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7連敗の鳥栖にサポーターが送ったメッセージ
2日に行われた明治安田J1第12節・札幌戦ではチームにとって5試合ぶりとなる得点で先制しながら終盤に2失点を喫し、痛恨の逆転負けとなった鳥栖。連敗が7に伸びてしまったが、試合後にサポーターが見せたアクションがチームを奮い立たせている。
試合後、選手、スタッフが引き上げたあと、サポーターがゴール裏を中心にチームを鼓舞するようにチャントを歌い続けた。これには最古参の高橋義希も「あれを聞いて何も感じない選手はいないし、こんなサポーターはほかにいない。サポーターのために頑張りたい」と気持ちを奮い立たせていた。また、その光景を見たマッシモ・フィッカデンティ監督も「サポーターの方々もああいう形で、選手たちに対して『お前たち、まだやれるぞ』というメッセージを伝えてくださったので本当にありがたい」と苦しいチーム状況にありながら懸命にチームを支える姿勢を見せてくれたサポーターへの感謝の思いを言葉にした。
「試合後のチャントは聞きました。ああいうのを聞くと一緒に戦ってくれているからやらないといけないなと、鳥栖に来て4年目ですけどあらためて感じました。こういう状況の中でああいう行動をとってくれるというのはなかなかできないことだと思います。そこには感謝したいですし、僕らができるのは結果を出すこと。一生懸命やるとか全力でやるというよりも、結果で大きく変えられると思うので、それだけを求めてみんなでやっていきたい」。主将の吉田豊もチームの思いを代弁する。苦しい状況ではあるが清水戦に向けてチームの結びつきはより強固になった。清水戦の勝利でこの苦境を脱したいところだ。
文:杉山文宣(エルゴラッソ鳥栖担当)
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小川佳純&原輝綺。“市船ライン”で右サイドの攻撃を活性化
新潟は2日、聖籠町の専用練習場で、J2第12節・金沢戦に向けた最終調整を行った。
全体練習後、入念にクロスの練習をしていたのは原輝綺。本職はボランチだが、J2第9節・栃木戦から右SBを務めている。前節・山口戦では、高木大輔を振り切って、相手陣内深くから上げたクロスのこぼれ球が、磯村亮太の先制点につながった。
このチャンスを演出したのは、縦関係を組む右サイドハーフの小川佳純。ボールをキープし、原のオーバーラップを促して出したパスから生まれた場面だった。
ともに市立船橋高で7番を背負った、先輩・後輩にあたる関係。練習では、小川が原にポジショニングやタイミングの指示を出しながら、連係を深めている。
「(原)輝綺も本来は右SBではないと思うが、どこで使われてもしっかりパフォーマンスを出せるのは選手としていいこと。自分もいろいろなポジションをやってきたが、『ここだから力が発揮できない』では、プロとしては通用しない。期待されて起用されているのだから、成長してほしい。そういう意味で声をかけている」と小川。「俺の言うことなら聞くと思う(笑)」と、先輩として細かくアドバイスを送る。
原も「いろいろ言ってもらえるのはありがたいこと。普段から仲良くさせてもらっているし、いい関係でできていると思う。ズミさん(小川)はタメを作ってくれるので攻撃に上がる回数が多くなる。自分は脇役でもいいので、おとりに使ってほしいとも言っている」と、小川からさまざまなことを吸収しながら成長中だ。
積極的な攻撃参加が光る原だが、「まずはDFなので失点ゼロで抑えることを第一に考えながら、プラスアルファで点につなげることができれば」と守備を意識する。マンマークで球際に激しくくることが想定される金沢にも「1対1は好き。そこで勝ったときはうれしいし、攻撃より好きかも。そこで勝てれば金沢に勝てると思います」と、本領を発揮するつもりだ。
今節も右サイドの“市船ライン”で、攻守に見せ場を作る。
文・写真:野本桂子(エルゴラッソ新潟担当)
[写真:プロ2年目の原(中央)。金沢戦では持ち前の予測とタイトな守備で完封を狙う]