EL GOLAZO(エルゴラッソ)FLASH NEWS

2018.11.9(Fri)

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  • 2戦連続先発へ。磐田の名波浩監督が、U-21日本代表選出のDF大南拓磨にFC東京戦で求めることは?

     2戦連続先発へ。磐田の名波浩監督が、U-21日本代表選出のDF大南拓磨にFC東京戦で求めることは?

     磐田・大南拓磨の、リーグ戦2試合連続の先発出場が濃厚となった。9日の明治安田J1第32節・FC東京戦に向けて行われたセットプレーの練習時には、スタメン組としてビブスを着用。攻守で入念にセットプレーの確認を行った。

     大南は、7日に発表されたU-21日本代表のUAE遠征メンバーにも選出。11日から21日まで同遠征に帯同予定となっている。指揮官は、「アジア大会から帰ってきてから雰囲気がだいぶ変わった。だいぶプロっぽい雰囲気になってきて、ここ(磐田)で試合に出なければいけないという気持ちが強くなったと感じている」と心境の変化について言及。国際舞台での経験が大南を成長させたと分析している。

     FC東京戦で指揮官が期待することは、「強力な外国人がJ1にはいる。J1の外国籍選手は、1試合の中で3回くらいスーパーなプレーをする。そういう見方をアイツができていれば、90分間で休むことはないだろうし、自分が良いプレーをするというよりもチームの助けになるプレーを期待している」と話した。

     対戦相手となるFC東京には、ディエゴ・オリヴェイラがいる。前節・広島戦ではパトリック、そして今節のFC東京戦ではオリヴェイラと対峙することに。2試合続けて外国籍ストライカー封じが大きな仕事となる。

    「(技術的な)ミスは誰にでもある。ただ(頭やプレーで)休んでしまって大ピンチにつながることが起きないようにしてほしい。広島戦で言えば、90分間を通してほとんどそのようなシーンがなかった」と名波監督。その評価が、FC東京戦での起用につながりそうだ。大南には、広島戦同様に高い集中力を保つことが求められる。

    文:森亮太(エルゴラッソ磐田担当)

  • 来季続投が発表された岐阜の大木武監督、「まだシーズンは終わっていない。一つでも上の順位にいけるように努力する」

    来季続投が発表された岐阜の大木武監督、「まだシーズンは終わっていない。一つでも上の順位にいけるように努力する」

     岐阜は9日、大木武監督の来季続投を発表した。大木監督は2017年に岐阜の監督に就任して以降、2年にわたって指揮してきた。

     現在、岐阜は11勝7分22敗で勝点40。20位につけている。リーグ前半戦では、大木監督が昨季から指導してきた左ワイドの古橋亨梧がスコアラーとして爆発。11ゴール6アシストと結果を残し、チーム順位も最高7位まで上昇した。ただ、古橋が夏の移籍期間中に神戸へ移籍して以降、失速。10連敗を含む13戦未勝利と苦しい期間が続いた。そして先週末、岐阜はなんとか来季のJ2残留を確定させた。この結果を受けて、大木監督に来季も指揮を任せる判断に至ったようだ。

     9日の練習後、大木監督は報道陣に向けて「まだシーズンは終わっていない。あと2試合あるから」と来シーズンに関する言及を避け、「一つでも上の順位にいけるように努力する」との一言にとどめて取材対応を終えた。

     クラブをとおしたコメントとして、指揮官は「今シーズンは思い通りの成績を収めることができず、私自身大変悔しい思いでいっぱいです。その中で、来シーズンもチャンスをいただきましたので、もっと多くのファン・サポーターの皆さんに喜んでいただき、チームの成績が上がるように、そして多くの感動をお届けします」と発表している。

    文・写真:岩波陽平(エルゴラッソ岐阜担当)

  • ヴァンフォーレ甲府の日本航空高OBの2人が注目する、山梨県の選手権予選決勝は11月10日キックオフ

    ヴァンフォーレ甲府の日本航空高OBの2人が注目する、山梨県の選手権予選決勝は11月10日キックオフ

     11月10日は日本航空高と帝京第三高が激突する山梨県の選手権予選決勝(12:05KO@山梨中銀スタジアム)。甲府には日本航空OBの荒木翔(日本航空高→国士大、写真左)と籏崎慎司(日本航空高→日本ウェルネススポーツ専門学校、写真右)がいて、MFの荒木は「何度か練習に顔を出しましたけど、今年の航空はまとまっているから勝つと思いますよ」と予想。選手をサポートする副務で荒木の1年後輩の籏崎は、「2-1で航空」と具体的だ。

     日本航空高は、勝てば6年ぶりの選手権出場となるが、6年前は荒木が高校2年、籏崎が1年でともにスタンドから応援していた。その翌年、荒木が高校3年時の山梨県予選決勝は今回と同じカードで航空は敗れている。荒木は「(帝京第三の)相良(和弘)監督はいろいろ考えているし、武器を持ってるからなぁ」と言いつつも、「俺が3年の時以来の決勝なんで勝って欲しい」と航空愛があふれた。

     今季、リーグ戦はベンチ入りのみ、ルヴァンカップは4試合出場とプロ1年目から飛躍とはいかなかった荒木だが、シーズン終盤の紅白戦では正確なキックやキレのいいドリブルで存在感を高めており、母校の選手権出場と躍進を自身の来季の飛躍の刺激に加えたいところだ。

    「選手権出場が決まるとOBとしては差し入れとかするの?」と聞くと、荒木は「必死でOBからお金を集めます」と宣言。2人とも当日は練習があって応援に行くことは難しいが、日本航空の仲田和正監督は心強いはずだ。

    文・写真:松尾潤(エルゴラッソ甲府担当)

  • FC東京出身の讃岐・佐々木渉、いざ味の素スタジアムへ

    FC東京出身の讃岐・佐々木渉、いざ味の素スタジアムへ

     FC東京育成組織出身の、讃岐の佐々木渉。今節は、FC東京と同じく味の素スタジアムを本拠地とする東京Vとの試合を控える。佐々木にとって味の素スタジアムでのプレーは、途中出場ながらデビュー戦となった14年の明治安田J1第25節・徳島戦(4○0)以来。「2種登録で徳島戦に出させてもらってそれ以来なので、その試合が一番印象に残っています」と振り返る。

     本来であれば楽しみな一戦にしたかったところだが「いまのチーム状況を考えると、それよりも残り2試合で2勝することがベスト。まずはそこを考えてやりたいです」。前節・栃木戦(1●2)の敗戦で21位以下が確定し、熊本と勝点で並ぶものの得失点差で最下位に順位を下げた。J3の動向次第で残留の可能性が多からず残されているが、その最低条件は21位であること。自力と他力、どちらも必要なシビアな状況を強いられている。だからこそ、この東京V戦は勝利が必須。

     また、佐々木にとって、そして、チームにとって勝利が必要な理由がもう1つある。

     今週、9年間讃岐を率いてきた北野誠監督の今季限りでの退任が発表された。佐々木にとっては今季初めて出会った縁だったが、「トライアウトで見つけてもらってせっかく拾ってもらったのに、こういう結果で監督が退任という形で終わってしまって僕としては悔しい」と心境を言葉にする。

     相手は、J1自動昇格の可能性を残している東京V。強い気持ちを持って臨んだとしても、簡単に勝利を譲ってくれる状況ではない。だが、讃岐にも勝たなければいけない理由がある。讃岐の男気、ここからもう1度。いや、もう2度見せてもらいたい。

    文:柏原敏(エルゴラッソ讃岐担当)

  • U-19日本代表活動から復帰の、「気持ちで戦う系」横浜FC・斉藤光毅。「U-19のいいところを還元したい」

    U-19日本代表活動から復帰の、「気持ちで戦う系」横浜FC・斉藤光毅。「U-19のいいところを還元したい」

     横浜FCの斉藤光毅が、U-19アジア選手権の代表活動を終えて今週からチームに合流している。大会では、鋭い抜け出しと繊細なボールタッチから3得点を挙げて、U-20W杯出場権獲得に貢献した。「自分の特長をうまく出して結果も出すことができたのが良かった。結果を残せたというのは自信になった」。斉藤にとって、手応えを感じることができた大会だった。

     ただ、ノックアウトステージでは無得点、ベスト4で敗退したという結果には満足できない。「準々決勝、準決勝では結果を残せなかった。自分はもっとできた。みんな疲労もあったと思うし、その中で自分がどれだけできるかというのを追求してやっていかないとダメ。そこは、もっと横浜FCでやっていかないといけないところ」。苦しい状況下でも特徴を出し、勝ちにつなげていくことが今後の課題となりそうだ。

     大会期間中にはJ1で活躍する先輩やスタッフ陣から学ぶことも多かった。その中でも仲良くしてもらったという主将の齊藤未月との時間では「すごく刺激を受けた」という。「『ベルマーレ』って感じでギラギラしていた(笑)。自分もミツくん(齊藤未月)みたいに気持ちで戦う系なので、すごく刺激を受けたし、学ぶべきところが沢山あった。U-19の良いところをチームに反映できればいいなと思っている」。

     リーグ戦は残り2試合。昇格が懸かったゲームで斉藤光の力が必要な局面も訪れるだろう。「自分の特徴を最大限に出して、走ることでチームに貢献したい。確実にJ1に行ったほうがチームとしても自分にとってもいい。そこは絶対に行かないといけない。行きたいというか、絶対に行く」。ギラギラとした若武者が、この最終盤に帰ってきた。

    文:高澤真輝(エルゴラッソ横浜FC担当)

  • 長崎、運命の横浜FM戦へ。 「厳しいのも現実、まだ可能性があるのも現実」(鈴木武蔵)

    長崎、運命の横浜FM戦へ。 「厳しいのも現実、まだ可能性があるのも現実」(鈴木武蔵)

     9日、長崎は諫早市内で横浜FM戦に向けた最終調整を行った。

     試合前日ということもあり、負荷はかけずにセットプレーの確認を中心に約1時間半程度の練習を実施。横浜FM戦では敗れれば、他会場の結果に関係なく、自動降格圏となる17位以下が確定。引き分けた場合でも、勝点7差で16位の鳥栖が引き分け以上となれば長崎の17位以下が決まる。それはつまり、J2降格圏から抜け出せないことを意味する(降格が決まるわけではない)。勝てば、それが次節以降に持ち越しとなるだけに、長崎にとってはまさに絶対に勝たなければならない一戦となる。

     前節、負傷から復帰した鈴木武蔵は「厳しいのも現実ですけど、まだ可能性があるっていうのも現実。諦めないで戦うだけだと思います。残り3試合、やることははっきりしているし、自分たちらしさを出して、アグレッシブに戦って、勝点3をもぎ取る。それをやっていくだけ」と前を向いた。前節の敗戦後、そのショックから沈痛な面持ちだった飯尾竜太朗も「どういう状況でも前を向いて、可能性がある限り、戦う姿を見せないといけない。サポーターの方々もたくさん応援してくれているし、責任と覚悟をもって戦いたい。前節、負けたあとはかなりしんどかった。でもまだ何も終わっていないし、何も決まっていない。頑張るだけだと思っています」と、その目には力強さを取り戻していた。

     練習には復帰していたが本来のプレーが戻り切らず鳥栖戦ではメンバー外となっていた徳永悠平も、今節は先発に復帰する可能性が高い。このシーズン最終盤に、頼れるベテランも戻ってきそうだ。クラブ史上初のJ1昇格を決めた昨年の11月11日から一年。諦めずにひたむきに戦うクラブのカラーを次節、チームとして見せたいところだ。

    文:杉山文宣(エルゴラッソ長崎担当)

  • 「来年もきっとこのクラブでプレーできると思う」。水戸の本間幸司、現役続行の意志示す

    「来年もきっとこのクラブでプレーできると思う」。水戸の本間幸司、現役続行の意志示す

     今節、ホーム最終戦に挑む水戸。前節の勝利で過去最多勝点に並び、今節は記録更新をかけた一戦となる。水戸在籍20年目の本間幸司は「次の試合で勝点1を詰めれば、最多勝点はクリアできるわけですが、ホームなので勝点1なんて考えていない。しっかり勝点3を取って目標を達成したい」と意気込みを語った。

     今年41歳となった本間だが、今季は11試合の出場にとどまっており、ベンチで過ごす試合が続いている。「僕自身悔しい思いを多くしました」と語るものの、「その思いをモチベーションにしてやってくることができました。いろいろ学ぶことが多かったシーズンだったし、いいトレーニングができて成長できたという実感もある」と明るい表情でこれまでの歩みを振り返った。

     そして、「(川口)能活さんが引退してしまうのは寂しい。自分も引退という文字はリアルですから。いつかそういうときは来ると思う。でも、今は選手として成長し続けるという気持ちはあるし、まだまだやれるという気持ちもある」と語る本間は、「来年もきっとこのクラブでプレーできると思っています。まだ契約の話はありませんが、選手として必要としてくれれば幸せです」と現役続行の意志を示した。

    「40代選手の代表として、まだまだできると、落ち目ではなく、これからだということを見せていきたい」と目を輝かせて語る本間。その情熱がある限り、水戸のレジェンドは進化し続ける。

    文・写真:佐藤拓也(エルゴラッソ水戸担当)

  • [特別掲載]是永大輔専務(アルビレックス新潟)インタビュー「アルビをみんなの自分事に」

    [特別掲載]是永大輔専務(アルビレックス新潟)インタビュー「アルビをみんなの自分事に」

     15年ぶりにJ2で戦うことになった今季、新潟は前半戦の不振が響き、目標のJ1昇格を果たすことができなかった。特に7月下旬からは6連敗を記録。昨季までJ1にいたチームがJ3降格の危機に見舞われた。

     そんな状況の中で専務に就任したのが、アルビレックス新潟シンガポールなどで実績を積んだ是永大輔氏だ。是永氏の専務就任以降、新潟は7勝1分1敗とV字回復を果たし、着々と来季に向けて飛躍の準備を進めている。

     是永氏は新潟の現状をどう捉え、何を変えようとしているのか。その鋭くも、温かい眼差しに迫った。

    ※当記事はエル・ゴラッソ本紙2106号にて掲載されたものです。

    取材日:10月28日(日)
    聞き手:野本 桂子
    撮影:嶋田 健一

     

    アルビレックスはみんなのもの


    ――今年9月にアルビレックス新潟の専務取締役に就任されましたが、今季ここまでの新潟の戦いぶりについてはどう見ていますか。

    「たぶん、多くのサポーターの皆さんと同じだと思いますが、前半戦はモヤモヤしました。ピッチ上で何をやっているのかよく分からない、と。(デンカ)ビッグスワン(スタジアム)にくるサポーターがどういうシーンに歓声を上げるかと言ったら、ボールを奪われてすぐに奪い返したときです。中村俊輔選手のロングパスに沸くクラブもありますが、アルビのサポーターが求めているものは違う。熱くて速くて激しいサッカー。運動量で圧倒し、とにかく前へ前へと進むサッカー。それが今年の前半戦で見えなかったことが、モヤモヤした原因だと思います。

     だからクラブとして、“これが新潟のサッカーだ”ということを、きちんとメッセージとして伝えていかなければいけません。それに合わせて選手も監督も集めないと、“新潟のサッカー”をお見せすることはできないですよね。例えば、アトレチコ・マドリーにネイマールが入っても活躍できるとは限りません。そういうことなんです。

     ところが近年は、ちょっと“アルビレックス様”になってしまって、鼻が高くなっていたというか、見失っていたのかなという感じはありました」

    ――今季は『1年でのJ1復帰』という目標を掲げて始まりましたが、苦しいシーズンとなりました。

    「“復帰”ではなく、“昇格”です。“復帰”という言葉を使っている時点で、J2の中でふんぞり返っているということなんです。その結果が、J2で19位なんです(※)。選手の移動や宿泊もJ1みたいな雰囲気でやっている」
    ※ 第27節~第31節に今季最低の19位を記録

    ――まさにそうした状況の9月から専務に就任されました。当時は7戦勝ちなしで19位。本当に厳しい状況でした。まずは何から着手しようと思われましたか。

    「アルビレックス新潟は、みんなのものだったはずです。それを取り戻すために、メディアの方々への働きかけから始めました。今までは、待ちの姿勢だった結果、新潟でもアルビのことをよく知らない人が増えてきてしまっている現実があります。そうではなく、こちらからメディアさんにお願いをして掲載してもらうという働きかけと、そのためのネタを準備して積極的に発信をするということをもっとやらなければなりません。

     また、地域の皆さんとの距離を縮めるということも重要です。小学校や病院への訪問などの回数をとことん増やし、Jリーグで最も地域を元気づけるクラブでありたいと思っています。

     本質的なところから一生懸命やりたいですね。オン・ザ・ピッチで言えば、アルビレックス新潟らしいサッカーをやる。オフ・ザ・ピッチでは、メディアへの露出と地域貢献活動を増やす、ということです」

    ――就任即行動。専務自らメディアキャラバンも行うことで、一気に地元メディアの露出が増え、学校訪問も増えています。

    「少しずつ流れを変えることも重要ですが、いまはインパクトのあるストーリーで一気にたくさんの方を巻き込むタイミングと思っています」

     

    数字ではなく、熱量がバロメーター

     

    ――来季もJ2でプレーすることが決まりましたが、2年目はJリーグからの降格救済金1.3億円がなくなります。そこに対する施策はどのようにお考えですか。

    「降格救済金の1.3億円。さらに今季は現状2.5億円程度の赤字見込みです。さらに諸々の減収を想定すると、収支を合わせるためには今季と比較して5億円程度の予算削減が必要です。収入を増やす手は尽くしますが、来季になって5億円がいきなり入ってくることを信じるのはあまりに楽観的だと思っています」

    ――来季のシーズンパスとユニフォーム受付を、例年より早めているのは、そういうこともあってのことでしょうか。

    「なるべく早く現状を知りたいということはあります。ありがたいことに“苦しい状況ならもっとクラブを支えたい”というサポーターの皆さんが多く、シーズンパスの増席や後援会の増口をしてくれています」

    ――それ以外にも、打つべき手は考えていらっしゃると思います。

    「一つは海外からのスポンサーや、選手の獲得の可能性があります。そこでヒト・モノ・カネの交流も生まれてくると思います。今までどおり新潟にこだわると同時に、県外、海外含めてやっていけば、アルビファミリーが広がっていくことは十分に考えられます。

     アルビレックス新潟シンガポールでも、クラブを成り立たせるためにカジノ経営等いろいろな事業展開をした結果、来季の予算規模は約40億円ほどになります。そういう意味で、アルビレックス新潟を生き残らせるために、別事業を展開することを考えてもいいかもしれません」

    ――ビッグスワンを4万人の観客で埋めることも、目指すところでしょうか。

    「“4万人”という数字を一人歩きさせたくはありません。それは『あのころはよかった』という懐古主義。スタジアムは観客数が先に立つのではなく、熱量がバロメーターなんです。ですので、まずは現状見にきてくださっている15,000人の方々の熱量を高めていくことこそが、最終的に4万人が入るビッグスワンへの近道だと思っています。そのためには、サッカーを楽しんでもらうことはもちろんですが、『アルビは俺たちのクラブなんだ』と思っていただけるようなクラブにしていく必要があります。『アルビが勝ったら俺の勝ち、アルビが負けたら俺の負け』と、自分事として熱くなれるような。

     いろいろな歴史があって、サッカークラブは続きます。その意味でも、来年は本当に乗り切らなければいけない、アルビレックス新潟史上最大の危機と言えます。これはみんなで乗り切らないといけません。そうすることで、また次の歴史が作られていくのです。

     これまでは、クラブはクラブ、お客さんはお客さんという感覚がありました。そうではなく、パートナー企業の皆さんも、サポーターの皆さんも、一緒にこのクラブの歴史を紡いでいくファミリーなんです。だから、皆さんとなるべく情報共有をすることで、このクラブを一緒に作っているという感覚を生みたいんです。双方向の想いの交換があって初めて、自分事として考えてもらえるようになるんです」


    サポーターと与え合う関係に


    ――そうした狙いの一環として、是永専務もSNSを積極的に活用していらっしゃいますね。

    「SNSの一番のよさは、皆さんからいろいろな声が聞けることです。気軽にいろいろなことを言ってもらえるので」

    ――いまの時代、炎上しかねないリスクもある中で、個人アカウントのtwitterでは、サポーター個々と向き合い、返信もされています。

    「私自身もいちサポーターなので、みなさんと気持ちは同じなんです。『アルビレックス新潟をよくしたい、もっといいクラブにしたい』んです。想いが同じだから、痛烈なことを言われることはほとんどありません。今のところ(笑)。

     お客さん対企業という立ち位置になると、やっぱり求め合ってしまいます。結果、奪い合ってしまうんですよね。そうではなくて、みんなで与え合う関係を作りたいと思っています」

    ――そうした専務のスタンスに、SNS上ではサポーターから期待の声も多く見受けられます。ある意味では救世主のように。

    「僕自身は救世主だとはまったく思っていませんが、それでクラブがよくなったり盛り上がるのなら、どんどん使ってやってください、という気持ちです(笑)。

     少し難しいのは、アルビレックス新潟はJ1にいて当たり前のクラブだと思っている方がたくさんいることです。J2の戦いは簡単じゃない。いまは“ハネムーン期間”ですけど、来シーズンが始まりました、勝てませんでした、となると『嘘つき、このやろう、辞めろ』と言われるでしょう。そういうことも見据えて、皆さんと与え合う関係性を作ることが大事かな、と。そしてそのためにはクラブが置かれている状況を包み隠さず伝えることが必要だと思っています」

    ――この先のビジョンについては。

    「一言でいうと、『アルビレックス新潟があってよかった』と思ってくれる方々、アルビレックスファミリーをもっと増やしたいと思っています。“4万人”にとらわれて数字だけを追いかけると、どうしても空虚になってしまう」

    ――数字ではなく、気持ちの部分からとなると抽象的になりがちですが、やっているのも見ているのもクラブを動かすのも人ということを考えれば、そこが原点ということですね。

    「そうです。『北風と太陽』ではないですが、『やれよ』と言っても、あまりいい成果は出ません。『一緒にやろうよ。盛り上げようよ。みんな仲間だよ』と言うほうが、いい成果が出ます。お互いに乗せ合う感じが、いいループを生み出します。アルビレックス新潟は、みんなで作るクラブであり、みんなのもの。みんなで、どこのクラブにも作れない未来を作りたいです」



    是永 大輔(これなが・だいすけ)
    1977年5月10日生まれ、41歳。千葉県出身。08年にアルビレックス新潟シンガポールのCEOに就任(現任)したのを皮切りに、シンガポールサッカー協会理事への就任、アルビレックス新潟バルセロナの設立およびPresident就任(現任)、アルビレックス新潟プノンペンの設立およびCEO就任など多岐にわたって活躍。今年9月に新潟の専務取締役に就任した。

  • 山口の佐藤健太郎、甲府・小塚和季との対戦に警戒しつつも、「ファンです」と告白

    山口の佐藤健太郎、甲府・小塚和季との対戦に警戒しつつも、「ファンです」と告白

     山口のホーム最終戦は、元監督・上野展裕氏率いる甲府との対戦。今季の甲府は、昨季の山口のキーマンだった小塚和季が活躍していることも重なって、「放っておいてもモチベーションが上がってくるような対戦」(霜田正浩監督)になりそうだ。

     小塚との対戦を心待ちにしている選手の一人が、山口在籍2年目の佐藤健太郎。今季は負傷でピッチを離れた時期もあったが19試合に出場。ここ2試合は、これまで務めたダブルボランチよりやや高い位置でプレーし、「ゴール前のスペースに入っていく」ことを意識しているが、「まずは守備からゲームに入りたい」とボール奪取を狙っている。

     佐藤は昨季、主にトップ下でプレーした小塚と33試合に出場。ファンタジスタ・小塚の特徴はよくわかっており、「コヅ(小塚)は危険なところでボールに触れるし、危険なところにボールを出せる。すごく怖い選手なので、あまりボールを入れさせたくない。前を向けるので、すごく危険な選手。自分が後手に回るようなポジションからスタートすれば、スッと体を入れられて前に入られてしまうと思う。90分間、丁寧に良いポジションを取りながら守備をしたいと思う」と警戒する。

     ただ、警戒するだけでなく、「個人的にコヅがすごく好きだし、ファンです」と笑顔で明かした佐藤。ホームでの再会と熱戦に注目したい。

    文・写真:松原純(エルゴラッソ山口担当)

  • 名古屋の風間八宏監督が話す『風間語録』に新たなワード誕生? それは「注意力」

    名古屋の風間八宏監督が話す『風間語録』に新たなワード誕生? それは「注意力」

     試合後記者会見での冒頭の「2つあります」から始まり、「止める・蹴る」「目をそろえる」など、独特な表現方法を駆使しつつ指揮を執る風間八宏監督。その風間ワードの中でここにきてトレンド入りをしそうなのが「注意力」だ。

     用法は次の通り。

    「90分間の闘いの中で『注意力』を持って戦えるかどうか」

    「今日(選手に)言ったのは『注意力』です。これを90分間持てる選手はいい選手です」

    「ゴールを消すことも含めて『注意力の欠如』が試合を分ける」(いずれも11/4試合前々日会見から)と、「注意力」というフレーズが何度も飛び出した。

     デジタル大辞泉で検索すると、注意力とは「ある一つの事柄に気持ちを集中させる能力」とある。平たく言えば「集中力」と考えれば理解しやすく、聞き心地がいいのかもしれない。

     しかし、風間監督は「集中力」とはまったく違う意味合いがあると言う。「集中力は少し大きくて散漫な感じがする。注意力というのはできる最善のことを尽くすということ。やっていないこと、理解していないことは注意力ではありません。でも普段やれていることをやれないというのは注意力が足りなかったということです。足の出し方、ボールの止め方、そういうところでもっと高い注意力を出せていれば、自分たちはもっと勝てているはず」と、風間監督はこのワードをあえて使う意味を力説する。

     選手たちも「もっとミスをしないように注意しないと」とか、「自分たちのやれることをやるように注意したい」と言うようになっていて、この短いフレーズがすんなり頭に入っている感じだ。

     練習でできていることを試合でもしっかりと出すこと。足の先まで細心の注意を払うこと。もったいないミスから失点を喫し、残留争いに巻き込まれている現状からも、この『注意力』という言葉は、残り3試合の勝利を引き寄せる言霊なのかもしれない。

    文:斎藤孝一(エルゴラッソ名古屋担当)

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