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U-20日本代表主将・坂井大将「失うものはなにもない」。いざ5大会ぶりの世界大会へ
世界の20歳以下年代のNo.1を決める大会であるU-20W杯が20日、韓国で開幕。初戦の南アフリカ戦を翌日に控えたU-20日本代表は、内山篤監督と主将・坂井大将が前日会見に出席した。
内山監督は「5大会ぶりに挑む大会。心身ともに良い準備はできている。一つでも上を目指していきたい」とコメント。さらに、南アフリカに対しては「身体能力が高い」と印象を語りながら、「従来どおり、コンパクトに戦っていきたい」と初戦を見据えた。主将の坂井は「(南アフリカは)意外性がある。(自分たちには)失うものはないので、チャレンジャー精神を持って戦っていきたい」と意気込みを語った。
一方、対戦相手となるU-20南アフリカ代表のセノング・タボ監督は「(日本、イタリア、ウルグアイが同居するD組は)すごくタフなグループ。日本の技術力は素晴らしいので、われわれもしっかりとしたパフォーマンスを見せるために準備をしていきたい」と語り、初戦に向けて気持ちを高めていた。
日本が10年ぶりに出場する今大会。初戦の南アフリカ戦は21日の17時にキックオフされる。
文:林遼平(エルゴラッソ日本代表担当)
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名門相手に高まるモチベーション。浦田延尚「同じカテゴリーにいるのには理由がある」
今節、愛媛は5連勝中のホームで名古屋を迎える。
名古屋との対戦は公式戦で初。それだけに『オリジナル10』である名門のビッグネームを前に、内心たじろぐ気持ちも禁じ得ないところだが、好調の波に乗る愛媛の選手たちの言葉は意外なまでに堂々としたものだ。
「名古屋は歴史のあるクラブだし、それも華やかな歴史を持っている」
そう話すのは、愛媛の最古参選手・浦田延尚。リーグ制覇、そして天皇杯をも手にしてきた名門に対してリスペクトする気持ちは持ちながらも、「自分たちは今回、名古屋の歴史を作ってきた選手と試合をするわけではない。同じカテゴリーにいるというのには理由があるし、いま同じような順位にいるのにも理由がある」と現実を見つめてキッパリ。その“名前”に臆することなく、いつもどおり真正面から勝負に挑んでいくと話す。
連戦による疲労がある中、ホームで戦えるアドバンテージについても、「お互いにコンディションは『100』ではない。この連戦でコンディションが戻り切ることはないけど、たぶん名古屋のほうがキツいと思う」と、相手の遠征によるさらなる疲労も味方につけて戦う。
また、今節はクラブ今季最多の観客動員数が見込まれているだけに、ここでの勝利はここまで苦戦中の集客面に対しても大きな起爆剤になり得る。
得るべきものは勝ち点や自信だけではない。だからこそ、そのモチベーションは疲れを吹き飛ばすほどに高まっているはずだ。
文・写真:松本隆志(エルゴラッソ愛媛担当)
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3度目の正直。横浜FCの田所諒と師匠・加地亮との対戦がようやく実現か
21日(日)にアウェイ・岡山戦を控える横浜FC。昨季、岡山から横浜FCに移籍してきた田所諒にとっては、7シーズンを過ごしたシティライトスタジアム(Cスタ)へ2度目の帰還となる。
「あのスタジアムに戻るというのは、僕にとって特別なこと。去年の7月、敵としてCスタに帰って、でもサポーターの皆さんがすごく温かく迎えてくれて、感動しました。その試合で勝てたというのが、自分のサッカー人生の中で忘れられない出来事として残っていくと思います」
今回は首位チームの一員としての凱旋だが、「順位は関係ない。特別な思いは胸にしまって、冷静に、自分の役割をやり切ることに集中したい」という田所。そんな彼が何より楽しみにしているのが、加地亮とのピッチ上での再会だ。
2015年に岡山に移籍してきた加地とは、ともに過ごした時間は1年足らずではあったが、田所にとって偉大なサイドプレーヤーの先輩であり、「すごくお世話になった」師匠ともいえる存在。昨年も岡山戦の前には「加地さんと勝負できるのが楽しみ」といつも話していたが、ホームもアウェイも中3日の3連戦の真ん中の試合で、ベテランの加地は温存されベンチにも入らなかった。しかし今回は、3連戦の最後の試合。加地は前節、ベンチ入りはしたものの出場しなかったため、すれ違い続けた二人の対戦が3度目の正直でようやく実現する気配が濃厚だ。
ただ、いまの田所のポジションは3バックの左のため、同じアウトサイドのポジションで「ガンガン走り合う」機会は少ないだろう。それでも「どこで出るにしても、しっかり自分の役割をまっとうできるように集中する」。その姿を偉大な師匠に見せて勝利に貢献することが、何よりの恩返しになるに違いない。
文:芥川和久(エルゴラッソ横浜FC担当)
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鈴木雄斗と阪野豊史、仁義なきイジり合い
前節・松本戦から2日が経った19日、主力組はこの日も軽めのメニューで練習場をあとにした。「これ以上、人を欠くと試合にならないので。けが人を出さないことがこの3日で大事」(木山隆之監督)と、負傷離脱者の多さは深刻。そうした事情もあり、練習メニューには『サッカーバレー』も採用された。
4グループに分かれた総当たり戦、前節で勝利していたこともあり、笑い声も聞こえる明るい雰囲気で行われた。そんな中、高く上がったボールを鈴木雄斗が頭ではね返そうとすると、決まって聞こえてきたのが「ハゲる! ハゲる!」という声。
声の主は、阪野豊史だった。「大丈夫かなあと思って。回転したボールに向かってヘディングして」。いかにも心配しているふうではある。そして、「ケアとかしっかりやっているし、シャンプーも高いものを買ったりしてるので」と、鈴木に関する新事実も明かした。
これほど毛髪の心配をしてくれる先輩の存在がいるとは、なんと幸せなこと。しかし鈴木にそのことを聞いてみると、ちょっと様子が違った。毛髪については「全然気にしていないですよ」、「抜けないです、抜けないです」と全否定。高いシャンプーを使っているとの話も、「いやいやいや、俺とトヨくん(阪野)のシャンプー、一緒なんですよ。美容院に置いているシャンプーで、髪にやさしいヤツを」。
実はこうしたやり取りも、二人にとってはイジり合いの一環。「ロッカーも隣だし、仲良いです。トヨくんの化粧水とか、俺いっつもパクって使っているので」。
ちなみに、髪の話題でイジってくる阪野に対して、鈴木は「人の髪を心配するより、自分の体型を心配しろ」と言い返しているそうだ。
文・佐藤円(エルゴラッソ山形担当)
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今季初ゴールの三門雄大。“逆再生”で分かる仲間への信頼と自らの理想像
前節、第14節の湘南戦。劣勢の中、前半ロスタイムのジウシーニョの得点で引き寄せた流れを完全に自分たちのものとしたのは、三門雄大のゴールだった。
58分、ジウシーニョの右からのパスをペナルティーエリア手前で受けた三門はワントラップのあと、迷うことなく右足を振り抜く。この場面を起点に、三門の頭の中を逆再生するとこうなる。
→→→「あの時間帯に追加点を取れればゲームを優位に進められると思っていた」
→→→「あのエリアで受けたら打とうと決めていた」
→→→「ゴールを奪える予感がしていたから」
→→→「(第12節の)松本戦あたりからペナ(ルティーエリア)の外や中にまで自分が侵入できる場面が増えていたから、そろそろゴールできるかな、と」
→→→「自分が前に出ていけたのは陣形がコンパクトになっていたからでもあるが、自分の気持ちに変化があったから」
→→→「最終ラインの前のスペースをケアすることではなく、攻撃に関与することのほうがいまのチームのためになるのではないかという考えに変わっていた」
→→→「後ろはケイスケ(岩下)やサネ(實藤)や堤に任せればいいし、功治さん(山瀬)も『カバーは任せろ』と言ってくれた」
→→→「そもそも僕は点を取れるボランチになりたいと思っていた」
三門の今季初ゴールを逆再生して分かったこと。それは仲間への信頼感と自らの理想像が始まりだったということだった。
文・島田 徹(エルゴラッソ福岡担当)