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2トップだけじゃない! 神戸の新たなオプション“右サイドハーフ”藤谷壮
J1前節・磐田戦で今季リーグ戦では初の2トップを採用した神戸。吉田孝行監督は「チームのオプションの一つになった」と話し、FW渡邉千真とFWウェリントンを最前線に配置した新たなシステムに大きな収穫を得たようだ。
この試合では、86分にDF藤谷壮が投入されたが、そのポジションは本職の右SBではなく、右サイドハーフ。藤谷は「SBをやっているので、守備から入ってカウンターで出ていく感じ。裏に抜ける感じだった」と自身の役割を振り返る。
さらに、右サイドから中に入り、ゴール中央で左足を振り抜くシーンも。藤谷が「マイナスが空いていた。攻撃は好きだし、あまり考えずに動きましたね」と説明するその一連のシュートシーンは、負傷離脱中のFWルーカス・ポドルスキを彷彿とさせたが、藤谷は「いや…」と言葉少なく、吉田監督もまた、「あれは…微妙でしたね」と両者ともに苦笑い。
それでも、指揮官は「あの時間に藤谷を(サイドハーフに)入れたら面白い。SBで守備の意識は高いし、推進力も出せる。面白いオプションになった」と新たな発見を喜んだ。
16日にはルヴァンカップ鳥栖戦を控える。藤谷は「チャンスだと思うし、アピールしたい」と意気込んでいた。
文・写真:小野慶太(エルゴラッソ神戸担当)
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漢・栗原勇蔵が歓迎する“生死”をかけた一戦
漢(おとこ)の血が騒ぐのか。負傷から復活した栗原勇蔵が“生死”をかけた一戦を歓迎している。
栗原は自身にとって今季初の公式戦となった3月7日のルヴァンカップ第1節・FC東京戦で負った左ハムストリング肉離れにより離脱を強いられていたが、5月9日のルヴァンカップ第5節・仙台戦で復帰。あらためてその仙台戦を振り返り、「ひさびさの試合だったけど何とか最後までやれたし、第1戦を終えたという感じ」と話した。
栗原の復帰戦は勝利すれば1試合を残してグループステージ突破を決められる状況だったが、試合は2−4で敗戦。16日に行われるグループステージ最終節の新潟戦が突破か敗退かを決める一戦となったが、栗原は「仙台戦で決められれば、だいぶラクだったとは思う」と言いながらも、次のように続けた。
「こういう大事な試合が1試合でも多いほうが、自分にとってもそうだけど若手にとっていい経験になる。それにリーグ戦では勝てていないけど、ここで勝ち上がっていくことでチームの雰囲気もよくなるし、そういう試合があることをポジティブに捉えている」
新潟戦のメンバーについてアンジェ・ポステコグルー監督は「連戦の中でルヴァンカップはリーグ戦に出ている選手を休ませないといけないときもあったが、いまは休ませる必要はないと思う。あと2試合ということでいい内容でグループステージを突破してくれるチームを出そうと思っている」とリーグ戦に出場している主力選手中心で臨むことを示唆。ただ、グループステージ序盤は数人の主力選手が出場していた中、ベテランの中澤佑二は今季のルヴァンカップで1試合もメンバー入りをしておらず、栗原が出番を得る可能性も十分にある。
「もちろん出るつもりでいるし、チームのためにできることをやっていかないといけない」。3月前に悔しい思いをした三ツ沢のピッチで漢の闘う姿は見られるか。
文・写真:菊地正典(エルゴラッソ横浜FM担当)
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韓国代表候補に選出されたキム・ジンヒョン。C大阪で経験したJ2降格、鎖骨骨折も「すべて自分が強くなるため」
14日、韓国サッカー協会は、ロシアW杯に向けた代表候補メンバー28人および予備メンバー7人を発表した。
28人の中で、GK3人枠の一人に選ばれたのが、C大阪の守護神、キム・ジンヒョン。今回のメンバー発表は、ホンジュラス代表とボスニア・ヘルツェゴビナ代表との国際親善試合も含めた5月21日から6月1日まで行われるトレーニングキャンプのメンバーだが、ケガなどの不測の事態がなければ、GKの3選手は本大会メンバーも確定と言えるだろう。キム・ジンヒョンは、4年前のブラジルW杯は当落線上で落選しているだけに、本人はもちろん、周囲にとってもうれしい選出となった。
自身は前半のみ出場して無失点で抑えたFC今治との練習試合(3〇1)後、多くの報道陣に囲まれたキム・ジンヒョンは、「10時からの発表をライブで見ていました。自分を信じて待っていましたけど、前回大会で落ちた経験もあるので、そこまで期待し過ぎずに見ていました」と、いたずらっぽい笑みを浮かべ、メンバー発表の瞬間の心境を明かした。
前回のブラジルW杯から4年。この間、クラブのJ2降格や、J1昇格失敗、鎖骨骨折など苦しい時期を乗り越えて、昨季はクラブ史上初のタイトル獲得を含む2冠達成にも貢献するなど、濃い時間を過ごしてきたキム・ジンヒョン。プライベートでは、昨年、結婚という節目も迎えた。
「この4年間、いろいろなことがあったけど、いい時間も苦しい時間も、すべて自分が強くなるための時間だった。気持ちさえ強く持てば、どんなことでも成長できるという思いがまた強くなった。いいプレーをしても、ミスしても、落ち着いたメンタルでやれるようになったことが、この4年間、自分が成長したところ」とかみ締めるように振り返った。
今後へ向けては、「メンバーに入ったから満足するのではなく、どうやってピッチに立つかをしっかり考えたい。まずは次の広島戦でしっかりしたパフォーマンスを見せて、代表に合流したあとは、どんな立場になろうと、チームのために自分の役割を果たしたい」とキッパリ。ロシアの地で勇躍する桜の守護神の姿が見られることを、期待したい。
文・写真:小田尚史(エルゴラッソC大阪担当)
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[本日のエルゴラッソ1面]紫熊の猛進、止まらず
[明治安田J1第14節 マッチレポート]
■仙台 vs 広島
勝負の潮目は12分。広島が見せた貫禄■長崎 vs 名古屋
開始3分のゴールで名古屋に大きなダメージ■柏 vs 川崎F
90+2分、苦労人が作り出した珠玉のドラマ