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「良い記憶、良い思い出がある」。長崎で2年連続の恩返しゴールを狙う京都のイ・ヨンジェ
ホームで戦った前節・大分戦に引き分け、J1昇格プレーオフ進出ラインの6位が勝ち点9差に遠のいた京都。それでも、前節のイ・ヨンジェのプレーはわずかな光明だったと言える。昨季はチーム最多タイの7得点を挙げているイ・ヨンジェだが、今季は第28節終了時点で1ゴールのみと不本意なプレーを続けていた。しかし13試合ぶりに先発起用された前節ではCKからの豪快なヘディングでチームに先制点をもたらし、復調ぶりを印象づけている。
さらに27日に控えるJ2第30節は、イ・ヨンジェが初めてプレーしたJクラブである古巣・長崎とのアウェイ戦。長崎での試合では昨季も1ゴールを挙げており、「長崎には良い記憶、良い思い出があるし、スタジアムの雰囲気も好き。良いメンタルで試合に臨める」とモチベーションを高めている。
ひさしぶりに先発出場した前節については「先発で出られたことは良かったし、自分のペースやリズムがつかみやすかった」と振り返るが、チームがなりふり構わず勝ち点3を奪いにいくべき正念場に立たされていることは、むろん承知。「途中からの出場でも、勝利のためにしっかり働きたい」と先発にはこだわらない姿勢を示す。
いまは敵将となった長崎の高木監督は、「僕を成長させてくれた監督。感謝の気持ちしかない」と話す、恩師と呼べる存在だ。その恩師の前で2年連続の恩返しゴールを決めることができれば、イ・ヨンジェは京都の逆襲の起爆剤となるかもしれない。
文:川瀬太補(エルゴラッソ京都担当)
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長崎が島原ミニキャンプを実施。テーマはミスを減らすことと、団結
今節、ホームで京都戦を迎える長崎が、この試合に向けてオフ明け一泊二日の日程で島原でのミニキャンプを実施した。
「キャンプ前に監督も言っていたけど、全員で京都戦に勝つっていう雰囲気にするためのキャンプだった」と田上大地が振り返ったように、今回のキャンプのテーマは京都戦に向けた結束。また、練習内容についてはミスを減らすことがテーマだった。東京V戦ではミスが頻発しただけに「小学生がやるような止めて蹴るとかそういう基本的なことをもう一回、思い出す。少しずつではありますけど全体的に意識の改善はできつつあるのかなと思う」と翁長聖が話すように、サッカーの根本的な部分の徹底を図っていた。
また、こういったキャンプでは普段以上にコミュニケーションを取れることも利点。「いつもは午前で練習が終わって午後はフリーになるのでみんなと一緒に過ごすのが午前だけ。みんなで一緒に過ごすことによって、サッカーのこと、サッカー以外の会話も増えたというのは良かった」と田上も話している。終盤戦に向けて、一致団結を図るには絶好の機会になったことだろう。
キャンプ一日目の夜には島原市内で花火大会も行われており、「ホテルの露天風呂からちょうど見ることができました。みんなで一緒に見ることができて良いリフレッシュになりました」(田上)と、思わぬ副産物もあったとのこと。
「京都戦の結果につなげないといけない」と飯尾竜太朗が話すように、週末の試合でキャンプの成果を結果として表現したいところだ。
文・写真:杉山文宣(エルゴラッソ長崎担当)
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どうしてもピッチに立ちたい。日本平での清水戦を前に、浦和の高木俊幸にあふれる思い
「何で僕が復帰した途端に暑くなるんですかね。先週まで涼しかったのに」
6対6のゲームで2人に囲まれながらもボールをキープし、さらに持ち運んでから左足を振り抜いてゴールを決めた25日の練習後、そう言って笑う高木俊幸の顔は、まだ白かった先週と比べると頬骨の辺りが赤くなり、全体的に随分と黒くなっていた。
右足の打撲で約2週間離脱し、チームに交流してから約10日。その間の2試合はメンバー入りできなかったが、今回はどうしてもメンバーに入りたい。ピッチに立ちたい。相手がほかでもない清水、そして舞台が日本平だからだ。
「浦和戦ぐらいしか戦ってなかったし、ホームって感覚はなかったんですよね」と話していた15年の舞台、エコパスタジアムとは違う。日本平は高木にとって、「J1でプロとして一番長い時間をともにしたピッチなので、思い入れはすごくある」特別な場所。加えて浦和が日本平で公式戦を戦うのは8年ぶり、リーグ戦にして9年ぶりとなるだけに、次に機会が訪れる保証もない。
初めての古巣戦、15年のホームでの清水戦は出場機会が訪れず、ペトロヴィッチ前監督から「使ってやれなくてすまなかった」と気遣われた。アウェイではスタメン出場の機会を得たが、持てる力を出しきれなかった。今季の前半戦は途中出場したが、開幕前に負った右足第5中足骨疲労骨折から回復して3試合目かつ古巣戦で自身も苦笑してしまうほど「空回りした」。
今回はどうか。連戦が続くなか、那須大亮、森脇良太、宇賀神友弥、柏木陽介、ズラタンと負傷者が続出しているだけに、「けがをして迷惑を掛けてきたぶん、チームが苦しいなかで自分みたいなフレッシュな選手がやるべき時期」と自覚している。その“スタート”を清水戦で切ることができるか。肉体的にも精神的にもその準備はできている。
文・写真:菊地正典(エルゴラッソ浦和担当)
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「絶対に取れると信じてやる」。湘南の端戸仁、酷暑のいまに熱き決意
あと1週間で9月になるというこのタイミングで、関東地方では猛暑日が続いている。湘南の端戸仁は気候についてこのように話した。「めっちゃ暑いですね。俺はもともと夏が苦手なんですよ。プロとして試合を出ながら夏を越えるのは去年できなかったし、プロを9年やっているけど、(シーズンをとおして出場したのは2012年の)北九州でやった1年しかない。だからそういう意味ではすごくキツいけど、自分自身やりがいはすごくある」。充実な表情を見せたが、一つだけ気になることが心の中にある。
「どうしてもいま自分は点が取れていないので、モヤモヤする部分がすごくある。一生懸命やっているんだけど、なかなか取れない。やっぱりもっとリスクを冒して相手のゴールに迫っていくことが大事だし、前を向いてしかけないと相手も怖くないと思う。そういう意味ではまだまだ自分自身物足りないし、どこかで決定的な仕事ができるように」
ここまでリーグ戦19試合に出場。プレスを前線から掛けてスイッチを入れ、ボールに関わりながら起点になっている。得点という観点から見てもチャンスは確実に毎試合訪れている。あとは本当に細かい部分だけ。「まったくチャンスがないわけではない。最低でも枠に飛ばしたり、自分のところに来たら『絶対に決める』という気持ちで。力が入りすぎても良くないけど、無心にいかになれるかだと思う。絶対に取れるんだという気持ち、信じてやるしかない」。
端戸はチームの勝利のため、そして勝利につながる得点を奪うために一日一日のトレーニングを真摯に取り組む。「普段の練習を頑張っていたらこぼれ球が来るかもしれない。その自分が点を取れていない現状から目をそらさないで、練習をやっていきたい」。この努力は必ず嘘を付かない。今季初ゴールはもうすぐそこにあるはずだ。
文:高澤真輝(エルゴラッソ湘南担当)
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W杯出場のチャンスを前に。ウズベキスタン代表選出の磐田・ムサエフ、「まずは神戸戦」
磐田のムサエフが25日、報道陣の取材に応じ、ウズベキスタン代表選出について話した。
「まずは神戸戦(26日、J1第24節)に集中したい。明日のゲームのあとで代表のほうに頭を切り替えたい。ウズベキスタンとしてW杯出場のチャンスを迎えている。国民の皆さんは(予選突破の可能性を)50%と考えているようですが、逆に言えば50%の確率があるということ。国のために戦いたいと思う」
ムサエフは6月にもウズベキスタン代表に選ばれており、2回続けての招集となる。同代表はロシアW杯アジア最終予選グループAで3位につけており、今シリーズでは中国代表、韓国代表と対戦する。
6月シリーズではピッチに立てず「今回はプレーしたい」と話すムサエフ。ピッチに立つことができるか、注目だ。
文:青木務(エルゴラッソ磐田担当)
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松本が迎えるアウェイ・町田戦。「あの悔しさ」を払拭するため、鈴木武蔵、山本大貴、石原崇兆ら若きアタッカー陣の活躍に期待
期限付き移籍での加入が発表されたばかりの鈴木武蔵が、前節・岡山戦で早速の松本デビューを果たした。短い時間だったこともあり決定的な仕事とはならなかったものの、リオ五輪代表アタッカーが秘めるポテンシャルに大きな期待が寄せられていることは間違いない。
チーム内競争は激化するばかりだが、既存選手も黙ってはいない。ここ最近、好調を維持している山本大貴が「武蔵も良い選手だけど、自分の持ち味を出して頑張っていきたい」と口にすれば、負傷から明けてチーム練習にも合流している石原崇兆も「(今節・町田戦には)出たいと思っている。試合直前まで調整して、状態を上げていきたい」と静かに燃えている。
8月の最終戦となる今節は、アウェイながら近距離ということもあって2000人を超える松本サポーターが詰め掛けると予想される。昨季第41節では敗北を喫しているピッチでサポーターとともに、あの悔しさを払拭するような戦いが出来るか。若いアタッカー陣の活躍こそ、そのカギとなるだろう。
文:多岐太宿(エルゴラッソ松本担当)
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小林伸二監督、57回目の誕生日にキウイのケーキが贈られた理由
24日は清水の小林伸二監督、57歳の誕生日。練習後にはチームスタッフがケーキを運び、厳しいトレーニングから一転、お祝いムードに。ただ、小林監督は大分時代に、「キャプテンが『相談がある』というから、『どうした?』と言ったら後ろから羽交い締めにされて、卵とメリケン粉をかけられたことがある」と衝撃的な経験をしたようだ。今回は選手のウォーターシャワーのみだったが、背後を警戒しながらケーキを受け取ることになった。
また、この日は報道陣もケーキを準備していた。記者室に現れると、ケーキを見るなり、「キウイだね!!」と笑顔を見せる。このケーキは、常日頃から指揮官が「9位以内を目指さなアカン」と口にしているため、「9位」と「キウイ」をかけたもの。実家が「西洋和菓子処コバヤシ」を経営しており、ケーキを扱うことに関してはまさにプロ級の指揮官。ナイフで自ら取り分け、頬張った。
57歳の目標は「9位になること」のほかに、「長く続けること」。清水を9位以内でフィニッシュさせることで、「東京オリンピックまでは現場で仕事をしていたい」という目標も達成することができるだろう。
文・写真:田中芳樹(エルゴラッソ清水担当)
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5失点惨敗を受け、主将・鳥養祐矢が起こした行動。今こそ、『志 心ひとつに』
前節、徳島に0-5で惨敗した山口。今週の練習初日(22日)、主将のMF鳥養祐矢は率先してチームに集中を促し、ときには厳しく声を張り上げた。「みんなが危機感を持ってやらないといけない。僕が感じている危機感を共有できるように、言葉と態度で表現していこうと思って今週の練習に入った」と厳しい表情で話した。
その22日の練習後には選手全員が参加しての食事会が開かれ、選手同士で意見を出し合い、話し合ったという。
24日の練習後、鳥養は「自分が思っていることを共有してもらえたと思うし、各自が思っていることを話してくれたので、これでまた一つになれるかなと思う」と、2日前よりも少し穏やかな表情を見せ、「みんなが練習から集中して全力でぶつかれるようになったし、チームとして良い方向に進んでいるように感じている」と話した。
「いまが勝負だと全員が分かっている。泥臭くても何でもいいので勝ち点を積み上げることが大事。一つでも上の順位で終われるように、戦う姿勢を前面に出していきたい」
『夏の維新劇場』と銘打った8月のホーム戦もいよいよ次節がラストマッチ。前節の大敗を契機に、ここからはい上がれるかどうか。いまこそ、今シーズンのスローガン『志 心ひとつに』の下、クラブ・選手・サポーター全員が一つになって戦うときを迎えている。
文・写真:田辺久豊(エルゴラッソ山口担当)
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[本日のエルゴラッソ1面]等々力のエース
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