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久保建英が示した“熱”。U-20W杯に持参するものは「気持ち」
20日に韓国で開幕するU-20W杯に出場するU-20日本代表が11日、静岡県内で合宿を開始した。2世代飛び級で招集されている15歳FW久保建英(FC東京U-18)も初日から合流し、パス回しでは技術の高さを生かした的確なキックを披露。さらにミニゲームでは初瀬亮(G大阪)のクロスを右足ヒールで華麗にラストパス。堂安律(G大阪)のゴールをアシストしてみせた。
前日の10日にはルヴァンカップ第5節・FC東京vs大宮の一戦に途中出場。この12日間で公式戦4試合を戦ってきた。「正直、今日はちょっと疲れが残っている」と話した久保だが、「いろいろな人に相談させてもらった上での出場だったので、問題はないです」と力強く言い切った。
これまでは技術や決定力の高さが取り上げられてきた。しかしこの日、自身初の世界大会を前に、珍しく久保は自ら熱を示してみせた。
記者が「大会期間中に何か特別に持参するものは?」と聞くと、少し間を置いてこう語った。
「・・・気持ち、ですか」
思わず記者陣からも驚きの声が上がり、それを聞いた本人もはにかんだ。
その一言は紛れもない本心である。「大会に出るからには、一番の目標は優勝」と先日話していたが、初戦の南アフリカ戦(21日)まであと10日に迫ったいま、久保の世界への“気持ち”が徐々に昂る。
「南アフリカだったらアフリカ予選の得点王の人がいる」と久保はすでに対戦相手の研究も進めている。ポルトガルのブラガでプレーするU-20南アフリカ代表のMFルーサー・シンは、171cmと小柄でドリブルやFKを得意とするなど、久保とスタイルが重なる。この日もあらためて初戦の相手について「南アフリカも含めて、アフリカ勢はユース年代が強いイメージ。そのイメージだけをしっかり持って戦いたい」と話した。一方で、自身が10歳からプレーしたバルセロナでの経験を踏まえて、こんな発言も残した。「自分はヨーロッパでやってきたと言っても、まだ体ができていない時代だった。ヨーロッパの中でもアフリカより身体能力が高いチームもある。ヨーロッパだから、アフリカだからと決めつけないで、相手を見ながらしっかりプレーしたい」。 大会への意欲と敵国への冷静な分析。まさに、心は熱く、頭はクールに――。久保は戦いに必要な両方をすでに携えている。
「ここからどんな準備をするかが大事。初戦を勝てばグループリーグ突破が現実的になる。勝つことが大事」。技術は久保の一番の武器。しかし彼は闘う意識を併せ持つ。テクニシャンの裏側にあるファイター気質。本大会に向けて、久保が熱を帯びてきた。
文:西川結城(エル・ゴラッソ日本代表担当)
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