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鹿島がVONDS市原と練習試合。試合は思わぬ接戦に
7日、鹿島はクラブハウス練習場で関東サッカーリーグ1部で優勝したVONDS市原と45分×2本の練習試合を行い4-3で勝利した。
試合は思わぬ接戦となった。前半は鹿島がFWペドロ・ジュニオールのヘディングシュートで先制するも、VONDS市原もCKのチャンスを生かして同点に追いつく。
後半になり多くのメンバーを入れ替えた鹿島が主導権を握り、FW金森健志のPKで勝ち越しに成功したあと、すぐにFW鈴木優磨もゴールを奪い3-1と突き放すことに成功する。しかし、追いすがるVONDS市原がロングシュートで1点を返しスコアは3-2。その後左サイドを破られて1点を失ったものの、その左サイドから攻め返し、4-3で試合を終えた。
鹿島はペドロが復活ゴールを挙げ、前節・鳥栖戦でベンチ外だった金森が2得点1アシストの活躍を見せたが、日本代表でDF昌子源、DF植田直通を欠く陣容は守備の安定を欠いていた。
文・写真:田中滋(エルゴラッソ鹿島担当)
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「どんな形でも打てるような感覚を残しておきたい」。大分の伊佐耕平が放つ野性味と知性
今週のトレーニングで、FW伊佐耕平が際立って気迫あふれる様子を見せた。
ミニゲームでは攻守に球際激しく体を張り、ボールが足元に入ると見るや、もれなくゴールを狙う。
「ここのところ途中出場でシュートチャンスが少ないので、どんな形でも打てるような感覚を残しておきたくて」
目ヂカラ満点に話すストライカーは、チーム得点王FW後藤優介の14点に次ぐ9得点を挙げている。「僕が出る時間帯は試合展開的にオープンになっていることが多いので」と冷静に分析するが、実績は見事なものだ。
回復のためのインターバルを置きながらゲームを繰り返すオールアウトでは、自身のインターバル中も隣のコートのハンドを全力でアピールするなど、常にフルスロットル。回復する間もない状態だったが、「前節は少し体が重かったので、今週はある程度上げておこうと、個人的に負荷をかけている」とのことだった。
今季の残り7戦については「厳しい相手との試合が続いて油断しようがない」。
ルーキー時代から魅力だった野性味に知性とクールさを上乗せしつつ、ひたむきに上を目指している。
文・写真:ひぐらしひなつ(エルゴラッソ大分担当)
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「セルくんなら、もっと強くなって帰ってきてくれる」。大けがを負った京都・エスクデロへのチームメートの思い
9月30日に行われたJ2第35節・千葉戦で左ひざを負傷し、4日に京都市内の病院で手術を受けた京都のエスクデロ競飛王(写真右)。クラブから左膝蓋腱(しつがいけん)断裂の重傷であったことが発表され、長期間の離脱が避けられない状況となっている。
重戦車のようなパワーと繊細さを併せ持つプレーに加え、ムードメーカーとしても京都にとって欠かせない存在だっただけに、エスクデロの長期離脱はチームに大きなショックを与えている。それでも監督、チームメートは早期の復帰を祈り、エールを送る。
「慣れないポジションにもトライして、キャプテンマークも巻いて、本当にチームのために戦ってくれていた。(手術後に)連絡をして、『待っているぞ』と伝えた。みんなで(エスクデロ)競飛王のために戦っていきたい」(布部陽功監督)。
「いつも『チームのために』という思いでやってくれていた選手。さらに強くなって帰ってきてくれることを願っている」(石櫃洋祐)。
「長い期間サッカーができないのはすごくつらいと思う。でも、セルくん(エスクデロ)なら、もっと強くなって帰ってきてくれる」(吉野恭平)。
場合によっては復帰まで1年近くを要することもある重傷ではあるが、チームメートたちの思いが回復を一日でも早めてくれることを信じたい。
文・川瀬太補(エルゴラッソ京都担当)
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大宮最古参・金澤慎が説く、J1残留への誓い
過去にJ1残留争いを戦い、生き残ってきたイメージを持たれることの多い大宮だが、残留争いを制した経験を持つ選手は現在のチームには多くない。その数少ないメンバーの一人が、チーム最古参の金澤慎。厳しさを増す残留争いの中、何よりも強調するのはメンタル面の重要性だ。
「ここまで来たら気持ちの部分が本当に大きいと思います。みんなそれぞれ持っている『残留したい』という気持ちを一つにして、そういう流れを作っていきたいと思っています」
もちろん、一人ひとりが残留への思いを持っていないわけはない。しかし、勝利の遠い状況では気持ちのベクトルが合わないことも増えてくる。そんなときだからこそ、まず何から取り組むべきかという点を、金澤は説く。
「やっぱり練習で取り組んでいることをゲームでやるだけなのかなと。個人個人、思うところややりたいプレーはあると思うんですけど、『チームとしてこうやろう』というのを(伊藤)彰さんは提示してくれているので、まずはそれにチームとして取り組んで、しっかり結果を出して、そのあとにいろいろと自分たちの『こうやりたい』というのをプラスしていくのが、一番良い形なのかなと思います」
トレーニングでは攻撃面の継続をしつつ、守備面でのオーガナイズをあらためて組み上げているところ。「あとは本当にいろいろな状況に応じて、どう対処していくのかをもっと詰めていくだけ」と金澤。その方針を踏まえながら、結果をつかんで好循環に持ち込むことを誓う。
「次のマリノス戦でしっかりと自分たちが継続してやっている部分と、新たに取り入れている部分をゲームで出して、自分たちの自信を深めて、『俺たちはできるんだ』という自信をつけて、そういう流れに持っていきたいと思っています」
次のリーグ戦は10月14日。背水の陣となった大宮は、自信を取り戻して再加速するため、準備を続けていく。
文・片村光博(エルゴラッソ大宮担当)
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今節で30試合連続。先発出場を続ける山形の高木利弥
山形の高木利弥は今季ここまでJ2リーグ戦32試合に出場し、あと1試合で昨季の出場試合数に並ぶ。
出場試合数は、山形に正式加入した15年にJ1で20試合、昨季はJ2で33試合と着実に伸ばしてきたが、昨季は25試合だった先発出場数が今季はすでに31試合。第7節以降は連続での先発出場を続けており、今節も先発すれば連続30試合目。チーム内でこれだけ途切れずに先発出場を続けているのは、開幕から出続けているGK児玉剛ら数人のみだ。
今季は開幕戦はベンチメンバー外だった。転機となったのは第7節・大分戦。最終ラインに負傷者が相次ぎ、[3-4-2-1]のCBとして起用されると、得意ではなかった守備で試合ごとに成長してレギュラーに定着。第22節・山口戦ではシャドーで先発起用されるなど、高い身体能力を生かしたポリバレントな一面も見せ、その後、チームが4バックに移行してからは左SBとして出場を続けている。今季、チームでもっとも成長した選手と言っても過言ではない。
前節は父・高木琢也監督が率いる長崎との試合で強いプレッシャーを受けるなど、好調の試合ばかりではない。それでも出場し続けていることを、高木自身は「調子の良い悪いなど、誰にもそういう時期はあると思うけど、そういう時期でも使ってもらっているので、しっかりどんなときでも結果を残さないといけないと思っている」と話し、「目の前の試合で勝ち点3を取ることだけを考えてやっているので、自分のことよりはチームが勝つために何をしないといけないかということを考えてやっている」と、J1昇格プレーオフ進出の可能性が残るチームのために全力を注いでいる。
高木の能力を見込んで起用し続けている木山隆之監督は、「1年の中でいろいろな局面を迎えて、いまそれと戦ってる状況なのだと思うけど、乗り越えないとね、そこを」とさらなる成長に期待を寄せていた。
文・佐藤円(エルゴラッソ山形担当)