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中断期間での立て直しへ。原川力が自らに課す責任と使命
3勝4分8敗の17位という不本意な成績で中断期間へと突入した鳥栖。リーグ中断期間に入っても長期のオフはとらずにハードなトレーニングに取り組んでおり、巻き返しへの意欲を見せている。
開幕から失点が続いた守備も直近の2試合では連続完封と改善の兆しを見せているが、一方で2試合連続無得点と、チームとしてのバランスの悪さものぞかせている。
MF原川力はそんな現状について「守備に割り切ることは悪いことではない」としながらも「ボールを奪ったあとにどれだけうまく攻撃につなげることができるか。そこが個人的には足りないと思っているので、奪ったあとの質は高めないといけない」と自分自身の課題を挙げる。「奪ったあとのパス1、2本が本当に大事だと思うし、勇気をもってパスをつけるところはつけないと守備だけになってしまう。一番苦しいところで受けることを中盤はやらないといけない」と話すように、せっかくボールを奪ってもすぐに失っていてはリズムをつかむことができない。それは今季の鳥栖の課題である。
そして同時に、中盤に位置する自身の使命でもある。
「全員がリスクを冒す必要はないけど、僕は攻撃的なタイプ。多少、難しいところでも通していかないといい攻撃につながらない」
個人の質を発揮することでチームは変わっていけるはず。この中断期間、原川がその部分をより高めていけるかは、チームの今後に大きく影響しそうだ。
文・:杉山文宣(エルゴラッソ鳥栖担当)
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ルヴァンカッププレーオフステージ第1戦。先発濃厚のGK前川黛也「スンギュがいつ抜けてもいい準備をしてきた」
6月2日にルヴァンカップのプレーオフステージ第1戦・横浜FM戦を控える神戸。主力GKのキム・スンギュがロシアW杯に臨む韓国代表に召集されている中、ゴールマウスは2年目のGK前川黛也(写真右)が守ることが有力だ。前川は「今年はW杯イヤーだったし、(キム・)スンギュがいつ抜けてもいい準備をしてきた。力を最大限発揮したい」と意気込んでいる。
ここまでリーグ戦の出場こそないが、ルヴァンカップの5試合に先発出場。チームの5年連続となるグループステージ突破に大きく貢献した。「練習でうまくいかないことがあっても、試合に入ると自分の強みを出せたり、冷静にプレーできたりした。自信がつきました」と、メンタル面を含めた成長を実感しているようだ。
キム・スンギュの身体能力の高さを強くリスペクトしている前川だが、「自分の持ち味のシュートストップや球際に強くいけるところで、スンギュよりもいいものを出したいと考えている」と負けん気の強さものぞかせる。そして「スンギュを超えることが代表に入っていくための基準」とも話し、自らを磨き続けている。
シーズン開幕前には、テレビ朝日系列『やべっちF.C.』の人気企画『デジっちが行く!』に登場。お笑いコンビ・野性爆弾の“くっきー”こと川島邦裕さんに扮し、全国サッカーファンの度肝を抜いた。「どこのチームもクオリティーが高く、インパクトが大事だと思った。負けられなかったし、思い切りのよさという持ち味を出せた」と納得の表情を見せたその陽気なキャラクターは、練習場でも発揮されており、「メリハリは大事だけど、チームが明るくなれば。中心になってやりたい」と、チームを元気にする笑いの種を蒔いている。
アウェイで行われる横浜FMとの第1戦へ、「負けられない戦いだし、結果がすべて」と気合いを入れる背番号1。「これまでに得た自信を生かし、チームを勝たせられる試合がしたい」と、最高の準備を経て臨みたい気持ちを語っていた。
文・写真:小野慶太(エルゴラッソ神戸担当)
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中川寛斗が語るイニエスタ愛。「(彼のすごさは)計り知れないですよ。研究したからこそ『すごい』としか言いようがない」
柏のMF中川寛斗が、憧れのMFアンドレス・イニエスタとの対戦を熱望した。
「(イニエスタのすごさは)計り知れないですよ…(笑)。研究したからこそ『すごい』としか言いようがない。敵う・敵わないの問題ではなかったですね」
出会いは中学3年生のときだった。当時指導を受けていた吉田達磨氏から「プレーの参考に」と渡されたDVDで、多くの選手の中からイニエスタに“一目惚れ”。そこからはスペイン代表MFを研究する日々が続いた。
「(参考にしていたのは)ポジショニングですね。ボールがどこにあるときにどういう動きをして、どういう体の向きをしているとか、そういう部分をずっと研究していました。ボールタッチとかはもちろんうまいけど、それを学ぼうとしてもうまくならないというか、マネに終わってしまう。そこで『自分につながるのは何だろう?』と考えたときに、つながるのがポジショニングだったので、体の向きや体の使い方を自分で見つけて自分のものにしていましたね」
そんなお手本にしてきた選手のJリーグ入りという報道が出ると、中川寛は「『本当にくるの?』といろいろな人に確認」。いざ神戸加入が決定すると「『え~』ってなって、まずはすぐにユニフォームが欲しいなと思った」と笑う。そして、Jリーグでは異例なことでもあるシーズン中の背番号変更についても、「いいでしょ。誰も何も文句を言えないでしょ(笑)」と賛成した。
柏は7月28日にアウェイで第18節・神戸戦が控えているが、ロシアW杯の結果やイニエスタのコンディション次第では、この試合で対戦できるかは微妙なところ。それでも中川は「彼のプレーを見て、僕は今まで勝手にやってきたので試合するのは楽しみ」と同じピッチに立つことを熱望する。
「ピッチに入ったら誰がどうとかは別に変わらない」と言いながらも「ピッチに入る前までは興奮していると思う」とも話した中川寛。ユニフォーム交換について「すぐにいきますよ。イニエスタも18枚ぐらい用意しているんじゃないですか、全員きてもいいように(笑)。もらったら家宝ですね」と笑顔で話す姿は、まるでサッカー少年のようだった。
文・須賀大輔(エルゴラッソ柏担当)