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古巣戦に臨む千葉の為田大貴。言葉の端々ににじむ意欲
千葉の為田大貴が4月1日に大分との2度目の古巣戦を迎える。「もちろん古巣(が相手)なので大銀ドームのイメージが悪くない。慣れ親しんだところで、いい展開の中でプレーできれば」。穏やかな口ぶりながら、言葉の端々に意欲がにじむ。
為田にとって、古巣戦は昨年10月のJ2第39節以来。そのゲームでは後半から出場し、1アシストを含む2得点に絡む活躍で千葉を勝利に導いた。千葉の大分でのアウェイ戦績は11勝2分だけに、「相性のよさはウチにあるので、うまく勝利につなげたい」と今季アウェイ初白星に照準を定める。大分の印象については「細かいところでつないでくるチーム。メンバーは変わっているが、前線の選手はどのチームでも活躍した選手が今年は集まっているし、充実している」と新加入組の攻撃力を警戒する。
前節・京都戦では清武功暉の負傷交代で急きょ、前半途中から「最近始めたばっかり」という2シャドーの一角を担った。守備で奮闘する場面が目立ち、「プレスバックをせざるを得ない状況はあった。うまくボールは取れていたので、それはよかった」と手ごたえを口にする。大分戦に向けても「細かいところをやらせない(ことが大事)。前線でうまくボールをとれたり、うまくプレスをかけられれば、相手は苦しむ。うちのプレスでハメらることができれば、こっちの展開になる」とハイプレスの重要性を認識する。
今季は開幕先発の座をつかんだものの、ここ3試合はベンチスタートが続いており、そろそろ目に見える数字が欲しいところ。「ここで結果残せればいいが、とりあえずは3連勝できるように」。個人の明確な目標については言葉を濁したが、その目線の先にはゴールをとらえていた。
文:大林洋平(エルゴラッソ千葉担当)
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躍動する神戸の元柏戦士が「平常心」で日立台へ
神戸の“左サイド”が躍動中だ。DF渡部博文、MF田中順也、さらにDF橋本和が担う左サイドは、チームの戦いの中で大きな力を発揮している。
左CBの渡部は「すごく攻撃の形が見えてきた。あとは崩し切ったあとに、どうゴールまで直結させるパスを出せるか。順也(田中)とも和さん(橋本)とも、そこにこだわっていこうと話している」とさらなる向上をにらむ。
前節・C大阪戦のあと、左サイドの攻撃的MFである田中が脱帽したのがビルドアップ。「後ろがやろうとして達成してくれた」と賛辞を贈った田中。まだまだ課題は出てくることに触れつつ、「戦術も判断も相手を上回れるか。戦術上のミスが出たとき、そこをしっかり突くことは大切」と柏とのマッチアップをイメージしている。
その二人と絶妙に絡むのは左SBの橋本だ。「順也もナベ(渡部)も元々知っているし、やりやすいのは変わらない。スムーズに機能していると思う」と手ごたえを口にした。
神戸には同じく元柏で長期離脱からの復帰を目指すレアンドロに加え、今季は那須大亮が加入。すでに積極的な声出しや頼もしいプレーで存在感を見せる那須だが、橋本は「浦和でも一緒だった。3チームで一緒。何かと縁があるなあ」と笑顔。柏戦については「自分が出たならしっかり持ち味の攻撃に絡みたい」と意気込んだ。
渡部は今季チームの副将を務める。すべての試合が特別であることを語った上で、「自然と気持ちが昂るけど、平常心を保つことは頭の中にある」と日立台での対戦を見据えていた。
文:小野慶太(エルゴラッソ神戸担当)
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トリコロールの大津祐樹が31日の清水戦でデビューへ
FW大津祐樹がいよいよトリコロールのユニフォームを着てピッチに立つことになりそうだ。
今季新加入の大津はチームが始動して間もない1次キャンプ3日目(移動日を含めて4日目)の1月23日の練習中に左膝内側側副靭帯を損傷し、離脱を強いられていた。新チームで苦しいスタートとなったが、3月中旬に全体練習に合流すると、当初から復帰を見据えていた清水戦を前に万全の状態に。29日のトレーニングでは3月に加入したオリヴィエ・ブマルとともにレギュラー組と見られるチームに入り、トップ下でプレーした。
大津は「だいぶコンディションはいい」と話すと、「キャンプに入ってすぐにケガをしてしまって」と苦笑しながらも、「2週間ぐらいチームと練習して試合に向けていい形で準備できているかな」と調子も上々の様子。トップ下でのプレーについては「周りを使うこともできるし、自分で行くこともできる。2シャドーでもいいけど、トップ下のほうが生きると思うし、やりやすい」と前向き。そして「試合に出たら自分でゴールするにしてもゴールにつながるプレーにしても、とにかく前線で違いを見せられるようなプレーができれば」と語った。
また、「僕の復帰はあいつが一番うれしいでしょ」と大津から名指しされた山中亮輔は、「祐樹くんもJリーグで移籍するのが初めてだから覚悟をもってやってきていると思う。僕も去年、同じ立場だったけど、最初が大事だと思うので、いい形で入れるようにしてあげたい」とサポートを約束した。
横浜FMの一員として、そして自身初の国内移籍からの初戦で大津はどんなプレーを見せてくれるだろうか。
文:菊地正典(エルゴラッソ横浜FM担当)
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J1リーグ戦初勝利に向けて。高木琢也監督がとり組んだこと、その狙いとは
リーグ戦では4試合勝利がないまま、中断期間に入った長崎。この期間を利用して練習でとり組んでいたのは、対戦相手を広げるような、幅を使ったボールの動かしだった。
その練習の意図について、高木琢也監督は「相手(の最終ライン)が5枚でもサイドチェンジできるタイミングはあると思うし、そこはウチに足りないと感じていた。中断期間で集中的にやったところはある。幅を使う、ボールを動かすことをやっていきたいので、中盤の選手のそういう発想、質を上げる一環として」と説明。中断期間に入る前までのチームに不足していると感じていた点の、ベースアップにとり組んだ格好だ。
また、今季はリーグ戦では試合の前日と前々日の2日間を非公開練習としてきたが、今週はさらに1日非公開練習を増やした。その意図を問われると、「それはいろいろありますよ」と多くを語らなかったが、今節・仙台戦でのリーグ戦初勝利奪取に向け、集中した環境の中で準備を行う狙いがあったようだ。
「相対的にはひどい試合はやっていない。でも、勝ち切れないということは、どこかしらに問題がある。そのへんはしっかりやっていかないといけない」
今季のここまでをそう振り返る指揮官は、リーグ戦初勝利のためにチームとしてのさらなる奮起を選手たちに求めている。15連戦の初戦となる仙台戦。リーグ戦初勝利を挙げ、勢いをもって大型連戦に突入していきたい。
文・杉山文宣(エルゴラッソ長崎担当)
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横浜FCの桜木花道こと立花歩夢、次の髪型はラーメンマン!?
前節・水戸戦でプロデビューを飾った横浜FCの立花歩夢。与えられた時間はごくわずかだったが、タヴァレス監督に好印象を与えたことは間違いないだろう。「とにかくシュートを打てと言われた」と88分に送り出された背番号30は鋭くキレのあるドリブルでチャンスを創出。あの決定機でイバ、もしくは自らがゴールに蹴り込んでいたら“持っている男”と評されてもおかしくはなかった。いずれにせよ、今後の活躍がますます期待できる動きを披露して見せた。
そこで気になるのは金髪坊主から、真っ赤に染め上げられたヘアースタイル。これはスラムダンクの桜木花道を意識したようで「いまの俺の中の旬です」と笑顔で話す。その自分の中で旬である人物の髪型を真似るのは学生時代から取り組んでいることだという。
「旬の人の髪型を真似したくなるんですよ(笑)。大学のときは格闘家の(コナー・)マクレガーにハマっていて『これにしてください』と言ってやってもらったこともあります。でも大学のときは攻め過ぎてしまうと坊主になっちゃうので、それだけは注意しながらやっていました(笑)」
ただ、立花は「実は飽きてきているんですよね(笑)」と早くもスタイルチェンジを示唆している。「自分、結構漫画が好きなんですけど、いまはキン肉マンのラーメンマンみたいにしたい(笑)。だからちょっと伸びたらやろうかなって思っています」。
次はどんなヘアースタイルにするのか、今後も楽しみだ。そして何より、型破りのストライカーがニッパツ三ツ沢球技場のピッチで駆け回る姿を早く見たい。
文・写真:高澤真輝(エルゴラッソ横浜FC担当)
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マリ戦でアシストを記録した鹿島の三竿健斗。帰国直後の練習に参加しアシストの真相を語る
29日早朝にベルギー遠征から帰国した日本代表の三竿健斗は、9時半からの鹿島の練習に参加。「2時間しか眠れなかった」と時差に苦しみながらも紅白戦では主力組に入った。
マリ戦では終了間際にアシストを記録。「みんなに『シュートだろ』と言われたけどクロスです。ペナの中ではイメージが大事だと思うので、見えてなかったですけど誰かいるだろうと思った」と振り返った。
ただ、欧州CLに出場するシャフタールの選手で構成されたウクライナ代表との試合では「世界との差はあった」と実感。「自分のプレーの出来がよくなかった。与えられた時間で満足できるプレーができなかった」と手応えを感じられなかったと話した。
とはいえ、「自分が伸びるためには必要な2試合だった。早く試合がしたいです」とすでに気持ちを切り替える。「感じたことをこっちで表現したい」と札幌戦に向けて準備を整えていた。
文:田中滋(エルゴラッソ鹿島担当)
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大宮のマテウスが松本戦を展望。「(岩上)祐三にも負けられない」
前節・福岡戦では左サイドハーフで先発し、前半途中から本職の右サイドハーフに移ってアシストを記録したマテウス。今週のトレーニングでも引き続き右サイドハーフを務め、生き生きとしたプレーを見せている。
「右サイドでずっとやってきてやりやすさもあるし、ゴールを狙いやすくはなるポジションだと思う。でも、左サイドもFWの位置もやっているし、監督が求めるところで自分のベストを尽くさないといけない。福岡戦は右(サイド)でいいゲームができて、いまもいいイメージを持ってトレーニングできている」(マテウス)。
連勝をかけて臨む今節の相手は松本。マテウスは「松本は非常に走力のあるチーム。攻撃も守備も非常にタフに走ってくるチームなので、アウェイでの難しい試合になると思う」と展望する。その要因の一つは、昨季までのチームメートの存在だ。
「相手には岩上祐三という走れる元チームメートがいて、彼のような選手がたくさんいるというイメージなので、われわれのベストをぶつけなければいい結果は当然、求められない。しっかりと良い準備をして臨みたい」
今季から松本に復帰した岩上はここまで2得点。「得点ランクでは現時点で彼のほうが僕より上なので、超えないといけないですね」とマテウス。元チームメート超えに意欲を見せ、「難しい試合に勝ってこそだし、(岩上)祐三にも負けられない」とモチベーションは高まっている。
文:片村光博(エルゴラッソ大宮担当)
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6試合目にして今季初先発。金沢の10番・宮崎幾笑がたどり着いた一つの答え
新潟からの期限付き移籍期間を延長した今季、金沢の10番を背負うMF宮崎幾笑だが、開幕から3試合はメンバー外だった。
開幕当初は「あまり自分のよさが出ないことが続いていた。どこかで変えないといけないと思って、うまく自分のプレーが生かせるように」考えた末、宮崎は一つの答えにたどり着く。「攻守両方ともアグレッシブにやらないといけない。やっぱり得点、攻撃はしたいけど、しっかり守備をしながら攻撃していかないと」。チームとして戦う上で守備の重要性を再認識し、そうした意識改革もあり、第4節・大宮戦以降はメンバー入りを続けている。
前節・町田戦で今季初先発を果たした宮崎。惜しくも逃した決定機を「その瞬間、瞬間でもうちょっと冷静にならないと」と振り返った。選手層が厚くなった今季は、宮崎の主戦場であるサイドハーフも競争激戦区に挙げられる。
「スタメンで出て点をとるのも大事だけど、途中出場で流れを変えて得点することもチームにとってものすごく大事。その両方をできるように」
守備への貢献が前提になるとはいえ、いつ、いかなる場合でも“10番の仕事”への備えは怠らない。
文・野中拓也(エルゴラッソ金沢担当)
(写真)昨季も金沢でプレーした宮崎
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あざみ野F.C.出身の3人が同時出場か。湘南の山根視来が語る高木俊幸
神奈川県横浜市青葉区に本拠を構えるサッカーチーム「あざみ野F.C.」。J1第5節のC大阪vs湘南では、このクラブの出身選手3人が同時にピッチに立つ可能性がある。湘南の山根視来、C大阪の高木俊幸、水沼宏太だ。
山根に話を聞くと、水沼とは年齢が離れているためあまり交流はなかったようだが、高木兄弟とは「家に行ったこともある」仲だという。高木俊幸の当時の印象をこう語った。
「小学校のときからすごい選手でした。学年が違うので一緒にプレーしたことはあまりありませんが、点をとるし、ドリブルで抜くし、僕にとっては常に前を走り続けている存在でした」
高木3兄弟のうち、大輔と善朗は昨年対戦済み。そのときも、そして今回の対戦も、やはり胸に期するものはあるようだ。
「大輔と善朗は(東京)ヴェルディで去年対戦しました。そのときも燃えましたし、今回も(モチベーションが)上がりますね。何もさせないくらいの気持ちでいます」
C大阪は前線にタレントがそろうチームで、山根をはじめとしたディフェンスラインの仕事が大きなカギを握る。勝ち切れない試合が続く湘南だが、同郷対決を制して開幕戦以来の勝点3をもたらせるか。
文:中村僚(エルゴラッソ湘南担当)
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幼馴染の山根視来との対戦に思いを馳せる高木俊幸
C大阪にとって、リーグ戦における今季初勝利を目指す今節の湘南戦。とりわけこの一戦を楽しみにしている選手が、29日に行われた紅白戦で1得点1アシストと気を吐いた高木俊幸だ。
湘南の梅崎司とは、浦和で3年間ともにプレー。「お世話になった先輩。(第2節・)札幌戦のときの駒井(善成)しかり、お互い、新しいチャレンジをした者同士として、違うチームでまたこうやって対戦できることは刺激になる」と話す。
また、開幕から4試合、3バックの右を務めている湘南の山根視来とは、「(山根の)兄が僕と同い年で、あざみ野FCで一緒にやっていた幼馴染」という間柄。「あざみ野FCは土日や祝日しか活動がなかったので、平日は毎日、公園で一緒にボールを蹴っていた。僕がまだサッカーを始めたばかりの、リフティングが数回しかできなかったころ、山根のお父さんにサッカーの基礎の基礎を教えてもらった」そうだ。
当時の様子についてさらに尋ねると、「僕と次男(善朗)と山根兄弟で、“高木対山根”の2対2もよくやっていた。全員、負けず嫌いだった」と懐かしそうに振り返った高木。「山根が大学を経てプロになったと聞いたときはうれしかったし、J1のピッチで対戦できることは喜ばしい。先発はまだ分からないけど、お互いに出ればマッチアップすると思うので、かなり楽しみ」と今節に思いを馳せた。
文:小田尚史(エルゴラッソC大阪担当)
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