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リーグ戦先発を目指す長崎の新里涼、自身がアピールする上で「複雑」なのはなぜ?
長崎の大卒ルーキー・新里涼が中断期間開けのリーグ戦先発を目指している。
今季、順天堂大から加入した新里涼はここまで公式戦2試合に出場、ただそれはいずれもルヴァンカップでのものだった。直近の出場試合となったルヴァンカップグループステージ第2節湘南戦ではプロ初ゴールも記録。そのまま、勢いに乗るかと思われたが、続く明治安田J1第4節札幌戦ではチームがCBを2人ベンチ入りさせた影響もあり、新里はメンバー外となってしまった。
チームはリーグ戦での未勝利が続いており、新たな風を吹かせる選手の台頭は不可欠。中断期間に入り、まとまった時間が取れていることもあり、アピールするには良い機会だろう。しかし、新里にその点を尋ねると「複雑ですけどね」とポツリ。その理由を聞いてみると「札幌戦でもチームには勝ってほしかったし、ルヴァンカップで無敗を続けられているのはルヴァンカップに出ているメンバーにとってはモチベーションになっている」という思いから。とはいえ、リーグ戦での出場機会に飢えているのも当然の心情だ。「リーグ戦に出られるように頑張るしかないし、自分の持ち味を出せるようにしたい」と目標もしっかりと定めている。
しっかりとボールをさばき、自らも前に運べるというのがボランチとしての新里の持ち味。この中断期間を活用してアピールし、中断期間明けの仙台戦でのリーグ戦初出場を目指す。
文:杉山文宣(エルゴラッソ長崎担当)
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山形・南秀仁、古巣の東京V戦で味スタでのプレー実現なるか。もっとも対戦したい選手に挙げたのは…?
東京Vから移籍して2年目。アカデミーから東京Vで育った南秀仁が今節、対戦相手の一員として味スタのピッチに立つことになりそうだ。実現すれば、味スタでのプレーは16年7月10日以来となる。
移籍1年目の昨シーズンは3月初旬に負傷。全治3ヵ月の診断だったが完治までに時間がかかり、結局最終節まで出場が間に合わなかった。東京Vとの2度の対戦にも出場できず、4月15日に行われたホームでの東京V戦も、松葉杖のままミックスゾーンで元チームメートと会話を交わしている。
「ヴェルディだから特別とはそんなに思わない」と言いながらも、「お世話になったクラブなので、いいプレーを見せれば成長したなと思ってもらえると思うので、そういう面では頑張りたいと思います」と元気な姿を見せるつもりだ。
東京Vにはともにプレーした選手がまだ多く残っているが、その中であえて一人、対戦が楽しみな選手を聞かれると、名前を挙げたのは田村直也だった。
「田村選手とは家族とも仲がいいですし、グラウンドで一緒にやれるというのは楽しみですね。独り暮らしの選手を家に呼んでくれて、ごはんとかみんな食べさせてもらってたので、試合でやれるのは楽しみです」
チームは前節・横浜FC戦で序盤に3失点を喫するなど不安定な試合が続いているが、「チームがよりスムーズに攻撃できるように、DFから前への中継役が徐々にはできているかなあとは思います。もっと多くボールをより高い位置で触れたらチームがもっと勝てると思うので、そういうプレーを心がけていきたいと思います」と話していた。
文:佐藤円(エルゴラッソ山形担当) -
讃岐・北野誠監督から「J1で同じサッカーをすれば日本サッカー界が変わる」と言われた千葉・エスナイデル監督。「ブレないのは進むべき道」と姿勢変わらず
「ジェフ、そして徳島のような(攻撃的な)チームがJ1に上がって同じようなサッカーをすれば、日本のサッカー界が変わると思うよ」
21日に行われたJ2第5節・千葉対讃岐戦のあと、讃岐の北野誠監督が口にした言葉がとても印象的だった。
23日の囲み会見でそれを千葉のフアン・エスナイデル監督に伝えると、少し照れたような笑みを浮かべながらこう答えた。「北野さんとは去年も、試合の前後でもお話をさせていただいたが、正直でまっすぐな方」と北野監督の印象を述べた上で「そう言っていただけてうれしく思う。去年はお互いに信じられないような試合をしたし、われわれのことや私のことをそうやって話していただけるのは光栄。ただ、そうは言っていただいても、お互い勝たなければいけないことは変わらないのですが(笑)」と最後はジョークを交えながらも素直に気持ちを表現した。
チームをマネジメントする同じ立場だからこそ、北野監督が特に「すごい」と感じているのが、エスナイデル監督のブレない姿勢。それについては「ブレないのは本当に一番良い手段で、進むべき道だと思っているから。もちろん自分が好きなものでもある。もし、間違っていると思えば、変えるし、誰もが変えるでしょう」と考え方はいたってシンプルという。
「俺もジェフのようなサッカーがしたいんだよね」と北野監督。それに対してエスナイデル監督は「去年もその話をお互いして、『できればやってみましょうよ』と言った。北野さんだけではなく、話をした(ほかの)監督にもそういう提案をした。個人的な意見で申し訳ないが、そのほうが試合が楽しくなるだろうなと思う」。
両者が再び相まみえるのは4ヵ月後のJ2第24節。讃岐のホームでファンタスティックなフットボールが展開されることを期待したい。
文:大林洋平(エルゴラッソ千葉担当)
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神戸2連勝の陰に大槻周平の″左足″
神戸FW大槻周平の″左足″が絶好調だ。23日のトレーニングで行われたシュート練習。力強い左足ショットを繰り出す背番号33に、守備陣からは「左足で打たせるな!」の声が飛んだ。大槻は利き足であるその″左足″で、チームの公式戦2連勝に貢献している。
まずは14日のルヴァンカップ鳥栖戦。勝利を決定づけるゴールを決めた大槻だが、右サイド裏に抜け出したあと、ボールを持ち替えた。「右足っていう選択肢はなかった。相手をチラッと見たら(寄せが)間に合いそうになかったんで」と落ち着いて″左足″ショットを突き刺した。
さらに18日のJ1第4節・C大阪戦。先制ゴールを挙げたのは藤田直之だが、その前に左サイドから″左足″でクロスを入れたのは大槻だ。あのプレーには今季、自身に求めるプレーのイメージがあったようで、「今年はしかけることを意識している。しかけることで(鳥栖戦の)得点も生まれた」という。鳥栖戦で出した結果を、リーグ戦の先発出場につなげた大槻の面目躍如のひと蹴りだった。
その大槻は練習後、藤田と対面ロングリフティングをするのが定番となっている。「あれやったらうまくなるんスよ」と笑顔を見せ、23日の練習後には、三原雅俊と安井拓也が″練習参加″。四角形を作りながらトライしたが、大槻は「今日はあいつらも入れてやったんですけど、ダメ。もう入れてやらない」と厳しくも二人のテストは″不合格″だったようだ。
自分に厳しく、周りにも厳しいハードワーカー。″左足″にも″しゃべり″にも磨きをかけつつ、「シーズンはここからなんで」と気合いの言葉で長く続く戦いをにらんでいた。
文・写真:小野慶太(エルゴラッソ神戸担当)
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アダイウトン、中村俊輔…負傷離脱者が続く磐田。中野誠也はスタメン奪取に意欲を示す
3月23日の大久保グラウンド(磐田の練習場)では、午前と午後の2部構成の練習が行われ、この日に母校・筑波大学の卒業式だった中野誠也も卒業式には参加せず、トレーニングに励んだ。大学の卒業について問われると、「今日が卒業式だということを大学の友人のSNSで知りました(笑)」と笑いながら語った。
21日に、クラブはアダイウトンの負傷について右膝前十字靭帯断裂、半月板損傷で約6ヵ月の長期離脱と発表した。中村俊輔もそんな状況下で名波浩監督も「今こそ我がという選手が出てきてほしい」と新たな選手の奮起を期待している。中野も、「(アダイウトンの離脱を)プレーヤーとしてチャンスとして捉えていかなければいけない。(自分が)そこに割って入っていくぞという気持ちでやっていきたい」とスタメン奪取に意欲を示した。
磐田は、26日に松本山雅FCとの練習試合を予定している。その試合に向けて「この練習試合もアピールの場なので、出た時間でしっかりと結果を出したいと思う」とアピールに燃えている。この練習試合で次節・浦和戦のメンバー入りに向けてしっかりとアピールしたいところだ。
文:森亮太(エルゴラッソ磐田担当)
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千葉戦3試合連続ゴールが懸かる京都の仙頭啓矢。「どんな形でもいい。1点が欲しい」
中3日での3連戦3戦目となる明治安田J2第6節・千葉戦が25日に控えている京都。その千葉戦について、「相性がいいと思っている」と話すのが仙頭啓矢だ。その言葉どおり、ルーキーイヤーだった昨季はホームでもアウェイでもゴールを挙げており、今節で得点を決めれば千葉戦では3試合連続のゴールとなる。
特に、今回と同じフクダ電子アリーナが会場だったアウェイ戦での一撃は、ペナルティーエリアの外から美しい弾道のループで沈めたゴール。仙頭も、「あれは最高でしたね(笑)。GKが前に出ているのは分かっていたし、自分らしいゴール」と自賛するゴラッソだった。
開幕から5試合連続で先発出場中とプロ2年目にして主力の座をしっかりとつかんでいる仙頭だが、今季はまだゴールがない。
「自分は攻撃の選手。やっぱり得点が欲しい。泥臭いゴールも取りたいし、どんな形でもいい。それでチームが勝てれば、なおさらいい」
今季初ゴールを挙げて、敵地で“千葉キラー”であることを強烈に印象付けられるか。25日のゲームは、京都の背番号『14』に注目してほしい。
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町田、物議をかもした松本戦の得点者問題。得点者の藤井航大は平戸太貴を焼肉屋へ…
前節・松本戦の74分に決まった先制点は、一つの物議を醸したが、公式記録では藤井航大のゴールとして決着した。23日のトレーニング後、あらためて藤井にゴールシーンを確認すると、GK守田達弥とDF飯田真輝の間に落下するFKを「右足のひざの下あたり」に当てて押し込んだと藤井は主張する。試合後のロッカールームでは「触っていないだろう」というチームメートからの“集中砲火”が起きる中、近くでそのゴールシーンを目撃していた酒井隆介と中村祐也が「触ったね」と“証言”してくれたことで事態は収束した。
とはいえ、藤井自身は「(平戸)太貴のキックがゴールの9割方を締めている」と認識しているため、試合翌日に平戸を連れ立って焼肉をごちそうしたという。ところが、二人だけで健闘を称え合ったのかと思いきや、その食事会には吉濱遼平や奥山政幸、杉森考起も同席。まさかの大所帯での慰労会になったため、お財布の紐が心配されたが、そこは藤井が年長者の“度量”ですべてをカバーしたという。
文・写真:郡司聡(エルゴラッソ町田担当)
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勝点1を確保した福岡の前節・東京V戦。今季初先発3選手の感想は?
前節の東京V戦では今季初先発を果たした福岡の選手が3人いた。城後寿、篠原弘次郎、そして平尾壮(写真)だ。篠原と平尾にいたっては今季初出場でもあった。そんな3人に東京V戦出場の感想を聞くと、こんな答えが返ってきた。
「久しぶりにサッカーをしたな、という感じ」(城後)、「もっとやりたい、と思った」(篠原)「とにかく楽しかった」(平尾)と、言葉は違うがいずれも充実感を味わった様子。
それぞれの出来は客観的に見ても十分に評価されるもので、井原正巳監督も「エウレーも含めて彼らが試合で結果を残すことでチーム全体としての競争も活性化するし、チーム内の雰囲気も良くなるし、この3連戦も含めて総力戦で乗り切るための好材料になると思う」と話している。
ちなみに、平尾は東京V戦の先発が分かった時点で美容室に行き、身だしなみを整えて “初戦”に臨む気合の入れようだった。その平尾、今節の大宮戦はアウェイ連戦で体力的にもきついはずだが、「全然大丈夫です。今日もヴェルディ戦で先発した選手は練習を早めに切り上げたのですが、僕は物足りなかったので居残り練習をしました。早く次の試合がしたいです」と、元気いっぱい。
勝点1の獲得にとどまったという点で『惜しいゲーム』と感じる東京V戦だが、出番を得た選手が結果を残したという点で見れば『価値あるゲームになった』とも言えそうだ。
文:島田徹(エルゴラッソ福岡担当)
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仙台のルーキー・ジャーメイン良、“15連戦”で「ゴールという結果をもっと意識」
今季仙台に加入したジャーメイン良が、来たる“15連戦”に向けて士気を高めている。
流通経済大から仙台に加わったジャーメインは、今季ここまでの公式戦6試合すべてにベンチ入り。明治安田J1第2節・FC東京戦(1○0)で今季初出場を果たすと、ルヴァンカップの2試合では先発出場した。ルヴァンカップ第1節・新潟戦(1△1)とJ1第3節・神戸戦(1△1)では、アシストも記録した。
すでに昨季はJFA・Jリーグ特別指定選手としてリーグ戦でもカップ戦でもデビュー済みということもあり、プロでの生活も「問題なく過ごせています」という。現在は中断期間だが、3月31日からは公式戦が短い間隔で15試合続く“15連戦”が待っている。そこでジャーメインは「今度の連戦では、リーグ戦が一週間で2試合組まれていることも多い。そういう中でも、さらに出番をつかめるようになりたい」と、今まで以上に多くのチャンスをつかみ、結果を残すため、戦術理解を進めようとしている。
「15試合全部に出るように言われても大丈夫なように準備しています。新人ですし、体力には自信がありますから(笑)」とジャーメイン。練習ではスピードを生かした鋭いプレーなどでアピールを続ける。味方との連係を深めた先に見えるのは、もちろん得点だ。「やはりFWなので、ゴールという結果をもっと意識しなければいけません。ここまででアシストはできたけれども、ゴールはまだですから」と意気込む。
文・写真:板垣晴朗(エルゴラッソ仙台担当)
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水戸戦で見せた大分のスピーディーなパスワーク、その影にあったのは大銀ドームの屋根アクシデント?
21日に行われた明治安田J2第5節・水戸戦で、大分はスピーディーなパスワークで主導権を握り快勝。試合後に、出場した選手たちは口々に「ピッチが濡れていてスリッピーだったのでボールが走ってやりやすかった」と証言した。
雨天の場合は通常、大分銀行ドームは開閉式の屋根を閉めるのだが、この日はたまたま、屋根の可動部の不具合により、屋根が閉まらなくなっていた。そのため、前日から降っていた雨がピッチを濡らし、大分がチームコンセプトとして掲げる細かくパスをつなぐスタイルが表現しやすい環境が整っていたのだった。
片野坂知宏監督も試合後会見で「今日は好調の水戸さんを相手に難しい試合だったが、とても良い環境でプレーできたことが大きかった。芝の管理をしてくださっている方々に感謝するとともに、天候もわれわれに味方してくれた」と、想定外の“地の利”を喜んだ。
普段はあまり散水されない大銀ドームだが、けがの功名といったところ。これでチームの成績が上向くのなら歓迎である。
文:ひぐらしひなつ(エルゴラッソ大分担当)
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