑み、「(いまのチームに足りないのは)自己犠牲の意識というか、助け合うところ。技術的な要素で力を発揮することも大事だが、気持ちの面でチームとしてまとまる姿勢を打ち出すことを意識し、表現できたからクリーンシートで終われた」とメンタル面を勝因に挙げた。
プロ生活14年の間で広島、京都、徳島、松本の4クラブで計5回、J1昇格を経験してきたベテランだからこそ、現状に歯がゆさを感じている。
「このチームは、元々の力はある程度はあると思うけど、昇格圏内に入っていく力を引き出せていない。そういうところに必要なのが自己犠牲(の精神)。まとまりが出てくれば、勝手に順位は上がっていくと思う」
では、どのようなプレーで一体感が醸成されると考えるのか。
「例えば、誰かが守備の対応にいって、『抜かれるなよ』っていうところで抜かれた時にそのまま失点するのではなくて、誰かがカバーしてあげる。攻撃だったら、誰かが得点するために無駄に走ってあげるとか。ゴール前でゴールを決められるのに、横パスを出すというのは極端だが、それに近いことをもう少しできれば」
ミスのカバーや仲間へのフォロー……。当たり前のプレーの積み重ねが大事だと語る。「本当は試合に出なくても伝えていきたいが、出ていないと説得力がない。まずはやるべきことをしっかりとトライし、その上で試合に出るチャンスをつかんで、チームがいい方向に向かう働き掛けや、経験してきたことを落とし込んでいきたい」。千葉の9年ぶりのJ1昇格にためには、33歳のベテランの力がいま以上に必要とされる時が必ず来る。
文:大林洋平(エルゴラッソ千葉担当)
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天皇杯敗退の経験を力に変える――。リ・ハンジェが説く「もう一度信頼を取り戻すために必要なこと」
ミッドウィークに戦った天皇杯2回戦・大分戦は2-4での敗戦。大分戦に出場し、リーグ戦で出場機会の少なかった選手たちにとっては、2年連続初戦敗退以上に貴重な公式戦の機会を失ったため、天皇杯敗退は少なからずチームに暗い影を落としている。大分戦を外から見守った中島裕希は「切り替えられている選手、引きずっている選手。それぞれがいる」と現状のチームの空気感をそう話した。
しかし、試合は待ってはくれない。大分戦から4日後の25日には東京Vとの『東京クラシック』が待っている。そんな“ビッグゲーム”を前に、チーム主将にしてプロ17年目の李漢宰は「上から目線で言うつもりはないけど」と前置きしながらも、肩を落とすチームメートに次のようなメッセージを投げ掛けた。
「(天皇杯の結果は)勝負の世界では日常茶飯事のこと。この結果をいかに力として変えられるか。それをできた選手が再びピッチに立つ資格があると思う。僕もそんな経験はいくらでもしてきたけど、長い人生で考えればほんのちっぽけなこと。信頼を積み上げるには時間がかかるけど、落ちるのはほんの一瞬。もう一度信頼を取り戻すことが必要で、それをせずに下ばかりを向いていれば、一生チャンスなんてやってこない。もう一度チャンスを自分で手繰り寄せるぐらいの強い気持ちを持ってほしい」
そう話すリ・ハンジェとて、今季はベンチを温める試合も少なくなく、ピッチに立つために不断の努力を欠かさない。常に競争にさらされている。それがプロサッカー選手の宿命だろう。
「こういうときにどうすればいいか。大事なことは誰も教えてくれないし、自分で気付いて行動に移さないといけない。結局答えは自分で探すしかないし、常に答えはピッチの中にある」
大分戦の結果を“反骨心”に変えて這い上がってくる選手は誰かーー。決して多くの時間は残されていないが、そのファーストチャンスは、週末の東京V戦で転がっている。
文:郡司聡(エルゴラッソ町田担当)
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自分のゴールよりチームの1勝。心優しき清水のチアゴ・アウベス、10試合ぶりの勝利をもたらせるか
23日、三保は強い日差しが降り注ぎ、とても長くは外に出ていられないような暑さとなった。そうした中でも、チアゴ・アウベスは取材に応じてくれ、さらに自分が被っていた帽子を記者にかぶせるなどサービス精神は忘れなかった。
アウベスは22日の練習で、接触プレーから鼻を強打。帰宅する際も鼻を押さえたまま車に乗り込むなど、今節への影響が心配されていた。しかし、一日経ったこの日は、「もうプレーには問題はないが、不細工になってしまったよ(笑)」と冗談で応じ不安を一蹴した。アウベスが加入し、試合に出場し始めてから清水はリーグで1勝もできていない。そのため、「自分のゴールよりも、1試合でも早く勝ちたい」と勝利に飢えている。
清水は前節・C大阪戦でアディショナルタイムに同点ゴールを決められ勝利を逃すなど、あと一歩で勝ち切れない試合が続いている。アウベスの活躍から、チームとして10試合ぶりの勝利、今季リーグ戦でのホーム初勝利、小林伸二監督のJリーグ通算200勝と、ここまで溜まりに溜まった意味ある勝利にしたい。
文・写真:田中芳樹(エルゴラッソ清水担当)
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天皇杯2回戦敗退の仙台。中3日で迎える明治安田J1第16節・C大阪戦に向け「もうひとつの事実に向かって動き出そう」(渡邉晋監督)と気を引き締める
天皇杯2回戦で敗退した仙台が、中3日で迎える明治安田J1第16節・C大阪戦に向けて気を引き締めている。
仙台は21日にユアテックスタジアム仙台で開催された天皇杯2回戦で、茨城県代表の筑波大に2-3で敗戦。2年連続の初戦敗退という、不名誉な結果に終わってしまった。渡邉晋監督は試合当日にクラブハウスに戻ってクラブ側と話し合い、翌日付で公式インスタグラムにてメッセージを公開。サポーターへ謝罪するとともに、中3日で同じホームで行われるC大阪戦に向けてサポーターの力を求めた。一方で21日夜のうちに、次の試合に向け、各種映像分析や選手の状態確認などを進めた。
22日の練習を前に、監督はチームに「負けたのは事実だ。しかしもうひとつ、3日後にC大阪戦がある、というもうひとつの事実がある。負けた事実は受け止め、プロとして、いつまでも引きずらずに次への準備をする。もうひとつの事実に向かって動き出そう」と呼び掛けた。
これを受けて富田晋伍主将(写真)が「天皇杯で負けてしまったあとですが、ホームですし、勝ち点3を取るということをサポーターに向け意思表示し、結果で示したい」と語気を強めたように、選手たちはC大阪戦に向けて気を引き締め直した。現在、リーグ戦4試合で負けのない仙台は、強敵・C大阪相手に、ホームゲーム3連勝を目指す。
文・写真:板垣晴朗(エルゴラッソ仙台担当)
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札幌のチャナティップ・ソングラシン、初の全体練習合流。タイのメッシはメディアを引き連れ来札
今月20日に来日した“タイのメッシ”ことMFチャナティップ・ソングラシン。21日は天皇杯2回戦が行われたため全体練習がなく、22日がオフ。そのため23日が初の全体練習合流となった。
公式戦2日後でオフ明けということもあり、比較的軽めなメニューではあったものの「ポジショニングなど細かい部分がしっかり求められる」と日本での本格練習初日の感想を話した。また、チームメイト全員と一緒に練習したことについても「みんな優しく接してくれてうれしい」と好スタートとなった様子。
札幌市内に移り住んでからの2日間についても「食事も美味しいし、街の景色や空気も綺麗」と大満足な口ぶり。移籍ウインドーがまだ開いていないため、公式戦出場のための選手登録までにはまだ1ヵ月ほどを要するが、それまでに万全な調整をしてくれそうな気配だ。
また、“タイのメッシ”はメディアを引き連れての来札となった。タイの大手メディア企業「サイアム・スポーツ・シンジケート」は記者と映像スタッフを派遣。宮の沢白い恋人サッカー場のプレスルームからこの日の出来事をつづった記事と、シュート練習でチャナティップが見事なボレーシュートを決めた場面の映像を母国へと送り届けていた。身長158cmという小柄ではあるが、その存在の大きさがあらためて感じ取れた。
文:斉藤宏則(エルゴラッソ札幌担当)
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J3の沼津に不覚を取った京都。エスクデロ競飛王は「目の前の敵に勝つか負けるか」と原点に立ち戻る重要性を説く
21日に行われた天皇杯2回戦で、カテゴリーが一つ下の沼津に0-1で完封負けした京都。沼津が大きくメンバーを入れ替えていたのに対して京都はほぼフルメンバー。さらに会場は京都のホーム西京極と、負けられない条件がそろう中で喫した手痛い敗戦だった。
この敗戦を受け、戦う姿勢を見つめ直す必要性を強調するのがエスクデロ競飛王だ。
「(公式戦で)2連敗しているし、J2で14位というのが現実。どことやっても五分五分の試合をしてしまっている。まずは、球際で負けないこと、走り負けないこと。京都のほうが選手が良いとか、そんなの関係ない。11対11の戦いで目の前の敵に勝つか負けるかで、失点するかしないかが決まる。戦う姿勢を前面に出した上で、得意なプレーを出せばいい」
エスクデロは、長引いた負傷から6月に復帰したばかり。個人としても巻き返しを期す思いが強いだけに、今節・金沢戦へ向けた言葉にも熱が帯びる。
「次はホーム。相手に『京都のホームはイヤだ。行きたくない』と思わせるような試合をしないといけないし、観に来た人には『今日は戦っていた』、『観に来て良かった』と思わせたい。スタメンかベンチか分からないけど、準備は常にしている。スタメンなら絶対に奪われないようにしがみついてやるし、途中からでも一生懸命やる。自分は長くけがをしていて難しい立場だけど、少しでもチームが上に行けるように、信頼を勝ち取りたい」
負傷明けから急ピッチで体を仕上げてきただけに、「結構、疲れている」と言う。それでも、「金沢戦に全部をぶつける。倒れるぐらい、救急車で運ばれるぐらいにやらないと勝てない。そういう気持ちでやる」と、不退転の覚悟を示している。
文:川瀬太補(エルゴラッソ京都担当)
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負傷からの復帰を果たした福岡・中原貴之。その眼にはすでに貪欲の炎あり
「素直にうれしかった」
6月21日の天皇杯2回戦、宮崎産業経営大との一戦を振り返った中原貴之の言う「うれしさ」には、さまざま意味が込められていた。
2016年のJ1リーグ1st第11節・仙台戦(6月8日)以来となる公式戦出場を果たしたこと。その復帰戦で2015年のJ2第32節・札幌戦(9月20日)以来のゴールを挙げたこと。
そして3歳になる息子にピッチでプレーするパパの姿を見せられたこと。さらに「左ひざの手術を神戸で受けたので(2016年6月17日)子供がいる福岡との往復をしなければならなかったし、術後しばらく僕は歩くこともできなかったので身の回りの世話も大変だったと思う。また、リハビリ中は僕以上のストレスがかかっていたはず。だから一番喜んでくれたんじゃないかな」と言う奥さんの笑顔を見ることができたこと。
何より「復帰までにあまりにも長い時間が経ったので、自分の元のパフォーマンスがどんなものだったかを忘れてしまって、さぐりさぐりの状態で一日一日を過ごしてきた」という五里霧中の状況から脱する光を五感で感じられたことがうれしかったのではないか。
「ゴールよりも試合に出られたことがうれしかった。けがをしたことはつらかったが、試合に出られるうれしさ、そういう新鮮な気持ちをもう一度持てたことは良かったのかなと思う」
ただし、闇から抜け出した“タカ”の目から安堵の色はすでに消え、貪欲な炎が灯る。
「1点だけでは物足りない。この天皇杯でのゴールをリーグ戦でのゴールにつなげたい」
文・写真:島田徹(エルゴラッソ福岡担当)
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G大阪・堂安律、オランダ1部・FCフローニンゲンに期限付き移籍。後ほど会見を詳報予定
G大阪の堂安律がオランダ1部のFCフローニンゲンに期限付き移籍することが23日、発表された。
午後1時半から開かれた移籍会見で堂安は「このタイミングでオランダに行くという決断をしました」
などと語った。移籍期間は2017年7月1日から、 2018年6月30日までの1年間。昨夏もPSVのオファーを受けていた堂安だったが、19歳にして念願の欧州移籍を果たすことになった。 FCフローニンゲンは昨季のオランダリーグ1部で18チーム中8位に終わっている。会見は後ほど詳報する。
文:下薗昌記(エルゴラッソG大阪担当)
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[本日のエルゴラッソ1面]優勝戦線 直接対決
[明治安田J1第16節 プレビュー]
■G大阪 vs 川崎F
“ストライカー”阿部が狙う青黒への一撃■広島 vs 大宮
降格圏脱出、そして反撃へ[明治安田J2第19節 プレビュー]
■横浜FC vs 湘南
快進撃の山形か、巧者の徳島か