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「みんなのことを助けたい」。町田の深津康太が胸に誓った思い
前々節の大分戦は12分に退場処分を受けると、外からチームメートの奮闘を応援するしかなかった。町田は前半だけで3失点を喫し、後半開始直後に1点を返したが、終盤の80分過ぎには交代枠を使い切ったあとにロメロ・フランクが負傷。彼がピッチを退いたあとは9人での戦いを強いられた。しかし、チームは1-3の状況から一度は1点差に詰め寄り、再び突き放されたものの、3-4まで食い下がっている。
悔しさを噛み締めながらロッカールームに戻ってきた選手たちを迎えた深津康太は「申し訳なかった」と頭を下げたという。仲間の奮闘に「鳥肌が立った」という深津は、大分戦の5日後には、味の素スタジアムのスタンドから古巣・東京Vとの『東京クラシック』を見守り、4-1で連敗を止めた選手たちの姿を見て、「心が震えたし、あらためて良いチームだなと思った」。
東京V戦から中2日で迎えるホームでの横浜FC戦は出場停止が明ける。しかし、深津自身のレギュラーポジションが約束されているわけではない。それでも、彼には心に誓ったことがある。
「みんなには感謝しかないし、みんなが頑張ってくれた姿を見て、僕ももっと頑張らないといけないと思った。もし次に自分が出るときにはみんなのことを助けたいし、みんなのぶんも走りたい。仲間のために走って、勝ち点3を取ることだけを考えたい」文・写真:郡司聡(エルゴラッソ町田担当)
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前節ベンチ入りの熊本MF田辺圭佑、「もっと持ち味を出していきたい」
1-2で敗れて今季初の連敗を喫した、前節の岐阜戦。このゲームで熊本は植田龍仁朗、片山奨典、佐野翼らが今季初先発。また、今シーズン琉球から加わり、開幕のアウェイ・山口戦で先発しながら左足首を痛めて一時戦列を離れていたMF田辺圭佑もベンチ入り。出場機会はなかったが、初めてホームゲームのメンバーに入った。
「開幕戦では結果を出せず、次こそはというところでけがをしてしまって、チーム状態が良くなっていくなかで気持ちの難しさもありました。でもどうすればチームにとってプラスになるか、必要なことは何かを考えながらプレーしてきて、調子を上げていけば試合にも絡めると思ってやってきました」と話す。
今シーズン採っているシステムでは中盤がカギを握っているが、選手によって持ち味はさまざま。復帰後の練習試合では、大きな展開で局面を打開するシーンや、前線の動きを逃さない配球も見られた。
「開幕のころとは少し変わってきて、カウンターの場面も増えている。展開力は自分の持ち味だと思っていますけど、ボールが落ち着かないときに時間を作ったりしながら、良さを出していきたい」
競争の激しいMF陣にあって、試合出場の少ない選手たちのアピールが、さらなるチーム力向上につながる。
文・写真:井芹貴志(エルゴラッソ熊本担当)
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頭部負傷の横浜FM・飯倉大樹、大事には至らず。名古屋戦も出場か
負傷が心配された横浜FM・飯倉大樹だが、明日5日の名古屋戦に出場できるようだ。
飯倉は2日の明治安田J1第12節・磐田戦で相手との接触により頭部を負傷。試合は5分以上に渡って中断され、飯倉は試合後もサポーターに挨拶することなくピッチから引き上げた。取材エリアに姿を見せることなく病院に直行していたが、脳震とうではなく打撲だった模様。4日のトレーニングはフルメニューをこなした。
「鈍器で殴られた感じ。ドーンって。交通事故だね」と苦笑しながら接触について振り返りつつも、「今日も確認したし、やるとなったら大丈夫」と出場に意欲を見せた。
また、連戦中は試合に長時間出場している選手たちはリカバリーに終始することが多かったが、この日は主力組も含めて11対11も行い、攻守を確認。ポステコグルー監督は「水曜日の試合からまだ疲れがある選手がいた中で、オプションを試してみたかった」と明日の起用についての明言を避けた。ここ2試合ベンチスタートとなり、前節は出番がなかった大津祐樹が1トップでプレーしていた。
そのほか、鹿島戦でリーグ戦10試合ぶりに復帰した喜田拓也がインサイドハーフで天野純、扇原貴宏と逆トライアングルを形成、右サイドバックは松原健、センターバックはミロシュ・デゲネクが主力組に戻っていた。ポステコグルー監督が名古屋戦からの復帰を見込んでいたオリヴィエ・ブマルはベンチスタートと見られ、右に仲川輝人、左に遠藤渓太というウイングで試合に臨むことになりそうだ。
文:菊地正典(エルゴラッソ横浜FM担当)
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ギレルメのいた左ウイングバックで先発濃厚の磐田・宮崎智彦、「この機会をチャンスと捉える」
4日の大久保グラウンドでは、明治安田J1第13節・柏戦に向けた磐田の前日練習が行われた。試合前日練習では、11対11のセットプレートレーニングが行われ、そのスタメン組と思われるチームで宮崎智彦がプレー。前節・横浜FM戦でイエローカード2枚により退場処分を受けたギレルメに変わり、左ウイングバックとして、第5節・浦和戦以来の先発出場が濃厚となった。
本人は、「この機会をチャンスと捉えて、結果をしっかりと出していきたい」と意気込みを語った。注目は、柏・伊東純也とのマッチアップだろう。対伊東純也について「うまくつぶすことができれば、向こうの攻撃パターンを封じることにもなる」とし、「その中でスピードがある相手なので、立ち位置や間合いに気をつけながら声を掛け合いながらやっていきます」と対策を語った。
「(柏は)良いチームですけど、受けに回らずこっちからしっかりと仕掛けていけるようにやっていきたいと思います」と話したように、攻撃的な柏相手にも磐田の持ち味でもあるアグレッシブな姿勢で立ち向かうことを誓った。
文:森亮太(エルゴラッソ磐田担当)
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J2・21位と不振の京都。布部陽功監督が退任へ。「選手の責任でもある」と主将の染谷悠太
低迷が続いている京都が大ナタを振るうことになった。3日のJ2第12節・栃木戦の敗戦後に布部陽功監督と強化部で話し合いが持たれ、近日中に監督が退任する方針が決定された。
遠征先から京都に戻った4日の練習グラウンドに布部監督は姿を見せなかったが、練習前には指揮官から選手たちへ状況説明が行われたという。主将の染谷悠太によれば、「『頑張ってほしい。みんななら大丈夫だ』と、ヌノさん(布部監督)らしい力強い言葉をいただいた」そうで、「それを言わせる状況を作ってしまったことが申し訳ない」と肩を落とす。
新体制がどうなるかはまだハッキリしておらず、2日後に迫るJ2第13節・山口戦は監督の休養という形が取られる模様。染谷は、「一番つらいのはヌノさん。悔しいと思う。僕たち選手は、そういうヌノさんの思いを背負って、今後やっていかないといけない。最終的に監督が責任を取る形になってしまうということは、それは翻れば選手の責任でもあるということ。自分自身も真摯に向き合って、ヌノさんが置いていってくれたものに、しっかりと結果で報えるようにやっていきます」と力を込めた。
布部監督は17年からチームを率い、今季が2年目。今季の京都は開幕から白星が増やせず、J2第12節を終えて2勝3分7敗、J3降格圏の21位に沈んでいる。
文:川瀬太補(エルゴラッソ京都担当)
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水戸戦でアシストの松本・中美慶哉、中2日の岐阜戦は「試される試合」と意気込む
ゴールデンウィーク3連戦の最終節となる今節・岐阜戦に向けて、松本の中美慶哉が準備を進めている。
前々節・愛媛戦で“松本デビュー”を果たすと、前節・水戸戦では投入直後に前田大然のゴールをアシスト。「ああいう場面でボールを受けて前を向くのが自分の持ち味だが、大然のターン、シュートも良かった。大然がアシストにしてくれたという部分もある」と謙遜するが、短い時間で与えられた役割をこなした。
岐阜戦は中2日でのアウェイゲームという厳しい中での一戦となるが、「どのチームも条件は一緒だし、誰が出たとしてもチーム力は落ちてはいけない。その意味でも試される試合になる」と意気軒昂。岐阜についてもボールを動かる力に長けた難敵であることは認めた上で、「自分たちの強みである走力やハードワークを出せる相手」と自信ものぞかせる。
チームは7戦負けなしと好調を維持しており、上位進出のためにも勢いを持続したいところ。チームの総合力が問われる一戦だけに、中美の活躍にも期待がかかる。
文:多岐太宿(エルゴラッソ松本担当)
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得点に飢える川崎Fの知念慶、あすの多摩川クラシコで先発か。「今回は自分の仕事を」
前節・浦和戦に敗れた川崎Fは、5日の明治安田J1第13節で今度はライバルであるFC東京と対戦する。第31回目となる多摩川クラシコでは多少のメンバー変更がありそうだが、先発復帰の可能性がある知念慶が強い意気込みを語った。
知念は3連勝のスタートとなった第9節・鹿島戦でスタメン出場するものの、個人的にも納得のいくパフォーマンスができず、その次の第10節・鳥栖戦ではハーフタイムで交代と、なかなかチャンスを生かし切れていなかった。ただ、タイトなスケジュールもあって、今節のFC東京戦では久々に先発のチャンスが回ってきそうな可能性が高く、「普段チャンスをもらっていない選手やメンバーが少し出るので、みんな気合いが入っていると思う。その思いを結果につなげたい」と強調している。
また個人としては「(第9節・)鹿島戦に続いて相手のCBが代表クラスの選手たちになる。鹿島戦では思うようにできなかったけど、そういった反省を踏まえて今回は自分の仕事をできるようにしたい」と何よりも結果に注視しているよう様子。知念にとっては初の多摩川クラシコになるが、「昨季はリーグ戦で勝てていない。今年一発目ということもあるので、しっかり勝ってチームにいい流れを戻したい」と力強い言葉を語っている。得点に飢えるストライカーは結果を残すことができるのか。明日の試合の一つの注目ポイントとなりそうだ。
文:林遼平(エルゴラッソ川崎F担当)
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可変する湘南の中盤。試合中の判断は選手たちの自主性によるもの
今季の湘南の試合をよく見ていると、試合の中で選手の配置がかなり細かく変わることがある。例えば第11節の浦和戦では、[3-5-2]の布陣でスタートしていたはずだが、3ボランチの一角だったはずの石川俊輝が前に出て[3-4-2-1]に見える時間帯があった。また前節の柏戦でも、ワンボランチの[3-5-2]でスタートしたはずが菊地と石川のダブルボランチになる時間もあった。
これを菊地俊介に聞いてみると、その多くは選手たちの判断だという。
「お互いに話をして、ダブルボランチにしようかと決めたりします。曺監督もその決断は尊重してくれますね」
石川に聞いても同様だ。前述の浦和戦で前目にポジションをとったのも、「ステバノヴィッチとのバランスも見ながら、槙野選手がボールを持って前に来たがるので、そこを牽制する意味でも前に出た」という。これは今年に入ってから継続していることだ。もちろん監督からの指示もあるが、選手の判断で都度形を微妙に変えている。
これができるのも、曺監督の余裕にあるのかもしれない。シーズン当初、曺監督は「今までは自分がやらなければいけないと力んでいたが、今年はそういった気負いがなく、今までで一番楽しめている」と話していた。また菊地自身も、シーズン当初には「監督から試合中に指示が飛ぶのは少なくなった。選手の自主性を見てくれている」と話していた。それは今も変わらないようだ。そしておそらく、敗戦を喫しても曺監督が常にポジティブな姿勢でいられるのも、選手たちの成長を見ているからだろう。この一年で湘南がどこまで「大人」になれるのか、見届けたい。
文:中村僚(エルゴラッソ湘南担当)
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J1デビューも前半のみの出場だった湘南の石原広教、「もう上に上がるしかない」と前を向く
前節・柏戦でJ1デビューを飾った湘南の石原広教。だが、本来は先発出場するはずだった高橋諒に代わって急遽出場という状況に加え、対峙する相手は日本代表経験もある伊東純也ら、J屈指のアタッカーだったこともあり、「周りが見えなくなってうまく試合には入れなかった。誰が見てもわかると思う」という出来になってしまった。
試合後の会見で曺貴裁監督は「責任は僕にある」ときっぱり。また、試合後は石原自身も梅崎らにも声をかけられたという。試合から2日経った練習後に話を聞くと、悔しそうな表情は浮かべつつも、すでに気持ちは切り替えているようだった。
ところで、石原は2016年のルヴァン杯のデビュー戦でも苦い記憶がある。当時17歳だった石原は、湘南ユースでキャプテンを務めつつ2種登録でトップチームに帯同しており、リーグ戦でのデビューは飾っていた。ルヴァン杯のデビューは6月5日、第7節の神戸戦だったが、この日は途中出場途中交代という試合になってしまっていた。本人も「デビュー戦には何かしら起こる」と苦笑いしていた。
だが、「もう上に上がるしかないんで、貴重な体験をしたと思ってがんばるだけです」と、本人はいたって前向き。将来有望な19歳に今後も期待したい。
文:中村僚(エルゴラッソ湘南担当)
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金沢の佐藤洸一、ベンチスタートの現状についてとGK白井裕人とのホットラインを語る
前節・新潟戦、金沢は2-3の敗戦を喫したが、攻勢を強めた後半は一時同点に追いついた。同点弾を挙げたのは途中出場のFW佐藤洸一。毛利駿也のクロスに頭で合わせて今季2点目をマークした。「良いボールを上げてくれたので当てるだけだった。良いコースに飛んでくれた」と佐藤。
佐藤がピッチに立ったことで、昨季は何度もパスが通った”ホットライン”が復活。GK白井裕人のロングフィードを、前線で動き出した佐藤が受け、最短の手数で起点を作った。「裕人は長いボールが得意なので、去年から(白井がボールを)取ったとき、取る前くらいから走り出して準備をする。(自分を)見てくれているので、信じて走ったらボールが出てきます」(佐藤)。
このところベンチスタートが続く佐藤だが、「やらないとダメなのは分かっている。しっかり準備してコンディションを作って、試合で結果を出せるように頑張りたい」と、次の出番とゴールを見据えている。
文:野中拓也(エルゴラッソ金沢担当)
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