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J1昇格の起爆剤に。新潟・渡邊凌磨にかかる大きな期待
新潟は8日、ドイツのインゴルシュタットから渡邊凌磨の完全移籍加入内定を発表した。背番号は18。すでにこの日からチームに合流し、トレーニングを開始。今後メディカルチェックを経て、移籍ウインドーが開く20日の選手登録を目指す。
埼玉県東松山市出身の21歳。前橋育英高3年次には高校選手権で準優勝。卒業後の15年に早稲田大へ進んだが、海外挑戦のチャンスを得て、同年インゴルシュタットのU-23チーム(ドイツ4部相当)へ。3シーズンで72試合出場12得点を記録した。17年にトップチームへ昇格したが、そこでの出場機会には恵まれなかった。シーズン終了後、3つのJクラブへの練習参加を経て、即戦力として熱烈なオファーを受けた新潟への移籍を決断した。
渡邊は年代別代表としても活躍。2013年にU-17W杯に出場し、3得点を記録。U-19日本代表では、現在新潟で指揮をとる鈴木政一監督のもとでプレーし、坂井大将とはチームメートだった。8日はゲーム形式(30分×2本)の後半に、[4-4-2]のボランチで坂井とコンビを組んで出場。味方とのパス交換からゴール前へ抜け出してシュートを打つなど、早速その持ち味を見せた。
鈴木監督は「ボールを失わずに相手を動かして、突破、フィニッシュのクオリティーはもっていると思う。それをピッチで見せてもらえたら」と期待を寄せる。
渡邊の本職はトップ下だが、ボランチから前ならどこでもプレー可能。「チームの攻撃のバリエーションを増やしたい。シュートは得意なので、攻撃の組み立てに入って最後はゴールして、勝てるシーンを作っていきたい」。新潟は現在、J2で17位と苦戦中。1年でのJ1昇格に向けた起爆剤になれるか、注目が集まる。
文・写真:野本桂子(エルゴラッソ新潟担当)
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帰国後すぐに古巣で汗。W杯を戦った乾貴士「実力だと受け止めて、次の新しいシーズンに向かっていきたい」
ロシアW杯を戦い終えた日本代表は5日に帰国したが、翌々日の7日から3日間、MF乾貴士が古巣であるC大阪の練習場でかつてのチームメートたちと汗を流した。
9日の練習後、報道陣の取材に応じた乾は、今回のW杯を振り返って「難しい舞台だなと感じたし、それを経験できたことはプラス。やっぱり悔しさは残ったけど、みんなが全力で精一杯やった結果があの結果だと思うので、いまの日本の実力だと受け止めて、次の新しいシーズンに向かっていきたい」と話した。
自身のプレーについては、「思いのほかゴールがとれたことは予想外だったけど、両方、勝てていないので。サコ(大迫勇也)みたいに勝たせるゴールを決めたかった。それに、1点目は狙ったところにいったけど、ベルギー戦のシュートはまぐれ。無回転も狙っていません。でも、ああいう舞台でああいうシュートが打てたのは、自分だけの力じゃなく、周りのサポートがあった結果だと思う。自分だけのゴールとは思っていないし、そういう舞台がW杯なのかなという気もします」としみじみ。
また、今大会では、ベルギー戦での乾のゴールがMF香川真司のアシストから生まれるなど、かつてC大阪でサポーターを沸かせた名コンビが代表で復活。見るものをワクワクさせてくれた。
「やっぱり(香川)真司がいるだけで心強い。絶対あるパスコースがそこなので、選択に困らない。セレッソ時代から一緒にやってきたけど、やっぱりやりやすい。感覚としてはあまり変わっていません。代表ではなかなか一緒にできなかったけど、それは自分の力のなさ。真司はずっと代表でやってきて、10番をつけていろいろなプレッシャーとも戦ってきて、あれだけやれているのはすごいなと、今回のW杯であらためて気づきました。PKにしても、あの舞台であれだけ落ち着いて決めるのはすごい。でも、もっと合わせたかったし、もっとできたと思っている部分はアイツにもあると思う。また、できれば(代表で)やりたいですね」
最後に、新たな移籍先であるベティスでのさらなる成長を問われると、自身に厳しくどこまでもサッカーと向き合う乾らしく、謙虚に締めくくった。
「変に評価が上がってしまっているので、それはそれで困っています。大した選手じゃないので。今回(の活躍)はたまたまです。それだけは勘違いしないでほしい。でも、新しい監督の考えを吸収したり、いろいろなうまい選手たちからプレーを盗んだりしたい。ベティスサポーターの期待値も上がっている? それが一番、困っています(苦笑)。でも、楽しく頑張ります!」
文・写真:小田尚史(エルゴラッソC大阪担当)
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「やれる自信はある」。町田・平戸太貴が挑む鹿島との特別な一戦
天皇杯2回戦で岡山との激闘を制し、J1チームとの挑戦権を得た町田は、3回戦で“常勝軍団”と評される鹿島と対戦する。昨季より鹿島からの期限付き移籍でプレーしている平戸太貴にとっては、特別な一戦でもある。
しかし、鹿島戦を2日後に控えた平戸は、直近のリーグ戦・栃木戦で先発出場を果たしたものの、「そこまで疲労感はない」と語り、「特に鹿島が相手だから変えることはなく、普段と変わらない準備をしている」と“平常心”であることを 強調した。
かつて現役時代に鹿島で黄金期を築いた相馬直樹監督の下、プレーヤーとして鍛えられてきた平戸は「鹿島時代に足りなかった走ることや守備、戦う部分は成長している」と自負している。さらに「大事なときに点がとれる選手」と評した鹿島ユースで1年先輩の鈴木優磨や鹿島ユースの同期である町田浩樹ら、鹿島には対戦を楽しみにしている選手も多い。
「鹿島相手にもやれる自信はある」
そんな強気な言葉に、平戸の強い覚悟がにじんでいた。
文・写真:郡司聡(エルゴラッソ町田担当)
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「多くのゴールをクロスから取ってきた」男が仙台に加入。元日本代表ハーフナー・マイク、早速紅白戦に出場
9日、仙台は神戸から元日本代表FWハーフナー・マイクの期限付き移籍による加入を発表した。
仙台は[3-4-2-1]を基本陣形としたシステムを採用するが、1トップの候補の一人として「高さのあるストライカーが、シーズンを戦ううえで必要」(渡邉晋監督)だった。今季開幕前にそのタイプに合致していた平山相太氏が負傷により引退したために、新たな候補が求められた。その後に加入したブラジル人FWラファエルソンは高さよりも強さが武器で、また違うタイプ。さらに彼の負傷離脱もあって、ここは補強が必要な場所のひとつだった。
ハーフナーにはこれまでにも仙台からオファーがあったが、正式に「話がまとまったのは2日前(7日)だった」という。「夏服ぐらいしか持ってこられなかった」(本人談)と大急ぎで8日に仙台へやってきて、早速9日の練習で紅白戦までのフルメニューをこなした。
仙台はクロスが多いチームということもあり、ハーフナーには「自分は多くのゴールをクロスから取ってきたし、意識して点を取りたい」と、194cmの長身などを生かした点取り屋としての役割が期待される。
ユアテックスタジアム仙台ではJ公式戦だけでなく、04年と05年の仙台カップでU-18日本代表としても出場。本田圭佑(04年)や吉田麻也(05年)らとともにプレーし、計6試合4得点と活躍した。ハーフナーには「熱いサポーターが味方になることが心強い」という場所をこれからはホームとして、ゴール量産が期待される。
文・写真:板垣晴朗(エルゴラッソ仙台担当)
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鳥栖でJ1リーグ戦初出場へ。乾大知が新天地で意欲的なスタート
新加入のDF乾大知が新天地での抱負を語った。6日に鳥栖への加入が発表され、チームにはその日から合流している。
乾は昨季、長崎でJ2・40試合に出場。長崎のウィークポイントだった空中戦に強さをもたらし、クラブのJ1昇格に大きく貢献した。しかし、昨季終盤に負ったケガの影響もあり、今季は出遅れるとルヴァンカップで6試合出場のみにとどまり、構想外という形に。チームのオーストリアキャンプには帯同せずに出場機会を求めて移籍先を探していた。複数のJ2クラブからのオファーもあった乾だが、「J1のリーグ戦に出たいという気持ちもありましたし、鳥栖からオファーをいただいたので移籍することを決めました」と、J1という点が決め手となって鳥栖への移籍を決断。「自分の持ち味は高さや対人能力。そこをしっかりと発揮してチームの勝利に貢献できれば」と新天地での抱負を語った。
長崎では3バックだったが、鳥栖は基本は4バック。その順応についても「群馬のときはずっと4バックでやっていたし、そんなに違和感はない。長崎で3バックをやってきて培ったものを4バックで出せるところもある。長崎で学んだことを鳥栖でも生かしていきたい」と前向きに語った。
昨季はCBながら4得点を挙げているように、得点力も備えており、特に勝負強さが際立つのも魅力だ。昨季の4得点も開幕戦(第1節・群馬戦)やラストプレーで決勝点を挙げた第34節・千葉戦、J1昇格を決めた第41節・讃岐戦など、印象的なゴールが多い。さらに今季公式戦で記録した唯一の得点もルヴァンカップグループステージ第3節・鳥栖戦で挙げたもの。試合終了間際の決勝点だっただけに、鳥栖のサポーターにも強烈な印象を残したはずだ。
鳥栖の力になるために、そして、自身の悲願でもあるJ1リーグ戦初出場に向けて、乾が新天地で意欲的にスタートを切っている。
文・写真:杉山文宣(エルゴラッソ鳥栖担当)