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愛媛が連日の豪雨被災地支援を実施。クラブ総出で支えてくれた県民に“恩返し”
西日本を中心に多くの被害をもたらしたこの度の豪雨災害。愛媛県でも大きな災害の爪痕を残しているが、そんな中で愛媛はクラブとして素早いアクションを起こしていた。
「選手たちで話していて、動くなら早いほうが良いだろうと。選手なので(サッカー以外の活動に)制限もかかるところだけど、クラブも許してくれてレスポンスよく行動に移せた」(岡本昌弘)。
チームは8日に敵地・岐阜戦での試合を終え、翌日に遠征から愛媛に戻るとその日の練習後に近隣の被災地へと出向いて土砂の撤去作業を開始。続く10日にはチームのオフ日を返上して、選手やチームスタッフだけでなく、事務局フロントスタッフを含めたクラブ総出で被害の大きかった西予市野村町へ被災地支援活動に赴き、大量の汗を流した。
しかし、その目に映った光景にショックを隠しきれなかった。野村町と同じ愛媛県南予地方出身の川井健太監督は「当たり前だった景色が初めて見る景色になっていた」と変わり果てた町の姿に愕然としたという。
気の遠くなるような惨状の中、チームは懸命に土砂や災害ごみの撤去作業をおこなったが、それでも思うように作業は捗らない。
「クラブ総出で行って、1軒、2軒片付くかどうか。選手たちはまだ若くて体力があるからガツガツ動けるけど、町には高齢の方も多い。全然人手が足りていない」(岡本)。
復興への道が非常に険しいことをチームは痛感したが、だからこそ求められるのは継続して支援していくことを明確にする。愛媛は週末におこなわれる大一番、徳島との四国ダービーへの本格的な調整を始めているが、それでも「続けてやらないと意味ないんで」(小池純輝)と12日の練習を終えた夕刻からも選手有志で近隣の被災地域へ支援活動に出向くつもりだ。
「僕らはいつも愛媛県の人たちに応援していただいている。僕たちにできることは限られているけど、できることをしっかりやっていくべきだと思っている」(岡本)。
県民に支えられてきたチームはいま、恩返しとばかりに先頭に立って支える側に回っている。
文・松本隆志(エルゴラッソ愛媛担当)
写真提供:愛媛FC
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仙台がソニー仙台との練習試合で快勝。新戦力のハーフナー・マイクが1得点1アシスト、矢島慎也が1得点
仙台は12日、JFLのソニー仙台と40分×2本の練習試合を実施。2本合計5-1で勝利した。この試合でプレーしたのは、前日の天皇杯3回戦・大宮戦(1○0)に出場しなかったメンバーと、途中出場した3選手だった。
試合は開始10分に先制点を許したものの、2分後にCKからハーフナーが蹴りこんで同点に。14分には西村拓真のゴールが決まって逆転した。その後、29分の矢島慎也、39分の金久保順が加点し、1本目を4-1で終了。2本目はジャーメイン良のクロスから金久保のこの日2点目が決まり、1-0で終えた。
この試合で指揮を執った福永泰コーチは、「前日の試合に出られなかった悔しさがある選手たちが、『次は自分が』という思いとともに、前向きな試合をしてくれました」と総括。新戦力のハーフナーと矢島がゴールという結果を出したことにも「覚悟を持ってここ(仙台)にきた選手が大きな刺激になって、チーム内に新たな力を生み出します」と評価した。
1得点1アシストを記録したハーフナーは、「まずはこのチームの戦術を、試合をとおしてわかろうとしました」と適応に務め、その中で取ったゴールを「自分にとって大きかった」と喜んだ。リャン・ヨンギからのクロスをスライディングでつなぎ、金久保のゴールをアシストした場面(写真)は、「実は自分で蹴りこむつもりだったけれど、味方の点につながってよかった」とのこと。
「もっとチームに馴染み、勝利に貢献したい」と前を向いた。
文・写真:板垣晴朗(エルゴラッソ仙台担当) -
町田の相馬直樹監督が1UP。一日駅長をノーミスで終える
1週間後の7月19日に47歳の誕生日を迎える相馬直樹監督に、また新たな“経験値”が加わった。
天皇杯3回戦・鹿島戦の翌日にあたる12日、町田の指揮官は、自身初となる一日駅長を経験。町田駅3番ホーム新宿方にて15:53町田発メトロはこね22号北千住行き小田急ロマンスカーの出発指示合図を出した。
今回の一日駅長は、21日に町田市立陸上競技場で行われるJ2第24節・金沢戦で企画中の『小田急マッチデー・1万人プロジェクト』を町田市内外にアピールするために実施されたもの。夏休みに突入後、最初のホームゲームである金沢戦は、クラブのトップパートナーである小田急電鉄が『小田急マッチデー』と銘打ち、さまざまなイベントを企画。例えば町田市内の18万世帯にポスティングされたチラシを持参すれば、一人300円で試合観戦ができる企画や先着5000名への小田急オリジナルハンドタオル配布、さらに特別抽選会の実施など楽しい企画が充実している。
なお、小田急マッチデーで集客にまで踏み込んだプロジェクトを展開するのは初めてのこと。クラブとしては、クラブパートナーとタッグを組んで2016シーズン開幕戦・C大阪戦以来となる、二度目の1万人超えを目指している。
ちなみに一日駅長の大役を務める前の相馬監督は、「慣れないことですが、失敗なく終わること」と意気込みを語り、さすがに緊張の色は隠せなかった。それでも、やはりそこは日本初のW杯出場を果たしている元名プレーヤー。鮮やかなノーミスでこの日の大役を終えた。
文・写真:郡司聡(エルゴラッソ町田担当)
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長崎の名倉巧が受ける二つの刺激
12日、長崎は諫早市内で長崎総合科学大との練習試合(45分×2本)を行った。
前日の天皇杯・湘南戦に出場しなかったメンバーが主体となったが6-2で勝利(前半3-0、後半3-2)。中でもアピールしたのが名倉巧だ。前半だけでハットトリックを達成し、後半にも1点を記録。4得点を挙げる活躍を見せた。
チームが中断期間にポゼッションに取り組んだこともあり、「(前線で)孤立しなくなった。ゴール前でターンするのが得意なのでそれ向きのパスがくるというのは自分としてはありがたい」と手ごたえを感じている様子。狭いエリアで前を向く力には光るものがあるだけに、チームがポゼッションに取り組んだことで、そのよさが発揮されている状態だ。「キャンプのときもある程度、いいイメージでプレーできていたので今日もそれを継続できたのはよかった」と、作りに参加しながらも裏を突く動きで再三フィニッシュに絡むなど、水を得た魚のように生き生きとしたプレーを見せていた。
今年で20歳を迎える東京五輪世代。ロシアW杯では同い年のムバッペがセンセーショナルな活躍を見せており、「刺激になる」と話す。ほかにも「(エデン)アザールは足が速いですけど1対1の緩急の取り方がうまいので勉強になる」と世界最高峰の選手たちのプレーからどん欲に学ぼうとしている。
また、名倉にはもう一つの刺激もある。それは前所属の琉球の活躍だ。暫定ながらJ3で首位を走る古巣の活躍について「めちゃくちゃ調子いいし、うれしい」と笑顔で話す。自身をプロの世界に引き上げ、J1の舞台に送り出してくれた古巣への愛着は強いだけに「昇格してほしい」とエールを送った。
「ゴールに絡んでいくようなプレーをすること。監督が求めるプレーをしっかり表現していく」とリーグ再開に向けて抱負を語った名倉の活躍に期待したい。
文・写真:杉山文宣(エルゴラッソ長崎担当)
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「誰かに喜んでもらったり勇気を与える使命がある」。倉敷市出身の青山敏弘が決意も新たにJ1再開を見据える
記録的な大雨によって西日本各地に大きな被害が生じ、水害に遭った倉敷市の出身の青山敏弘は大きく心を痛めている。
「本当に言葉がないです。僕の実家は大丈夫でしたけど、地元がああやって被災するところを見るのは初めて。安全な土地だと思っていたんだけど、本当に心が痛かった。自分たちがプレーできることが当たり前じゃないってことをあらためて噛みしめながらやらないといけないと思ったし、何で自分たちがサッカーをしているか。それはやっぱり誰かに喜んでもらえたり勇気を与えられるからだと思うし、そういう使命があると思っているんで、プロとして広島でやらせていただいている自覚をもって常に模範となる行動を取っていきたいと思います」。
11日にエディオンスタジアムで開催される予定だった天皇杯3回戦は延期となり、チームはエディオンスタジアムで紅白戦を行った。
40分ハーフの試合にフル出場した青山は「もう足の状態は問題ない」と話し、「あと1週間いい準備ができれば、また厳しい戦いを勝ち切るだけのフィジカルを出せると思う」と、18日のリーグ再開を見据えている。
文:寺田弘幸(エルゴラッソ広島担当)