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山形の山田拓巳がセットプレーで見せる新境地
前節・熊本戦で今季初勝利を挙げた山形。2得点を挙げた小林成豪やビッグセーブ連発で勝利を引き寄せたGK児玉剛、あるいは大卒ルーキーでJデビューを果たした北川柊斗と熊本雄太に注目が集まっているが、2点目のアシストを記録したチームキャプテン・山田拓巳の働きも忘れるわけにはいかない。
1-1の同点で迎えた72分、中村駿のFKをニアに飛び込みヘッドでスラしたのが山田だった。キッカーを担当した中村駿は、「ふつうにGKの前に落とそうと思っていたんですけど、ヤマくんがよく前に出てきて触ってくれた。ヤマくんが出てきてくれなかったらなかった」と山田に感謝。当の山田も「しっかり僕のアシストです。公式記録どうなってました? (背番号の)6番になってました? じゃあよかったです」と自らのアシストをアピールしていた。
山田がセットプレーの得点に絡むシーンはなかなか珍しいが、それもそのはず。身長170cmで機動力のある山田は、昨季まではゴールから少し離れたところでセカンドボールとリスク管理の担当が多かったからだ。しかし、今季は新たにゴール前に入る役割を与えられている。
「セットプレーは高さも関係あるけど、入っていく迫力だったり、マークを外すタイミングがうまくなっていけば自分ぐらいのサイズでも点がとれるし、アシストもできると思う。いまは中に入れているので、どん欲に、しっかり結果を出したい」と新境地開拓に意欲を燃やしていた。
文:佐藤円(エルゴラッソ山形担当)
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仙台の蜂須賀孝治、元チームメートのJFL第1号を祝福
仙台のDF蜂須賀孝治が、高校と大学時代のチームメートのJFL第1号を祝福した。
11日に開催されたJFL・1stステージ第1節で、今季からJFLに昇格したコバルトーレ女川が、アウェイでホンダFCと対戦。女川は1-2で敗れたが、前年の王者相手にJFL初陣で奮闘し、駆けつけたサポーターやホームタウンの人たちにひたむきなプレーを見せた。この試合の53分に女川のJFL初得点となるゴールを直接FKから決めたのが、MF黒田涼太だった。
蜂須賀にとって黒田は桐生第一高と仙台大時代のチームメートで、「一緒にプレーしていたときから、自分よりもずっとうまかった」という同学年の選手。「FK自体もよかったし、地域にとっても大きなゴールだったと思う」と、祝福した。
女川では仙台大出身の選手が活躍していることもあり、蜂須賀も何度か試合を見にいったことがあるという。「こうして、仲間が女川の町のための気持ちをひたむきなプレーで表現し、輝いているのは素晴らしいこと」と称えた。東日本大震災で大きな被害を受けた女川の町とともに歩む仲間から「地域のために戦う気持ちで、大事な最後の一歩を踏み出せる。そういうプレーを、自分も仙台でもっとできるようになりたい」と刺激を受け、蜂須賀も負傷から復帰し、活躍することを誓った。
文・写真:板垣晴朗(エルゴラッソ仙台担当)
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「サポーターのためにも勝ちたい」。浦和の岩波拓也が埼スタデビューへ
今季、神戸から完全移籍で加入した浦和の岩波拓也が、埼スタ初勝利を誓った。
岩波は、リーグ戦では槙野智章、マウリシオの牙城を崩せず、ルヴァンカップのみの出場となっている。ただ、7日に行われたルヴァンカップ第1節・名古屋戦ではチームの今季公式戦初勝利に貢献。得点につながる得意のフィードも披露した。それでも本人は冷静だ。「(リーグ戦から大幅に入れ替えた)相手のメンバーを見れば、あれくらいできて当然」。
14日に控えるルヴァンカップ第2節・G大阪戦でも岩波の先発出場が予想されるが、そうなればホーム埼スタでのお披露目となる。ここまで浦和の一員として過ごしてきた岩波が一番に感じているのは、サポーターの偉大さだという。「アウェイでの長崎戦にしても、どちらがホームか分からないくらい大勢のサポーターが来てくれて後押ししてくれた。サポーターたちに感動しています。特別な存在なのは間違いない」。だからこそ、「サポーターのためにも勝ちたい」と力を込めた。ホームのサポーターの前で、歓喜をつかめるか。
文・写真:田中直希(エルゴラッソ浦和担当)