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2018.11.9(Fri)

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  • [特別掲載]是永大輔専務(アルビレックス新潟)インタビュー「アルビをみんなの自分事に」

    [特別掲載]是永大輔専務(アルビレックス新潟)インタビュー「アルビをみんなの自分事に」

     15年ぶりにJ2で戦うことになった今季、新潟は前半戦の不振が響き、目標のJ1昇格を果たすことができなかった。特に7月下旬からは6連敗を記録。昨季までJ1にいたチームがJ3降格の危機に見舞われた。

     そんな状況の中で専務に就任したのが、アルビレックス新潟シンガポールなどで実績を積んだ是永大輔氏だ。是永氏の専務就任以降、新潟は7勝1分1敗とV字回復を果たし、着々と来季に向けて飛躍の準備を進めている。

     是永氏は新潟の現状をどう捉え、何を変えようとしているのか。その鋭くも、温かい眼差しに迫った。

    ※当記事はエル・ゴラッソ本紙2106号にて掲載されたものです。

    取材日:10月28日(日)
    聞き手:野本 桂子
    撮影:嶋田 健一

     

    アルビレックスはみんなのもの


    ――今年9月にアルビレックス新潟の専務取締役に就任されましたが、今季ここまでの新潟の戦いぶりについてはどう見ていますか。

    「たぶん、多くのサポーターの皆さんと同じだと思いますが、前半戦はモヤモヤしました。ピッチ上で何をやっているのかよく分からない、と。(デンカ)ビッグスワン(スタジアム)にくるサポーターがどういうシーンに歓声を上げるかと言ったら、ボールを奪われてすぐに奪い返したときです。中村俊輔選手のロングパスに沸くクラブもありますが、アルビのサポーターが求めているものは違う。熱くて速くて激しいサッカー。運動量で圧倒し、とにかく前へ前へと進むサッカー。それが今年の前半戦で見えなかったことが、モヤモヤした原因だと思います。

     だからクラブとして、“これが新潟のサッカーだ”ということを、きちんとメッセージとして伝えていかなければいけません。それに合わせて選手も監督も集めないと、“新潟のサッカー”をお見せすることはできないですよね。例えば、アトレチコ・マドリーにネイマールが入っても活躍できるとは限りません。そういうことなんです。

     ところが近年は、ちょっと“アルビレックス様”になってしまって、鼻が高くなっていたというか、見失っていたのかなという感じはありました」

    ――今季は『1年でのJ1復帰』という目標を掲げて始まりましたが、苦しいシーズンとなりました。

    「“復帰”ではなく、“昇格”です。“復帰”という言葉を使っている時点で、J2の中でふんぞり返っているということなんです。その結果が、J2で19位なんです(※)。選手の移動や宿泊もJ1みたいな雰囲気でやっている」
    ※ 第27節~第31節に今季最低の19位を記録

    ――まさにそうした状況の9月から専務に就任されました。当時は7戦勝ちなしで19位。本当に厳しい状況でした。まずは何から着手しようと思われましたか。

    「アルビレックス新潟は、みんなのものだったはずです。それを取り戻すために、メディアの方々への働きかけから始めました。今までは、待ちの姿勢だった結果、新潟でもアルビのことをよく知らない人が増えてきてしまっている現実があります。そうではなく、こちらからメディアさんにお願いをして掲載してもらうという働きかけと、そのためのネタを準備して積極的に発信をするということをもっとやらなければなりません。

     また、地域の皆さんとの距離を縮めるということも重要です。小学校や病院への訪問などの回数をとことん増やし、Jリーグで最も地域を元気づけるクラブでありたいと思っています。

     本質的なところから一生懸命やりたいですね。オン・ザ・ピッチで言えば、アルビレックス新潟らしいサッカーをやる。オフ・ザ・ピッチでは、メディアへの露出と地域貢献活動を増やす、ということです」

    ――就任即行動。専務自らメディアキャラバンも行うことで、一気に地元メディアの露出が増え、学校訪問も増えています。

    「少しずつ流れを変えることも重要ですが、いまはインパクトのあるストーリーで一気にたくさんの方を巻き込むタイミングと思っています」

     

    数字ではなく、熱量がバロメーター

     

    ――来季もJ2でプレーすることが決まりましたが、2年目はJリーグからの降格救済金1.3億円がなくなります。そこに対する施策はどのようにお考えですか。

    「降格救済金の1.3億円。さらに今季は現状2.5億円程度の赤字見込みです。さらに諸々の減収を想定すると、収支を合わせるためには今季と比較して5億円程度の予算削減が必要です。収入を増やす手は尽くしますが、来季になって5億円がいきなり入ってくることを信じるのはあまりに楽観的だと思っています」

    ――来季のシーズンパスとユニフォーム受付を、例年より早めているのは、そういうこともあってのことでしょうか。

    「なるべく早く現状を知りたいということはあります。ありがたいことに“苦しい状況ならもっとクラブを支えたい”というサポーターの皆さんが多く、シーズンパスの増席や後援会の増口をしてくれています」

    ――それ以外にも、打つべき手は考えていらっしゃると思います。

    「一つは海外からのスポンサーや、選手の獲得の可能性があります。そこでヒト・モノ・カネの交流も生まれてくると思います。今までどおり新潟にこだわると同時に、県外、海外含めてやっていけば、アルビファミリーが広がっていくことは十分に考えられます。

     アルビレックス新潟シンガポールでも、クラブを成り立たせるためにカジノ経営等いろいろな事業展開をした結果、来季の予算規模は約40億円ほどになります。そういう意味で、アルビレックス新潟を生き残らせるために、別事業を展開することを考えてもいいかもしれません」

    ――ビッグスワンを4万人の観客で埋めることも、目指すところでしょうか。

    「“4万人”という数字を一人歩きさせたくはありません。それは『あのころはよかった』という懐古主義。スタジアムは観客数が先に立つのではなく、熱量がバロメーターなんです。ですので、まずは現状見にきてくださっている15,000人の方々の熱量を高めていくことこそが、最終的に4万人が入るビッグスワンへの近道だと思っています。そのためには、サッカーを楽しんでもらうことはもちろんですが、『アルビは俺たちのクラブなんだ』と思っていただけるようなクラブにしていく必要があります。『アルビが勝ったら俺の勝ち、アルビが負けたら俺の負け』と、自分事として熱くなれるような。

     いろいろな歴史があって、サッカークラブは続きます。その意味でも、来年は本当に乗り切らなければいけない、アルビレックス新潟史上最大の危機と言えます。これはみんなで乗り切らないといけません。そうすることで、また次の歴史が作られていくのです。

     これまでは、クラブはクラブ、お客さんはお客さんという感覚がありました。そうではなく、パートナー企業の皆さんも、サポーターの皆さんも、一緒にこのクラブの歴史を紡いでいくファミリーなんです。だから、皆さんとなるべく情報共有をすることで、このクラブを一緒に作っているという感覚を生みたいんです。双方向の想いの交換があって初めて、自分事として考えてもらえるようになるんです」


    サポーターと与え合う関係に


    ――そうした狙いの一環として、是永専務もSNSを積極的に活用していらっしゃいますね。

    「SNSの一番のよさは、皆さんからいろいろな声が聞けることです。気軽にいろいろなことを言ってもらえるので」

    ――いまの時代、炎上しかねないリスクもある中で、個人アカウントのtwitterでは、サポーター個々と向き合い、返信もされています。

    「私自身もいちサポーターなので、みなさんと気持ちは同じなんです。『アルビレックス新潟をよくしたい、もっといいクラブにしたい』んです。想いが同じだから、痛烈なことを言われることはほとんどありません。今のところ(笑)。

     お客さん対企業という立ち位置になると、やっぱり求め合ってしまいます。結果、奪い合ってしまうんですよね。そうではなくて、みんなで与え合う関係を作りたいと思っています」

    ――そうした専務のスタンスに、SNS上ではサポーターから期待の声も多く見受けられます。ある意味では救世主のように。

    「僕自身は救世主だとはまったく思っていませんが、それでクラブがよくなったり盛り上がるのなら、どんどん使ってやってください、という気持ちです(笑)。

     少し難しいのは、アルビレックス新潟はJ1にいて当たり前のクラブだと思っている方がたくさんいることです。J2の戦いは簡単じゃない。いまは“ハネムーン期間”ですけど、来シーズンが始まりました、勝てませんでした、となると『嘘つき、このやろう、辞めろ』と言われるでしょう。そういうことも見据えて、皆さんと与え合う関係性を作ることが大事かな、と。そしてそのためにはクラブが置かれている状況を包み隠さず伝えることが必要だと思っています」

    ――この先のビジョンについては。

    「一言でいうと、『アルビレックス新潟があってよかった』と思ってくれる方々、アルビレックスファミリーをもっと増やしたいと思っています。“4万人”にとらわれて数字だけを追いかけると、どうしても空虚になってしまう」

    ――数字ではなく、気持ちの部分からとなると抽象的になりがちですが、やっているのも見ているのもクラブを動かすのも人ということを考えれば、そこが原点ということですね。

    「そうです。『北風と太陽』ではないですが、『やれよ』と言っても、あまりいい成果は出ません。『一緒にやろうよ。盛り上げようよ。みんな仲間だよ』と言うほうが、いい成果が出ます。お互いに乗せ合う感じが、いいループを生み出します。アルビレックス新潟は、みんなで作るクラブであり、みんなのもの。みんなで、どこのクラブにも作れない未来を作りたいです」



    是永 大輔(これなが・だいすけ)
    1977年5月10日生まれ、41歳。千葉県出身。08年にアルビレックス新潟シンガポールのCEOに就任(現任)したのを皮切りに、シンガポールサッカー協会理事への就任、アルビレックス新潟バルセロナの設立およびPresident就任(現任)、アルビレックス新潟プノンペンの設立およびCEO就任など多岐にわたって活躍。今年9月に新潟の専務取締役に就任した。

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