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健在ぶりを示した増嶋竜也。「『(サブのメンバーに)必ずチャンスはくるよ』というお手本を示したかった」
増嶋竜也、ここに在りー。
千葉の前節・徳島戦(2〇0)、16試合ぶりに先発し、本紙のMIPにも選出された老練DFのパフォーマンスは冒頭の表現がピッタリだろう。
「チャンスをモノにして、『(サブのメンバーに)必ずチャンスはくるよ』というお手本を示したかったのはあります。いまの時期は難しくて、(来季の)契約がある、ないという部分も絡んで、結果が出ていない状況はチームも、選手もいろいろな問題が起きてしまうのが普通です。その中でいかに一体感というか、まとまりを見せるために、自分ができるとすれば、勝ったとき、点をとったときにみんなで自然と喜べるような雰囲気を作れればいいな、と。それだけを考えて、仲間のためにプレーしました」
ベテランらしい“肥えた目”でひさびさの先発の“重さ”を計り、なおかつ豊かな経験に基づき、チームの現状にもフォーカスし、フクアリに立った。
そして、本人の言葉どおりの活躍だった。序盤に巧みなヘディング技術でネットを揺らすと、終盤には追加点をアシスト。本職の守備ではファイターらしく球際で戦い、クリーンシートを達成して、胸に秘めた想いを余すことなく体現した。
プロ15年目の今季加入した千葉ではよき兄貴分的なポジションを確立している。練習中、後輩にアドバイスを送る姿だったり、オフの時間は軽口をたたかれながらも仲間の輪の中心にいる場面を何度も目にしてきた。この取材中、後輩が通るたび、なにかしら絡んでくること自体、慕われている証左だろう。
同じポジションの大卒ルーキー・鳥海晃司もその一人。徳島戦では前半終了間際に負傷交代したが、それまでのパフォーマンスはシーズン当初とは打って変わりファイトし、増嶋に大きな影響を受けたのは一目瞭然だった。その話を振ると、増嶋は照れ臭そうに口を開いた。
「トリ(鳥海)とは一緒にやりたい気持ちが強かった。途中で代わるってなったときは少しイラっとしましたけど(笑)。最初のころよりよくなっている気はしますね。アイツはなんかバリバリ出て、僕を「早く引退させます」と言っている。ただ、もうちょっと頑張りますけどね(笑)」
数々のクラブを渡り歩き、プロの酸いも甘いも知り尽くした今の“マス”には周囲を惹きつける懐の深さがある。
文・大林 洋平(エルゴラッソ千葉担当)
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横浜FMの山中亮輔がA代表に初選出。「数字を残して帰ってきたい」と意気込む
7日、キリンチャレンジカップ2018に臨む日本代表メンバーが発表され、横浜FMのDF山中亮輔が初招集された。
横浜FMのトップチーム選手がホームタウン活動の一環として小学校を訪問する「サッカースペシャルキャラバン」で横浜市港北区の太尾小学校を訪れている際に吉報を聞いた山中は、「めちゃくちゃ嬉しい。目指していたところなので素直に嬉しい」と笑顔を見せた。
また、今の代表について「リオ五輪(を目指す)代表でやってきた選手が活躍しているのを見て刺激になっていた。最近の代表戦は見ていてもおもしろいし、そこに自分が加わったことを想像しながら見ていた。縦に速いし、二列目の選手が生き生きしているイメージがある。僕はそこにオーバーラップで絡んでいって、二列目の選手を楽にさせたい」とイメージしているようだ。
そして「攻撃で違いを作っていかないと生き残れない。インパクトがある仕事がしたいし、数字を残して帰ってきたい。常に意識しているけど、試合に出たらゴールやアシストを貪欲に狙っていきたい」と、自身の最大の特徴である攻撃面、スプリント能力や左足のキック力や精度でアピールしていくつもりだ。
山中が初招集された日本代表は16日に大分スポーツ公園総合競技場でベネズエラ、20日に豊田スタジアムでキルギスと対戦する。
文・菊地正典(エルゴラッソ横浜FM担当)
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横浜FMの久保建英がU-21日本代表メンバーに選出。飛び級選出も「いまは不安もないし、楽しみ」
7日、UAEで行われるドバイカップU-23に出場するU-21日本代表メンバーが発表され、横浜FMのMF久保建英が招集された。
チーム最年少、17歳での飛び級の招集となった久保は、「一緒にやる選手の特徴を理解してみんなに合わせつつ、自分の特徴も理解してもらうということが入っていく選手が馴染めるかどうかで重要になってくる」と話すと、「そういうところは自分は得意だという自負があるので、しっかり溶け込んでいきたい」と意気込みを語った。
久保は10月下旬から11月上旬までインドネシアでAFC U-19選手権を戦っており、4日に帰国したばかり。準決勝のサウジアラビア戦後は「ちょっと疲れがあった」ようだが、その後は疲れもとれたようで「いまは全然だいじょうぶ」とコンディションに問題はない様子。
FCバルセロナの下部組織出身で15年に帰国して以降、常に上の世代のカテゴリーの代表に招集されてきた久保。15歳の時にU-19代表に飛び級で招集された際には「やれると思っていなかった」が、それから経験を重ねてU-21代表でも「いまはそういう不安もないし、楽しみ」と感じるようになったようだ。
U-21代表は14日にU-23ウズベキスタン代表、17日にU-23クウェート代表、20日にU-23UAE代表と対戦する。
文・菊地正典(エルゴラッソ横浜FM担当)
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A代表選手はならなかった湘南・杉岡大暉。自身が考えるレベルアップすべきポイントとは?
11月7日、キリンチャレンジカップに臨む日本代表メンバーが発表された。A代表選出の期待も高まっていた杉岡大暉だが、残念ながら今回は選出とはいかず、齊藤未月とともにU-21日本代表の活動に参加することになった。
発表直後の杉岡に「期待してたんじゃないですか?」と聞くと、「メディアの皆さんが言ってたので、期待はしちゃってましたけど(笑)」と苦笑いしつつ、いまの心境を語った。
「こんなチャンスもなかなかないし、やっぱり一度入ってアピールしたかった気持ちはあります。でも『なんで選ばなかったんだ?』と不満を持つこともないし、納得はしています」
今季も残すところ3試合となったが、わずかな期間でも残留争い真っ只中にあるチームの中では、杉岡のレベルアップは大きな後押しになる。それがA代表にもつながるはずだ。自身がレベルアップすべき要素を問うと「クロスなどの結果」を真っ先に挙げた。
「クロスの精度など、結果が一番必要だと思います。山中選手は結果を出している。その差を感じますね。逆に言えば、最後のフィニッシュ以外はJ1でも通用している自信がありますし、クロス以外にもまだまだやるべきことはありますけど、そこが一番だと思います」
クロスの数や質は、今季をとおして杉岡がこだわってきた部分でもある。抜ききらずにワンステップで上げたり、低く速いクロスとふんわりしたクロスを使い分けたりと、そのバリエーションは確実に増えている。しかし、本人はまだ難しさを感じているようだ。
「蹴り方、タイミング……なにか自分でコツやカンをつかんで見つけないといけないですね。ただ蹴ってるだけではうまくならない。自分の形を見つけたいです。それも難しいなと感じています。同じボールを使って、同じ靴を履いて、同じ芝のグラウンドでプレーしても、日によって自分のキックの感触も違いますし、ボールの感触も違う。サイドに入ってこんなにたくさんクロスを上げるのも湘南に来てからなので、まだまだ課題はありますね。サッカーは難しいなと日々感じています」
それでも名キッカーと呼ばれる選手たちは、どんなコンディションでも安定したキックを蹴ることでその地位を築いてきた。杉岡もその境地に立ち、A代表、そして世界に通用する選手へ成長することを願うばかりだ。
文:中村僚(エルゴラッソ湘南担当)
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鳥栖の田川亨介がU-19アジア選手権の戦いを振り返る。「いいパフォーマンスができなかった」
田川亨介がU-19アジア選手権の戦いを振り返った。
チームは準決勝でサウジアラビアに敗れ、ベスト4に終わったが来年、ポーランドで行われるU-20W杯の出場権を獲得した。田川も「出場権を獲得できたことは素直に喜んでいいと思います。ただ、そこで気が抜けてしまって優勝できなかった。それが一番の心残り」と最低限の目標達成に終わったことには悔しさをにじませていた。
個人としてもグループステージ第3節の1得点に終わり、「心と体のバランスがうまくとれていなくていいパフォーマンスができなかった。1点だけじゃ、チームを引っ張っていける感じでも全然ない」と自己反省の言葉ばかりが口を突いていた。
チームを離脱している間に所属する鳥栖ではトップチームにキン・ミョンヒ監督が就任。田川にとってはユース時代の恩師でもある。長崎戦の前日、昼過ぎに帰国したばかりながら長崎戦ではメンバー入りし、後半から起用された。前線にけが人が続出していたチーム事情もあるがキン監督の期待もうかがわせた。「僕の使い方は監督が多分、一番わかっていると思うので僕も気楽にじゃないですけど自信をもってできる部分も出てくるんじゃないかなと思っています」と田川もキン監督へすでに大きな信頼を寄せていた。それでも、やはり、キン監督がトップチームを率いているのは「不思議な感じですよ」とまだ、慣れない様子でもあった。
そして、7日にはUAE遠征を行うU-21日本代表にも選出。鳥栖だけでなく、世代別代表の掛け持ちも含めて、三足の草鞋といった状態だが「成長できるチャンス」とクラブを通じて、コメント。田川にとってまだまだ、ハードな日々は続いていきそうだ。
文・杉山文宣(エルゴラッソ鳥栖担当)
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熊本・田辺圭佑、古巣・琉球のJ3優勝を祝福
前節の新潟戦で、J2第19節・讃岐戦以来、21試合ぶりの先発出場を果たした熊本のMF田辺圭佑。後半途中で交代となり、攻撃面では「もっと受ける回数を増やし、得点につながるプレーを意識しないといけない」と反省点を挙げつつ、チームが狙いとしていた守備面については「ある程度できたかなというイメージ」と振り返る。
チームは21位以下が決まった苦しいシーズンとなっているが、一方で田辺にとってうれしいニュースが、昨季まで4年間在籍した琉球のJ3優勝とJ2昇格だ。
「選手はみんな技術が高いし、今シーズンの成績は妥当かなと思う。自分にとってはプロにしてくれたチームで、初めはキツかったですけど少しずつ環境もよくなってきた。クラブの成長を見てきているぶん、昇格が決まったことはうれしいです。だからやっぱり、自分たちもJ2に残って、来シーズン対戦したい」
J3の2位次第という条件はあるが、まずは自分たちが21位を守ってシーズンを終えるために、残りの2試合にかける。
文・写真:井芹貴志(エルゴラッソ熊本担当)
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J1通算400試合出場目前、“熱い”神戸DF那須大亮は「まだまだ精進しないといけない」
神戸のDF那須大亮がJ1通算400試合出場まで残り「1試合」となっている。02年に駒沢大から横浜FMに加入し、計6クラブで戦ってきた神戸の背番号2。積み重ねた出場試合数はあくまで数字であることを強調し、最も大切にしているのが“準備”だと語った。
「一つひとつやってきたことの積み重ね。いろいろなクラブで積み重ねて、それぞれのクラブに感謝しているけど、結果として400になるということ。上には上がいますし、そういう選手を間近で見てきた。まだまだ精進しないといけない。何より試合は勝つことが大事で、勝利のためにしっかり準備をしてやっと勝つことができる。準備をして、それが評価されて、試合に出場できる。積み重ねないといけない」
第30節・川崎F戦では、第10節・鹿島戦以来となる先発出場。「タカさん(吉田前監督)のときから変わらない。メンタルコントロールを含めて、いい準備をして、チャンスがあればと思ってやってきた」と話した背番号2。前節・名古屋戦でチームは9試合ぶりの公式戦勝利を飾ったが、那須も71分に途中出場。「メンバーは18人ですけど、本当に準備が大切なことで、チームとしていい準備ができた。すごく大きい意味をもった勝利だった」と誇らしく口にした。
その那須は練習場でひと際“熱い”。チームメートのMF三原雅俊によれば「ピッチ外でも熱い」という。新指揮官のフアン・マヌエル・リージョ監督のことを「情熱的」と話す那須だが、「お互いに感じあってるでしょうね」と続けた三原は笑顔。二人から共鳴する“熱さ”を感じ取っているようだ。
次節はホームに鳥栖を迎える。アンドレス・イニエスタとフェルナンド・トーレスの元スペイン代表対決に注目が集まるが、那須は「僕たちはどれだけいい準備をしてチームがまとまるかだと思う。そこだけを考えていい準備がしたい」と集中する。数分ほどの取材中、飛び出た“準備”のワードは20回を超えた。試合数は練習回数のほんのひと握り。“準備”と向き合い続けるプロ17年目は、その“熱さ”で今シーズンも走り切る。
文・写真:小野慶太(エルゴラッソ神戸担当)
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自らに課す「フィジカル面」。虎視眈々と出番をうかがう金沢の大橋尚志
前節・大宮戦(1△1)に途中出場し、第34節・山形戦以来、約1カ月半ぶりに公式戦のピッチを踏んだ金沢のMF大橋尚志。「時間は短かったけど、久しぶりに公式戦に出られたのはよかった」と話す。
投入されたのは80分。「守備の面でやることは意識してできた」としつつ、「何本か前向きにもらえたシーンがあったけど、そこで最後しっかりパスを通せればよかった」と攻撃での反省点を口にした。
今季のリーグ戦ではここまで23試合に先発している大橋だが、競争の中でシーズン後半戦は控えに回る機会が多い。当然「悔しい部分はある」ものの、「出ていない中で成長できる部分もあると思うので、そこはプラスに捉えてできている」と前を向く。
主なテーマにはフィジカル面の向上を掲げている。
「やっぱりフィジカル、守備の面はボランチとして求められていると思う。シンプルに、コツコツやっていく」
今後も地道に取り組みつつ、虎視眈々と出番をうかがう。
文・野中拓也(エルゴラッソ金沢担当)
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[本日のエルゴラッソ1面]熱烈ラストスパート
[明治安田J2第40節 マッチレポート]
■松本 vs 東京V
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■横浜FC vs 大分
首位撃破。横浜FCが大一番で証明した進化[FC琉球特集]
FC琉球、攻撃改革の結実