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2位攻防戦でジェイの復帰が濃厚。ペトロヴィッチ監督は「彼の先発出場と途中投入、どちらがFC東京に脅威を与えられると思いますか?」とニヤリ
現在、リーグ戦では10試合負けなしで3位と好調の中にいる札幌。13日には勝点1差の2位・FC東京との対戦が控えており、勝てば2位浮上という状況でもある。
しかしながら、ペトロヴィッチ監督はチームの好調に気を緩めることは一切なく、むしろ「どの試合であろうと、チームとしてやるべきことは変わらない。まずは地に足をつけて、チーム一丸となって戦うことを意識しなければいけない」と力強く言い切って手綱を引き締めている。相手のFC東京も好調とあって「彼らはもともと力のあるチーム。そのチームが非常に調子がいいということで、やはり難しい試合になることは間違いないだろう」とも続けた。
また、この試合では右太もも裏の張りなどで別メニュー調整が続いていた元イングランド代表FWジェイが6節以来となるメンバー入りを果たすことが濃厚。「コンディションは問題ない」(ジェイ)と元気な調整ぶりを見せていた背番号48の起用プランについて問われると、ペトロヴィッチ監督は「彼が先発出場するのと、途中投入されるのとでは、どちらがFC東京に脅威を与えられると思いますか?」と報道陣に逆質問。「私も試合当日までゆっくり考えますよ」と笑顔で話し、頼れる点取り屋の復帰を喜んだ。果たして、どういった起用になるのか、注目したい。
今節は開幕から攻撃の軸となっていたMF三好康児が累積警告による出場停止となるが、その中でジェイの復帰は大きなプラス材料。2位浮上を目指し、札幌が首都・東京に乗り込む。
文・斉藤宏則(エルゴラッソ札幌担当)
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岐阜の難波弘明が明かす、子ども日にケーキを買わなかった理由
「僕は現状に絶対満足はしませんし、(味方の)プレーにも口を出すほうではないです。むしろ僕自身が、常に成長を追い求めてプレーするタイプ」と自身を形容する、“岐阜の顔”難波宏明に先週行われたJ2第13節・松本戦で念願の今季初ゴールが生まれた。
開幕から得点に至るまでの期間には、「得点をとっていませんし。僕自身の中では、まだ開幕してはいない感覚です」と語っていた昨季のチーム内得点王にゴールが生まれたことは、現在のチームにとっても何より。第14節・大分戦に向かう今週の練習を見学にきていたサポーターからも「そりゃ難ちゃん(難波)が(得点を)とったら(盛り上がる)。岐阜の顔だからね」という声が挙がり、難波のゴールがいかに待ち望まれていたかも理解ができた。しかしそういった期待も全て織り込み済みの難波には、初ゴールまでの期間に多少なりとも不安な気持ちや葛藤があった。
「全然気にしてなかったと言ったらウソになります。とにかく、僕の仕事は点をとることなので。だから松本戦まで11試合出場してノーゴールというのは…。(途中出場という限られた時間の中で)時間が短いからとかっていうことは関係のないことだと思います。出場している以上は(得点の)チャンスがあるわけですから。『早く得点したい』という気持ちが内心ありました」。
今季の難波は先発出場がまだない状況だ。しかし、常に全力で練習に打ち込み、背中でチームを引っ張る人柄は健在。練習でも、試合でも、FWとしてのプレーにこだわる姿は色褪せてはいない。だからこそ、自身の得点には人一倍こだわるし、抱いていた得点までの不安や焦りも、チームの勝利を願うが故の純粋な気持ち。松本戦でのゴールは難波にとって正に、今季の幕明けを告げるゴールとなった。
さらに、この松本戦の(5月6日の)ゴールの1日前、5月5日の子どもに日に絡めたエピソードも語ってくれた。
「僕は毎年、5月5日の子どもの日には、(自身の)子どもにケーキを買ってあげるんです。でも、今年は(子どもに)ケーキを買うことをしませんでした。なぜなら、1日遅れにはなりますが、僕の子どもに、そして全国の岐阜を応援してくれている子どもたちにも、ゴールというプレゼントを送ってあげたかった」
この気持ちを強く持って試合に挑んだ難波は、最高の結果を残して子どもたちへと1日遅れのプレゼントを送ったのだった。
難波は今週木曜日の練習後に、今節の相手となる大分との対戦に向けてまた、気持ちを切り替え力を込めた。「宇宙人と試合をするわけじゃない。首位ですが、同じJ2のカテゴリーの相手。練習でやっていることに、いかに自信を持ってプレーできるかどうか」。今季初得点を挙げ、ここからの得点量産を期す岐阜の顔・難波は、首位相手の白星奪取を誓い、大分へと乗り込む。
文:岩波陽平(エルゴラッソ岐阜担当)
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“考える男”湘南・石川俊輝がもつ、言葉へのこだわり
われわれライターは、情報を文字にして生計を立てる職業だ。それを正確に伝えるために、原稿に使う単語は一つひとつ丁寧に吟味して選んでいく。私は、それは文章を書く上での義務だと思っている。
そんなわれわれ以上に、慎重に言葉を選んで話をしてくれる選手が湘南にいる。石川俊輝だ。彼に質問をすると、必ず一拍以上置いかれてからとても分かりやすい返答が返ってくる。その一拍の間に、メディアに公開してもいい情報、それを正確に伝えるための言葉や表現を整理しているようなのだ。石川の言葉へのこだわりを聞くと、文章で収入を得ている私たちの身も引き締まる思いになす。
「間違ったことを伝えたくないというか。もちろん隠さないといけないこともありますけど、聞いた側、見た側が誤解しないようにすることは意識しないと『なぜ?』と疑問を持たれてしまうので、言葉はより慎重に選ぶようにしているつもりです。言い過ぎると監督に怒られるので(笑)」
「選手同士で話すときも同じですね。ただ、考え過ぎて本心を伝え切れないときもあります。怒っていい場面もあると思うんですけど、そこで気を使ってしまったり、どう言っていいのか分からないこともあります。山根や岡本はスパッと言いたいこと言うんですけど(笑)」
「湘南でのプレーも長くなりましたし、周りに言っていい立場だと思うんですけど、あまり言い過ぎると若手は萎縮しすぎてしまいますし、自分自身言い慣れてない。でも、そんな僕が言うからこそ響くこともある。誰に何をどんなふうに伝えればいいのか。それがいま新しく取り組んでいるところですね」
お礼の手紙やメールを送るときには、文面を奥さんに見せるときもあるという。しかし、あまりにも考え過ぎて「自分で調べて」と突き返されるようだ。
それほど深く物事を考える石川は、ピッチでは縦横無尽に走り回り、“背中で語る”タイプのプレーヤーだ。言葉にせずとも、彼から感じるメッセージは大いにある。リーグ戦で連敗中の湘南を、彼がどのように引っ張っていくのか、注目したい。
文:中村僚(エルゴラッソ湘南担当)
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「もう骨はくっついた」。大阪ダービーの重症からGK東口順昭が帰還
アウェイで今季は6戦全敗、今節も敵地で横浜FMと対戦するG大阪に、頼れる守護神が戻ってきた。
4月21日の大阪ダービーでDF三浦弦太と接触し、右頬と右眼窩底の骨折の重傷を負っていたGK東口順昭が遠征メンバーに帯同。メディカルからGOサインが出れば、5試合ぶりに戦線復帰することになる。
「もう骨はくっついた」と患部の回復を明かす東口は「常に試合に出る準備はしてきた」と戦闘モード。日本代表の西野朗監督も視察する一戦だけに、代表入りへの最後のアピールの場ともなるが、「チームの勝利に貢献しないと代表もない。そこは吐き違えずにチームのためにやりたい」(東口)。
負傷を乗り越えたJ屈指のシュートストッパーが、アウェイ初勝利のカギを握る。
文・下薗昌記(エルゴラッソG大阪担当)
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結果に満足しない馬場賢治。ピッチ外ではすっかりイジられ役の定位置を確保
今季ここまで9試合に先発出場してい大分の馬場賢治。現在4得点を挙げており後藤優介とともにチーム得点ランキングトップに並ぶが、本人は「町田戦でハットトリックしており2試合でしか得点していないので、コンスタントにとれているわけではない」と満足できない様子。変則的な過密日程となったゴールデンウイーク3連戦もすべて先発したが、「途中で交代しているので大したことない。昨季の讃岐ではフル出場で連戦もこなしていた」と、“まだまだやらなくては感”をにじませた。
チームでは年長者から数えて3番目ながらすっかりイジられ役の定位置を確保しており、ロッカールームではスパイクの奥におもちゃのゴキブリを入れられてドッキリさせられたりしては楽しく過ごしている。先日はランニング中にグラウンドでムカデを発見したことをみんなに報告すると、前田凌佑にアゴヒゲを指さされて「そこにゲジゲジいるよ」と笑われていた。
ピッチ内外で貢献度の高い馬場の活躍に今後も期待したい。
文・写真:ひぐらしひなつ(エルゴラッソ大分担当)
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プロ初得点から3戦連発へ。渡邉新太「(今節・千葉戦も)イケると思います」
本日12日、アウェイでJ2第14節・千葉戦に臨む新潟。2試合連続得点中の大卒ルーキーFW渡邉新太は、今節も「イケると思います」と3試合連続得点への自信をのぞかせている。
リーグ戦の先発2試合目となったJ2第12節・金沢戦で決めたプロ初ゴールは、FW矢野貴章のシュートのこぼれ球をすかさず右足で叩き込んだ形。前節・大分戦では、原輝綺のクロスをファーサイドで胸トラップし、左足で突き刺した。いずれもシュートコースがほぼない中、確実に仕留める得点力が光った。「運もありますけど、落ち着いてやれている。ああいうところに入り込めるのは自分の特徴だし、ゴール前に上がる回数を増やせばやれると思う」と手ごたえも感じている。
今節戦う千葉は、流通経済大サッカー部時代に練習試合で対戦した経験があり、イメージできている部分もある。ハイプレス・ハイラインが代名詞の相手に対し、「背後は常に狙っています」と渡邉。鋭い動き出しで、ゴールを陥れる。
文・写真:野本桂子(エルゴラッソ新潟担当)