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「古巣の愛媛戦には出たい」。今季初出場のパク・チャニョンが飛躍を誓う
前節・長崎戦で、DFパク・チャニョンが今季初出場を果たした。
投入されたのは54分。長崎のFWファンマにセットプレーから2点を奪われたあとだった。
苦しい展開の中、パク・チャニョンは「セットプレーなどでファンマ選手のマークを徹底し、イージーなミスをしないこと」を心掛け、187cmの高身長を生かした持ち味を発揮した。「ちゃんと準備してきたし、思ったより余裕をもってプレーできた」と振り返る。
パク・チャニョンの出場によって、今季は山口のフィールドプレーヤー全員がピッチに立ったことになり、選手たちは競争意識も持ちながら日々の努力を重ねている。上野展裕監督は「実力世界なので力のある選手を使うし、もちろん全員が力を持っている。パクも良いパフォーマンスをしてくれた」と話す。
「古巣の(第12節・)愛媛戦には出たい」。パク・チャニョンはそう意欲を見せながらも、「まずは(次節・)湘南戦に向けてしっかり準備をして、勝てるように頑張りたい。失点の多いセットプレーは高さが必要な部分。そこで僕のポイントでもあるヘディングなどを使い、負けないようにしたい」と意気込んでいる。
文・田辺久豊(エルゴラッソ山口担当)
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2年ぶりのゴール。それでも玉林睦実が笑顔を見せなかった深い理由
前節・山形戦で自身2シーズンぶりとなるゴールを挙げ、チームの勝利に貢献したDF玉林睦実。しかし、ゴールを決めた直後の玉林に笑顔はなく、そこには彼らしい恩義を重んじる義理堅さがあった。
前半38分、愛媛のCKから玉林はゴール前で相手選手ともつれ合いながらも右足でボールを押し込んだ。沸き立つスタジアム、満面の笑みで喜ぶチームメートをよそに、玉林の表情はポーカーフェイスのまま。チームメートが求めてくるハイタッチに対して控えめに応えるにとどまった。
試合後、玉林はゴール後に感情を出さなかったことについて「(昨季まで指導を受けた)木山さん(山形・木山隆之監督)だったり、青野(慎也)コーチのことはリスペクト・感謝しているので、その恩を仇で返すことはしたくなかった」と、その理由を明かしていた。
1日の練習後、あらためてその話を聞くと、「最初は(ゴールを決めたら)思い切り喜んでやろうと思っていた。でも、いざ決めたらやっぱり喜ぶのは失礼だと思い、自然と感情を抑えてしまっていた」と話す。
実は玉林、かつて3シーズンを過ごした古巣・岡山とのアウェイ戦(15年6月21日の第19節/1◯2)でもゴールを決めているが、その際も「自分は岡山の人たちに育ててもらったので」とゴール直後に白い歯を見せなかった。受けた恩に背かない義理堅い気持ちが、アスリートとして爆発する気持ちを上回る。それが玉林睦実という男なのだ。
今節、愛媛はアウェイで横浜FCと対戦するが、「次決めたら全力で喜びたい」とニコリ。チームメートと喜び合うことを誓った。
文・写真:松本隆志(エルゴラッソ愛媛担当)
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34歳を迎える山岸智。1歳上の田中隼磨とのマッチアップに闘志を燃やす
J2第11節・松本戦が行われる3日、大分の山岸智が34歳の誕生日を迎える。
昨季、J1でのプレー経験しか持たないままに、J3に降格した大分へと移籍加入。広島時代にヘッドコーチだった片野坂知宏監督の右腕として主将を務め、見事にリーグ優勝を遂げて1年でのJ2復帰を果たした。
今季はまたも自身初のカテゴリー。[3-4-2-1]システムの左ウイングバックとして出場を重ねる中で、あらためて自身のプレーを見つめ直した。「やはりしかけていくことが自分の中で一番のストロングポイントなので、もっと怖がらずにプレーしようと。たとえ失敗したとしても、サイドは相手を打開していかなくてはならないポジションだから」と誓いを新たに、得意とするコンビネーションでの崩しに加え、単騎突破も目指す。
松本戦に出場すれば、1歳上の田中隼磨とのマッチアップになりそうだ。「中学時代から何度も対戦している。隼磨くん(田中)も攻撃的な選手なので、こちらもどんどんしかけていきたい」と闘志を燃やしている。
文・写真:ひぐらしひなつ(エル・ゴラッソ大分担当)
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「選ばれる自信は7、8割くらいあった」。強気の新顔FW・田川亨介がU-20W杯日本代表に選出
鳥栖の田川亨介がU-20W杯に臨むU-20日本代表に選出された。
今回の選出を受け、チームが滞在する神戸市内のホテルで会見を行った田川。選出に関して「クラブで試合に出て、得点したところや代表合宿に参加してそこで持ち味を出せたところを評価してもらえたのかなと思います。代表合宿では自分としては全然、納得できなかったし、『大丈夫かな?』って不安だったところもあった。選出してもらって良かった」と心境を語った。
J1第6節・新潟戦でプロ初得点を挙げると4月のU-20日本代表候補合宿にも参加。昨年のアジア予選(AFC・U-19選手権)には参加していなかったが、今年に入ってからの猛アピールで見事に切符をつかみ取った形だ。代表合宿後は出場時間が減少したが、強気な姿勢は変わらなかった。「選ばれる自信は7、8割くらいあった。自信を持っていないとダメだと言われていたし、そこは自信を持っていました」と堂々と言い切ったあたりは田川のキャラクターをよく表している。
チームと合わせる時間が少なかったが、田川は「自分のプレースタイルはシンプルだし、分かりやすいと思うので連係は大丈夫」と自信を見せる。「裏にボールを出してくれれば自分がゴールまで持っていくという印象をみんなに持ってもらって、安心してボールを出してもらえるように、信頼してもらえるようにやっていきたい。この大会でどんどんアピールしていけば東京五輪にもつながっていくと思うし、この大会に全力で臨みたい」と田川は抱負を語った。
裏への抜け出しが持ち味のストライカーがどん欲にゴール、そして、世界制覇を目指す。
文・写真:杉山文宣(エルゴラッソ鳥栖担当)
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U-20W杯に臨む久保建英、「出るからには一番の目標は優勝」
日本サッカー協会は2日、20日に開幕するFIFA U-20W杯を戦うU-20日本代表メンバーを発表した。スペインの強豪・バルセロナの育成組織出身で15歳のFW久保建英(FC東京U-18)も飛び級で招集され、日本サッカーの将来を背負う期待の才能が初の世界大会に臨む。
この日久保は、翌日に控えたルヴァンカップ・札幌戦でのJ1公式戦デビューに備え、FC東京のトップチームの選手とともに調整した。練習後の取材対応にはテレビカメラ7台が並ぶなど、あらためて注目の高さをうかがわせた。
「代表に選ばれたことは素直にうれしいです」と笑顔を見せた久保。予選グループには南アフリカ、ウルグアイ、そしてイタリアといずれも強豪が揃う中、「出るからには一番の目標は優勝だと思っていて、そのためにはどのようなグループに入っても倒さなきゃいけない相手ではあると思います」と、いきなり“優勝”の二文字を出しながら強い意気込みを示した。
実に日本にとって5大会ぶりの出場となる今大会。これまでの日本の最年少出場記録は、79年日本大会の名取篤、風間八宏、97年マレーシア大会の南雄太、05年オランダ大会の森本貴幸(すべて前身大会のFIFAワールドユース)。いずれも17歳となっている。今回、久保は21日の初戦・南アフリカ戦を15歳で迎えるため、出場すれば記録は塗り替えられる。
世界中の名選手が出場してきた登竜門のような大会に向けて、久保はこう話した。
「サッカーはある意味、運が味方するかしないかのスポーツだと思います。自分はこれまで何度も運を味方につけてきた結果、ここいにいると思っています。(日本が)5大会ぶりの出場だということもあり、注目度は増している中で結果も残せれば、またこっちに運が向いてくると思います。全力で戦いたい」
左足のテクニックを生かしたドリブルやパス、さらには得点感覚にも優れた久保。世界を相手にそのプレーぶりが注目される。本人は謙虚さをにじませながらも、自信も垣間見せた。
「周りと違うという感じではないんですけど、誰が見ても『あっ、すごいな』と思えるようなプレーを何度か出せたらと思います。プレーの基準を作ってしまうと、それよりも上に行くことがあまりなくなってしまう。上の基準は作らずに、最低限みんなが見ていて楽しいと思えるプレーを見せて、チームの勝利に貢献したいです」
バルセロナ出身でドリブルが得意なレフティー。どうしても、同じ条件を持つリオネル・メッシに重ねられることが多い久保。ただ本人は臆することなく、「自分の好きな選手は、やっぱりメッシ選手」と堂々と語る。そのメッシは05年大会、6得点を挙げて得点王とMVPに輝き、アルゼンチンを優勝に導いている。当時18歳だったメッシも一世代飛び級での出場だった。
今回久保は、二世代飛び超えての出場となる。優勝を実現すれば、目標とするメッシを超える快挙にもなる。
「日本を代表する選手になるだけでなく、世界でもトップレベルの選手になりたい」
高い壁であることは間違いないが、弱冠15歳の若き天才は虎視眈々と頂を目指している。
文・写真:西川結城(エルゴラッソFC東京担当)
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川崎Fで育った三好康児と板倉滉。U-20W杯への熱き思いを語る
日本サッカー協会は2日、20日に韓国で開幕するU-20W杯に出場するU-20日本代表のメンバー発表記者会見を実施。川崎Fからは三好康児と板倉滉がメンバーに選出された。
会見終了後、三好と板倉の二人が麻生グラウンドで囲み取材に対応し、喜びの声とともに本大会に向けた強い思いを語った。
13年のU-17W杯に続いて、U-20W杯のメンバーに選出された三好は「もちろんうれしい部分はある。だけどもう(メンバーが)決まったので、あとは大会でどれだけ結果を残せるしか考えていない」と語り、すでに目線を本大会へ向けている。強豪との対戦に向けても「勝つことを考えて、まずはグループリーグ突破を一番の目標としてやっていきたい」と語気を強めた若武者は、「プロとしても、その先につながる大会。結果の部分は強く意識してやっていきたい」と国際舞台での活躍を誓っていた。
一方、初の世界大会に挑む板倉は「なかなか試合に絡めていない中で呼んでもらえたことはすごくうれしいこと。以前から(U-20)W杯に出ることによって絶対に得るものは大きいと思っていたし、選んでもらったからには自分の力を全部出し切って、日本のために戦っていきたい」と率直な思いを語る。
また「アジアのとき(AFC・U-19選手権)で一緒に戦ったメンバーで、今回入っていなかった選手もいる。そういう人たちの気持ちも分かるし、それを無駄にしてはダメ。みんなのぶんを背負って、しっかり責任を持って戦っていきたい」と板倉。たくさんの仲間の思いを背負って戦う本大会で、チームとしても個人としても躍進を見据えていた。
「二人ともこのチーム(川崎F)に育ててもらった。結果を残して良い報告ができればいい」と三好。川崎Fのアカデミーで育った二人が挑むは、世界の強豪が集うU-20W杯の舞台。本大会で二人が躍動する姿を楽しみに待ちたい。
文・写真:林遼平(エル・ゴラッソ川崎F担当)
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99年のワールドユース準優勝は「1歳だったので見ていない」。新世代のSB、C大阪の舩木翔がU-20W杯メンバーに選出
2日、U-20W杯を戦う日本代表が発表され、C大阪からは、舩木翔が選ばれた。
3日にアウェイで行われるルヴァンカップ第4節・広島戦へ向け、大阪を出発する前に取材に応じた舩木は、選出について、「ホッとしました(笑)。周りからは『選ばれるだろう』と言われていたけど、自分はリーグで結果を残せていなかったので、心配な部分もありました」と率直な感想を吐露した。
続けて、「これから戦いが始まるので、楽しみな気持ちが強いです。縦パスやクロスの精度など、いま持っている力をすべて出して、いまの自分がどの立ち位置にいるのか知りたい。どこも強いので、どの相手と対戦しても楽しみ」と目を輝かせた。
世界を意識した大会は「日韓W杯。森島(寛晃)さんが活躍している姿を見て、そのころにサッカーを始めました」と話す。小野伸二らを擁して準優勝を果たした1999年のFIFAワールドユース選手権については、「(当時1歳で)見ていません(苦笑)」と頭をかいた。
ルヴァンカップ第4節の広島戦に向けては、「前節の鳥栖戦では、欧州でもプレーしていた小野裕二選手とマッチアップして、自分の力のなさを思い知らされた。縦パスも入れることができなかったので、今節は、武器であるクサビやクロスを出していけるように、チャレンジしていきたい」と抱負を語った。
文・写真:小田尚史(エルゴラッソC大阪担当)
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「自分をしっかりと世界に知らしめる」。柏の中山雄太がU-20W杯メンバーに選出
2日、U-20W杯日本代表のメンバーが発表され、柏からはDF中山雄太が選出された。
今季に入り、J1第3節・川崎F戦では人生初の退場を経験し、3月に行われたドイツ遠征もけがのため参加を見送ったこともあり、一時はメンバーに選ばれるかどうか不安を抱いていた時期もあったが、大方の予想どおり“順当”にメンバー入り。
4月30日に行われたJ1第9節・新潟戦後こそ、「まだ選ばれるかは分からないですし、いまは選ばれるかドキドキしている」と控えめだったが、発表直後には「素直にうれしいですし、やってやろうという気持ちに切り替わっています。個人としても初めての国際大会なので、そういう部分では個人としてもチームとしてもやり甲斐を感じています」と意気込みを語った。
今大会の目標を聞かれると、「(チームとしては)やるからには優勝という目標を掲げた上で、1試合1試合勝っていくことを意識してやっていきたい」と口にし、個人とては「チームがあってこそと理解した上で自分の特徴を出しつつ、自分をしっかりと世界に知らしめられるような大会にしていきたい」と話した。
この世代の主軸としてチーム立ち上げから活躍してきた中山。まずは「どこも強豪なので楽しみ」と話すグループステージを突破し、決勝トーナメント進出を目指す。
文・写真:須賀大輔(エルゴラッソ柏担当)
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U-20W杯メンバー発表!15歳・久保が飛び級選出
JFAは2日、20日から韓国で行われるFIFA U-20W杯に向けたU-20日本代表メンバー21名を発表した。堂安律(G大阪)、原輝綺(新潟)、中山雄太(柏)、冨安健洋(福岡)といったJリーグでも活躍中で昨年10月にAFC U-19選手権を制したメンバーを中心に、注目された15歳の久保建英(FC東京U-18)も飛び級で選出された。
GK
小島 亨介 コジマ リョウスケ(早稲田大)
波多野 豪 ハタノ ゴウ(FC東京)
山口 瑠伊 ヤマグチ ルイ(ロリアン/フランス)
DF
板倉 滉 イタクラ コウ(川崎フロンターレ)
中山 雄太 ナカヤマ ユウタ(柏レイソル)
冨安 健洋 トミヤス タケヒロ(アビスパ福岡)
杉岡 大暉 スギオカ ダイキ(湘南ベルマーレ)
初瀬 亮 ハツセ リョウ(ガンバ大阪)
藤谷 壮 フジタニ ソウ(ヴィッセル神戸)
舩木 翔 フナキ カケル(セレッソ大阪)
MF
坂井 大将 サカイ ダイスケ(大分トリニータ)
三好 康児 ミヨシ コウジ(川崎フロンターレ)
市丸 瑞希 イチマル ミズキ(ガンバ大阪)
堂安 律 ドウアン リツ(ガンバ大阪)
森島 司 モリシマ ツカサ(サンフレッチェ広島)
遠藤 渓太 エンドウ ケイタ(横浜F・マリノス)
原 輝騎 ハラ テルキ(アルビレックス新潟)
FW
小川 航基 オガワ コウキ(ジュビロ磐田)
岩崎 悠人 イワサキ ユウト(京都サンガF.C.)
田川 亨介 タガワ キョウスケ(サガン鳥栖)
久保 建英 クボ タケフサ(FC東京U-18)
監督
内山 篤