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ドライな風間家。山形所属の長男・宏希は親子対決よりもチームの勝利を優先
スコアレスドローに終わった前節・水戸戦ではロングボール一辺倒になり、つなぎに移行するタイミングがつかめなかった山形。チーム内でさまざまな反省がある中、ボランチでプレーする風間宏希は「声もそうだし、ボランチのところでボールを落ち着かせる部分を作ったりすることが必要だった」と話し、「自分がリーダーシップを取るくらいの気持ちでやりたい」と修正に意欲を見せた。
その風間は今節、父・風間八宏監督が指揮を執る名古屋との対戦を迎える。
プレシーズンのキャンプ中、オフで実家に戻るタイミングが風間監督と一緒だったそうだが、「みんな結構ドライというか。そんなに『楽しみだな』というタイプでもない」と、対戦することについては特に話題に上らなかったとのこと。
そんな感じなので、今回の親子対決に関しても「お父さんに対して意識はしてない」とやはりコメントはドライだった。ただし、「山形がいま(直近の試合で)1分2敗と勝ちが欲しい状況なので、名古屋戦に勝って勢いをつけるためにも大事な試合だと思う」とチームについては熱い気持ちで語っていた。
文:佐藤 円(エルゴラッソ山形担当)
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泣いて“お別れ会”を開いた恩師の前で成長した姿を見せたい――。町田・吉濱遼平の誓い
かつての恩師の前で成長した姿を見せたい――。以前所属していた湘南との“古巣戦”を前に町田の吉濱遼平は自身の活躍を誓っている。
湘南・曺貴裁監督との出会いは小学校時代。その後、曺監督が04年に川崎Fの下部組織を離れて、C大阪のトップチームコーチに就任する際、吉濱は同僚らとともに“お別れ会”を開いたという。「『セレッソに行かないで!』と泣いてチョウさん(曺貴裁監督)を止めたのに…」。それはもはや過去の笑い話でもある。
時を経て、12年には松蔭大在籍時に選出された神奈川県選抜チームで曺監督率いる湘南とトレーニングマッチを戦った。「おまえ、まだサッカーをしていたのか」。曺監督のそんな言葉が湘南加入の一つのきっかけとなり、同年に湘南の特別指定選手として認定。12年のJ2最終節・町田戦ではベンチでJ1昇格の瞬間に立ち会った。
「僕をプロに引き上げてくれた恩人」といまでも曺監督の前で頭は上がらない。しかし、勝負となれば話は別。現在、J2アシストランキングで上位につける吉濱は「個人よりもまずはチームの勝利。得意の攻撃で得点に絡みたい」と話し、恩師の前での勝利を誓った。
文・写真:郡司 聡(エルゴラッソ町田担当)
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ホーム・アルウィンでの勝利へ。松本のキーマンはセットプレーのキッカーを担うこの男
前節はアウェイで大分と対戦した松本だが、両チームともに決定機を生かすことができずにスコアレスドローで試合終了。ホームのアルウィンでの一戦となる今節・福岡戦では、その悔しさを晴らすためにもチャンスをきっちりと決め切ることを期待したい。
先のホームゲーム(第10節・讃岐戦)では、4得点を挙げて快勝。そのうちの3得点がPK含めたセットプレーからのゴールだったことを考えると、キッカーのMF宮阪政樹がキーマンの一人であることは間違いない。
讃岐のゴールを守っていたGK清水健太は、かつて山形でともに戦っていた同僚。その能力の高さはもちろん、プレースタイルなども知り尽くしていたことが大量得点につながった要因の一つであるようだ。実際に本人も「シミケンさん(清水)は、あまり出てくるタイプのGKでないことは分かっていた。特徴をうまく突くことができた。一緒にプレーしていて良かった」と笑顔で振り返る。
今節の『DAZN J2プレビューショー』でも注目選手として取り上げられるなど、その右足には大きな期待が寄せられている。もちろんプレースキックだけでなく、サイドチェンジやミドルシュートなどでも怖さを見せ付ける決意だ。
文:多岐 太宿(エルゴラッソ松本担当)
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仙台のDF増嶋竜也、前節の無失点勝利で自信を得て、古巣・FC東京戦へ
仙台のDF増嶋竜也が、今季2度目の“古巣戦”での勝利に向け、士気を高めている。
今季から仙台に加わった増嶋は、4月にリーグ戦での先発の座をつかんだが、ここまでは大量失点の苦い経験もしてきた。しかし、4月30日のJ1第9節・清水戦(3●0)ではリーグ戦5試合ぶりの無失点勝利に貢献。増嶋は足がつるほど走り回り、あるときは激しい守備でボールを奪い取って味方に託し、またあるときは相手のクロスを打ち落とした。「ボールの取りどころ、寄せるべきところをチームとしてしっかり整理して、はっきりできていることが大きい。どんな相手に対しても、これをスタンダードにしてさらに高めていきたい」と、大きな手ごたえを得る一戦となったようだ。
リーグ戦での次なる相手は、増嶋が04年から06年まで(07年は甲府に、08年は京都に期限付き移籍)プレーしたFC東京。3月15日のルヴァンカップ第1節でも対戦し、そのときは0-6の大敗で悔しい思いをした。「同じ相手に2度も負けたくない。ルヴァンカップの借りは返したい」と、強い気持ちとともに、この試合に向かう。
「連休中ということもあり、たくさんのサポーターの方々が来てくれると思うので、その力を自分たちのエネルギーに変えて、ホームで勝利したい」。当日のピッチでまた、増嶋は闘志あふれるプレーを見せようとしている。
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東京Vのロティーナ監督、リーガで指揮を執っていた96年に三浦知良と「契約する可能性があった」ことを明かす
7日のJ2第12節では、首位に立つ横浜FCとホームで対する4位の東京V。勝ち点2差で迎える意味の大きな上位対決となる。その試合を前に、東京V・ロティーナ監督と横浜FC・三浦知良の間に、意外な関係があることが判明した。
5日の東京V練習後の取材時、横浜FCの三浦知良について質問を受けたロティーナ監督は「彼がイタリアでプレーしていたときから知っていました。もちろん、ここ東京Vでプレーしていたことも知っています」と話したあと、こう続けた。
「私がCDログロニェスで監督をしていた96年、彼と契約する可能性があったんです。彼とも直接話しました」
当時スペイン1部に所属していたCDログロニェス、財前宣之が一時期在籍していたことでも知られるクラブだ。そこで指揮を執っていたロティーナ監督は、日本代表のエースにも触手を伸ばしていたという。
ただ、カズがリーガ・エスパニョーラのクラブへ移籍することはなかった。「私は契約してほしかったのですが、給与の問題で難しかった」。
それから20年あまりの時を経て、7日に二人がピッチで再会することになるかもしれない。
文:田中直希(エルゴラッソ東京V担当)
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U-20日本代表に「選ばれないと思っていた」という湘南の杉岡大暉、「まずは試合に出ることが目標」
20日に開幕を控えるU-20W杯。2日に発表されたU-20日本代表メンバーの中に、湘南の杉岡大暉の名前があった。「ビックリしました。選ばれないと思っていたので」と振り返るように、本人も驚くサプライズ選出だった。
ただ、今季の活躍を見れば選ばれても不思議なことではない。ここまでJ2で開幕から10試合に出場し、レギュラーポジションを確保。さらにDFながらも果敢にゴールへ迫るドリブルは、湘南のストロングポイントの一つとなっている。加えて流れの中から2ゴール。得点能力の高さも折り紙つきだ。
そして迎える世界の舞台について杉岡はこう話す。「日本代表で公式戦をやるのは初めて。そういう意味では楽しみで、相手にどんな選手がいるのかも楽しみ。まずは試合に出ることが目標。その上で世界のレベルを体験したい」。
今年に市立船橋高を卒業してからプロの世界で刺激を受け、成長し続ける背番号29はさらなる飛躍も誓った。「湘南に来てからたくさん経験させてもらっている。こういう経験ができるのは、いましかない。いろいろなものを吸収してもっと成長したい」。
U-20W杯は彼にとってどんな大会になるのだろうか。ただ、間違いなく言えるのは今よりも大きくなって湘南に帰ってくること。その舞台を良い形で迎えるために、まずは週末の町田戦で3連勝を達成したい。
文:高澤真輝(エルゴラッソ湘南担当)
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U-20日本代表に残れなかった湘南・神谷優太の背中を押したサポーターの声援。「自分の中で一つ変われた」
代表発表というのは、どんな選手にも明暗が分かれるものだ。選ばれたことに歓喜する選手もいれば、選ばれなかったことに落胆する選手もいる。2日、日本サッカー協会はU-20W杯に挑む21名のU-20日本代表を発表。湘南からは今季リーグ戦でハイパフォーマンスを見せている杉岡大暉が選ばれ、その一方で昨年のAFC U-19選手権で代表の一員として戦っていた神谷優太が落選した。
AFC U-19選手権に出場し、けがで途中離脱を余儀なくされた時から、神谷はすぐに頭を切り替えてU-20W杯を見据えてきた。しかし、一つの目標として掲げてきたU-20W杯への出場を前に、神谷の下へ届いたのは落選の報だった。
「当日と試合の前日まではちょっと……。また試合に出られれば吹っ切れるかなという思いはあったけど、出られなくて悔しい思いもあって。やっぱり正直“悔しい”という思いしかなかったですね」
誰よりも強い思いを持ってきたからこそ、そのショックは計り知れないものだったことだろう。それでも神谷自身は「(気持ちのブレを)プレーに出さないことが一番大事だと思うし、それでチームに迷惑をかけてしまうのが一番よくない」と、いち早く切り替えようと前を向いている。
そして、前節・山口戦の試合後の一幕が神谷の背中を押している。
「試合が終わった後にあれだけサポーターに熱い声援をもらったので、サポーターにも感謝がある。メンバーに入っていたらもしかしたらああいうことはなかったかもしれないし、素直に喜びをもらえたと思う。本当にああいうサポーターたちに恩返しできるように頑張っていきたい」。
翌日に行われた明治学院大学との練習試合では鬼気迫るプレーを見せた。「気合いを入れてやった。自分の中で一つ変われたと思う」と7番を背負った男は言う。今節・町田戦は神谷にとって新たなスタート。さらなる高みを目指して歩みを進める。
文:林遼平(エルゴラッソ湘南担当)
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神戸DF高橋峻希、27歳誕生日に誓う。「もう若くはない。チームを引っ張っていけるように」
神戸の右SB高橋峻希が4日、27歳の誕生日を迎えた。「もう若くはない。中堅、ベテランの域に入るか入らないかくらい」と自身の立ち位置を見つめた背番号6は、「チームを引っ張っていけるように、目標であるタイトルを取れるように。けがなくやっていけたら」と新たな歳を迎えての抱負を伝えた。
J1第8節・鳥栖戦に出場し、J1通算150試合出場を達成した高橋峻は、あと2試合に出場すればJ1 J2通算200試合出場という節目にも到達する。ただ、「400試合、500試合とか出場している選手を思うとすごさを感じる」と話し、「目の前のゲームに集中している」とあくまで通過点であることを強調した。
その高橋峻は前節・甲府戦でJリーグ中継をおこなうDAZNによるベストイレブンに選出されている。「負けたチームからも選ばれるんだって…」と驚きを持って受け止めたようだが、「見てくれている人は見てくれているんだなとも思うし、もっともっとパフォーマンスを上げて、勝つことでチームから多く選ばれるようになったらいい」という。神戸のメンバーでベストイレブンを″総なめ″することに期待を抱かせた。
6日にはJ1第10節・広島戦を控える。開幕戦以来、攻守に躍動感を強める″小さな巨人″は、「我慢が大事になる。また厳しい戦いにはなるけど、ルヴァンカップ(第3節の)広島戦は、みんなが対面の敵に負けなかったことで4-1のスコアになった」と振り返りつつ、連敗脱出を期す一戦への強い意気込みを語っていた。
文・写真:小野慶太(エルゴラッソ神戸担当)
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[本日のエルゴラッソ1面]常勝鹿島!
[明治安田J1第10節 マッチレポート]
■浦和 vs 鹿島
浦和キラー健在。力強きエースの一撃[ルヴァンカップ マッチレポート]
■FC東京 vs 札幌
日本の未来・久保建英トップデビュー[U-20日本代表]
■いざ世界へ! 10年ぶりにU-20W杯に挑む21名が決定