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痛みと向き合う日々。長崎の中村北斗が対外試合に復帰
長崎の中村北斗が実戦復帰を果たした。
30日に行われた佐賀大との練習試合で後半からピッチに立ち、ボランチとして試合終了までプレーした中村北。古傷の膝の痛みもあり、別メニュー調整と復帰を繰り返してきたが本人によれば、「たぶん開幕前以来」となる対外試合への出場となった。過密日程の影響もあり、練習試合をほとんど組んでいないという事情もあるが、ひさびさの実戦に「とにかく動こう」というテーマで試合に入ったと振り返った。
連戦で次々と試合を消化していく中でその時々によって変わる膝の状態もあって試合に出られないもどかしい日々が続いた。「地元だからプレッシャーがあるというか試合に出たいなっていう気持ちは強い。でも、この状態じゃ出られないと客観的に見て理解もしていた。どこかでチャンスはくると思って取り組んでいた」、若手を引っ張る立場でもあるだけに気持ちを切らすような姿は見せられなかった。
この日も開始10分で膝に痛みが出たと話す。「ひさびさだったから楽しくやりたかったのに痛みが出たからちょっとテンションが下がった」と自虐的に笑ったが、それでも最後までプレーは続けた。「これが開幕前だったら自分の中で止めていると思います。でも、ここで止めちゃったら何も始まらないなと思ったから痛くてもやっていた」、前に進むためにも懸命に痛みと向き合っている。
45分プレーできたことで一つステップを踏めたかと言えば、本人は「全然、そんなことはない」と一蹴した。「予定を立てても予定どおりにいかなかったのが開幕前だったから。とにかく自信だけは保つようにしている。やり続ければよくなるっていうのは自分の中で思っている」、とにかく目の前の一つひとつをクリアしていくことで本来の自分を取り戻そうとしている。
膝の状態について「状態が下がっているということはない」と話す。苦しい状況にあっても中村北は決して気持ちを切らしてはいない。その力が必要になるときは必ずくるはずだ。
文・写真:杉山文宣(エルゴラッソ長崎担当)
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長崎が練習試合を2試合実施。テーマはポゼッションの向上
長崎は30日、諫早市内でテゲバジャーロ宮崎、佐賀大学とそれぞれ45分×2本ずつの練習試合を行った。
リーグ戦の中断期間に入ってから初の対外試合となったが宮崎には5-3、佐賀大学には7-2でいずれも勝利を飾った。宮崎戦では先制を許したものの終わってみれば5得点を挙げての逆転勝利。翁長聖、ベン・ハロラン、米田隼也、木村裕、香川勇気と5得点すべてを違った選手が記録したという点もチーム内の競争という点では明るい材料となった。また、佐賀大学戦では学生相手とはいえ、7得点を挙げるなど攻撃陣が活発な動きを見せた。こちらは幸野志有人、澤田崇、吉岡雅和、本多琢人、平松宗がそれぞれ1得点ずつ。木村が2得点を挙げるなど前線の選手たちが結果を残した。
中断期間に入ったが天皇杯2回戦が控えていることもあり、中断期間全体を通してチームがどう取り組んでいくか具体的なテーマはまだ明示されていない。それでも、中断期間前までの戦いを振り返ってチームが意識しているのはボールの保持。佐賀大学戦に出場した飯尾竜太朗も「(ボール保持は)サポートの部分は意識ひとつでだいぶ変わると思う。相手が大学生ということもありましたけど少しずつは意識で変えていける」とこの練習試合でのテーマについて振り返った保持を意識した分、危険な位置で奪われて失点するという課題は残したものの、テーマへのトライという意味ではまずまずの練習試合となった。
文・写真:杉山文宣(エルゴラッソ長崎担当)
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移籍後初めての大宮戦を迎える讃岐の渡邉大剛。「100%以上の力で頑張りたい」
6月2日にJ2第17節で大宮戦を迎える讃岐。渡邉大剛にとっては11年から5年間在籍した大宮と、讃岐に加入してから初めての直接対決を控える。
渡邉は大宮時代を「20代半ばから5年間在籍させてもらいました。選手として一番脂が乗っていると言いますか、状態がいいときに在籍させていただいたクラブ。選手としても人としても成長させてもらいました。感謝しています」と振り返る。大宮を去る際に、クラブのリリースを通じて「皆さんの前で直接言えず、こういう形での挨拶になってしまったことをお許しください」、「本当に5年間ありがとうございました。またお会いしましょう」とコメントしていたが、移籍後初めて対戦できる可能性があるだけに、「一番は自分のプレーを見てもらって元気な姿を届けたいです」と言葉にする。
思い入れのある古巣戦ではあるが、それ以前に22位の現状を脱するために渡邉にとっても讃岐にとってもここから迎える一戦一戦が重要な試合ばかり。「同じ意志で戦って、終わったときに勝っていられるように。100%以上の力で頑張りたいと思います」と勝利を誓う。
文:柏原敏(エルゴラッソ讃岐担当)
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29歳の誕生日を迎えた町田の井上裕大。ウォーターファイト事件の真相は藪の中
今季からチームキャプテンを務める井上裕大は、5月30日に29歳の誕生日を迎えた。20代最後の年の抱負は「ピッチ内外で若々しくフレッシュでいたい」。チームリーダーを任されていると言えども、まだまだ老け込む年ではないことをアピールしていた。
また現在、チームは暫定ながらもJ2・6位と上位に食らいついている。ピッチ内外でチームを引っ張る井上の存在は大きいが、本人は「周りに助けられていることが多い」と謙遜。「チームに多くのことを還元できるように、一つひとつのプレーの精度を上げていきたい」とさらなる飛躍を誓っている。
なお、全体練習後には、誕生日恒例の“ウォーターファイト”が実施された。その中で最も“もらい水”の被害を受けたのが相馬直樹監督だった。
「ユウダイ(井上)が監督に水がかかるポジションをとった」
「監督が井上のそばに寄っていった」
事の真相は諸説あるが、この論争は簡単に決着しそうになかった。
文・写真:郡司聡(エルゴラッソ町田担当)
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イメージせよ。されば道は開かれん
前節の水戸戦(2〇0)の前半は完全に劣勢に立たされた福岡。その悪い流れを何とか耐えて無失点で切り抜けたことが後半の攻勢と勝利につながったという点で、守備陣の粘り強い働きは、高く評価すべきものだった。
特に目立ったのがGK圍謙太朗とCB堤俊輔の落ち着いたプレーぶりだった。7試合連続の先発だった圍に対し、堤は3試合ぶりの先発。チャンスをモノにしようと力み、それが焦りとなってしまうことも往々にしてあるはずだ。
「出番を失えばもちろん悔しいけれど、クサっていてもしょうがないので、いつチャンスがきてもいいように、サボらずに一日一日の練習を大切にしている」(堤)
これはある程度は予想していた答え。でも、それでは十分に納得できず、例えば出番がなかった第7節から第12節の6試合、約1カ月の間はどのような気持ちで過ごしたのかを再度聞くと、『なるほど!』と思える答えが返ってきた。
「試合に出たときの自分を想像して、この相手ならこういうプレーをしよう、そうすれば自分の特徴も出しながら相手も抑えられる。あるいは、この味方とコンビを組むことになったらこうするな、こうしたほうがお互いの特徴をうまく出せるな。そういうことを常にイメージしていました。自分の何がいけないのかを考えることも必要だけれども、試合に出た自分をイメージすること、特に自分のよさや味方の特徴がどうすれば出せるかということを主にイメージすることで、気持ちは前向きになるし、そうすることで心をポジティブに整えることができるんですよね」
イメージトレーニングをしていたから、久しぶりの出場でも長く試合に出続けていたかのように落ち着いてプレーでき、4バックのCBとして篠原弘次郎と初めてコンビを組んだにもかかわらず、しっくりとした連係で無失点に抑えられたのか。妙に合点のいく堤の答えだった。うん、イメージせよ!
文・写真:島田徹(エルゴラッソ福岡担当)
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27歳になった茨田陽生。結果を出すための鍛錬は続く
30日、茨田陽生が27歳の誕生日を迎えた。「本当に健康第一かなと思います」と話し、抱負を語った。
「ケガしないこともそうですし、風邪も引かないこと、チームを離脱しないこと。まずは27歳、中堅と言われるポジションになって、いまはベンチを温めることが多いですけど、そこでケガしないでしっかりとサポートできるコンディションを常に作っていかないといけないと思います」
茨田自身の言葉にもあるように、ここ最近はベンチスタートとなる試合も多い中、チームに対して献身的なサポートを続けている。腐らず妥協せずにトレーニングから取り組み、試合中には率先してチームメートの給水を助ける場面も見られる。同ポジションの三門雄大も「一緒に切磋琢磨してくれているので、雰囲気も作ってくれています」と感謝の言葉を惜しまない。
もちろん、試合に出てプレーを表現することが第一であり、そのための鍛錬も日々続けている。今季は居残りで行われるシュート練習に参加する頻度も上がり、30日には利き足ではない左足で豪快なシュートを連続で突き刺した。昨季の加入時から意識し続けている結果への欲求は、ここにきてさらに増している。
「結果にこだわって、ゴールの一つ前でも、ゴールでも、結果につながるプレーをどんどん出せていけたら、もっとステップアップできるんじゃないかなと思います。チームも強くなりますし、個人としてもレベルアップしていく。意識しながらやっていきたいと思います」
その努力が数字として実を結ぶ日は、決して遠くないはずだ。
文・写真:片村光博(エルゴラッソ大宮担当)
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G大阪のオ・ジェソクが日本を応援。「アジアの力を見せてほしい」
ロシアW杯大会のメンバー発表前日に行われるガーナ戦。30日の練習を終え、帰途につくオ・ジェソクは「日本代表にはヒガシくん(東口順昭)もいるし、(井手口)陽介もメンバーに入っている。知っている選手も多いので日本も応援したいと思います」とテレビ観戦するつもりだという。
アジア予選では自身も韓国代表でプレーしたが、本大会メンバー入りはならず。そんなオ・ジェソクは、大阪弁を完全にマスター。親日ぶりを日々のぞかせるだけに、「日本と韓国のどちらでもいいからW杯ではアジアの力を見せてほしい」とエールを送っていた。
文:下薗昌記(エルゴラッソG大阪担当)
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連戦のダメージが色濃い鹿島。それでも練習試合でいわきFCに勝利
30日、鹿島はクラブハウス練習場でいわきFCと練習試合(45分×2)を行い、2-1で勝利を収めた。
6月6日に控えている天皇杯2回戦に向けた準備を進めている中で組まれた練習試合だったが、12連戦の爪痕は大きかった。昌子源、植田直通、三竿健斗の3人が日本代表に招集されているとはいえ、小さなケガから大きなケガ、体調不良を含めると動ける選手はわずか13人のみ。GKに川俣慎一郎、DFは安西幸輝、町田浩樹、犬飼智也、伊東幸敏、MFが中村充孝、小笠原満男、遠藤康、西大伍、FWに安部裕葵、山口一真という面々でスタートした。
前半は、いわきFCの[3-4-1-2]の並びにうまく対応できず、バックパスを奪われて失点してしまう。しかし、後半になってから修正を施し、相手を敵陣に押し込むと、田中稔也と有馬幸太郎(ユース)のゴールで2点を返し逆転勝ち。
クラブハウスを訪れていたジーコが見守る中、勝ち切る試合を見せた。
文:田中 滋(エルゴラッソ鹿島担当)
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浦和が流通経済大と練習試合。疲労困憊の中、4-2で勝利
浦和は30日、11時から流通経済大と45分×2本の練習試合を行い、4-2で勝利した。
この日は練習から取り組んできた[4-4-2]でスタート。西川周作を最後尾に、4バックは右から菊池大介、岩波拓也、マウリシオ、宇賀神友弥。長澤和輝と青木拓矢がボランチのコンビを組んで、右にマルティノス、左に武藤雄樹。2トップは興梠慎三と李忠成が並んだ。主将の柏木陽介や平川忠亮らは負傷により別メニュー調整が続いており、出場しなかった。
流経大は、来週に甲府との天皇杯2回戦を控えるAチームや、FC東京との試合を控える流経大ドラゴンズ龍ケ崎ではなく、1年生主体の顔ぶれ。一方の浦和は、「キャンプより厳しい」(福島春樹)という1週間続いた2部練習の直後で「これよりも悪いコンディションで試合することはないと思う」(山田直輝)という状態だった。
全体的に浦和の選手の体は重く、序盤からの流経大のフォアチェックを前になかなかボールをつなげない。11分にはカウンターからFW古谷三国(流経大柏高出身、1年)に決められてしまう。ただその後は浦和がペースを握った。32分、左右に振ったあと、岩波が入れた鋭い縦パスに武藤がうまくターンして受けてシュートを流し込んで同点に。37分、宇賀神のクロスをマルティノスが合わせて加点すると、38分にはマルティノスが右サイドを力強く突進、折返しに長澤が合わせて3-1に。41分、菊池とマウリシオのパス交換でもたついてFW板倉航希(流経大柏高出身、1年)にゴールを許したが、3-2で折り返した。
メンバーをすべて入れ替えた後半は、ほぼ横綱相撲。森脇良太が右SBで実戦復帰し、阿部勇樹がボランチで、GK福島春樹もユースのCBコンビを支える声を出して全体を引き締め、90+1分に[4-4-1-1]のトップ下に入っていた山田直輝のクロスをDF大桃伶音(ユース)が決めて4-2とした。
試合後、疲労困憊の様子だった浦和の選手たち。この日は「ゲーム勘を戻すこと」(青木)が主眼だったようで、2日のルヴァンカッププレーオフステージ第1戦に向けては、「しっかり回復して、勝ちにいく」(青木)と意気込んでいた。
文・写真:田中 直希(エルゴラッソ浦和担当)
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「チャンスがまったくないということはない」。同期の高校生Jデビューに刺激を受ける京都U-18の井ノ尾匠
26日のJ2第16節・横浜FC戦、京都の2種登録選手である上月壮一郎が先発出場し、京都では11年の久保裕也(ゲント)以来となる現役高校生でのリーグ戦デビューを果たした。このことを「いい刺激になっています」と捉えているのが、上月と同じ京都U-18所属の高校3年生で3月から2種登録されているGKの井ノ尾匠だ。
横浜FC戦前の練習には上月と福岡慎平が京都U-18から呼ばれていたが、二人はU-19日本代表候補トレーニングキャンプに参加しており6月1日まで不在。入れ替わるように、井ノ尾が29日からトップチームの練習に合流している。
トップ昇格1年目のGK若原智哉も上月らとともにU-19日本代表に招集され、韓国籍GKのキム・チョルホは別メニュー調整中のため、現在練習に参加している京都のGKは清水圭介と井ノ尾の二人のみ。29日の紅白戦ではサブ組のゴールマウスを井ノ尾が守り、「ユースとはスピードが全然違うし、シュートのうまさも全然違う。まだまだレベルアップが必要だと感じました」と、貴重な経験を積んでいる。
「監督には『焦らずに、自分のペースで参加すればいい』と言われていますし、そのとおりだと思う。ただ、自分にもチャンスがまったくないということはないと思うので、(トップチームでのデビューを)狙っていきたいです」。
17歳のGKは、正GKとして起用されている若原が戻る6月2日まで、自身の武器と話すロングフィードとシュートストップを全力でアピールするつもりでいる。
文・写真:川瀬太補(エルゴラッソ京都担当)
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