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山形の本田拓也vs京都の闘莉王。激しいマッチアップを振り返った本田の感想は?
前節・京都戦は0-1、後半戦に入り5試合で3つ目の黒星となった山形。ボランチの本田拓也は「セカンドボールをもう少し拾ったりしなければいけなかったし、攻めに関しては少し中に行き過ぎたところもあった」と攻守においての課題を挙げた。中でも複数得点が止まっている攻撃については、「研究されてくると相手も中を締めてくる。特に京都戦は早く失点してしまって、相手は中を固めておけばいいだけだった。そういうときに外からの攻撃というのは有効だと思うし、相手を後ろ向きにさせるプレーがなかった」と、より工夫する必要性を説いた。
その本田が京都戦で最も目立っていたシーンが、田中マルクス闘莉王とのマッチアップ。いかに先に体を入れるか、いかに相手の逆を突くか。ポジションが近いこともあり、ベテラン同士の駆け引きはそこだけ異彩を放っていた。「(闘莉王の)全盛期は何もできなかったです。トゥーさんにボールが入る前とか凄すぎたので。高さも高いし、起点にもなるし、賢いです」と過去を振り返った本田。
今回の対戦では「トゥーさん(闘莉王)を倒したら全部ファウルにするから」とジャッジに対する不満を口にはしながらも、「でも、楽しかった」と特別な時間を楽しんだ様子。一度、足を挟まれもんどり打つシーンがあったが、「まあ、いいんじゃないんですか。ケガもしなかったし」とサバサバと振り返っていた。
球際へのこだわりが本田の真骨頂。レベルの高い相手とのマッチアップで、それが引き出された一戦だった。
文・写真:佐藤円(エルゴラッソ山形担当)
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清水の勝利とアジアでの戦い。立田悠悟が見せた二つの戦いへの意気込み
清水の立田悠悟は、インドネシアのジャカルタ・パレンバンで行われるアジア大会に出場するU-21日本代表メンバーに選出されている。
前回のトゥーロン国際大会では選外に終わったが、今回返り咲きとなった。ただ、立田は中断明けから清水でスタメンを勝ち取っており、「(清水に)残りたいという気持ちもある」といのも本音。「ただ、チームが送り出してくれるので、そこ(U-21日本代表)での結果が求められる。上の年代(アジア大会の規定は23歳以下+オーバーエイジ3名)で、力のあるチームとの対戦になるので難しいとは思うが、個人としては前々回の大会(パラグアイ遠征)で力の差を見せつけられた。いまの段階でどこまで差を埋められているのか確かめるいいチャンスになる」と意気込みを見せた。
11日の川崎F戦を最後に現地に向かうことになるが、「勝利を置き土産にしたいと思うし、それくらいのアピールがないと帰ってきても試合に出られない」と話している。
文:田中芳樹(エルゴラッソ清水担当)
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U-21日本代表の10番・三好康児。アジア大会を前に札幌への置き土産を誓う
「個人的にも結果を残してアジア大会に行きたい」。明確に「得点」という言葉こそ発しはしなかったものの、アタッカーが口にする“個人的な結果”といえば、言うまでもなく得点でしかない。11日に行われるC大阪戦(札幌ドーム)を終えると、アジア大会に出場するU-21日本代表として札幌を離れるMF三好康児は、この試合でどん欲に得点を奪いにいく姿勢を冒頭の言葉で表現している。
三好は今季、川崎Fから期限付き移籍で加入。昨季のリーグ優勝はうれしかったものの、「自分はあまり試合に出られていなかったので、正直、悔しさもあった」ため、出場機会を得るべく札幌に戦いの場を求めた。そして札幌では開幕から定位置を確保。プロになって初めて継続して試合に出続けている中で、「コンディション維持の難しさが分かった」と口にする。そしてこういう言葉も発した。
「すべての試合で万全のコンディションでプレーできるとは限らない。万全ではないなりに、結果を出さなければいけない。その意味でも、常に得点をとっていた(小林)悠さんや(大久保)嘉人さんのすごさを、自分が継続的に試合に使ってもらっている中で痛感した」と川崎F時代の先輩をあらためてリスペクトする。
今季は札幌の主軸として巧みなドリブルなどで躍動。活躍を見せている。だが、意外にもここまで無得点。「今季は10得点10アシストが目標」と開幕時から公言しているだけに、チームを一時離脱する前に一つ、置き土産をしたいところだ。
文:斉藤宏則(エルゴラッソ札幌担当)
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コンディションを上げる横浜FCの田代真一、熊本戦でメンバー入りへ。「ケガしていたたぶんを取り戻したい」
週末に行われる熊本戦に向けて、横浜FCの田代真一がコンディションを上げてきている。
7月6日に長崎から期限付き移籍加入し、即戦力として期待を寄せられていたが、いきなりのアクシデントに襲われた。練習中の味方との接触により、頬骨を骨折。自分の特長であるプレーを一切披露することなく早々の離脱となってしまった。そこからは対人を避けた別メニュー調整に移ることとなり、「本当に何のために来たのか分からないような」悶々とした時間を過ごした。
そんな日々を乗り越えて全体練習に合流したのは7月30日。この酷暑の中、フェイスガードを着用して徐々に軽快なプレーも見られるようになってきた。これにはタヴァレス監督も「だいぶ良くなってきた。すごく良いトレーニングをしているし、すごくクオリティーの高い選手」と高い評価を与えている。
ケガからの新天地スタートだったが田代は前を向く。
「こっちに来てすぐケガをしてしまったけど、逆にプラスに捉えたらみんなのプレーを外から見ることができた。コンディションも上げることもできた。そういうところをゲームで出して結果を出していかないと、ここに来た意味はない」
熊本戦はメンバーに入ることが濃厚。出番が訪れた際に結果を出していくことで「ケガしていたたぶん取り戻していきたい」(田代)。
文:高澤真輝(エルゴラッソ横浜FC担当)
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野村直輝が送った、横浜FCを離れた中山雄希へのエール。その影にあったのは先輩からの教え
7月31日、中山雄希がJ3鹿児島への期限付き移籍を決断したことがクラブから発表された。その直後に“先輩”野村直輝はSNSを通じてエールを送った。これには中山本人に限らず、サポーターやファンも心を打たれたのではないだろうか。
野村は今季の中山を2015年の自分と重ね合わせながら見ていた。「僕も紅白戦に出られなかったりで蚊帳の外だった。だから雄希には『自分を見ているようだから』というのはずっと言っていた」。ときに食事へ誘い、親身になって多くのアドバイスを送った。だからこそ、出番が少なくとも中山は練習で気持ちのこもったプレーで貪欲にアピールし、第18節・大宮戦でも可能性を感じさせるパフォーマンスを披露できたのだろう。
そんな野村のバックグラウンドには、出場機会が少なかった若手時代に出会ってきた人たちがいる。「僕はチビさん(飯尾一慶)とか(渡辺)匠さんとかに助けてもらった。だから次は自分がその役目というか、そうしないとなと思っていた」。先輩たちに教わったことはサッカー選手としてだけでなく人間性も成長させてくれた。
そして中山もいずれ人間として大きくなり、また誰かに伝えていく立場になっていくのだろう。まずは新天地・鹿児島で勝利に貢献し、大暴れすることに期待したい。「移籍して良かったと思えるように頑張ってほしい」(野村)。
文:高澤真輝(エルゴラッソ横浜FC担当)
試合に出てる出てない関係なく苦しい時期でもしっかり練習して積み上げられたこと。リーグ戦で唯一出られた大宮戦も良いプレー出来てたし、鹿児島でも十分チームの為に闘える選手です。鹿児島でも直向きに頑張ってほしいですね https://t.co/qF0o2g0wp8
— 野村 直輝 (@n_nomu1991) 2018年8月7日 -
大宮の絶対的存在、河本裕之が出場停止。山越康平は「積極的に前への指示を」と覚悟を示す
今節・愛媛戦は河本裕之(写真)が累積警告により出場停止。最終ラインの絶対的存在の欠場は痛いが、連敗阻止のためにはチームとして“穴”を埋める必要がある。
今季チームのCBで最多となる23試合に出場している山越康平は「いつも声を出してくれているコウモさん(河本)がいないぶん、積極的にコミュニケーション、前への指示は出していきたい」と語り、守備陣を引っ張る覚悟を示した。意識するのは前向きな守備。前節・東京V戦(1●2)での間延びを反省し、修正に努める。
ペアを組むことになるのは、昨季もコンビを組んでいる高山和真か、新加入の畑尾大翔が濃厚。東京V戦では大宮で初のベンチ入りを果たした畑尾は「チャンスがあるのであれば、しっかり自分のパフォーマンスができるように良い準備をしたい」と意気込む。まさに“総力戦”で愛媛戦を乗り切りたい。
文:片村光博(エルゴラッソ大宮担当)
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元名古屋のワシントンが山口に合流。奥さまは「レノファのユニフォーム」好き
名古屋に所属していたワシントンが山口に加入し、8月7日からチームに合流した。
6月29日に名古屋との契約が解除され、ここ1カ月間は母国・ブラジルで過ごしていたというワシントン。山口からオファーを受け、「1年半住んでとても好きになった日本に戻るチャンスだ」と快諾した。「奥さんがレノファのユニフォームが好きだからというのも理由の一つ」と笑顔を見せた。
加入発表時点(7月27日)では、7月31日から練習に参加する予定だったが、ビザ取得の関係などで予定から1週間ほど遅れての合流となった。酷暑が続く山口は「ブラジルよりも暑い」と苦笑いを浮かべるも、ブラジル人DFのヘナンらと言葉を交わしながら、山口でのデビューに向けて練習に励んだ。
状況に応じた素早い判断や攻撃でのアイデアを求められるが、ワシントンは「頭を使いながらサッカーをやっている。戦術的なポジションの埋め方や動き方はうまくできると思う」と自信をのぞかせ、「空中戦やボディーコンタクトの強さも武器。ポジションは関係なく、チームで活躍したい」と話す。
登録が完了次第、公式戦への出場が可能。早ければ12日の第28節・徳島戦から出場できる。
文・写真:松原純(エルゴラッソ山口担当)
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吉田チルドレンの急先鋒、神戸のルーキー郷家友太が背負う覚悟「神戸で戦っている自覚はある」
神戸のルーキーMF郷家友太が存在感を高めている。明治安田J1第18節・柏戦で増山朝陽の決勝ゴールをアシストすると、前節・FC東京戦では両チームでトップの11.527㎞を走破。8日の練習をダメージのため回避したが、「もう大丈夫」と9日はフルメニューを消化し、今節の磐田撃破に燃えた。(写真は7月3日撮影)
開幕前からそのポテンシャルを吉田孝行監督が称賛してきた。コンスタントに出場機会を獲得。前半戦は思いきりの良さを発揮できなかったと話した背番号27だったが、W杯ロシア大会によるリーグ戦の中断期間に大きなきっかけをつかんだ。
直近の試合ではアシストを含め、相手ゴール前でチャンスに絡むシーンが増えている。「外国人選手の、前に行く姿勢を見ることができた。ターンとか、ゴール前に入っていくところとか、積極性を出せるようになってきた。高校時代のプレーを思い出しつつあるし、意識が変わったと思う」。青森山田高で10番を背負った郷家。中断期間中には、U-19日本代表のメンバーとしてロシアを訪れ、強豪国の真剣勝負を目の当たりにし、日本代表との練習試合で新たな刺激を受け止めた。
郷家には一つの目立ったプレーがある。足にボールを吸い付けるように、スルスルと前に運ぶドリブルだ。「僕の特徴というか、クセですね。自分にはスピードがないぶん、相手を隠しながらボールを取られないようにと考えている」。密集からポンと抜け出すタイミングに優れたプレーは、猛者がそろうチーム内でも屈指のセンスを持つ。
今節はアンドレス・イニエスタとルーカス・ポドルスキの夢の共演が実現するかに注目が集まり、チケットはすでに完売。「満員の中でサッカーができるのは幸せなこと。そこで観客を楽しませるプレーがしたいし、試合を決めるプレーを出せたらと思う」。ダイナミズムを陰に日向に支え、チームスタイルのパスサッカーを着実に前進させる。「若手だからって先輩についていくだけじゃダメ。神戸で戦っている自覚はあるし、負けは許されない」。使命感を胸に宿らせる。
ACL出場権の獲得を目指すチーム。世界を視野に入れる19歳。吉田チルドレンの急先鋒が、静かに刃を研いでいる。
文・写真:小野慶太(エルゴラッソ神戸担当)
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町田がPR活動。「観客動員が“J1基準”になるための一つのきっかけに」(奥山政幸)
町田は8月9日、町田市立陸上競技場で12日に開催されるJ2第28節・千葉戦に向けたPR活動を実施。トップチームの4選手が参加する形で町田市内の多摩境駅と南町田駅の2カ所にてPR活動が展開された。
今回の告知活動のエリアに多摩境駅と南町田駅が選定された理由は、千葉戦で両駅から無料の送迎バスが出るため。その多摩境駅には藤井航大と奥山政幸が、南町田駅では小島雅也と杉森考起が参加し、街ゆく人たちに試合告知のチラシを配布して、千葉戦への来場を促した。ちなみに今季、トップチームの選手が参加して告知活動が実施されるのは、ホーム開幕戦となった第2節の大宮アルディージャ戦2日前以来、二度目のこととなる。
同日のトレーニング後、告知活動への意気込みを問われた奥山は「観客動員が“J1基準”になるための一つのきっかけにしたい」とコメント。その奥山は約1時間の告知活動の中で、精力的に試合告知のチラシを配布する姿が目立っていた。そして南町田駅での告知活動を終えた杉森は「千葉戦に一人でも多くの方に来てもらえるように頑張ったので、たくさんの人に来てほしいです!」と、そのキュートな笑顔を携えながら“野津田”来場を呼びかけている。
なお、千葉戦ではZ劇場での町田音頭披露や「スポーツ縁日」の実施など、夏に特化したイベントを数多く企画。さらにスイムキャップやゴーグル、浴衣などを着用して来場した方を無料招待する企画も実施される。夏休みの思い出作りには、“野津田行き”がオススメだ。
千葉戦の詳しい試合・イベント情報はコチラ↓↓
http://www.zelvia.co.jp/news/news-128289/
写真提供:FC町田ゼルビア文:郡司聡(エルゴラッソ町田担当)
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「すべてをリスペクト」。名古屋のジョーと、鹿島・ジーコTDとの接点
前節・G大阪戦で、来日初のハットトリックを達成した名古屋のジョー。次節、鹿島戦に向け、神様ジーコとの接点を語ってくれた。
ジーコと言えばサッカー界のレジェンド中のレジェンド。「白いペレ」とも呼ばれ、ブラジル代表としてW杯3大会に出場。1981年の世界一のクラブを決めるトヨタカップではMVPを獲得した。今年7月には16年ぶりにテクニカルディレクターとして鹿島に復帰している。
ジョーは「僕自身、生でジーコのプレーは見たことないけど、父からよく話を聞いていたし、ビデオで見てそのプレーの凄さに感心した。世界的にも有名で憧れの人」と言う。そんなジョーはジーコに対して常に尊敬の念を抱いている。
ジョーの父・ダリオさんは、ブラジルの名門コリンチャンスの元選手。しかし生活のためにタクシー運転手に転身し息子たちにその夢を託した。やがてその夢は叶う。ジョーの5歳年上の兄ジェアンがコリンチャンスとプロ契約。ジョーにとってジェアンは模範となる兄だった。しかしその兄は2002年に交通事故で急逝してしまう。その時15歳のジョーは「自分がプロとなり、父や兄の夢を引き継ぐ」と決意をした。
その直後に行われたのがU-15日本ブラジル友好カップ。若年層の育成が最も重要だと考えるジーコが、毎年リオデジャネイロで開いている大会で、当時は日本から3チーム、ブラジルの3チームが参加していた。兄を失い傷心のジョーもコリンチャンスユースのメンバーとして参加。大会得点王となりチームの優勝に貢献した。
「あの大会で日本のことを初めて知ったし、初めて日本人とボールを蹴り合った。その時僕はサッカー選手になりたいとすごく思っていたし、こういう人生でありたいと願っていた。ジーコにすごく貴重な経験をさせてもらった」と、ジョーは語る。
その後ジョーはすぐにトップチームに昇格。持ち前の長身にテクニックを磨き、世界を舞台に戦うようになった。そして次節では、日本でジーコが心血を注ぐチームと対戦する。
「鹿島はブラジルでも良く知られている。ジーコがいたし、すごく楽しみな試合だよね。でも次はホームだし絶対に勝ちたい」
ジーコと関わることがある時点ですごくうれしいと笑顔を見せるジョー。ジーコが主宰する大会で才能を開花させ世界的な選手となった。ジョーはいつもより丁寧に何度も次の言葉を語っていた。
「ジーコがサッカーに対して行ってくれたことすべてに、本当にリスペクトしている」
憧れ以上の想いがそこにはあった。
ちなみに、ジョーが出場したU-15日本ブラジル友好カップには、鹿島アントラーズも出場していた。その試合でジョーはゴールを決めたと言う。次節はもちろん、その再現を狙っている。
文:斎藤孝一(エルゴラッソ名古屋担当)
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