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「最後まで走り抜く」。チームの中心人物へ変貌遂げる千葉の為田大貴、かつての師と対する千葉ダービーへの気概
最近の千葉の為田大貴は“スゴイ”。と、個人的には感じている。
若かりし頃は世代別代表に選ばれていたし、元々、独特のドリブルや足元の確かさという一芸に秀でた才には定評があったのだが、若さからくるムラっ気や守備の難を指摘される典型的なアタッカータイプだった。
それが江尻体制に入って、左WBのポジションをつかんでから変わった。いや、昨季あたりから守備力の向上は目覚ましいものがあったのだが、より顕著に印象に残るようになったという表現の方が的確だろう。
もちろん「単純に守備を求められている」と本人が語るようにポジションの特性もあるのはあるのだが、2年近く彼のプレーを見ていると、それだけではないという確信がある。
では“何”が変わったのか。そのヒントは直近のコメントにあった。
「(ポジション上)やらないといけない役割が変わったのもありますが、成長できているとは感じています。年齢的にも中堅になり、チームの中心でやらないと。僕たちの世代はチームにも多いし、この世代で引っ張っていきたい気持ちもあります。責任感は年々変わってきています」
イジられ役のムードメーカーだった陽気な“タメちゃん”は自ら気づきを得て、チームの中心人物に変貌を遂げようとしている過渡期にいるのかもしれない。「結局、攻撃に出ていくのも、戻るのも気持ちです。気持ちを切らさずにそこに走っていけるかですよね」という言葉からも分かるように、守備の意識が上がったというよりは、責任感が生んだ献身性がプレーに反映されているのだろう。
そして、ここまではアタッカーに守備意識が備わったというよくあるお話。守備を意識するあまり攻撃がおろそかになりがちなのだけど、ちゃんと元来のストロングを損なっていないという点が、冒頭に表現した“スゴイ”という根拠なのだ。最近の対戦相手のほとんどの指揮官が千葉のストロングについて、「為田」と名指しするのが何よりの証左だろう。
残る課題はゴールに関与する力か。それを示すにふさわしい舞台が用意されている。リーグ戦で9年ぶりとなる22日の千葉ダービー。なんと言っても、柏の陣営には福岡時代の恩師・井原正巳ヘッドコーチがいる。普段、あまり感情を表に出さない25歳の言葉にダービーに懸ける想いが宿る。
「攻撃にしろ守備にしろ粘り強く最後まで走り抜きます。そういう成長したところを井原さんに見せたいですね」
文:大林洋平(エルゴラッソ千葉担当)
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