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渡大生が見せる“献身”。「(ゴールは)ギブ・アンド・テイクだと思っている」
FW渡大生のプレーに躍動感が出てきた。
「いまはとにかく、すべてを始めから出そうとしている」
そう語る背番号20は、9日のルヴァンカップ第5節・G大阪戦で左サイドのハーフウェー付近でボールを受けると、スピードの乗ったドリブルで相手をぶっち切ってゴールネットを揺らす、ダイナミックなゴールを決めてみせた。
次はJ1での初ゴールが待たれるが、「僕はいっつも遅いんですよ。去年がたまたま早かっただけで、全然焦りはない」と本人は気にしている様子はない。最前線で守備に奔走しながらガムシャラにゴールを追い求める、自分のできることに集中してピッチに立っている。
「守備しながら点をとれるというのも僕の強みだと思っているし、僕は(ゴールは)ギブ・アンド・テイクだと思っている。チームのためにプレーすればチャンスをもらえると思っている」
主将のMF青山敏弘も渡の攻守にわたった献身的なプレーを高く評価し、「アイツ自身はゴールが足りないと思っているかもしれないけど、それ以上にチームへ貢献してくれている」と語り、「そろそろ点をとれると思うし、とれなくてもチームが勝つことに続けて貢献してもらいたい」と期待を込めて語った。
文・寺田弘幸(エルゴラッソ広島担当)
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自らつかみとり、ついに巡ってくる舞台。西谷和希にとっての念願の初対決とは
今節・甲府戦、FW西谷和希にとって念願のバトルがまっている。甲府のDF湯澤聖人は流通経済大の同期。状況によっては、同じサイドでマッチアップする可能性がある。
J3で2年間を戦ってきた西谷にとって、プロの舞台で同大の同期と対戦するのは初めてのこと。J3にいたころは「流経大の同期や先輩はみんなJ1やJ2で戦っている」と口にし、流経大に絡んだ対決がほぼない状況に寂しさも募らせていた。
昨季チームとともにJ2昇格をつかみとり、巡ってきた初の同期対決の舞台。
「彼(湯澤)とは大学時代、寮で同部屋だった。いまも連絡を取り合っているけど、『絶対に負けないから!』と宣言し合っている。お互いに負けず嫌いだし、試合ではバチバチやり合いたい。試合前にあんまり仲よくするとバチバチできないので、そういうのは控えないと」と、いよいよ臨戦態勢に入った。
現在6戦負けなしと好調を維持する栃木だが、アウェイの甲府戦は厳しい試合になることは必至。
「甲府はJ1のチームというイメージが強い。その甲府にしっかり勝てたら自信になる」
栃木の俊英、西谷が同期対決に勝利し、甲府を打ち倒す。
文・写真:鈴木康浩(エルゴラッソ栃木担当)
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情報のフィードバックも勝負のカギ。古巣・町田を知る重松健太郎「みんなとイメージを共有できれば」
讃岐のFW重松健太郎が、昨季まで3シーズンプレーした古巣・町田戦に臨む。
現在、讃岐はチームとしての得点力不足に悩まされているが、今季より讃岐の一員に加わった重松個人はここまでチームトップの3得点。シーズン序盤戦にして自身キャリアハイの4得点に迫るなど、順調に結果を積み重ねている。
そんな重松にとって、町田は自身のプロキャリアで最も長くプレーをした思い入れのあるクラブ。ただ、現在の讃岐は2連敗中で、順位も20位と低迷。是が非でも順位浮上のきっかけをつかみたいだけに、重松も古巣相手に躊躇なく牙をむくつもりだ。
「(町田のサッカーは)自分も理解しているつもりなので、それをチームとして生かせるよう、みんなとイメージを共有していければ」
重松は3シーズンにわたって町田・相馬直樹監督の下でプレーしている。讃岐の中で最も町田のサッカーを熟知しているからこそ、その古巣情報のチームへのフィードバックも今節の勝負の一つのカギになりそうだ。
文・松本隆志(エルゴラッソ讃岐担当)
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ポドルスキ不在の神戸に新オプション。次節は渡邉とウェリントンの2トップも視野か
神戸は10日、J1第14節・磐田戦に向けたトレーニングを行い、FW渡邉千真(写真右)とFWウェリントンが2トップを組み、アタッキングパターンを入念に確認した。
FWルーカス・ポドルスキが中盤で“フリーマン”となり、攻撃の手綱を握るスタイルで戦ってきた神戸。その司令塔が負傷離脱し、MF郷家友太やFWレアンドロ、MF安井拓也らが“フリーマン”となって自らの特徴を発揮してきたが、吉田孝行監督の中では、渡邉とウェリントンという強力なストライカーを前線に配置した[4-4-2]も視野にあるようだ。
0-2で敗れた前節・広島戦後、渡邉は「縦パスが入ったときにどう反応するか。そういう練習もしたいし、[4-4-2]がハマる部分はあると思う」と語っていたが、この日行ったのはまさにその形。連戦の最中で練習時間は限られるが、リーグ戦4試合勝星から遠ざかっている中、2トップはチームの新たな起爆剤としても期待されそうだ。
文・写真:小野慶太(エルゴラッソ神戸担当)
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仙台の石原直樹、堅守・広島との一戦に向け「しっかりそれぞれが自分の仕事を」と気を引き締める
仙台の攻撃を引っ張る石原直樹が、J1第14節・広島戦を前に、意気込みを口にした。
石原にとって次節の相手である広島は、12年から14年まで在籍し、二度のJ1制覇を経験したことのある古巣。「楽しみです」というこのカードでは、仙台加入後では昨季のJ1第8節(3△3)でゴールを決めたこともある。
今季はすでに2月10日にキャンプ地の宮崎県宮崎市での練習試合で対戦したが、両チームとも当時から成長しており、また違う戦いとなることが予想される。石原は「相手は(失点を)ゼロで抑えて、1点を確実にとって勝つ、というやり方が徹底できていて、自信をつけています」と見た上で、「早い時間に先制点をとれるのがベスト。ただ、とれなくても焦らないこと。ボールをもたせてカウンターを狙う、というのも相手のポイントですから」と展望する。
次節は、ここまでリーグ戦では全試合にフル出場している野津田岳人を契約上の理由(※広島からの期限付き移籍中で、広島戦に出場できない)で欠く。ここまでのJ1リーグ戦13試合で総失点がわずか5という堅守の相手に対し、野津田の不在は痛い。だが、「まず自分自身のこのチームでやるべきことは変わらないので、そこは、『誰かがいないから…』ということではなく、しっかりそれぞれがチームのために自分の仕事をするということが大事」という石原が、仙台の最前線で相手の堅守攻略を図る。
文・写真:板垣晴朗(エルゴラッソ仙台担当)
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復帰間近の千葉・乾貴哉が見せた後輩思いの一面
昨年11月のJ2第40節・町田戦で左膝蓋腱断裂(全治6カ月)の大ケガを負った千葉の乾貴哉がいよいよ復帰間近だ。ゴールデンウイーク中に全体練習に合流すると、4日からは全メニューを精力的にこなしており、「長かったけど、オフを挟んだから結構、早く感じた。練習の雰囲気も悪くないし、自分から盛り上げられたら」と意欲的だ。
順調な回復と言っていいだろう。「(全体練習合流から)1週間ぐらいは対人とかは避ける予定だったが、1週間経たないうちに、対人もやっている。ボールタッチの感覚も(ケガする)前と変わらない」とサッカーができる喜びを感じながら、コンディションを整えている真っ最中だ。
今節・新潟戦が行われる12日は22歳の誕生日。「ちょっとでも出られればいいが、まだそこまではいけてない。でも今月中には試合に出たい」と、試合復帰はまだ少し先になりそうだが、表情は明るい。
ただ、自ら「激戦区」と表現する左SBあるいは左ウイングバックの人材は豊富。身体能力抜群の高木利弥や3戦連続先発中のホルヘ・サリーナスらとのポジション争いを制さなければ、出場機会を得られないことも十分承知しており、「ここからどう成長できるかが大事。一日一日の練習で監督にアピールしながら、頑張りたい」と地に足をつける。
ここで気がかりなことが一つ。乾の合流により、長期離脱は本田功輝の一人だけになった。ともにリハビリに励んできた高卒ルーキーに対し、「一人だったら、気が紛れない部分もあったので…」と感謝したあとは「アイツは明るいので一人でも大丈夫。心配ではない」と必死の照れ隠し。ただ、リハビリの辛さは身に染みている。口にこそ出さないが、本田が自転車に乗れない時期には寮からの送り迎えを買って出たように、今後もサポートを誓う後輩思いの優しい先輩であった。
文:大林洋平(エルゴラッソ千葉担当)
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甦りつつある左右の翼。徳島の広瀬陸斗、内田裕斗が練習に本格合流
両サイド合流。
昨季から別メニューの続いていた徳島の右サイド・広瀬陸斗。好パフォーマンスを維持していたが、4月に離脱してしまった左サイドの内田裕斗。この両翼が、今週から本格合流した。
広瀬は別メニュー期間がシーズンをまたぐほど長かったため、すぐに公式戦ということはなさそう。とはいえ、一人で別メニューをしていたころとは違って「みんなとしゃべれるようになってよかったです」(広瀬)と笑顔がこぼれる。
また、内田裕に関しては「『90分出場しろ』と言われても全然大丈夫です。あとは監督とメディカルが話し合って決めてもらえれば」と早くも臨戦態勢。「ケガをマイナスに捉えるのではなく、しっかり治して結果を残せるように考えていました」との言葉どおり、別メニューの練習を除くと常にテンション高く楽しそうにトレーニングしていたのが印象的だった。ケガなどの影響で一時はサイドプレーヤー不在で悩まされた徳島だが、現在は杉本竜士と大本祐槻がけん引している。そこに広瀬と内田裕が加わり、ここからのポジション争いは見ごたえがありそうだ。
文:柏原敏(エルゴラッソ徳島担当)
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ウルグアイ時代からの盟友の初出場を喜ぶレンゾ・ロペス。「二人でプレーすることを楽しみにしていた」
ウルグアイのプラサ・コロニアから京都へ期限付きで今季加入してきたマティアス・カセラスが、前節・山口戦で待望のJ初出場を果たした。そのことをわが事のように喜んでいる選手がいる。プラサ・コロニアからカセラスと同時に加入し、今季の全13試合に出場しているレンゾ・ロペスだ。
中盤の軸になると期待されていたカセラスだったが、ケガや結膜炎などのアクシデントが重なり、前節までの12試合は出場機会がない状況が続いていた。それだけに、「二人でプレーすることを楽しみにしていたし、一緒にグラウンドに立てたことはすごくうれしいです」と、ロペスは興奮気味に話す。
山口戦のカセラスは56分からの途中出場。二人がともにプレーしたのは30分少々の時間だけだったが、それでもDFの背後を狙うロペスにすかさずカセラスからパスが出たり、息の合ったところを感じさせるシーンはいくつか見せていた。
点取り屋のロペスと、パサーのカセラス。「何回かは覚えてないけど、もちろんマティアス(カセラス)からのパスでゴールを決めているよ」と振り返るように、ウルグアイ時代からあうんの呼吸ができあがっていたようだ。
「マティアスは自分の特長をよく知っているし、僕もマティアスがどこを見ているかはだいたい分かります。マティアスは中盤でボール奪取もできるし、パスも出せる。彼の力はチームに絶対に必要になってくると思います」。
ここまで、ロペスが挙げている今季の得点は4ゴール。しかし、二人のウルグアイ人が同時にピッチに立つ時間が長くなればなるだけ、ロペスの得点ペースが上向いていくことは間違いなさそうだ。
文・写真:川瀬太補(エルゴラッソ京都担当)
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「戦う準備はできている」。金沢の梅鉢貴秀が練習に復帰
金沢に朗報だ。J2第8節・千葉戦で負傷交代して以降、別調整を行っていた梅鉢貴秀が、先週からチームに合流。10日のトレーニングではフルメニューを消化した。11対11の戦術練習で主力組の一角に入る時間もあり、早ければ12日の松本戦で先発に復帰する可能性がある。
梅鉢は「グラウンドに戻ってきて、練習も一緒にやっている。あとは監督が決めること」としながらも、「僕は『行ってこい』と言われるように準備をするだけ。戦う準備はできている」と話した。
持ち前のボール奪取力に加え、リーダーシップを執れるのも梅鉢の強み。早速、練習場にコーチングの声を響かせていた。
文・写真:野中拓也(エルゴラッソ金沢担当)
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秋葉U-19代表コーチが東京Vの藤本寛也だけでなく、U-21世代の井上潮音や渡辺皓太も視察
東京Vの練習場に9日、秋葉忠宏U-19日本代表コーチが訪れた。現U-19世代の中心選手の一人である藤本寛也のチェックのほか、「(年代別の)代表選手がかなりいるので、どの監督さんも気にしていて、オーダーがあったので状態を見にきました」と、“協会スタッフ”としてU-21世代である井上潮音と渡辺皓太のチェックも兼ねていたことを明かした。
「まずは元気にやっていてよかった」と顔をほころばせた秋葉コーチは、続けて「ゲームにも出て鍛えられている。若い選手を使ってくれるクラブなので、僕らとしてはありがたいです。(プロ)1年目とか2年目ってなかなか試合に出られなくてゲーム感覚に苦しみますけど、彼らについては安心しました」と、いい収穫を得られたようだ。
井上や渡辺にとっては「寛也を見にきたのかな?」と特別に張り切るようなことはなかったようだが、自分たちもチェックの対象になっていたことを伝えると、「もちろんそっち(U-21代表)も頑張りたい。でも、まずはクラブで試合に出て結果を出す。それが大事だと思います」(井上)。現在、東京Vは開幕10試合負けなしから一転して3連敗中。この苦境を自らの活躍で脱することが、彼らにとって最大のアピールになるはずだ。
文:芥川和久(エルゴラッソ東京V担当)
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