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鳥栖の最終ラインに起きた小さな変化
昨季の主力が軒並み残留し、今季の主力の顔ぶれにも大きな変化がない鳥栖だが、そんな中でもちょっとした変化がある。それはCBの位置だ。
昨季、夏にチョン・スンヒョンが加入して以来、左CBにチョン・スンヒョン、右CBにキム・ミンヒョクが入るという形が基本的なものだった。しかし、今季はそれが入れ替わり、チョン・スンヒョンが右CB、キム・ミンヒョクが左CBという形になっている。チョン・スンヒョンによれば「監督からの指示」ということだった。
マッシモ・フィッカデンティ監督にその意図を聞いてみると「二人とも右利きなので本来であれば右CBのほうが望ましい」というように、チームに左利きのCBがいないことも考慮した上でのものであると説明。「サイドの選手との相性やパスの質など、どちらの組み合わせのほうがよりうまくいくのかを考えている。これで固定するわけではない」と話したように、あくまでもまだ試行中の段階であり、監督としても最適解を探っている最中のようだ。実際に前節の鹿島戦でもスタート時は従来の形だったが、試合の途中からは二人の位置を入れ替えてプレーさせている。
今後、この韓流CBコンビの位置が入れ替わるのか、それともこのまま固定されていくのか。小さな点ではあるが注目していきたい。
文:杉山文宣(エルゴラッソ鳥栖担当)
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札幌GKク・ソンユンが手に入れようとしている、ほかの韓国人GKにはない武器
インターナショナルマッチウイークのため今週末は試合がなく、束の間のインターバルとなっているが、その期間を利用してよりレベルアップを目指そうとしている一人が韓国人GKク・ソンユンだ。今季からペトロヴィッチ監督が就任し、昨季までの堅守速攻スタイルから、徹底してパスをつなぐスタイルへと大幅な変貌にトライしており、GKにも足下でのプレーがより求められている。22日の練習でもミニゲームの中で何度もGKからのパスのプレーについてペトロヴィッチ監督から声が飛んでいた。
自陣ゴール前でク・ソンユンがパスを受ける、そしてパスを配球するという場面が劇的に増え、そこに相手選手が激しくプレスを仕掛ける場面も目にするが、「慌てたことはない」と本人は言う。「ミシャさん(ペトロヴィッチ監督)からは『リスクがあると思ったらアバウトに蹴ってもまったく構わない』と言われているので、危ないと思ったら蹴り出せばいい。なので、自分としては自信を持ってパスをつないでいるつもり」とのこと。
昨年秋には2年ぶりに代表に招集されたものの、今回の韓国代表の欧州遠征は選外。悔しさもあるだろうが、「いま札幌でやっているパスをつなぐスタイルは、ほかの韓国人GKにはあまりないスタイルだと思う。しっかり身に着けることができれば武器になるはず」と先を見据える。「今後、代表に絡めるかどうかは自分次第」と表情を引き締めた。
開幕からここまでリーグ戦では4試合8失点と失点が先行してしまっているが、「自分としてはそんなに重く捉えていない。それよりも、チームとして勝点を積んでいくことに意識を高めている」と、とにかくチームが勝つことを最優先に自らをレベルアップさせていく。
文:斉藤宏則(エルゴラッソ札幌担当)