-
古巣・山形戦を前にした横浜FCの西河翔吾。「向こうのスタジアムでできるのは楽しみ」
前節の福岡戦で、前半にイバとカルフィン・ヨン・ア・ピンが相次いで負傷交代する不運に見舞われた横浜FC。2位との直接対決に敗れたことよりも、ここまで21ゴールでJ2得点ランキングトップのエースと、最終ラインを統率する守備の要が負傷したことのほうが痛いかもしれない。
今週末のアウェイ山形戦、イバはどのみち累積警告により出場停止で、ヨン・ア・ピンも欠場が濃厚。その影響で、前線と最終ラインで一層の活躍が求められるのが大久保哲哉と西河翔吾だ。二人ともそれが古巣戦になるというのも、運命のいたずらかもしれない。
一昨年まで山形でプレーした西河は、「(山形は)監督も代わって印象は大きく変わったけど、向こうのスタジアムでできるという楽しみはあるので、思い切ってやりたい。集中して、全員で失点ゼロに抑えたい」と、ディフェンスリーダーとして迎える古巣戦へ言葉を強めた。
一方、前線でターゲット役として忙しくなりそうな大久保は、山形でプレーしたのは2011年のことだけに、「僕がいたときとはまったく違うチーム。堅いチームなので先取点を取って有利に試合を進めたい」と冷静に分析。その中でもちろん、「自分が点を決められるように頑張りたい」と、FWとして自らのゴールで古巣戦を勝利へ導くつもりだ。
文:芥川和久(エルゴラッソ横浜FC担当)
-
キレキレでコミカル。千葉名物、キム・ボムヨンの全力ラインダンスに新事実!?
(写真)ⒸJEF UNITED
リーグ開幕後の3月に加入したにもかかわらず、すでに千葉のムードメーカーのポジションを築いているDFキム・ボムヨン。勝利したゲーム後恒例の“ラインダンス”では、何度もユニークな踊りを見せ、その盛り上げに一役も二役も買っている。
ビートルズの名曲『オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ』に乗せたラインダンスの中盤になると、一歩前に出てキレッキレの動きながら、どこかコミカルなダンスを全力で披露するキム・ボムヨン。さぞノリノリなのかと思いきや、「動きに特に意味はないです(笑)。歌に似合わないダンスだし、雰囲気で適当にやっている。恥ずかしくて、自分では見たくないよ」と大照れ。
さらにこう続ける。
「韓国の彼女から連絡が来るが、彼女も『見るのがキツイよ』と。チームメートの奥さんのインスタやツイッターで見て、『これは慣れるのに時間がかかるし、なかなか慣れない』と言われた(笑)」と母国からも突っ込みが入るそうだ。
一方で、現場の評判は上々だ。これについては「僕もうれしいのが、普通に試合を見に来る人もいるけど、その踊りを見にくる人も少しはいる」と、まんざらでもない様子だったが、「(楽しみにするサポーターのために)新しいダンスを見せるしかないが、そこまでうまくないし、そこまで余裕もない…。いつも考えると負けちゃう。逆に試合に集中したほうがいいのかな」と、“新作”のお披露目はもう少し先になりそうだ。
最後にネーミングを求めると、「名前はないのですが…、テキトーダンス!」。
14日、ホーム・フクアリで行われる今節・松本戦。2試合連続での“テキトーダンス”は果たして。
文・大林洋平(エルゴラッソ千葉担当)
-
トップ昇格内定の東京VユースMF藤本寛也。10番の誇りを胸に日々研鑽中
前節・山形戦のハーフタイム、東京Vは来季加入内定・昇格選手を発表した。
東京Vユースからの昇格は1名。今季、トップチームに2種登録され、始動から帯同しているMF藤本寛也だ。テクニックに優れ、トップチームの練習でも自身の特長である「縦パスや、ボールロストしないことはできてきたかなと思う」と話している。今季、トップチームでの公式戦出場はまだなく、週末はユースの試合に出ることがもっぱらだが、U-18日本代表にも負傷時以外は選出されてきた同世代のホープでもある。
中後雅喜の負傷時、ロティーナ監督に「(内田達也に次ぐ)アンカーの第2候補はカンヤ。トレーニングではとても良いプレーをしている」と言わしめたように、評価は高い。ただ、先述のとおり試合に絡めてないことで昇格を真に喜べていない様子だ。「試合に出られないから、ということは考えずに、練習でもっと自分が強くなること、うまくなる気持ちを持ってやっている。全部の能力を幅広くつけたい」と話す。
U-18日本代表としては、11月にモンゴルで開催されるAFC・U-19アジア選手権1次予選を控える。「寒いらしいっすね…。ただ、まずは選ばれること」と謙虚ながら、「アジアのレベルは上がっているので、負けないように、個々の能力を上げていくのが優先だと思う」と現在の心境を話した。
東京Vユースでは伝統の10番をつける。代表でも10番を背負うことの多い藤本は「10番は背負いたい番号。誰にも渡したくないというのはある」と負けず嫌いの一面をのぞかせた。10番とともに、将来の東京Vをも背負う人材となるか。藤本は高みを目指して日々研鑽を続ける。
文・写真:田中直希(エルゴラッソ東京V担当)
-
ルヴァン敗退から1週間。川崎F相手に、アウェイでも得点を狙う仙台のクリスラン
クリスランが川崎F戦との“再戦”に向け、ゴールへの意欲を燃やしている。
仙台は先週の4日と8日に川崎FとJリーグYBCルヴァンカップ準決勝を戦い、第1戦は3-2で勝利したが、第2戦は1-3で敗れ、決勝進出はならなかった。その2戦とも先発出場したクリスランは、ホームでの第1戦は2ゴールを決めて勝利に貢献したが、アウェイでの第2戦では得点できず、チームとともに涙を飲んだ。「厳しい展開だったし、フィジカル面での負担が大きかった試合でした」と本人が振り返ったように、第1戦の途中で右内転筋に違和感を覚えて途中交代したが、中3日で回復させて第2戦でフル出場と奮戦しただけに、悔しさが募る結果となった。
クリスランは11日は大事をとって治療に専念したが、12日は全体練習に復帰してプレー。「週末のゲームに行くための準備は進めています」と、コンディションを上げて14日の明治安田J1第29節の出場を目指す。
ここでの相手となるのは、またしても川崎F。「自分も、川崎F守備陣の特徴やスキを先週の2回の対戦で分かってきました。逆に、相手のほうもこちらの特徴を分かって、僕のスピードや、裏に抜ける動きを嫌がって止めようとしてくるはず」と、この“再戦”を展望する。「第1戦では最初の5分間だけでシュートを3本打てたように、相手を上回る時間も作れました。そのときのように、しっかり相手にプレッシャーを掛けたい」というクリスランは、今度は敵地・等々力陸上競技場でのゴールを狙う。
(※写真でクリスランが着用しているのは、近日発売予定のクラブ公式グッズのキャップ)
文・写真:板垣晴朗(エルゴラッソ仙台担当)
-
MF小川慶治朗のプレーに見える神戸好調の背景
神戸が好調だ。直近のリーグ戦で3勝1分、天皇杯4回戦・松本戦を加えて4勝1分と結果を出している。この間の失点はPKによる1点のみと安定し、順位こそ10位だが終盤戦へ向けての注目株といえるだろう。
ルーカス・ポドルスキの存在感をはじめ、キレのある動きで攻守をリードする田中順也など、フォーカスすべきポイントは少なくない。その中で、小川慶治朗のプレーがチームの好調をシンボリックに表現している。
一歩目から加速するスピードが特長の小川。特に最終ラインの背後に飛び出す動きは、チームでも指折りのセンスと実力を持つ。そして、最近の試合で目立つようになってきたのは、自ら果敢に“仕掛ける”プレーだ。「そこは意識している」と話す小川は、右サイドハーフでの出場が多いが、1対1のシチュエーションが生まれれば積極的に個人で打開に向かっている。
もちろん、“仕掛け”にはボールロストのリスクが伴う。それでも仕掛ける理由として、小川は「いまチームは(自陣の)中をうまく閉じることができている」とし、ボールを奪われても攻め込まれるリスクを回避できるバランスが整っていることを挙げた。この話を藤田直之に聞くと、ボランチとして中を閉じていることを語った上で、「全体の距離感が良い。CBは後ろについてきてくれているし、陣形をコンパクトにできていることが大きい」と説明。一つのプレーに付随するリスクを全体でケアできる状況を作れているという。
小川は、自ら仕掛けることで最低でもクロスやCKを獲得できれば、それだけでチャンスにつながることを強調する。チーム全体がまとまることで、“個”が積極的にチャレンジできる好循環が生まれているようだ。
文:小野慶太(エルゴラッソ神戸担当)
-
確かな成長を見せる熊本の上村周平、今節・京都戦は21歳ラストゲーム
アウェイで行われた前節・松本戦で5試合ぶりの黒星を喫し、19位に順位を下げた熊本は、今節もアウェイ戦。前期対戦で0-3と敗れた京都に挑む。
このゲーム、翌15日に誕生日を迎えるMF上村周平にとっては21歳でプレーする最後の試合となる。ともにトップ昇格を果たしたMF嶋田慎太郎にJ2デビューやJ2通算100試合出場では先を越されたが、その存在感は徐々に増している。
もともと運動量や体幹の強さ、ボディバランスとボール奪取能力に長けており、経験を積むことでポジショニングや判断力にも磨きがかかり“いてほしい場所”にいると感じられる場面も増えた。今季は「ボールを奪ってから攻撃に関わっていくことが課題」と話していたが、第21節・東京V戦でプロ初ゴールも記録した。
前節の松本戦同様、前線に高く強い選手のいる京都戦も「セカンドボール争いが大事」と言い、「ボールを持てる時間は作れると思うし、チームとしてももっと前に人数をかけたい」と話す上村。イベント等で見せる愛嬌からチームでも年少のイメージがあり、FWグスタボより年上という事実も意外に感じられるが、堂々としたプレーぶりや取材の受け答えでも確かに成長している。
21歳、最後のゲーム。勝利で飾りたい。
文・写真:井芹貴志(エルゴラッソ熊本担当)
-
湘南加入後、待望のホーム初得点を挙げた野田隆之介。今節は古巣・名古屋と
前節・水戸戦、FW野田隆之介がついにホーム初ゴールを奪ってみせた。
後半の頭から投入され「緊張もあった」という。だが、いきなりチャンスは訪れる。55分、クロスボールのこぼれ球を広って左足を振り抜く。
「ちょっと体が重いなと思っていたけど頑張って走りました。点を取るのは良いことだなと思いました」
殊勲の背番号15はそう振り返る。そして「まだ気を引き締めないといけない。過去のことは忘れて前だけを見ている」と続けたように、現状に満足せず、向上心を持ってまたトレーニングに励んでいる。
迎える今節の相手は名古屋。個の能力が高くJ2ではトップクラスだが、野田はこう話す。
「相手は上手だし、(古巣のため)僕も知っている選手もいる。でも、そういう中でも、湘南の選手が負けていない部分のほうが多いと思う。対人だったら絶対に自分たちのほうが強いし、チームプレーでも攻撃も守備も全員でやれる力もある。湘南らしさが出れば良い試合になる」。奪いに行くプレッシャー、点を取る動きで、よりパワーを持って今節に挑んでいく。
古巣戦については「あまり意識はしていない」としながらも、「顔見知りとできるのは純粋に楽しみ。一緒に味方でプレーした選手と相手チームとして立つことはすごく楽しみです」。旧友との再会を心待ちにしているようだった。
文・高澤真輝(エルゴラッソ湘南担当)
-
3連勝の中の福岡。兄貴・岩下敬輔が口にする収穫と戒めの言葉、そして今節・大分戦に燃える理由
現在3連勝中と、6戦未勝利の状態から好調に転じた福岡。いまのチーム状態をチームリーダーの一人であるDF岩下敬輔はどんなふうに見ているのか。
まず口を突いて出てきたのは「まだ何も得ていない」という厳しい言葉。「シーズンの最後までしっかりと戦い抜くためにも、そのことを選手全員が頭の中に置いておかなければならない」と続けた。
一方で収穫もあると話す。「闘う、という一番のベースを見せられていることは良いこと。その上でクオリティーの部分でも良いものを発揮できている」。
岩下が言う「クオリティー」は特に攻撃においての部分。「後ろから見ていても前の選手が自信を持って積極的にプレーしているシーンが増えていると実感している。それも“自分が、自分が”となり過ぎないレベルの、良い判断を伴ったものとすることで相手との違いを出せている」と、ここ3試合で7得点と好調な攻撃陣を分析している。
今節は大分との九州ダービー。
「ダービーということもあるけど、同じ相手に1シーズンで2度も負ける(開幕戦で1-2の敗戦)のはプロとしてダメなこと」
チーム一の負けず嫌いの“兄貴”は、いつも以上に燃えている。
文・島田徹(エルゴラッソ福岡担当)
-
実戦復帰を果たした山口の佐藤健太郎が、厳しい現状だからこそ心がけていること
前節・名古屋戦で、MF佐藤健太郎が約1カ月ぶりに実戦復帰した。
今季は第3節・大分戦から28試合連続で先発出場していた佐藤。心待ちにしていた古巣・京都とのアウェイ戦(第31節)の直前の練習中に負傷。久しぶりの実戦を振り返り、「出場できてうれしかった。ただいまです(笑)」と、はずんだ声を聞かせてくれた。
佐藤が不在の約1カ月、チームはJ3降格圏の21位から浮上できず、20位・讃岐との勝ち点差が『7』に開いてしまった。厳しさを増す現状に「雑念を捨てて目の前の試合に集中することが大事」と、佐藤は話す。
プレーにおいても、精神面においても「ブレない」こと、そして「ポジティブな言動」を心がけているという。
「あと何勝すればいいとか、ほかのチームの結果がどうだとか、そういうことは終わってから考えればいい。マイナスな発言をすれば周りに伝染すると思うので、ポジティブなことを言いたいし、そういった意識を持ち続けたい。同じ状況は二度とないので、いまを大切にしたい」
文・写真:田辺久豊(エルゴラッソ山口担当)
-
「Jでも最高の実績を持った指導者」、元広島監督の森保一氏が東京五輪代表監督に正式就任
日本サッカー協会は12日、都内のJFAハウスで理事会を開催。20年の東京五輪における男子日本代表監督として、7月まで広島を率いていた森保一氏を承認し、正式就任する運びになったことを発表した。
現役時代は広島や京都、仙台などでプレーした森保氏は、その後ユース年代代表のコーチなどを歴任し、12年に広島の監督に就任。J1で3度のリーグ制覇を成し遂げるなど、指導者としての実績や育成面への手腕を評価されていた。
記者会見に出席した西野朗技術委員長は、「広島の4年間で3度の優勝を果たすなど、Jリーグの中でも最高の実績を持った指導者だと思っている。人を惹きつける求心力もあるし、若手に対するアプローチの仕方もいろいろな角度で出来るところは分かっていた」とコメント。「確実に選手が成長していくようなチーム作りをしてもらいたい」と森保氏への期待を語った。
なお、公式戦で初采配を執るのは、来年1月のU-23アジア選手権(中国)となる見込み。初陣は12月にタイで行われる国際大会になる予定だ。文・林 遼平
もっと見る