-
西城秀樹さんに勝利を。川崎Fが20日の清水戦で示す感謝の意
J1の川崎フロンターレは20日のJ1第15節、等々力陸上競技場で清水エスパルスと対戦することになっている。中断期間前の最後の試合ということもあって、チームとしても勝利が欲しい一戦だ。
またこの試合では16日に急性心不全のため亡くなった歌手の西城秀樹さんを悼み、試合前に黙祷を行い、選手やスタッフらは喪章をつけて臨むことが決定している。さらに西城さんに対して川崎Fは選手紹介後に追悼動画を流すことを予定しており、そのほかにもフロンパークグッズ売店待機列エリア付近に西城さんに向けた横断幕にメッセージを書き込めるブースを設置し、同じブースには西城さんのこれまでの出演写真パネルを展示するという。
西城さんは川崎市に住んでいたことが縁となり、2000年に行われた『市制記念試合』のハーフタイムでヒット曲『YOUNG MAN(Y.M.C.A.)』を披露。04年から17年までほぼ毎年、記念試合に駆けつけ、会場を盛り上げていた。
長年、川崎Fのイベントを盛り上げてくれた西城さんに感謝の意を示すためにも、しっかりと相手を打ち破り勝利を届けたいところだ。
文:林遼平(エルゴラッソ川崎F担当)
-
はい上がってきた男、都倉賢が日本サッカー界にもたらしている確かな価値
15連戦の締めくくりとなる第15節を敵地で、札幌は神戸と戦う。ルヴァンカップこそ敗退となってしまったものの、リーグ戦は現在11戦負けなしを継続しており、どの選手も口々に「勝って、いい形で中断期間に入りたい」と発する。最後の力を振り絞って勝点3を得るつもりだ。
中でも4月の月間ベストゴールを受賞した好調のFW都倉賢にとっては10年から4シーズン在籍した古巣が相手となる。昨季の同カードは神戸ユニバでの開催だったこともあり、「札幌にきてからノエスタで試合をするのは初めてなので、楽しみ」と心待ちにしている。
今季は2度のバイシクルシュートでの得点を突き刺したり、肝心なところで決勝点を奪う勝負強さを見せたり、視察した代表チームスタッフが名前を挙げてパフォーマンスを称えたこともあった。それだけに、サプライズ的に代表チームの“ラージグループ”入りを果たすのではないか、という見立てをするメディアもあった。
残念ながら18日に発表されたガーナ戦のメンバーの中にその名前はなかったが、かねてから「非現実的な話。W杯は観るものなので(笑)」と達観したように笑っていた都倉。本人の中に特別な感情は、ないのかもしれない。それでも、少なからず期待を寄せたファン・サポーターはいただろうし、代表チームのスタッフがその名を口にしたことは事実。観戦者ではなく、ロシアW杯を迎える日本サッカー界をしっかりと沸かせた一人であったことは間違いない。
05年に川崎Fでプロ入りを果たしながら、08年には期限付きで群馬(当時の名称は草津)に移籍。「完全に構想外。川崎Fに戻れることはないと分かっていた」(都倉)が、完全移籍となった翌年にその群馬で23得点を挙げ、J1の神戸からのオファーを勝ち取った。
その後も、欧州移籍にチャレンジした。それには成功こそしなかったものの、新天地として決めた札幌で、こうして活躍を果たしている。何かがあればその都度、自らの力ではい上がってきた。
バイシクルシュートを叩き込むプレースタイル同様に、コメントも特徴があるし自らのラジオ番組をもつなど、SNSでもさまざまな発信をしている都倉。活躍してもなお、SNS上では心ないメッセージが届くこともあるというが、それでも継続しているのは、ファン・サポーターを含め、周囲を盛り上げるためだ。
もちろん、日本代表チームに名を連ねることはサッカー選手にとっての大きな目標の一つであるだろう。だが、それを果たせなくとも、サッカー界を盛り上げることはいくらでもできるし、それが日本サッカーの強化にもつながるはず。その意味で言えば、都倉は現時点では日本代表チームの選手ではないが、日本を代表するサッカー選手の一人だと思う。
かつてはい上がり、プレーをしたノエスタでも、きっと多くのファン・サポーターを盛り上げることだろう。
文・斉藤宏則(エルゴラッソ札幌担当)
-
「自信が戻ってきた」と語る清水・クリスラン。精神的な余裕も垣間見せる
清水は明日20日、等々力陸上競技場で中断前最後のJ1リーグ戦となる川崎F戦に挑む。チームは現在公式戦2連勝と調子を上げており、中でも調子がいいのが攻撃陣。リーグ前節の湘南戦では4得点、ルヴァンカップ第6節では3得点と、2試合で7得点を挙げている。
その攻撃陣の中でも、復調の兆しを見せているのがクリスランだ。J1第2節・神戸戦でチーム初ゴールを決め、さらにその翌節の札幌戦でも結果を残したが、そこからは足踏み。前節ようやく11試合ぶりのゴールを決めて、その後2アシストを決めた。
「ゴールを決めて自信が戻ってきた。体も軽くなって、いまは練習でも自信をもってプレーしている」と、一つのゴールの大きさを話す。今日19日の練習前に報道陣が一斉にカメラを向けると、ピースサインを送るなど精神的にも余裕を見せていた。
「相手の裏に飛び出したり、クロスで点をとったりしたい。点をとる準備は常にしている」
チームはここで勝利すれば、星を五分に戻すことができる。スッキリとした形で中断期間に突入したい。
文・写真:田中芳樹(エルゴラッソ清水担当)
-
事実上ロシア行きが絶たれた杉本健勇。「カタールに向けた俺の戦いは昨日から始まっている」
18日、W杯ロシア大会を前に行われるガーナ戦の日本代表27人が発表されたが、その中に、メンバー入りが期待された杉本健勇の名前はなかった。翌19日、報道陣にその思いを問われた杉本は、「まずね、“杉本、落選”という記事が出ていない時点で『ダサいな』と(笑)。それくらい、自分の力のなさを感じた」と第一声を発した。
その後、「ここで人生が終わるわけではないし、サッカー人生は続いていく。もちろん、W杯はずっと目標にしていた場所なので、いまは何を言っても強がりに聞こえると思うし、悔しい気持ちはある。ただ、俺自身は『ここからまた、やってやろう』という前向きな思い。それよりも、僕のことを応援してくれていた方や、僕に期待してくれていた方のショックのほうが大きい。すごく残念に思ってくれている。そういった方たちの期待を裏切ってしまった申し訳なさはある」と一気に語った。
今後、そういった人たちの思いに応えるために、ファン、サポーターの夢や希望も乗せて、杉本の戦いは続いていく。「いま、セレッソでプレーできていることが幸せですし、いまは明日の試合のことしか考えていない。もちろん、W杯には出たかったし、まだ何が起こるか分からないから、準備はしておく。それに、今大会がダメでも、カタールに向けて、俺の戦いは昨日から始まっているから(笑)。頑張ります!」と努めて明るく振る舞った。
再出発となる20日のJ1第15節・広島戦から、杉本の新たな戦いがスタートする。
文:小田尚史(エルゴラッソc大阪担当)
-
好調・福岡との激突。ホームでの健闘を誓うパウリーニョ「大勢のサポーターの前で戦うことで、もっている以上の力を出せる」
累積警告による出場停止から明けたMFパウリーニョが18日、今週末のホーム福岡戦に向けて健闘を誓った。
5-0の大勝に終わった前節・金沢戦はスタンド観戦となり、「自分としては試合に出たいので、上から見るのはいい気分ではないです」と苦笑。それでも「選手の誰もがピッチの中で何をすべきか把握しており、チームのいい状態が続いていることは分かりました」と新たな発見もあったようだ。
この金沢戦にて、今季初先発となったMF岡本知剛が3点目を決めるなど大いに存在感をアピール。同ポジションの選手が結果を残したことについて「悔しさもあったのでは?」と水を向けたが、「悔しいという思いはないです。たとえ次の試合で誰が出ようとも、いい準備ができているということ」と、激しさを増すばかりのポジション争いが、チームにとってプラスとなっていることを強調した。
もちろん、その上で自身がピッチに立つことを目指す。「福岡は8試合負けなしといい状態で、厳しい試合になる。ただ、自分たちも調子が上がっているし、大勢のサポーターの前で戦うことでもっている以上の力を出せると思う」と意気込んでいた。
文・多岐太宿(エルゴラッソ松本担当)
-
酒井高徳が古巣・新潟で練習参加。“身近な存在”として、新潟から世界へ飛躍するためのヒントを語る
18日、帰国中の酒井高徳が、古巣・新潟のクラブハウスでチーム練習に参加した。自身がプレーするブンデスリーガはシーズンを終えたが、日本代表での活動も視野に入れてコンディションを維持するため、新潟ユース時代の恩師である片渕浩一郎現ヘッドコーチを通じてクラブへ依頼し、練習参加が実現した。
11年末からドイツでプレーするようになって以降、クラブハウスへ体を動かしにきてはいたが、チーム練習に加わるのは初めてのこと。「うれしいし、ドキドキした。知らない選手ばかりになったけど、アルビの雰囲気はこういう感じだったなって。隣のピッチでユースも練習していて、懐かしいです」と心をはずませながら、約1時間のメニューをフルでこなした。
ビルドアップ練習では、左右のSBの位置に入り、ユースの後輩である川口尚紀や長谷川巧、渡邊泰基らと話す場面も見られた。新潟から世界へ羽ばたいた酒井は、彼らをはじめ、新潟の下部組織の選手たちにとって憧れであり目標だ。
だが酒井は「“憧れ”って言われるのは……『オイ、超えてくれ!』って思う。そんなに高い壁じゃないので」と言う。「身近なところで、同じことをやってきているから、ちょっとした意識の違いだけ。自分は特別なことはしていなかったけれど、人より多く練習をやっていたし、常にうまくなりたいという気持ちだけは誰にも負けなかった。そこは自分次第。ダニエウ・アウベスやマルセロになるのは大変だけど(笑)、俺のところは意識の変化でこられるくらいの立場」と、あくまで“身近な存在”として、飛躍するためのヒントを語った。
「見せられるものは限られるけれど、質問には答えたいし、気づいたことは伝えたい。目線やプレーを見て何か気づいてくれたり、刺激を得てくれたりしたらうれしい」と、この3日間で示せるものもあると感じている。
初めて会った原輝綺も「同じポジションだし、自然と話ができた。見ていて技術が高いしクロスもうまい。盗めるところは盗みたい。明日も一緒にやれるのでいろいろ話したい」と早速、刺激を受けていた。
また同日には、ロシアW杯に向けた、サッカー日本代表のガーナ戦(30日)のメンバー27名が発表され、酒井も選出された。酒井は「前回は新潟県民として初めて日本代表メンバーに入ったが、(ブラジルW杯に)出場はできなかった。今回は選ばれたら、日本の力になれるよう、出場を目標にしたい」と意欲を示している。
文・写真:野本桂子(エルゴラッソ新潟担当)
-
ガーナ戦選外の今野泰幸についてクルピ監督「おそらく手術が必要になる」
W杯ロシア大会を前に行われるガーナ戦の日本代表27人を発表した西野朗監督が18日、G大阪の今野泰幸が手術を受けることを明かした。
会見を受けて、練習後に囲み取材に応じたレヴィー ・クルピ監督は困惑を隠さなかったが、「今野はメディカル部門扱いで、ケガから完全に治っていないので試合に出られない。おそらく手術が必要になる」と開幕前から悩まされてきた右足首の状況を説明。復帰については「すぐ復帰できるというわけではなく、常に痛みを感じながらやってきたが、調子が思わしくなくて手術が必要という状況になったようだ。中断期間後、復帰できるとは思っている」と話していた。
文:下薗昌記(エルゴラッソG大阪担当)