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3年ぶりとなる故郷でのゲームを前に、「栃木にだけには負けたくない」と京都の湯澤洋介
3日に行われるJ2第12節・栃木戦は、湯澤洋介にとって特別なゲームだ。栃木はプロ入りから3シーズン過ごしたクラブであり、出身地も栃木県日光市。栃木から水戸に移籍した16年から昨季までは栃木がJ3所属だったため、アウェイに乗り込む3日のゲームは、3年ぶりに故郷で雄姿を見せるチャンスとなる。
その大事なゲームを前にした心境を、「栃木にだけには負けたくないです」とキッパリ言い切った湯澤。「栃木時代は廣瀬(浩二)さんたちにシゴかれて…。けっこうボロカスに言われてましたからね、オレ(笑)」。厳しく叱責してくれた先輩たちに成長したプレーを見せつけ、恩返しをする心づもりでいる。
また、栃木の選手として最後にプレーした15年にJ3降格が決まったこともあり、「試合に出たい気持ちは強いけど、自分がいたときに(J3に)落としている。ちょっと気まずさもあるんです」と、複雑な思いが交錯していることも明かしてくれた。
「知り合いも来てくれるはず。準備をしっかり整えておきます」。同じく古巣戦だった前節・水戸戦では今季初めて出番がなかった湯澤だが、今度こそ古巣相手に大暴れする姿が見られそうだ。
文・写真:川瀬太補(エルゴラッソ京都担当)
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選手監修の徳島オリジナルタオマフが完成。その制作秘話と込められた思いとは?
選手監修の徳島オリジナルタオルマフラーが完成。その制作秘話を聞いた。
今季から勝利した試合後に選手とサポーターが一緒になり、タオルマフラーを回してともに喜びを分かち合うようになった。その喜びの表現方法は、第3節・大宮戦(1○0)で、サポーターへの挨拶時に「タオルマフラーを回そうよ」(大﨑玲央)と言葉にしたのがきっかけだったそう。
また、岩尾憲からの提案で「サポーターと一緒のタオルマフラーを回せないかな?」と既存のものではなく「一緒に使える特別なものを作りたい」と岩尾憲、大﨑、内田裕斗の3選手でプロジェクトチームを発足。デザインには「タオルマフラーを振ってみんなで一緒に喜びたいというのは今年新しく始まったサポーターとのコミュニケーションの一つとしてやっているので、デザインも明確に“今年っ!”というのが分かればいいな」(岩尾)というメッセージが込められており、中央には内田裕がサポーターに投げかけた「アツすぎる応援を!」という名言をキャッチコピーとしてあしらった。
そのタオルマフラーが、今節・愛媛戦の『四国ダービー』から販売開始。チームの現状は苦しいところではあるが、ニュータオルマフラーを掲げて鼓舞してもらいたい。そして、勝利を収め、スタジアムに集まった全員で喜びを分かち合おう。文:柏原敏(エルゴラッソ徳島担当)
写真提供_徳島ヴォルティス -
甲府と千葉、吉田達磨氏と近藤直也。プロの美学と残酷さが入り交じった試合後の光景
4月28日のJ2第11節・甲府vs千葉は、運命や因果といった簡単な言葉で片づけられないゲームとなった。
結果は後半アディショナルタイムの土壇場で、千葉がDF近藤直也の同点ゴールで追いついての1-1のドロー。甲府は勝利目前で勝点3を逃し、翌々日の同30日、監督だった吉田達麿氏が契約解除となった。
今季リーグ戦における戦前の状況を整理しておくと、“ホーム未勝利の甲府”に対し、“アウェイ全敗の千葉”の構図。両者とも下位に低迷する苦境から脱しようと、喉から手が出るほど勝点3を欲するシチュエーションだった。
選手と指導者あるいは強化責任者。立場こそ違えど、同点ゴールを決めた千葉の近藤と甲府の吉田氏は、長年にわたり同時期に柏に所属していた。吉田氏が柏を指揮した15年には監督と選手の関係だった。
一方、吉田氏の契約解除の理由は一つではないにしろ、結果的に同点ゴールが引き金の一つになったことは否めない。近藤は「僕がどうこう言うことではないです」と前置きした上で、言葉を選びながら心境を語ってくれた。
「結果がすべての世界。お互い厳しい世界に身を置いているから、そういうこともある。僕ら(選手)も含めてですけど、1年1年が勝負だし、いつ首を切られてもおかしくない職業。いいサッカーをしていても勝てないチームもあるし、難しいですけど、それでも、すごくやりがいのある仕事でもあります」
互いに“ハイリスク・ハイリターン”の世界に身を投じるプロフェッショナルというリスペクトの気持ちがあるからこそ、現実を正面から受け止める。
試合直後、近藤が「すごく指導力のある人。感謝しているところは本当にたくさんあります」という吉田氏のいるベンチ前に出向くと、抱き合って健闘を称え合っていた二人。それはプロの美学と残酷さが入り交じるワンシーンだった。
文・大林洋平(エルゴラッソ千葉担当)
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広島との対戦を控える清水のヤン・ヨンソン監督。「近づいてくれば特別な感情も生まれてくる」
清水のヤン・ヨンソン監督は、昨季率いた広島との対戦に「極力平常心で臨めるようにしたいが、近づいてくれば特別な感情というものも生まれてくると思う」と複雑な感情を語った。
昨季、広島は開幕から18戦で勝点11。降格圏に沈んでいたが、ヨンソン監督就任以降は残り16試合で勝ち点22を獲得し、見事残留を果たした。今季、広島は首位を走っているが、「結果は素晴らしい。規律のいいチームに仕上がっている」と見ている。では、清水としてはどう戦うのか。「相手の特徴を把握している。それは選手たちに対して還元していこうと思っている。ただ、いい試合を見せるということは変わらない」と話す。前節、昨季から12戦続いたホーム未勝利をようやく止めた。チームとして勢いのあるいま、首位の広島を叩く準備はできている。
文・写真:田中芳樹(エルゴラッソ清水担当)
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11年越しの再戦。ジョーとの対戦に燃えるC大阪のキム・ジンヒョン
C大阪にとって2日の名古屋戦は、名古屋のストライカー、ジョーをどう抑えるかが試合のカギを握る。そのジョーと07年のU-20W杯で対戦経験があるのがGKキム・ジンヒョン(そのときはジョーが所属するブラジルが、キム・ジンヒョンの所属する韓国を3-2で破った)。
「動き直しがうまく、技術も高かった」と当時のジョーに対する印象を語ったキム・ジンヒョンは、「11年経って多少スピードは落ちても、動きは変わっていない。いい選手だということは間違いないけど、止めなければいけない」と11年越しの対戦に意欲を燃やした。
今季、C大阪は、ここまでのリーグ戦のアウェイでは5試合すべてで先制点を許しているが、今節こそ、その流れを止めたい。得点力だけではなく、懐の深いキープ力に特長のあるジョーや、テクニックに秀でたガブリエル・シャビエルらをチーム全体で抑え、最後の砦として、キム・ジンヒョンが立ちはだかる。
文:小田尚史(エルゴラッソC大阪担当)
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神戸・渡邉千真、古巣・FC東京撃破へ 三田啓貴と誓う「ぜってえー、負けねえ」
J1第12節・FC東京との対戦を控える神戸。渡邉千真は「健太さん(長谷川監督)になり、厳しさ、規律が出ている。もともと守備は堅かったけど、2トップを生かす形がハマっている」と、古巣であり現在2位につける強敵を警戒した。
これまでFC東京との古巣戦は経験済みだが、今季からはFC東京時代でもチームメートだった三田啓貴が加入。渡邉は「タマ(三田)とちょっと話したけど『ぜってえー、負けねえ』って。自分もその気持ちでやりたい」とフレッシュなメンタルで古巣戦と向き合う。
その三田との相性は抜群だ。「自分が(試合に)パッと出たときでも、フォローのタイミングが抜群。ワンタッチで落とせるところにサポートしてくれている」と称賛し、三田がここ4試合で3得点を挙げていることには「自分も『負けられない』って刺激になっている」と目をギラつかせる。
前節・川崎F戦は76分から途中出場。退場者が出る苦しいゲームだったが、「何としても勝点1はとらないといけなかった」と渡邉は悔しそうに語る。その上で、「常に与えられた時間で結果を出すことを心がけている」とも話し、チームを勝たせる得点への執着心をのぞかせていた。
文:小野慶太(エルゴラッソ神戸担当)