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今季初出場に苦笑の福岡MF末吉隼也。“始まりの1分”になる予感アリ
Jリーグ公式のデータサイト上にあるチーム別の出場記録。福岡のMF末吉隼也の欄を目で追っていくと“SUB”が9つ並んだ後に“▲1”の表記がある。
第9節まで毎試合のようにベンチには入るものの、出場機会が訪れなかった末吉が第10節の東京V戦で今季初出場を果たした。“▲1”は途中出場で1分間プレーした、という印。本人は「ピッチに立っていたのは30秒もなかったと思う」と苦笑いを浮かべたが、ゴールデンウイーク連戦の初戦で刻んだ1分間は、彼にとって“始まりの1分”になりそうな予感。「連戦中は総力戦になる」と井原正巳監督が話すように、徳島、松本と続く上位チームとの連戦で末吉にはさらに長い時間のプレー機会が巡ってくるだろう。
「本職(がボランチ)ではない(山瀬)功治さんがボランチで起用されている状況に感じることもあったし、多少の焦りも自分の中にはあったが、『やるしかない、やり続けるしかない』と思って毎日の練習に取り組んできた」
開幕から約2カ月間の辛抱でつかんだ今季初出場。体幹トレーニングや体のケアに時間を割き、毎日最後のほうに練習場を後にするコツコツタイプのボランチのこれからに注目していきたい。
文・島田 徹(エルゴラッソ福岡担当)
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38歳を迎えた浦和の平川忠亮。同級生・小野伸二のゴールに刺激を受ける
5月1日、浦和の平川忠亮が38歳の誕生日を迎えた。
チームがさいたまダービーで敗れてしまった翌日の誕生日となったことで、平川は「結果は残念。出ている選手だけではなく、出ていない選手も切り替えてやっていかないといけない」と話した。
試合に出ている選手だけでなく、そうでない選手も一丸となる。それが浦和のポリシーだ。今季の公式戦では富士・ゼロックススーパーカップを除いてメンバー入りできない状況が続いている平川だが、それでも「チームのためにできることは何でもやりたい」と口にする。そして、その気持ちを日頃から行動で表している。
上位争いを続ける浦和が、日々、質の高いトレーニングができているのは、試合に出ている選手だけでなく、出場機会が限られている選手が作り出しているから。平川も、その一人だ。
今季のトレーニングでは本職のワイドのポジションだけでなく、ストッパーでプレーすることも少なくないが、戦術理解度の高さからなる狡猾な守備は日頃から試合に出ている選手をも苦しめる。そして積極的にコミュニケーションを取りながら横から、また後ろから平川が送る的確な指示は、特に若手選手にとっては頼もしいものとなっている。
先日はうれしいニュースも飛び込んできた。清水商業高(現・清水桜が丘高)の同級生であり、浦和でも苦楽をともにした札幌の小野伸二がルヴァンカップでゴールを決めた。小野とは「あいつが辞めない限り、俺も辞めない」と言い合う仲。そんな戦友の「素晴らしいゴール」に「刺激を受けた」。そして「自分もピッチに立てるようにやっていくしかない」と決意を新たにした。
「38歳になってレッズでプレーできるのは幸せなこと」
38歳は浦和のレジェンドであり、“鉄人”とも呼ばれた山田暢久氏が現役を引退した年齢。平川は7月以降にリーグ戦に出場すれば、山田氏が持つクラブ最年長出場記録を更新する。その記録はさておき、平川は再びピッチに立つため、「1日1日無駄にせずに過ごしていきたい」と誓っていた。
そして何より、入団して16年目を迎えた浦和が「優勝するため」、日々努力を惜しまずにプレーし続ける。
文・写真:菊地正典(エルゴラッソ浦和担当)
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磐田・松本昌也、ルヴァンカップで狙う“名誉挽回”
磐田の松本昌也が“名誉挽回”のチャンスを狙っている。4月30日のJ1第9節・札幌戦に先発出場したものの、ボールに絡むことができないまま前半39分で交代となった。
松本は1日、その札幌戦について「間で受けて前を向き、起点を作ろうと思っていたが、攻撃のところでリズムを作れなかった」と振り返った。
3日に行われるルヴァンカップ第4節・柏戦ではボランチの一角で出場することになりそうだ。「相手のポジショニングを意識しながらプレーできれば」と本人は展望を語った。
札幌戦のパフォーマンスで名波浩監督からの評価が下がったわけではないが、信頼を確固たるものにするためにも、チームに貢献する働きを見せたい。
文:青木務(エル・ゴラッソ磐田担当)
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故郷でのプロデビューを狙う溝渕雄志が、勇気付けられた言葉とは?
今節・讃岐戦の出場を熱望するのが、千葉のルーキーで香川出身のDF溝渕雄志。中学を卒業後、関東圏にある流経大柏高、慶応義塾大に進学した経歴を持ち、地元での公式戦はいわば晴れ舞台。「メンバーに入ればアウェイに行くことになる。そうできれば、応援してくれている大勢の人や両親に成長した姿を見せられる。それが自分にとって、何よりも形にしたい恩返しになる」と、故郷で念願のプロデビューを狙う。
第10節を終え、ベンチ入りはあるものの、出場はゼロ。開幕スタメンを目標にしていただけに、「手応えをつかみつつ、すごく充実した時間を過ごせていた自負があったぶん、いまとのギャップを自分の中でうまく砕けない時間もあった」と振り返る。
その複雑な思いを払しょくさせてくれたのが、尊敬する先輩FW船山貴之の言葉。
「(第6節・)京都戦の週に2日にわたって、1日目に『元気なくね? 何歳なの?』っていうふうにはじまり『最初のほうが良かったわ。ガツガツしていたし、うっとうしいくらい動いていたじゃん』って。次の日の紅白戦の前には『対面する相手に負けたら、サッカー辞めたほうがいいよ』って真顔で言ってくれて…」
先輩の厳しくも愛のある問い掛けで、「『やばい。やらなきゃダメだ』って。その結果、良いプレーができた。結局、できないことやミスはすべて自分に依存していると理解できた」と、いまでは前向きに練習に取り組めている。
溝渕の改心を船山に向けると、照れ隠しなのか「イジっただけっすよ」と繰り返すばかり。でも、その目はどこかちょっとうれしそうだった。
文・大林洋平(エルゴラッソ千葉担当)
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札幌・四方田修平監督、注目が集まる試合でも平常心を強調
前日にリーグ戦のアウェイ磐田戦(2△2)を終えて、チームは1日午前に帰札。そのまま練習を行ったあと、2日後のルヴァンカップ第4節・FC東京戦に向けて四方田修平監督が取材に対応。現在グループAの首位に立っており、「リーグ戦から中2日という日程ではあるが、グループステージを突破できるようにしっかり戦いたい」と語気を強めた。相手のFC東京はすでにリーグ戦で対戦し、ホームで2-1の勝利を収めているが、「相手も2回続けて負けるわけにはいかない、という強い気持ちで挑んでくるはず。それに対して受け身に回らないようにしたい」とも続けた。
また、この試合ではFC東京U-18所属の高校1年生、久保建英が出場する可能性がある。そのことを問われると、「自分も育成年代の指導者をやっていたので、一度見てみたいと思っていた。そうしたら、対戦相手としてその機会が訪れた(笑)」と笑顔を見せた。そして「彼が出場するかもしれないということで注目も集まり得る試合だが、それもこちらのモチベーションにしていきたい」と、敵地での勝利に向けて意気込みも示した。また、「あくまでもチームとしての対戦」とも強調。いつもと変わらず平常心で挑み、グループステージ突破に向けはずみの付く一戦にするつもりだ。
文・斉藤宏則(エル・ゴラッソ札幌担当)
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今季初先発を飾った金沢の宮崎幾笑。指揮官はSBとしても高評価
新潟から金沢に期限付き移籍中の宮崎幾笑が、前節・岐阜戦(0●1)で今季初先発。フル出場を果たした。
勝利で飾ることはできなかったものの、宮崎は右サイドハーフとして先発し、得意のドリブルからシュートを放つ惜しい場面もあった。「展開的にはすごく良い流れだった。自分もチームもみんなそうだけど、ああいうチャンスをしっかり決めていかないと、やっぱりこういう結果になる」と悔やんだ。
ただ、「ひさびさの90分だったので楽しかった。今までは途中から出させてもらっていたけど、やっぱり90分の中では自分が絡んでいける回数は必然的に多くなってくる」と振り返るように、自身にとって充実したゲームになったようだ。
宮崎は後半途中から左SBにポジションを移し、ドリブラーの山田晃平とマッチアップ。「1対1の対応も、最後に山田が入ってきたけど、それに対しても付いていけている。そっち(SB)もやれるかなというふうに見ている」と柳下正明監督は話しており、今後はSB起用も有り得る。
「昨季も結構SBをやっていた」という宮崎。彼のスピードは後方からのオーバーラップにも生かされるだろう。
文:野中拓也(エル・ゴラッソ金沢担当)
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長崎の島田譲、初めて迎える古巣戦への意気込みを語る
長崎の島田譲が3日に迎える初めての古巣戦について語った。
前節、山口戦ではCKからファンマの2得点を演出するなど大活躍を見せた島田。セットプレーからの得点比率が高い長崎にあって、キッカーとして正確なボールを供給する島田の左足は欠かすことのできない大きな武器となっている。そして、迎える今節の相手は岡山。島田がプロ入りから4年間を過ごした古巣戦だ。
「意識する部分はあるし、楽しみ。個人的な感情はあるが、いまは長崎の一員だし、新しく生まれ変わった長崎の一員として戦うだけ。自分の持っているものをすべて出し尽くして勝利することが一番」 話したとおり、古巣戦への意識もさることながらそれ以上に新しい体制へと移行した長崎のホーム初陣への意識のほうが強い様子だった。
しかしながら、古巣については「岡山の選手とはほぼ全員一緒にやっているので全員と対戦するのが楽しみ。やりづらさもあるけど、やってやろうという気持ち」と隠し切れない思いも吐露している。
初めての古巣戦で島田が武器である左足からどんなプレーを見せるのか。勝利という結果で古巣、そして、長崎に自身の存在価値を示したいところだ
文・杉山文宣(エル・ゴラッソ長崎担当)
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今季2点目を決めた湘南・杉岡大暉。平常心でU-20W杯メンバー発表を待つ
J2第10節・岡山戦の後半ロスタイム。こぼれ球の拾った湘南の杉岡大暉が左を振り抜いた。目の覚める豪快なシュートが突き刺さり、今季2得点目を挙げた。
「トラップから早く打てるとは思っていなかったし、あんな技術の高いシュートを打てるとは思ってもいなかった」と振り返るように、杉岡にとっても驚きの一発だった。市立船橋高時代は得点をあまり取ることができなかった背番号29。しかし、開幕からここまでJリーグの舞台で2ゴール。「プロで得点を取れていることにビックリしている。高校のころと比べて変に得点を意識しないようになった。だから夢中になれているというか、その瞬間に入り込めている。それが良い方向につながっている」。
最近の目覚ましい活躍は、明日に備えたU-20W杯メンバー発表にも影響してくるはず。この緊張の瞬間を前に、杉岡はこう話す。「落ちたら落ちたで刺激になる。選ばれたらしっかりやらないといけない」。
もちろんU-20W杯に出場することで成長曲線がさらに上向くことは間違いない。しかし、「湘南でも成長できる」と本人も話すとおり、“落選”と“選出”、どちらに転がろうとも彼の成長は止まらない。2日、14時のメンバー発表に向けて、杉岡は平常心でそのときを待つ。
文・高澤真輝(エル・ゴラッソ湘南担当)
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[本日のエルゴラッソ1面]魂の完封劇。オレンジの覚醒
[明治安田J1第9節 マッチレポート]
■大宮 vs 浦和
上回った対策と気迫。大宮が手にした初勝利[インタビュー]
■The Future vol.6 森島司(広島)
結果が大事。目指すプレーは“シンプル+α”[明治安田J2第10節 マッチレポート]
■熊本 vs 横浜FC
3得点のイバ劇場。横浜FCが首位浮上