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岩沼市の岩沼市陸上競技場リニューアル記念イベントで、仙台がサッカー教室を開催
2日、宮城県岩沼市の岩沼市陸上競技場リニューアル記念イベントに、仙台の選手、スタッフ、マスコットが参加。サッカー教室を行った。
この岩沼市陸上競技場は90年に開設し、仙台もサテライトリーグなどで使用してきた場所。しかし11年3月11日に東日本大震災が発生してからは、周辺も含め被災者の生活拠点やヘリポートとして使用されてきた。そしてスポーツ振興くじによる1億3000万円の助成を受けて29年ぶりにリニューアルし、今年4月1日に通常利用を再開。芝生部分も6月1日に再開した。
式典には、日本代表に招集されたシュミット・ダニエルとU-22日本代表遠征に参加中の椎橋慧也を除く、全選手とスタッフ、マスコット(ベガッ太さんとルターナちゃん)が参加。また、仙台のアカデミーとトップでプレーし、現在はタイで活躍する大久保剛志(岩沼市出身・現MOFカスタムズ・ユナイテッド)も参列し、“いわぬま健幸大使”に就任した。
テープカット後、チームからは記念フラッグを岩沼市長と子供たちに贈呈。その後、岩沼市の未就学児から中学生までの101人とともにサッカー教室を楽しんだ。
仙台ユース所属時に同所での試合経験がある道渕諒平は、「ここにきてくれたような、地域の人たちがあってのベガルタ仙台。震災が発生した11年の僕はまだユースで、トップチームの活躍に勇気づけられました。いまは自分がトップでプレーして、皆さんの力になれれば」と、前日に勝利したJ1リーグ戦でさらに活躍することを誓った。
文・写真:板垣 晴朗(エルゴラッソ仙台担当)
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高校総体・石川県代表は星稜。王者にあった“奥の手”
■星稜を土俵際まで追い詰めた金沢学院
石川県の高校総体予選決勝が3日に行われ、延長後半の82分に決勝ゴールを挙げた星稜が8年連続28回目の総体出場を決めた。
決勝に駒を進めたのは前回大会の王者・星稜と元群馬の北一真監督が率いる金沢学院。昨年は総体予選、選手権予選ともに無失点と圧倒的な強さを誇った星稜だが、新チームでの新人戦では準決勝で金沢学院にPK戦の末に敗れている。河合伸幸監督が「こんなにチャレンジャーとして戦わなければいけないのは久しぶり」と言うように、上位数校の力は本当にきっ抗していた。
それを表すかのように、前半から主導権を握ったのは金沢学院だった。前日に延長(35分ハーフ+10分ハーフの計90分)・PK戦まで戦ったこともあり、どこか体が重そうな星稜に対し、金沢学院は2分に奪ったCKからいきなり星稜ゴールを脅かす。運動量の多い両ワイドに前線の選手が絡み、勢いをもって相手を押し込んでいく。そして何よりも際立ったのが球際の強さ。主将のCB上村一太を始めとしたDF陣がロングボールをことごとくはね返し、五分五分やそれ以下のボールにも必死に食らいついた。その清々しいまでに外連味のない姿勢が実ったのが31分。ゴールほぼ正面で得たFKをDFの土橋琉輝が蹴ると、ボールは美しいカーブを描き、GKの手をかすめてネットに突き刺さった。
後半になってもなかなか主導権を奪い切れなかった星稜だが、王者には奥の手があった。53分にDF奥秋賢将を投入し、それまでCBに入っていた184cmの川口優大をトップに上げた。「本当は使いたくなかった」(河合監督)という策だったが、これがハマった。前線にターゲットができたことで、押し込むことができるようになった星稜は、残り9分となったところで廣島大雅が倒されPKを獲得。これを別宗裕太がしっかりと左隅に蹴り込んで同点に追いついた。
26℃という気温以上に暑く感じられる炎天下での試合は延長戦に突入。そして延長後半、勝負を決めたのは前線に上がっていた川口だった。
■傷だらけのファイターが決めた決勝点
「理想の選手は鹿島の鈴木優磨選手」
DFらしくない選手名を挙げた川口だが、中学年代(仙台ジュニアユース)まではずっとFWとしてプレーしてきた。去年もFWとDFの両方でプレーしており、「鈴木優磨選手の戦う姿勢が好き」というファイターだ。その川口がPK戦も見えてきた82分、川本虎太郎のクロスに飛び込み、見事ヘディングで決勝ゴールを奪った。今年は副主将を務める川口だが、ここまで決して順風満帆にきたわけではなかった。昨年に右足甲を骨折し、いまも患部にはボルトが入っている。今年も最初はAチームに入れなかった。それでもなんとか間に合わせた今大会は決勝までフル出場。ケガでプレーできないもどかしさも、スタンドから応援する悔しさも知る川口だからこそ、「そういった選手たちにも全国で戦うチャンスをつくるために、俺らがしっかり勝たないといけなかった」。ゴール直後に両足をつって交代になってしまうほど、最後の力を振り絞った渾身のヘディングシュートだった。
チャレンジャーの星稜がつかみとった全国切符。チャレンジャーにふさわしく、チームのためにがむしゃらに戦えるファイターが決勝ゴールを奪ったのは必然だったのかもしれない。
文・写真:村田亘(エルゴラッソ金沢担当)