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前節、公式戦のピッチに戻った山形の松岡亮輔、「少しでも長く現役でいたいという思いがより強くなった」
前節・熊本戦が、リーグ戦では第13節以来の先発出場となった山形の松岡亮輔。「自分の出せるものはすべて出したつもり」。試合でベストを尽くした様子で、「負けましたけど、やっぱり公式戦というのは非常に楽しいですし、本当に観客の前でプレーするというのがJリーガーの醍醐味」と久しぶりの感触は刺激になったようだ。
その松岡はベンチメンバー外だった3節前のホーム・京都戦の終了後、スタジアムがある運動公園の正門に立ち、家路につくサポーターを最後の一人まで見送っている。
試合終了後、ベンチメンバー外の選手はスタジアムからクラブハウスへ歩いて戻る。その途中、これまでも募金活動のブース脇でサインに応じながら見送りをしたことがあったそうだが、見送りを主目的とするのは初めてだったそうだ。ただし、事前に予定していたわけでも、ドローの結果を受けて決意したわけでもなく、「そのときの雰囲気とか客足の流れを見て」(松岡)、そうすることに決めたとのこと。周囲の状況を読む鋭さはピッチの中と同じだ。また、途中で切り上げたりしないのは「やり出したら楽しくなってきて、最後までいっちゃえーと思って…て感じですよ、いつも」。松岡持ち前のサービス精神で、試合結果のストレスをやわらげてもらったサポーターがどれほどいたことか。
今年、試合に絡む機会が少ないのは、夏場にひざの不調で長期離脱を経験したことも要因だった。「引退」の文字が浮かんだとも言うが、いまは「少しでも長く試合したいとか、現役でいたいという思いがより強くなった」と話す。「今年に関してはあまり出番はないですけど、モチベーションとか練習の意識とかは衰えてない。そこは自信がありますね」。揺るがないプライドを胸に、次の出場へ向けて準備を続けている。
文:佐藤円(エルゴラッソ山形担当)
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横浜FCの南雄太、約4カ月ぶりのベンチ入り。負傷を乗り越え、チームとともに昇格へまい進
前節の愛媛戦で、横浜FCの南雄太が約4カ月半ぶりにベンチ入りを果たした。
今年でプロ20年目を迎えた大ベテラン守護神は、開幕スタメンを飾るもその松本戦で負傷。4月初旬にベンチに復帰するが、5月に入ってまたしても大きなけがをし、夏までリハビリが続いていた。
ひさびさにベンチに入ってみて「負けない感じが出てきたかな」と、南は戦いに挑むチームの変化を感じ取ったという。
「変なプレッシャーみたいなのはないし、勝ってるぶん明るいし、良い順位にいて緊張感もある。内容が悪くても勝ち点をしっかり取っているし。そこを感じられたのは自分にとっても刺激になった。試合に出ている選手たちにうまく声をかけたり、もちろん自分がピッチに立つことにこだわって、少しでもチームに貢献したい」
横浜FCは第29節から6戦負けなし(4勝2分)で、勝ち点6差の自動昇格圏を目指して負けられない戦いを続けている。昇格も降格も優勝争いも経験してきた大ベテランが、再び戦列に復帰したことは、チームにとって大きいはずだ。
文:芥川和久(エルゴラッソ横浜FC担当)
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古巣・仙台戦に向けて気合十分の浦和・武藤雄樹、狙うは、敵として初めての“ユアスタゴール”
浦和の武藤雄樹が、古巣である仙台戦に向けて意気込みを語った。
仙台から浦和に移籍して3シーズン目となるが、武藤にとって仙台は今でも「特別な思いを持っているチーム」。今回の試合会場であるユアスタは「プロデビューした思い出の場所」であり、仙台時代を回想しても「観客席からの距離感が近くて雰囲気が良い。仙台時代はサポーターの声に後押しされる、選手を動かせる素晴らしいスタジアム」。そんな良い思い出があるチーム、場所だからこそ「良いプレーをしたい」と力を込めた。
浦和に加入して以降の仙台戦はホームの埼スタでは今季も含めて3年連続でゴールを決めているが、ユアスタでは過去2回の対戦でまだゴールを決められていない。その差について武藤は「たまたまじゃないですかね?」と笑いながら、「ユアスタだから空回っているとも思わない。仙台相手に僕自身はいつも気持ちを入れて臨んでいるので、次の仙台戦も結果を残せるように頑張りたい」と“敵地”ユアスタでの初ゴールを目指す。
浦和にとって仙台戦は23日間で7試合を戦う連戦の締めくくりとなる。武藤もこの6試合の2試合目、出場停止だったACL準々決勝第2戦・川崎F戦を除いて5試合にフル出場しているが、「この連戦で体も慣れてきたので、やればやるほど中3日に慣れてくる。僕自身も動けると思っている」と疲れを感じるどころか調子は上向きだとアピール。“凱旋”に向けて気合いは十分だ。
文・写真:菊地正典(エルゴラッソ浦和担当)
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徳島の広瀬陸斗、一部メニューではあるが全体合流。「うれしい?」の問いかけに、「普通です(笑)」との回答も表情は豊か
徳島において右サイドの主力選手としてスタートした今季の広瀬陸斗だったが、J2第11節・福岡戦(2○1)で左ハムストリングス肉離れの負傷。約6週間の復帰見込みで一時は順調な回復に見られたが、思いのほかうまく進まず長期離脱となり別メニューの日が続いた。本人としても、チームとしても想定外の出来事だっただろう。
だが、今節・讃岐戦へ向けたトレーニングでついにその姿で現した。フィジカル要素部分のみの一部合流ではあったが、トレーナー管理からフィジカルコーチ管理へ移行。これまでは主にチームのトレーニング前後の別時間帯に体を動かしていただけに、ほかの選手たちと混ざって一緒にトレーニングする姿を見て顔がほころんでしまったのは記者だけではないはずだ。リカルド・ロドリゲス監督も「まだまだ過程です。まずはしっかりいい準備を」と言葉にしながらも、「これは非常にいいニュースです」と頬を緩めた。
当の本人に状況をうかがうと「余裕っすよ!」。ひさびさに広瀬節を聞くことができた。シーズン最終盤のピンチのときは、「ヒーロー見参」と心の中で3回唱えたい。焦らず、じっくり治して、舞い戻ってほしい。
文・写真:柏原敏(エルゴラッソ徳島担当)
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磐田、4バックシステムを採用へ。中村俊輔と山田大記を併用してFC東京戦の勝利狙う
磐田は明治安田J1第28節・FC東京戦で、4バックを採用することになりそうだ。
今節に向けた紅白戦で、主力組は[4-2-3-1]にトライ。中村俊輔がトップ下、右サイドハーフを山田大記が務めた。左SBでのスタメン出場が濃厚な宮崎智彦は「(FC東京は)裏につけてくる回数も多いと思うし、サイドを起点にしてくるスタイルがある」と話す。相手の特徴を発揮させないことが重要になる。
4バックで臨む具体的な理由を名波浩監督は明かさなかったが、「4バックでも3バックのときと同じように、というのがざっくりとしたテーマ」と言う。前からのプレス、小まめなラインコントロール、ボールサイドへのスライドやカバーといったところがポイントになりそうだ。FC東京にはスピードのある選手もいるが、それでも「下がったら負け」と指揮官は言い切った。
今節の結果によっては4位浮上も見えてくるが、サックスブルーは味の素スタジアムから勝ち点3を持ち帰ることができるだろうか。
文:青木務(エルゴラッソ磐田担当)
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12試合ぶりのゴールを挙げた熊本のFWアン・ビョンジュン、目指すのは「丁寧なプレー」
前節の山形戦で熊本を8試合ぶりの勝利に導いたのが、12試合ぶりのゴールを挙げたFWアン・ビョンジュン。連日、全体練習後も居残って田中達也や片山奨典らとともにクロスからのシュート練習を重ねた成果が出た。
「入った瞬間、キタジさん(北嶋秀朗コーチ)のところに走って行こうと思った」というが、その理由は、「点が取れない期間、クロスへの入り方やボールの当て方」にとどまらず、「そういう時の心の持ちようについても話をしてもらった」からだ。
「点が取れないことでゴールに執着し過ぎると、それ以外のプレーが疎かになりがち。あまり意識しないで、前線での守備や身体を張って起点を作ること、いるべき場所にいるってことを丁寧にやると、ご褒美みたいな形でゴールは取れるって、キタジさんにも言われていたんです」
これでキャリアハイを更新する7ゴールとなり、残り8試合で二ケタに届く可能性は十分。だが——。
「二ケタを意識していないというと嘘になりますけど、ゴールを決める以外でも貢献しないといけない部分はあるので、そういうところを丁寧に、質を高くやっていくことで、結果としてゴールもついてくると思います」
ひさびさのゴールに、相手との駆け引きも含めて感覚やフィーリングは高まってきた手応えがある。2試合連続ゴールも期待されるが、丁寧で献身的なプレーで、今シーズン2度目の連勝へ導く。
文・写真:井芹貴志(エルゴラッソ熊本担当)
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トレードマークである長髪をバッサリ切った山下達也。「(長髪に)飽きただけ(笑)」
J1第28節・川崎戦を翌日に控えた29日。C大阪の練習場に、見慣れない選手が一人、混じっていた。よく見ると、トレードマークである長髪をバッサリ切った山下達也だ。
練習後、記者陣に取り囲まれた山下は、「こんなの、前にもあったな」と苦笑いしつつ、「(切った理由は)何もないですよ。ただ(長髪に)飽きただけ(笑)。楽です!」と颯爽と引き上げていった。
“心機一転”説を言葉では否定した山下だが、失点が続く現状に忸怩たる思いを抱いていたことも事実なだけに、今節に対する思いも、当然、強いはず。
ボールを握るスタイルが確立されている川崎Fに対し、「相手を引き込んでカウンターという戦い方はハマるはず」と試合展開をにらむ一方で、「引くだけではなく、つぶすところはつぶしたい」と積極的な守備も心掛ける山下。連敗中のチームの流れを変える、力強いプレーを発揮したい。
文・写真:小田尚史(エルゴラッソC大阪担当)
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日本代表に再び選出された杉本健勇。川崎Fとの古巣戦を前に、「日本代表として、Jリーグでは違いを見せないといけない」
28日、J1リーグの得点ランキング2位に付けるC大阪の杉本健勇が、キリンチャレンジカップ2017の日本代表に選出された。
発表翌日の29日、「代表に残れるか、見極められる試合になる。いい準備をして結果を残したい」と強い決意を口にした杉本。「前回、代表に選ばれてから、日本の代表選手として、よりJリーグでは違いを見せないといけないという気持ちになった」とも話すが、その言葉通り、代表から戻った直後に行われたJ1第25節のFC東京戦では2得点。直近のリーグ戦2試合こそ無得点に終わったが、相手DFを振り切ってシュートまで持って行く場面を何度も作るなど、“別格”感は随所に漂わせている。
代表に合流する前、最後の試合となる今節の川崎F戦は、杉本にとって古巣戦でもある。「(等々力陸上競技場は)一体感のあるいいスタジアム。お客さんもたくさん入ってくれると思う。自分としては、あんまり活躍というか、試合にも多くは出ることができなかったけど、川崎で成長できた部分はある。サポーターの皆さんにも、温かく迎えてくれて感謝しています」と川崎Fに対する思いを述べつつ、「試合には勝ちたい。(川崎Fは)技術のある選手は多いし、パス回しもうまい。そこをどう我慢しながらやれるか。辛抱強く戦って、全員で勝利をつかみたい」と勝点3を渇望する。
得点ランク首位を走る浦和の興梠との差はわずかに1点。今節、古巣相手に成長を示す得点を叩き込み、J1得点王として、威風堂々、日本代表に合流したい。
文・写真:小田尚史(エルゴラッソC大阪担当)
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韓国代表に選出された柏のユン・ソギョン、柏では「左サイドの攻撃は活性化している」と手応え
J1第22節・清水戦からリーグ戦6試合連続でスタメン出場を続けている左SBのユン・ソギョンは、試合を重ねるごとにパフォーマンスを良化させている。ここ最近は持ち前の豊富な運動量を武器に、積極的な攻撃参加が目立っている。
その要因について本人は「いまはハモン(・ロペス)と一緒に左で出ているけど、2人ともにスピードのある選手。そういったことをほかの選手も分かってくれているので、(チームとして)左もどんどん生かしていこうという表れから、左サイドの攻撃も活性化しているのだと思う」と話した。今節の相手・甲府は、ユン・ソギョンにとってJリーグデビューを果たした相手であり、その甲府の守備の堅さは体験済み。チームとしても、その点について意識している。「われわれは甲府の堅い守備をいかに崩していくかに焦点を当ててトレーニングをしている。そのトレーニングをしたことが試合中に発揮できれば、十分ゴールもできると思っている」と自信を覗かせる。さらに自身でも「ゴールを狙えるチャンスがあればもちろんゴールは狙っていきたい」と左足からのクロスだけでなく、カットインからの右足でのシュートにも意欲を見せた。
この試合後には久しぶりの韓国代表での活動も控えている背番号3だが、「いまは目の前の試合で勝ち点3を取ることに集中している」とチームの勝利のために全力を注ぐ。
文:須賀大輔(エルゴラッソ柏担当)
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三島康平、水戸との古巣戦へ。松本の背番号11は、Ksスタで勝利を目指す
シーズン途中の電撃移籍から1年超――。今節・水戸戦を前に、松本の三島康平が試合出場に向けて懸命にアピールを続けている。
J1でのプレーを目指して、昨年夏に水戸から松本へと移籍。これまでに古巣とは公式戦で2度対戦しているものの、ケーズデンキスタジアム水戸での試合は初めてとなる。「いまでも僕のことを気に掛けてくれるサポーターの方もいますし、逆に良く思っていないサポーターの方もいると思う」と苦笑しつつも、「今季はJ1でプレーすることを目指していたし、対戦したくなかったのは本音」と4年半過ごした古巣への複雑な思いも口にする。
それでも気持ちを切り替えて、松本の一員として敵地へと乗り込む。「前回対戦時(第18節/0●1)は負けているし、その悔しさを晴らしたい。水戸は全員が真面目にハードワークを頑張るチームなので、僕たちはそれ以上にやり続けないといけない」
チーム内競争も激しさを増しているだけにメンバー入りするとは限らない現状だが、松本の勝利そしてJ1昇格のために全力を尽くす思いに変わりはない。松本の背番号11がKsスタで活躍する姿を、期待せずにはいられない。
文:多岐太宿(エルゴラッソ松本担当)
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