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7月加入から欠かせない存在へ。千葉の矢田旭、充実のいま
7月に名古屋から期限付き移籍で千葉に加入したMF矢田旭が新天地で輝きを取り戻している。加入直後のJ2第25節・愛媛戦こそ途中出場だったが、翌節の徳島戦以降12試合連続で先発出場中。フアン・エスナイデル監督の信頼をガッチリとつかみ、「使ってもらっていることにはすごく感謝している。サッカー選手である以上、ずっと試合に出たいとも思っていたし、手ごたえも感じている」と言葉の端々に充実感をにじませる。
特に目を引くのは足元の高い技術に裏打ちされたボールロストの少なさだ。
「それは常に考えてプレーしている。もちろん、速攻のときは(リスクを冒して)狙ったりもするが、そこで失ってしまえば、(攻守が)切り替わり、相手のチャンスにもなるので。具体的に言えば、基本的なことだが、相手より遠い足で触ったりするように意識している」
今季の千葉はハイラインを敷いているだけに、中盤でのボールロストは致命傷になる。だからこそ、「名古屋よりも千葉のほうが両サイドが開いているので、味方との距離感は遠い。そういう意味では1対1の局面が増えてくるので、(正確なプレーを)より意識しているかもしれない」と自身のストロングを発揮し、チームに安定感をもたらすことで評価を高めてきた。
当初はインテリオールを担うことが多かったが、ここ2戦はダブルボランチの一角を担う。それでも、「中盤より前ならどこのポジションを任されてもそれなりにできる自信もある」とまったく意に介さないユーティリティーさも強みだ。
「(名古屋と)やっているサッカーが違うから自分の新たな一面というか、サイドチェンジの意識は高くなった。どれが正解とかはないが、いろんなサッカーを吸収できているので個人としては成長できている」
わずか3カ月で“ハイプレス・ハイライン”にフィットした26歳。J1プレーオフ昇格戦線で崖っぷちに立たされている千葉にとって欠かせない存在となっている。
文:大林洋平(エルゴラッソ千葉担当)
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ベンチコート伝説再び。徳島のリカルド・ロドリゲス監督、「雨が降っていたら最初から着ます(笑)」
第17節・群馬戦(2○0)、ベンチコート伝説は幕を開けた。肌寒さを感じ、ロドリゲス監督はベンチコートを着用。すると、直後に得点が決まり始め、6試合ぶりの勝利につながった。もちろん直接的な因果関係はないが、その後もゲンを担いで着用。すると4試合で15得点決まるなど、話題性も抜群で各種メディアでも取り上げられた。だが、第25節・湘南戦(0●2)で敗戦を喫し、夏場ということもあってベンチコートは封印された。
しかし、あれから数カ月……。第37節・岐阜戦(2○0)、その封印が解かれた。主導権を握りながらも無得点で前半終了。どことなく嫌な流れだったが、後半に現れたロドリゲス監督の立ち姿はすべての不安を欠き消した。そこには伝説のベンチコートをまとった姿が。すると、2分後に内田裕斗の先制点が決まり、終了間際にも岩尾憲の駄目押し弾が突き刺さった。
なぜ、このタイミングで再び着用したのか。それは、通訳・小幡直嗣×マネージャー・阿部雄介の連係プレー。仕事ができるマネージャーは、常に万全の準備を整えている。そこに、小幡通訳が登場。「椅子の下を見たら、ベンチコートがあったんですよ。監督に渡してしまいました(笑)」。結果的に、この行動が伝説を復活させた。
今節・熊本戦、「雨が降っていたら最初から着ます(笑)」(ロドリゲス監督)とのこと。
写真:©TOKUSHIMA VORTIS
文:柏原敏(エルゴラッソ徳島担当) -
「1年目との違いを見せたいと思う」。大分の福森直也、先輩・安川有が待つ松本へ
全国的に気温が低下し、甲信越地方も冷え込んだが、大分がJ2第38節・松本戦に向けてアウェイへと移動する20日には、幸い、その寒さもやわらいだ。
現在9位の大分。プレーオフ圏の6位とは勝ち点3差でJ1昇格争いを狙える位置につけており、今節は5位との直接対決とあって選手たちのモチベーションも高い。DF福森直也も「思い切ってこの状況を楽しめれば、相手より良いサッカーが出来るのではないか」と士気を高める。
実は福森が大卒ルーキーだった15年、同じ左利きのCB・SBとしてレギュラーで出場していたのは、16年から松本でプレーする安川有だった。今節は第11節にホームで対戦して以来の対面となる。同期の鈴木義宜が主力として出場を続ける一方で試合に絡めずにいた福森のプロ1年目は、自身の精神力との戦いの日々でもあった。
「成長した自分をぶつけたい。1年目との違いを見せたいと思う」。今季4得点を挙げている安川に負けないよう、鈴木義とともに、得点も狙う。
文・写真:ひぐらしひなつ(エルゴラッソ大分担当)
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浦和加入同期、注目の対決。湘南・岡本拓也が愛媛・小島秀仁との対戦に向けて語る
2011年シーズン、同じタイミングで浦和に入団した湘南の岡本拓也と愛媛の小島秀仁。今節は公私ともに仲の良い2人が相まみえる。前回対戦では岡本が87分からの出場したため、マッチアップするシーンも多くはなかった。それだけにこの同期対決に向けて「楽しみ」と岡本は思わず笑みがこぼれた。
小島は愛媛でキャプテンを担い、影響力のある選手にまで成長を遂げている。「すごいと思う。最近は昔と違うのは前に結構、ランニングしてペナルティエリアに入ってくるようなプレーをするようになったイメージがある。ちょっとそこは止めないといけない」と岡本が警戒を示すように、背番号8の動きを封じることも勝利へのキーワードとなりそうだ。
互いに負傷もあり、今季は欠場する試合もあった。特に小島は前節に復帰し、ちょうどこの湘南戦に間に合う形となった。「ケガをしたというのは聞いていた。ちょうどこの間復帰をしたし、本人も間に合うと言っていた。お互い同じところ(左ひざを)ケガをしたけど、しっかり戦えるんじゃないでしょうか(笑)」
いままで味方同士でプレーしてきた両者。前回も敵同士として激突したが、わずか3分のマッチアップだったため、今節のほうが“初めて違うユニフォームを来て戦う”意味合いは強い。この2人の白熱したバトルから目が離せない展開になるはずだ。
文:高澤真輝(エルゴラッソ湘南担当)
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今節は出場できない熊本のMF木村祐志、徳島の変化は「ポジショニングと立ち位置」
京都に敗れて連敗となった熊本は、今節ホームに6位の徳島を迎える。今シーズン途中、徳島から期限付き移籍で加入したMF木村祐志はこのゲームに出場できないが、20日に行った紅白戦では徳島を想定したBチームのアンカーに入り、全体をコントロール。「本音を言えば出たいけど」と苦笑いしつつ、今シーズンの徳島の変化を次のように話している。
「キャンプ中から、監督からは一人ひとりのポジショニングや立ち位置について細かく強調されてきて、切り替えや球際の強さも求められた。もともと選手個々はうまいし、ドリブルではがすのが得意な選手もいる。一人ひとりが自信を持ってボールを持つようになって、ポジショニングがいいからボールを失ったあとの切り替えも早い。シーズン序盤は、ブロックを敷いた相手にカウンターからやられる場面もありましたけど、いまは引かれても崩すクオリティーがある。まずは玉際や切り替えで負けないことが大事だと思います」
木村の言葉のとおり、チームは今週、特に攻撃から守備への切り替えにもフォーカスした。前回対戦は監督が代わった最初の試合で0-3の完敗だったが、4カ月間の成長を示して借りを返せるか。
文:井芹貴志(エルゴラッソ熊本担当)
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「寂しい」。柏の大谷秀和が盟友、清水・杉山浩太の引退について語る
先日、発表された清水の杉山浩太の引退について、柏の大谷秀和が心境を語った。
84年の11月生まれの大谷と85年の1月生まれの杉山は同学年で、柏のジュニアユースからユース、清水のジュニアユースからユースとそれぞれキャリアを重ねてきた2人は「中学生のころから一緒に試合をしていた」(大谷)間柄。もちろん互いにトップチームに上がってからも交流は続き、杉山が柏に期限付き移籍をしてきた08年からの2年間は同じ黄色のユニフォームに袖を通し、ダブルボランチとしてコンビを組んだ。
その当時を振り返り大谷は「とにかく気が利くし、技術も高いし、一緒にプレーしている間は同じイメージを持ちながら、楽しくプレーできた。清水にとっても大事な選手なので仕方ないと思いますけど、個人的には2年のレンタルのあとも残って欲しかったなと思っていました。でも、本当にプレーできて楽しかったですね」とまるで昨日のことのように話してくれた。
今回の引退については「(今年の)キャンプのときにいろいろな話をしながら、『(引退)するかも』みたいな、そういうのも聞いてはいたから」とある程度“覚悟”はできていたようで、「今年に入って試合をしたときもプレーを見れば全然まだまだできると思っていたし、寂しいなという思いはある」と自身の思いも語ったが、「浩太が決めたこと。いろんな状況もあるし、変わっているやつだけど(笑)、いきなり辞めるというタイプでもないし、『もういいかな』と思うタイプではないからしっかり考えていたと思う」と盟友の決断を尊重した。
引退発表の直後にも連絡を取ったようで「オフにでもゆっくり会えたら良いと思います」と話す大谷。最後には「ここまでできたのは浩太の人柄もあると思う。このあと何をやるかは分からないですけど、賢い子なので何をやってもうまくいくと思いますよ」とエールを送った。
文:須賀大輔(エルゴラッソ柏担当)
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松木安太郎氏、来松せず。新たなる“不敗神話”が築かれるか?
21日に行われる明治安田 J2第38節・大分戦は、前節の大敗からの立て直しを図る松本にとって重要な一戦となる。チームは本拠地で白星を挙げるための準備、調整を念入りに進めているが、どうしても触れておかなければならない注目点がある。この大分戦は、地元局の長野朝日放送が生中継を実施するのだ。
長野朝日放送のサッカー中継と言えば、やはり『解説・松木安太郎氏』。これまで松木氏が解説をした試合で松本は負けないという“不敗神話”がサポーターから熱い視線を受けており、実際に6勝3分で無敗という成績を記録している。
しかし今節の解説を務めるのは福田正博氏とのこと。こうなれば自分たちの力で勝利をもぎ取り、新たな“不敗神話”を築くことに期待したい。アルウィンで6試合連続ゴール中の高崎寛之が、浦和所属時にコーチだった福田氏にどのようなプレーを見せるかも注目だ。
文:多岐太宿(エルゴラッソ松本担当)
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名古屋戦で『ジャパネットDAY』開催。高木琢也監督が語る1万人来場のメリットは?
長崎は昇格争いとなる名古屋との大一番を『ジャパネットDAY』と銘打ち、来場者には先着一万名様にオリジナルTシャツが配布される。「ALL!! NAGASAKI,Catch Our DREAM」とプリントされており、昇格に向けた重要な一戦をまさに『長崎一丸』となって勝ち抜くという思いが込められている。
当日は通常以上の来場者が予想されており、いつもとは違った雰囲気にスタジアムが包まれる可能性もある。そのことについて聞かれた高木琢也監督は「ある本に書いてあったのは」と自身が読んだ書籍の件を引き合いに出して話し始めた。
「ホームの場合は、応援してくれる人たちが基本的には多い。そうすると見られるっていうことなんですよ。見られると、やらないといけないというふうに変わっていく。それがアウェイになると少ないですよね。そういう緊張感と見られている感覚っていうのが失われるっていうふうに書いてあった。アウェイでは、ちょっと心理的に責任感という意味合いが違ってくるのではないかなと」
今回はホームゲーム。つまりは応援してくれる人たちが増えるということだ。「一万人、もし入るのであれば今までよりも2倍近い。だから、そういう意味では2倍の責任感、緊張感というのは選手たちにはある。良いように解釈すればいいと思うが、それがマイナスに働いてしまうと良くない。僕としてはそういう解釈」と話した。監督の解釈は選手たちにどう働くのか。そこも含めて、注目の試合となる。
文:杉山文宣(エルゴラッソ長崎担当)
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U-18日本代表選出の鳥栖・田川亨介、神戸戦で自身の実力を証明できるか
第27節・浦和戦では2得点、第28節・鹿島戦では決勝点のアシストとここ最近、飛ぶ鳥を落とす勢いだった田川亨介が、前節・C大阪戦では見せ場を作れなかった。「ほとんど何もしていないし、自分の持ち味も出せなかったというのが正直な感想。悔しい」と、本人も自身の出来には納得できていない様子だった。
「自分の長所が通用するのは分かっている。あとはそれ以外の部分をレベルアップしていかないといけない」と自身の課題をとらえ、居残り練習に励むなど努力は重ねている。それでも、あらためてC大阪戦では課題の部分を突きつけられた格好だ。
田川自身、残りのリーグ戦での目標を「リーグ通算で最低でも5得点」と設定している。現在、3得点であり最低でも2得点の上積みが目標達成には必要。浦和戦、鹿島戦での活躍が勢いだけではなかったと証明するためにも、週末に控える神戸戦は田川にとって重要な試合となるだろう。
また、18日にはAFC U-19選手権2018予選に臨むU-18日本代表にも選出された。この世代の立ち上げとなった合宿の際には影山雅永監督から「違いを見せてくれ」とハッパをかけられているだけに、代表合流までのリーグ戦2試合で弾みをつけたいところだ。
文:杉山文宣(エルゴラッソ鳥栖担当)
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[本日のエルゴラッソ1面]これが浦和。魂の完封勝利
[AFCチャンピオンズリーグ]
■浦和 vs 上海上港
強力攻撃陣を封殺。大一番で見せた集中力[明治安田J1第30節 プレビュー]
■横浜FM vs 鹿島
ACLと優勝。それぞれの思いが交錯する[明治安田J2第38節 プレビュー]
■長崎 vs 名古屋
自動昇格圏へのサバイバル。前に出るのはオレたちだ